普段と違う美波。
なんとなく美波がどこかに行ってしまうようなそんな感覚。
だから眠れなかった。なにかがひっかかって。
僕と変な感じと慈善活動
バカテスト
数学
以下の数列の一般項を求めなさい。
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55...
姫路瑞希の答え
Fn=1/√5[{(1+√5)/2}^n-{(1-√5)/2}^n]
教師のコメント
正解です。これが黄金比などでも有名なフィボナッチ数列です。有名な隣接三項間での漸化式について等比数列を捉えて、求められますね。少し難しいですがさすがです。
吉井明久の答え
←見える人には見える。
教師のコメント
出ました。吉井くんの得意技ですか。
土屋康太の答え
←心優しい先生なら◯をくれる。
教師のコメント
もはや媚びてくるあたりに成長を感じます。
朝。AM6時。昨日の夜のことを色々と考えていたらほとんど寝られなかった。
今日で、美波たちは家に戻る。
どうせなら朝ごはんと弁当くらいは作って待っておこう。
いつもの手際だからさらさらと作ることができる。朝はほとんど詰めるだけでいいように、用意しておくのだ。
玉子焼きとソーセージを焼いて、弁当につめて、あとはほうれん草とコーンのバター炒め、惣菜で安く売っていたコロッケ、それにポテトサラダ。
弁当はすんなりと埋まってくれた。
美波と僕の分。葉月ちゃんは、給食だから弁当はいらないらしい。
朝ごはんは、食パンの耳をとってしまって、サンドイッチにしよう。
そして全ての作業をこなしてしまって、身だしなみを整えたりしていた時、美波と葉月ちゃんがやってきた。
「おはようですっ!バカなお兄ちゃん!」
「おはよう。アキ。珍しく早いのね。」
「おはよー!そうだね…なんか寝られなくて。」美波にも、いつもと変わったところは見られない。
「早起きなのはいいことよ。」
そうかもしれない。こうやって、人のために準備できたのだから。
「とりあえず朝ごはんとお弁当用意しておいたよ。」もう片付けまで済んでしまった。
「アキ、熱でもあるのかしら?」
「失礼な!僕だってやる時はやるんだよ!」
「バカなお兄ちゃんありがとうですっ!」朝からバカを連呼されると純粋に身に応えるんだけど?
「アキ、とっとと行くわよ?」朝ごはんも食べ終わってみんな準備万端だ。
「うん!」
「この一週間ほんとーにありがとうね。」
「いいよ!そんな気にしないでよ。」
今さら、なにを気を遣うんだろう。
「アキに言ったんじゃなくて、この家に言ったのよ。」
ぐぅ…。舌の根も乾かぬうちに!
ちょっとでもいいように、考えていた僕がばからしいっ!
「そんなこと言うんだったら僕にも考えがあるよ!」本当はないんだけど。
「なによそれ?」
待て…冷静に。冷静に考えよう。
…
「毎日美波の家のポストに落ち葉を詰める。」
「地味ね。」
いっ…一生懸命考えたのに!!
「弁当を返せ!僕の気持ちがたっぷりこもった弁当を返せ!」
「そうね。あんたの気持ちだけ返そうかしら?」
なんかいつも以上に毒舌な気がするのは気のせいだろうか。
一年生の時のような…
「美波。知ってるか知らないけど、僕実は…」
「わりと梅干し好き、とか言うんでしょ?」
なんでばれたっ!
「図星なのね…。」
「そんなことない!僕は赤くて、酸っぱくてご飯に良く合うだなんて考えてない!」
そんな言い争い(一方的な言葉攻め)を演じてていると学校にたどり着く頃には
僕は
「僕だって!僕だってぇぇ!!」
壊れていた。
とにかく校舎に入ろうと、
下駄箱を開ける。
すると、一枚の紙がぴらりと。まさか、ラブレター??
はっ。この展開はっ!
