バカとその後と恋愛模様!   作:八百六十三円の片道切符

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なにか胸騒ぎがした。その胸騒ぎで明久は目を覚ます。

目に差し込む光がまぶしい


「なんだ、夢か…。」
「吉井、しばかれたいのか?」


ぐでっとした体制のまま上を見上げると鬼の鉄人。
なるほど胸騒ぎがしたわけだ。


僕と自由とお泊りっ

バカテスト

国語

灯台もと暗し、ということわざの意味をかきなさい。

 

姫路瑞希の答え

求めているものが実はすぐ近くにあること。

教師のコメント

正解です。実はよくある話ですよね。

吉井明久の答え

東大も遠くらしい!の間違いだと思います。

教師のコメント

残念でした。そんな訳にはいかないんです。

島田美波の答え

……

教師のコメント

帰国子女の島田さんには難しかったみたいですね。

 

 

 

 

「え?姉さんまた海外に行くの?」

 

学校から帰ってくると、慌ただしく準備をする姉がいて驚く。

 

「はい。一週間ほどで戻ってきますが、一週間もアキくんに会えないのがとても寂しいです。」

ぱあっと明るくなりそうな顔を必至で抑える。

そうでなければ、また殴られてしまう。

「僕もとーっても寂しいよぉしゃあ

!!顎の関節がものすごい方向にねじれて痛いぃぃぃ。」

 

 

僕の正直な心はその喜びを隠しきれなかったみたいだね。

 

「アキくん。姉さんがいないからといって、羽目を外してはいけませんよ。」

勉強をしろ、という意味だろうか。

ちょうどテスト前だし、試召戦争のために勉強も少しくらいはしようかな…。

「わかったよ。ちょうどテスト前だしね。」

「それと一日5回かかさず姉さんがいる方角に向けて、礼拝を…」

「なんでそんな宗教じみたことしなきゃなんないのさ!」

イスラム?だっけ。どちらにしても冗談じゃない!

「姉さん愛してます。という言葉を150回繰り返して、最後に投げキッスを…」

「ねぇ、それはもしかして礼拝のやり方⁉︎」キッスという言い方に鳥肌がとまらないよ!

「では出国の便が近いのでそろそろ行ってきます。」

助かった!空港の人に心の底から感謝を捧げる。

「あ、うん!っ手がものすごい衝撃で粉砕されていたぁぁい!」

「アキくん。愛する人の出国です。キスの一つでもするのが常識でしょう?」

「姉さんの常識は、世間の非常識なんだけど…」

「とりあえず行ってきますね。アキくん」といって口を近づけてくる。

そんな姉さんを無理矢理ドアの外に押し出して、ほっと一息つく。

やっぱり思うことは…

 

 

「ひゃふぅぅ!!」早速雄二たちを呼んでゲームでもしようかな。

ケータイをひらいて、っと

 

雄二と秀吉とムッツリーニに…7時に

来てね、メール送信っと。

 

折角みんなが来るんだし、料理の一つでもしておこう。そう考えて、急ピッチで作業にとりかかる。

 

なにがいいかな?

やっぱりみんなが来るなら鍋…

 

 

うん。やめておこうトラウマが蘇る。

 

豚肉がたくさんあることだし、生姜焼きにでもして、それと、お湯でさっとあさりの砂だしして、あさりの味噌汁にでもしよう。

その後にマカロニを茹でて、サラダに…

 

手早く漬け込みだれを作り、ごま油でたまねぎから炒め始める。その後で上から豚肉を炒め、しばらくして上から薄力粉をまぶしてやる。そうすると、肉の旨みと柔らかさを出すことができる。肉の色が8割方変わったあとから、追いだれをいれて、絡める。

それをしながら、酒と醤油を少し加え混ぜた水にあさりを入れて煮たたせてやる。あさりが開いたら出すことがポイントだ。

そうして、最後に味噌をといていく。そして青ネギを散らす。そうすると、これまたとてもおいしい。

レシピどおり忠実に、それから応用を効かせて新しいことも。勉強もこれくらい段階を踏んで上手くなったらいいのに。

 

