太平洋
曇天の海の上を、海を破り進む一群がいた。
巨大な空母のような艦艇の周りに艦艇のような装備を身につけた女性達、空には足にレシプロ機のような機械を付け動物のような耳を生やした少女達、そしてその前衛には一門の砲に角ばった艦橋構造物を持つ艦艇に空母のような艦が一隻いた。
みらい 艦橋
柳一信一等海曹「いやな天気だなぁ…」
尾栗康平三等海佐「確かに、こうも曇天続きだと緊張がほぐれねぇ。なぁところで、俺たちのいく世界の日本ってどんなところなんだ?」
柳「噂じゃあ1950年代後半〜60年代頃の技術を持っているそうです。技術の進歩が史実より早いらしくて45年にはミサイルを使ってたそうですよ」
尾栗「まさかぁ」
柳「まぁ噂ですけどね」
いぶき 艦橋
定期偵察から戻り甲板に着陸するF35を確認し報告が入る。
「アルバトロス1帰還しました」
新波「確認した。今のところ異常はありません」
秋津「あぁこのまま行けばあと3日もすればあちらの世界に到着する……話が本当なら」
涌井「信じるしかあるまい。敵さんが太平洋に出てきたとなると日本も、引いてはアジアも安全ではなくなるんだ。ならば少しでも可能性にかけてみるんだ」
「その前に敵が来なければいいんですが…」
秋津「だとしても…我々は来ないことを祈るしかあるまい」
艦娘艦隊
翔鶴「偵察隊、帰還しました。周辺海域に敵影はありませんでした」
加賀「ご苦労、五航戦はそのまま待機」
瑞鶴と翔鶴が下がると加賀は徐に空を見上げる。
視線の先には海自のF35や妖精さん達の乗る零式戦、そして501JFWも確認できた。
加賀「赤城さん…?」
ふと隣の赤城に目をやると何やら浮かない顔をしていた。
加賀「赤城さん、どうかしましたか?」
赤城「いえ、思い過ごしならいいんですが……何やら嫌な予感が……」
視線を曇天の空に向けてそう言う彼女を見て「何かある」の加賀も悟った。
501JFW
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ「どう美緒?」
坂本美緒「駄目だ、雲が厚すぎて魔眼も無理だ。水平線上ならなんとか見えるくらいだ」
ミーナ「ありがとう、みんなの様子を見てくるわ」
ミーナが後方へ下がり、横を飛ぶ宮藤芳佳へ顔を向ける。
いつもの彼女とは打って変わって暗い表情であった。
美緒「宮藤大丈夫か?」
芳佳「…あっはい…大丈夫です」
美緒「…やはり怖いのか…?」
その問いかけに俯き加減で答える。
芳佳「怖いです……同じ人同士で…人間に銃を向けるなんて……」
美緒「……正直に言えば…私も怖い…でも私達の意思を向こうは……敵は考えてくれるはずもないんだ……それでも…!やるしかないんだ、宮藤」
芳佳「………はい…!」
そんな思いとは裏腹に、最悪の予感は現実のものとなる。
遥か彼方前方 海中
けんりゅう
滝 隆信「……通信、敵はまだいないか?」
「はい今のところは」
滝「そうか……」(なんだかなぁ……妙な胸騒ぎがするというか…)
滝は一抹の不安を感じる行動に出る。
滝「潜望鏡深度まで浮上」
深度50につくと捜索用潜望鏡を上げて辺りを確認する。
滝「……っ‼︎あれは⁉︎」
声を上げた彼が見た先にあったのは雲の切れ間に大量の敵戦爆連合にネウロイ、敵航空機の大軍を確認した。
滝「くそっ‼︎的中しやがった‼︎潜望鏡降ろせ‼︎深町先輩のたつなみを介していぶきに伝えろ‼︎」
けんりゅうをから発せられた情報は直様深町の乗るたつなみへ
たつなみ
深町 洋「ったく滝のやろう。あいつの最悪の勘が的中したみてぇだな」
たつなみから第五護衛群旗艦のいぶきへ
いぶき
新波「やはり来たか……」
秋津「司令」
涌井「あぁ。通信、至急各艦に通達しろ対空戦闘用意‼︎」
対空戦闘を伝える警報が各艦内に鳴り響き要所要所で配置を固め、『あたご』『ちょうかい』『みらい』のSPYレーダーが敵影を捉える。
艦娘艦隊
長門「総発艦始め‼︎」
彼女の号令により一航戦、ニ航戦、三航戦、四航戦、五航戦各艦から零式戦が次々に発艦を開始する。
501JFW
ミーナ「了解しました。全員、敵が来る戦闘態勢へ‼︎」
