「あぁ、おはよう。で、ひとつ整理したいんだが…なんで翔子はここにいるんだ?」
「親切な人が入れてくれた。」
明久のやろうっ!!明久以外に誰がいるというのか。
「明久!てめー!」
「なんだよ、雄二…僕は今礼拝が忙しい…」
「そんなのはいいっ!翔子呼んだのお前だろ!」
いつものような口喧嘩をスタートする2人を遮るように横から元気な声で、
「葉月、行ってくるです!!」
と声がする。
それにはみんなで「いってらっしゃい!」と言って送り出す。
葉月ちゃんが行ったあと美波がキッチンの方から
「ほら、あんたたちも早く準備しなさいっ!弁当は作ってあるから。」なんて言う。
「なぁ、明久。すごいことになってんなお前の家。」
「…あはは。」
バカテスト
日本史
豊臣秀吉が、北条氏直を小田原に攻め、同時に伊達家共々降伏させ、事実上の天下統一を成し遂げた小田原の役は、何年におこったものか。
霧島翔子の答え
1590年
教師のコメント
正解です。これで、戦国時代を終わりに導きました。彼は関白を息子に譲ったため、太閤とも呼ばれましたね。
坂本雄二の答え
1972年
教師のコメント
田中角栄が総理大臣になった年です。彼は、平成の今太閤と呼ばれましたが、そんな話はしているわけではありません。
土屋康太の答え
2025年
教師のコメント
土屋君が天下統一するのを期待してます。
霧島さんがきて、さらにすごい状況になっていた我が家での
騒がしい朝を終えて、学校へむかう。教室について、すんなりと席に座る。
いつもなら、黒ずくめのバカに襲われるのに、今日はなぜか襲われなかった。
「変だね。」
「あぁ。おかしい。誰も襲って来ないなんて…」
「おはようじゃ、明久、雄二。って…なにか考え事をしておるのかの?」
「あぁ秀吉!今日も麗しいっ!!」
「バカはおいておいてだな。今日は珍しくバカが襲って来ないからなにか裏があるんじゃねぇか、と思ってな。」バカとはなんだっ!こう見えても僕は二等辺三角形レベルなら計算できる!
「たしかにそうじゃの。」秀吉が雄二に相槌をうつ。
「…今日はなにもない朝。」
「お、ムッツリーニ。きてたのか。」
ムッツリーニが襲って来ないということは、今日は本当に大丈夫らしい。
「お前ら。そんなとこで固まって気持ち悪いぞ。」
この声は須川くんか。
「どうしよう、雄二。須川くんに言われちゃったよ。」
「気にするな。奴は、恋愛講座DVDをとれるレベルだからな。」
ちょっと間があって、
「ぷっ…ははは!」
「…あのDVDは傑作だった。」
「たしかに…あれは…ぷふっ!」
ムッツリーニの家で見せられたあれは反則だった。
「みなさん!おはようございます。って…あれ?」
「どうしたの姫路さん?」
「坂本くんに手錠がされてないのが珍しいな、と思って。」
「俺はどこの死刑囚だっ!」
「最近の雄二は、手錠をファションだと思ってるよね、もはや。」
「そうじゃの。普段着に合わせるイメージかの。」
「そんなわけがないだろっ!!手錠は普段着の一部でもファッションでもねぇ!!」
まだまだ雄二は素直じゃない。
本当になにごともなく、時間が過ぎていって、午前の授業が終わる。
毎日こうだと助かるんだけど…
「飯食おうぜー。」
雄二が声をかけて、いつものメンバーで席を囲む。
今日はちゃんと作った、とか美波が言ってたから大丈夫だと…やばい!またもや全く考えてなかった。
美波が作った以上、全く同じであろう弁当を見たら今度こそ異端審問会が動きはじめるかも…
などと考えていると、
「やっほー!ムッツリーニくん。遊びに来ちゃったぁ。」
「…雄二。一緒に食べたい。」
「代表!あたしは出来たら来たくなかったんだけど…」
「吉井くん。久しぶりだね!」
見ると、そこにはAクラスの面々が遊びに来ていたようだ。
あと、なんで久保君は、僕にだけ挨拶したの?