そこまでやった時、玄関のチャイムが鳴る。

雄二たちが来たのかな。

「お。秀吉にムッツリーニ!上がってよ。」

「…お邪魔する。」

「失礼するのじゃ。にしても明久。あのメールはなんじゃ。」

「え?」

「…少し引いた。」

そう言われて、ケータイを開いてメールを確認する。

そんな変なメール送ったかなぁ。

 

えーっと…

 

今日は姉さんがいなくなって、一人なんだ。明日は祝日だし、今日僕の家に泊りに来ない?7時にきてね。

あったかいご飯を用意して待ってます。

 

 

 

 

 

あぁ。ごめんね。雄二。やっちゃったみたいだ。

 

 

墓前にはなにを添えよう?死んだら姫路さんの手料理も食べられるよね。(三途の川でも追い打ちをかけてやるっ。)

と、ムッツリーニが。

「…まるで不倫してる若妻。」さっきのメールのことかな?そんなの…

「やめてよ!そのリアルな響き!」

 

なんとか話を変えないと。

「と、とりあえずリビングの方に行こ。」

そう言って2人を促す。

「おぉ。もう料理はできておるのじゃな?」

「あ、あとはマカロニと卵を茹でてきゅうりを…」

「…手伝う。」

「ならワシもやろうかの。」

「あ、うん!助かるよ。」

 

 

そして、そのサラダが完成するころ、雄二がボロボロになってあらわれ、玄関で行き倒れたのは、

お約束なんだけど。

 

「「「「いただきます。」」」」

「お、うまいな!明久。よく漬け込まれてるじゃねぇか。…俺の弱味並みに…」

「じゃな。サラダもパンチがきいててうまいのう。…ワシの姉上並みに…」

「…うまい。あさりの出汁が優しい。…俺並みに。」

 

みんなの最後のコメントは聞かなかったこととして(とくにムッツリーニ)、おいしいといってくれるならそれほど嬉しいことはない。

 

 

食べ終わって、片付けをしながら、

 

「雄二、ムッツリーニ。。いつもの対戦ゲーム出しといてくれないかな?」と声をかける。

「おう、出しといてやるよ。」

「…了解。」雄二やムッツリーニ、秀吉は僕の家の勝手のほとんどを知っているから、こういう時使いやすい。

 

「ワシは明久を手伝おうかの。」

「ほんと?ありがと!秀吉。愛してる。」

「最後の言葉に深い意味はないと思っておくのじゃ…。」

 

そうして片付けを終えて、ゲームにとりかかる。

 

~3時間後~

 

ゲームで疲れた僕たちは、リビングで倒れるように寝ていた。

僕は、はっと目が覚めたから、起き上がって、ケータイで時間を確認する。

1時半だった。携帯をよく見ると電話通知が何件もたまっていた。

 

 

「姉さんかな。」そう思って確認すると、そこには

 

 

 

 

島田美波

 

の文字があった。

 

これだけ電話がかかってくるということは、なにかあったのかな、とすぐに電話を折り返す。すると、すぐに繋がって、美波の声がした。

「アキ!ちょっと急だけど家にいれてくれない?」

「え、えーっ!どうしたのさ美波。」

「うちの親が急に出張に行くことになっちゃって、それで葉月もうちも鍵忘れてきちゃって家に入れないの。」

「えぇ!いつからそこに?」

「10時くらいよ。瑞希にかけても出ないし、アキや坂本たちにかけても出ないから…」

計算すると3時間半近くも外にいることになる。それにこんな時期だ。風邪を引いてしまうかもしれない。

「とりあえず僕の家に来なよ。危ないから今から美波の家まで行くよ。」

「ほんと!?ごめんね。アキ。」

霧島さんとの愛の闘争をして、ぐったりとした雄二や、

可愛い寝顔の秀吉、

写真を優遇してくれるムッツリーニを起こすのはしのびない。

 

焦って一人で、玄関を飛び出す。

大変なことになった。

 

美波の家まで走って、とばす。僕と美波の家は少し離れている。

美波はともかく葉月ちゃんをこの寒い中に少しでも置いておくのはかわいそうだ。

 