隊列を組んで敵を待ち構える。手持ち火器の弾倉のチェックや待ち直す。
芳佳(大丈夫…宮藤……お前ならできる……‼︎)
直後彼女達の前を黒い影が横切る。
いぶきから発艦したF35JBだ。さらに遅れて零式戦も後を追う。
先行し情報にあった敵大編隊を捜索する。
迫水 洋平(さぁて…敵が見つけるのが先かこっちが先か……)
そう考えた矢先、僚機のアルバトロス2から通信が入る。
柿沼『こちらアルバトロス2、小隊長見つけました。左下方10時の方向!』
視線をやると、そこには今までに見たことのない数の敵機がいた。
迫水(っ‼︎……な、なんて数だ…‼︎)
ざっと見ても300機以上はいる。
おまけに敵戦闘機はレシプロ機などではなくサーブ35ドラケンに酷似した機体が戦爆連合の護衛をしている。
迫水(相手は第二世代機か……)
迫水は考えた。機体性能ではこちらが明らかに上回っているどころか天と地の差ほどある、しかし相手は数の上では遥かに優勢だ。
普通異なる世代同士の機体が戦えば先の世代の方が勝つがそれは単機で戦った場合による。数で押されればひとたまりもない。
迫水が躊躇しているそんな最中、味方機が合流してきた。
池谷『アルバトロス1こちらスパロウ1聞こえるか?迫水?』
迫水「池谷…」
『迫水』
そう聞こえるとしたから別のF35が上がってきた。
迫水「団司令…!」
淵上 晋『今奴らの向かっている先には我が第五護衛群や艦娘や501、それに学園艦だっているんだ。どの道奴らを叩かないことには守ることはできん』
迫水「……了解……‼︎」
淵上『よしっ‼︎全機続け‼︎』
もはや躊躇している暇はない、止めなければ皆が危険に晒される。ならばここで食い止める‼︎
「「FOX-2‼︎」」
全機がほぼ同時に発射スイッチを押し、ウェポンベイが開き中距離用のAIM-120 AMRAAMが一斉に放たれる。
瞬く間に爆撃機二機、攻撃機三機、戦闘機三機が堕ちる。
それを見た敵パイロットも散開し応戦。
F35を発見しミサイルを放つ。しかしフレアで躱される。機銃を撃つもF35は速度を物に一気に距離をとる。追いつこうとすれば別機から04式空対空誘導弾を撃ち込まれる。
501JFWが到着した時には既に戦闘は始まっており独軍機対海自、敵航空機対零式戦、そしてネウロイが向かってくる。
光線を一斉彼女達に向かって撃ってくるも散開して躱す。
ここからは各自分かれて応戦する。
ミーナ「速いわね……」
ミーナは直進してくるネウロイに銃撃を加えながら、ぽつりとつぶやいた。ネウロイは時速600kmという速度で飛行していた。これはミーナとエイラが履くBf109G型の最高速度に近い。
一撃離脱をして旋回するころには引き離されているだろうと判断したミーナは、すぐさま指示を出す。
ミーナ「一撃離脱じゃ無理ね。速度を合わせて」
エイラ「了解」
2人は、急降下をするとネウロイの後ろにつく。ネウロイが速いせいでなかなか距離は縮まらないが、MG42の有効射程圏内に収めることに成功する。
分間1500発という連射速度を持つMG42は、一瞬トリガーを引くだけで25発もの弾丸が放たれる。銃身が加熱しないように、短く何度も引き金を引く。
別所で戦っている芳佳達は、
芳佳「やった…!」
敵航空機などに邪魔されつつもなんとかネウロイを撃破していた。
しかし下方に目をやるとどこから離脱したのか敵の雷撃機が海面スレスレを飛行していた。
芳佳「‼︎坂本さんっ!」
芳佳の指差した方を見て坂本も驚愕する。
美緒「しまった‼︎淵上一佐!」
淵上『抜けたか……仕方ない、あれは護衛艦隊に任せよう』
芳佳「追わないんですか⁉︎」
淵上『宮藤、我々のイージス艦を舐めるなよ』
第五護衛群
みらい
「きっ……来たぁ…‼︎」
艦橋見張り員が双眼鏡から押し寄せる敵攻撃機を視認する。
CIC
青梅鷹志「80°15マイル対空目標80機以上を確認」
菊池雅行「来たか……艦長」
梅津三郎「各艦でも確認しているだろう…」
あたご・ちょうかい
『対空戦闘よぉい!!これは演習ではない!繰り返す!これは演習ではない!!』