背筋が凍りついた。
そうやって、みんなが大きな輪になってご飯を食べ始める。
「お!ムッツリーニくん。これ美味しそうだね!」
「…今日は自分で作った。」
「もらっていい?」
「…構わない。」
「うん!野菜がシャキッとおいしいね。さすがだよ!」
くそっ!僕が大ピンチの時に、ムッツリーニの野郎っ!
美波の方を見やると、普通にご飯を食べ始めていた。
美波も少しは弁当の中身のことを考えて欲しいんだけど…
「姉上のせいで、また白滝じゃ…」
「仕方ないでしょう?折れた肘と白滝どっちがいいかしら?」
「白滝は大好物なのじゃ!!」双子の木下姉妹はとにかく麗しい。
今はそんなことより…
目の前の状況をなんとかしないと!
「あれ?吉井くん。弁当食べないのかい?」久保君が不思議そうに聞いてくる。
「あ、えーっと…」
「食べる気が起こらないなら僕が食べさせて…」
久保君にものすごくきをつかわせてしまっている!こうなったら覚悟を決めて…
ぱかっ
「お、メインは、、これは、なにかな?」
「うん。フリカデレっていうドイツの料理で…」
やばい。まさかフリカデレなんて誰とも被らないものがメインだなんて!晩御飯の残りを使う精神はさすがは美波なんだけど…
「雄二よ。なんじゃこれは?」
「たしか、フリカデレだったかな。」
「「「「「……」」」」」
「吉井くん。なんで、坂本君と全く同じ弁当なんだい…?」
「へ?」そういえば雄二も昨日は泊まったんだったっけ。
「まさかあの噂は本当だったの⁉︎」木下さんが興奮気味に声をあげる。
ねぇ⁉︎なに、なんなの!その噂ってなんなのさっ!!
「「ご、誤解だあああぁ!!」」
男2人の必死の叫びが旧校舎に響き渡った。
そして放課後。
「雄二。今日は災難だったね。」
「全くだ!翔子が俺と自分の分を、島田が明久と自分の分を作って置いてたら、間違えて島田が作ったやつを俺が持って行った…と。」
雄二の言うとおり、なんともバカなミスでまた勘違いが生まれてしまった。
「これで、明日から70%は俺たちが同棲しているという噂を信じるだろうな。」
「どうしてこの学校は、そんなにその辺の考えに寛容なんだろう…」残念ながら、これで明日から公認カップルになってしまったかもしれない。
「明久。少し吐き気が…」
「全くだよ。雄二。もとはといえば貴様が弁当まちがえるからだろっ!」
「なにいいやがるっ!お前が翔子呼ぶからこんなことに…」
「「はぁ…」」
「やめよう。無益すぎるよ。」
「そうだな…。」
「ほら!アキ、坂本。帰るわよ!」
「帰りましょう?」美波と姫路さんがこえをかけてくれた。
その横にはムッツリーニもいる。秀吉は今日は演劇部の練習があるらしい。
そうだね、とりあえず帰ろう。傷ついた心を部屋でいやそう。
「…帰れない。」
「どうしてさ、ムッツリーニ。」
「…奴らが動き始めた。」
「まさか、ムッツリーニ!須川の野郎どもが…」
「「へっへへ!Let's party time!ひゃはぁぁ!!」」
「逃げるぞ!!すまん。島田と姫路!先帰ってくれていいぞ!翔子にもそう伝えてくれ!」雄二が逃げながらそう伝える。
「まさか朝のは、わざと処刑に動かなかったのか!須川くんめ!」
「須川のくせに良く考えてやがるっ!」本当にそのとおりだ。いつもなら朝からやられているところだ。
「…放課後なら止められない。」
「ところで今日はどうしてムッツリーニまで追われてるのさ?」
「工藤か?」
「…認めたくないがそういうこと。」
「工藤さんとなにをしてたらこんなにおわれるのさ?」
「…頼まれて、一緒にお菓子作りをした。」うん。それは僕が追われてる身じゃなかったら抹殺してるよ。
「とにもかくにも、逃げるぞ!」
およそ2時間にも渡る逃走の末、僕が家に帰り着いたのはもう6時だった。