そして、美波の家につく。

「美波!」

「あ、アキ!良かったー…」と少し安心した顔になる。

「葉月ちゃんは大丈夫?」

「えぇ。今は寝てるから…」

「と、とにかく。僕の家に行こう。今ちょうど、姉さんがいないから大丈夫。」

「え?あ、あ、玲さんいないの?」

「うん。」

「そ、そうなんだ。」なぜか美波が頬を赤く染めている。

雄二たちがいるから美波と葉月ちゃんと3人きりという訳でもないのに。

 

 

 

 

 

「とにかく入ってよ。着替えとか…ないよね。姉さんのじゃ色々なところがぶかぶか…関節技が完璧にきまったぁぁぁ。」

「アキ。なんかいった?」

「い、いいえ。」まずい。このままでは痛めつけられてすぐに死ぬか苦しみ抜いた末に死ぬかしか選択肢が残されてない。話を変えないと…

 

「と、ところで美波。お風呂入る?」

「お、おおおお風呂?」

「うん。体冷やすとまずいしね。」これは正論だと思う。こんな真冬の中外にいたのだから、体を温める必要が…

 

 

 

え?覗き?覗きたいという気持ちは半分ぐらいしかない。僕も成長したものだ。

それに、やったら殺されるのが目に見えている。

「あ、ありがと。」

「そしたら僕の部屋に…」

リビングで男どもと秀吉と寝かせる訳にはいかないけど…だめだ!今は新入荷のエロ本が…

でもあれは、壁に壁と全く同じ壁紙を貼ってカモフラージュしてある。たぶんバレないよね?

ほんとは姉さんの部屋を使いたいけど…姉さんの部屋は勝手に入ると、僕が姉さんに発情したと思われて…あらぬ誤解を生んでしまう。

 

 

 

帰ってきた姉さんにコスプレを強要された上にオトナのおもちゃを握らされ、骨が80本くらい折れている吉井アキちゃんが脳裏に浮かぶ。

それだけは避けたい。

「荷物上に置いてきなよ。葉月ちゃんはベッドで寝かせてあげてくれるかな。」

「う、うん。」

その間に一応、風呂を掃除して、お湯を沸かしておこう。

「美波。準備できたから入っていいよ〜。」

「あ、アキ!覗いたら殺すからね。。」

「そんなことしたいけど、したいけど、したい!」

「な、なななにいってんのよ!バカ!」と美波が真っ赤になる。

 

またもや素直に言ってしまった。僕はなんてバカなんだ。

「そ、そんなに覗きたいなら…覗いても…」

な、なにを言ってるんだ、この少女は。

 

はっ。これは罠だ!僕が本当のこと言ったところでとらえられ、ひっぱたかれる。これなら合点がいく。

「そんなことするわけないよ!僕は美波のぺったんこに興味なんてこれっぽっちも、、こ、股間になんともいえない痛烈な衝撃がぁぁ。」

 

この年頃の女の子がそんなことをしていいのだろうか。無くなりゆく意識の中、そう思った。

 

 

 

 

 

はっ、と気がつくと美波が髪を下ろして目の前にいた。髪を下ろした美波を見るのは、強化合宿以来だろうか。

 

にしてもこれどういう状況なの⁉︎

 

「あ、アキ気づいたのね。」赤い顔で美波がいう。

のぼせたのかな。どれくらい入っていたかは、気を失っていてわからないのだけど。

それにしても美波の格好がさっきと同じなのは申し訳無い。

「あ、着替えとってくるね。」姉さんのジャージでいいなら姉さんの部屋のすぐ手前にあったはず。

「本当にごめんね?」

「いいんだよ。」

「はい。これで、いいかな?」姉さんのジャージを差し出す。

「う、うん。」

「と、とりあえず僕の部屋にベッドがあるからそこで寝なよ。葉月ちゃんと2人じゃ狭いかもしれないけど、ごめんね。今日は僕は下で寝るからさ。」

「ごめんね?ほんとごめん。それと、ありがと。」

そういって美波が階段を上って行く。それを見送って、僕はもう一度意識を失った。

 

言えることは一つだけ…

 

 

 

 

股間だけはやめて欲しかったなぁ。

 

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