艦内で切迫したアナウンスが流れていた。そのアナウンスを聞き、艦内の水密扉が占められ乗組員は艦橋やCICなどの戦闘時の所定の場所に向かう。
すべての乗組員が所定の場所につくと、各班の班長がCICに報告する。その報告は航海長や副長などから浦田艦長らに伝わり、涌井司令に報告が入る。
いぶき
「司令!全艦対空戦闘用意よし!」
涌井「了解………いよいよか……各艦に撃墜命令を‼︎」
あたご
浦田 鉄人「いよいよ…か」
専守防衛を重んじてきた浦田にとってこの命令に対し不満がないわけではないがやらなければこちらがやられる、その為には嫌がでもやらねばならい。
ちょうかい
浮船 武彦「SM-6攻撃用意!」
命令を受けた「ちょうかい」のCIC内ではミサイルの発射準備が進んでいた。それは他の「みらい」「あたご」の艦内でも同様であった。
「イルミネータースタンバイ‼︎」
イージス艦に搭載されているMk.99イルミネーターが目標に火器管制レーダーを照射する。
浮船「さぁ来な相手をしてやる……!」
みらい
菊池「SM6、発射用意!!発射弾数3発・・・・・・」
青梅「データ入力完了!発射用意よし!」
菊池の指示で前部と後部にあるVLSに格納されたSM-6艦隊防空用艦対空ミサイルのセルのハッチが静かに開く。
相手も全力で向かってくる以上こちらも全力で相手をせざるを得ない、もはや専守防衛だな言っている暇ではない。
青梅「トラックナンバー2042接近!」
菊池「SM6発射始め、サルヴォー‼︎」
発射管制員はミサイルの発射ボタンを押す。
前後部VLSから白煙を上げてSM6が三艦合計九発、勢いよく大空に向けて飛び出す。
三艦から三発づつ発射されたSM-6長距離艦隊防空用艦対空ミサイルは各艦に搭載されたMk.99ミサイル射撃指揮装置の誘導に従い、目標は向けて飛翔していく。
突進してくるミサイルを見て回避しようとするも正確に誘導され瞬く間に数十機を撃墜する。
青梅「……目標撃墜……!」
菊池「やったか………」
それから何度か攻爆双方が小規模かつ連続して、また敵戦闘機との戦いでもそれぞれ弾薬を使い果たすもどうにか撃墜するに成功する。
みらい
梅津「しのいだか……」
艦橋内の乗組員達も疲れが出たのかフゥと息を吐いたりする者や額の汗を拭っていた。
状況は各艦、艦娘艦隊、501JFWでも同じであった。
艦娘艦隊はそれぞれ弾薬の補給や艦載機の収容を、501JFWでも、
いぶきでは帰還してくる航空隊を迎え入れる準備を整えていた。
だが、その次の瞬間。レーダー管制員が艦内に漂っていた安心感を吹き飛ばすような報告を上げた。
「敵機!此方に向かってきます!機数……よ、400機以上⁉︎」
菊池「なっ⁉︎……」
艦内放送で聴いた角松は艦橋から彼方向かうへ双眼鏡を向けてみる。
そこには先程とほぼ同等の数の敵機が悠然と飛行していた。
角松「っ‼︎……ちっくしょお‼︎」
CIC内では応戦の用意を整えようと慌ただしさが戻る。
菊池「使えるSM6はあとどれくらいある⁉︎」
青梅「三艦合計でも…数える程しか……」
梅津「……なんだと……‼︎」
いぶき
新波「なんて…タイミングで……‼︎」
CIC内では安心感は消え去り、不安と絶望感が漂い始めていた。
秋津「……一機の収容と給弾を終えるのにどれくらいかかる………?」
「最短でも……30〜40分は……」
艦娘艦隊
陸奥「なっ…なんて数なの⁉︎」
大和「赤城さん‼︎艦載機の収容もっと急げますか⁉︎」
大和が赤城に向かって言う。
赤城「全空母で急いでるけど……間に合いそうにありません…」
吹雪「そっ……そんな………」
501JFW
ミーナ「こんな時に………‼︎」
美緒「みんな‼︎弾薬は持つか⁉︎」
後方の芳佳達に美緒が聞くが答えは良いものではなかった。
ハルトマン「無理だよ…弾倉もあと一つか二つくらいしか……」
バルクホルン「燃料ももうほとんど……」
芳佳「……ここまで………なの……?」
もはや抗いようもなく、力もほぼ残されていない。もうただ弾が尽きるまで戦うか、否かという事態に一同は絶望するしかなかった………
やまと
発令所
溝口「ん?」
ソナーマンの溝口拓男が違和感を感じたのは海上の状況とほぼ同時であった。
いつもなら正常の筈のソナーが急にノイズが入り不具合を起こし始めた。
溝口「艦長、ソナーが」
海江田「何、敵か?」
溝口「いえ。急に強烈なノイズが入り使いものにならなくて…」
それを皮切りに発令所内のモニターや計器類が正常に作動しなくなり始めたのだ。
山中栄治「ど、どうした⁉︎」
それは海上でも同様。
急にレーダー、ソナーの類が不調をきたし、殆ど使えなくなった。
各艦では混乱を招き対応しようと急ぐ中……
美緒「ん?」
美緒は何か違和感を海中の中に感じ右目の眼帯を捲ると魔眼を使って海中を見る。
鮮明には見えなかったが何か二つの巨大な影が海中深くを進んでいるように見えた。
美緒「なっ…なんだあれは……⁉︎」
彼女はこの事を急いで第五護衛群に伝える。
第五護衛群
美緒からの報告を受けると見張り員達が海面を目を凝らして見ていると……
柳「⁉︎」
彼が目にしたのは2つの航跡が艦と艦の間を抜けるように前へ前へと出ているのを見た。
柳「艦橋からCICへ!左舷前方5000に2つの航跡を確認!」
そして次の瞬間、海面が盛り上がったかと思うとそこから信じられないものが現れた。
角松「なっ…⁉︎」
ひな壇を彷彿とさせ、かの大和型戦艦に似た艦橋構造物が現る。次にその周囲を守るように配置された単装砲や3連装の機銃なようなものが飛び出す。そして大和型同様背負い式に配置された三連装砲塔が水面をぶち破って現れた。
だが、それだけではなかった
新波「⁈また何か来るぞ‼︎」
先程とは違い、突起物と共に今度はちゃんとした大和型戦艦の艦橋が現れたかと思うと次に出てきたのは、本来はあり得ない謎の四連装砲、構造物につけられた防護壁付きの銃座らしきもの。そして最後に現れたのは艦首から突き出た巨大なドリルだ。
角松「なっ……なんだ…これは……」
突然現れた二隻の巨大軍艦を前に、一同は言葉を失った。
だがそれを知ってか知らずか一隻から発光信号が送られてくる。
涌井「……発光信号…」
秋津「"我 日本海軍 戦艦…日本武尊…コレヨリ…支援ヲ開始ス"」
新波「日本武尊…⁉︎」
ミーナ「美緒!もしかして…‼︎」
美緒「あれが……‼︎」
芳佳「日本……」
吹雪「海軍………」
日本武尊(?)
艦橋
富森正因「水防壁開け‼︎各部戦闘配置‼︎」
原「長官。本艦及び羅号の浮上、完了しました」
大石「うむ。敵は?」
『はっ!前方七万に敵大編隊を確認!』
大石「よしっ。通信、羅号に通達"これより共に敵を殲滅す"」
「はっ!」
大石(さて、見せてもらおうか……生まれ変わった日本武尊改め、超日本武尊よ……!)
羅号 艦橋基部 球状司令所
入江「"共ニ鮮明ス"…か大石長官も張り切っておりますなぁ」
入江が言うと司令席に座り一体型のサングラスかけた前原が言う。
前原「改装後始めての実戦だからな。長官も気合いが入るさ」
それを聞いて入江も微笑する。しかし直ぐに切り替えて指示を出す。
入江「航海長。面舵一杯!第三戦速‼︎」
「宜候!」
日本武尊を前に羅号が後続してくる。
二隻は船団の最前にでるとほぼ同時に舵を切る。
大石「主砲一番から三番。全門、対空ロ号弾装填」
前原「主砲全門プラズマ弾装填。日本武尊と同時斉射でいくぞ…!」
日本武尊改装後に新たに装備された51cm三連装超電磁砲*1
三基計九門にロ号弾が。
羅号の51cm四連装砲計十二門にはプラズマ弾が装填される。
合計二十一門の51cm砲はゆっくりと左舷は回頭、仰角を固定し指示待つ。
入江「全門用意よしっ‼︎」
富森「長官。いつでも」
両者は深呼吸をして瞼を閉じる。5秒程して二人は動いた。
大石「主砲対空ロ号弾‼︎」
前原「プラズマ弾一斉射撃‼︎」
「「ぅてえぇぇい‼︎」」
直後。辺りに轟音が響くのと同時に放たれた砲弾は敵目掛けて突進。
敵パイロットは敵艦を視認した瞬間に当たりが真っ白な閃光に包まれそのまま己の身に何かが起こったのかも気づかぬまま、強烈かつ凄まじい熱波とプラズマ波の飲まれていった……