「すいませんでしたぁっ!」
「なに謝ってるのよ?」
「明久。またなんかやったのか?」
僕の悪友雄二が後ろから声をかけてくる。
「なんか僕の下駄箱にラブレターらしき紙が…」
「あんたの下駄箱に手紙が入っててなんでウチが怒るのよ。」
え?僕が身につけた反射的に、全身防御の体制が意味がないなんて。
やっぱりちょっとおかしい…かも?
「お前…これ。」
「どうしたのさ雄二?」
「開けたら消しかすが入ってたぞ。」
「なんて陰湿な!!」純情な僕の心を弄んだのは誰⁉︎
「やっぱりね。アキにラブレター出す人なんていないわよ。」
ぐぅ…。
3人で話しながら教室の扉を開けると、
「「「異端審問…」」」
ピシャッ!
僕は彼らとは関係がないんだ。そう彼らは、夕方の推理アニメの犯人役ども。僕にはなんのっ!関係もないっ!
「明久。現実から目を背けるな。あれがFクラスだ。」
「僕の罪状はなに?」
「それはもう昨日まで数え切れないほど犯してきただろ。」
さすがに女の子と一緒に生活することが奴らの標的になることくらい分かっている。
こうなったら…
「雄二。僕たち友達だよね?」道連れにするしかない。
「はじめまして、だな。吉井くん。」
雄二のやろうっ!薄情すぎる。
「テスト前なのに相変わらずバカね。。」美波があきれている。
「おはようございます、皆さん。」後ろから姫路さんが声をかけてきた。
「おはよう、姫路。突然だが…明久はクッキーが食べたいらしい…」
「雄二っ!貴様という奴は…」
こうなったら教室を開けて、霧島さんとのいちゃいちゃ話を披露してやるっ!
雄二が手錠つけられて、玄関に結ばれてた話とか
雄二が首輪を外そうとしてるところを見つかって、首輪がメタリックに進化した話とか
雄二のご飯はドックフードだった話とか…
だめだっ!ただのペットだ。
そんなことを考えていると姫路さんが、
「ちょうど良かった。昨日の夜お家でマドレーヌを焼いて…」
「雄二、マドレーヌ大好きだったよね?僕は苦手だけど!!」
「食わず嫌いは良くないぞ。明久。俺も昨日たらふく甘いもの食べたからここは明久に…」
「瑞希。ひとつもらえるかしら?」
美波⁉︎死にたいの?
「み、美波。それは…」
「なによ。」といいつつ、美波が化学物質(なんらかの反応を起こしている)を口に含む。
「これは、辛くて、とろけるというか、溶ける感じで…」
大切な仲間を1人失った。
「島田…お前はほんとによくやった!!」
「おはようじゃ!ってみな、教室の前でなにを…」
「…おはよう。」
振り返るといつものメンバーが集まっていた。
「はい。みなさんにマドレーヌを…」
「第49回!!」
「大切な今後の人生争奪杯!」
「「「いぇーー!!」」」
「今回はマドレーヌをちゃんと4つ焼いて…」
なんだと⁉︎ということは僕らの死はまぬがれないじゃないか!!
すると、扉があいて、須川くんが
「吉井。坂本。ムッツリーニ。すいません。異端審問会という…」
無視されて、腰が低くなったらしい。
「姫路さんが須川くんのためにマドレーヌ焼いたらしいよ?」
「「なんだと⁉︎」」
「待て。落ち着け!落ち着くんだ。姫路が俺にマドレーヌを焼くなんてそんなこと…日常生活並のことじゃないか。」
もしそうだったら、須川亮という名前のほられた石が向かいのあの山に建てられているだろう。
「お前ら!こんなとこで固まってなにをしてるんだ。」
鉄人の声がして、全員なにごともなかったかのように席に着いて、出席がとられ始める。
「朝倉」
「はい!須川死ね。」
「有働」
「へーい。須川殺す。」
こんな出席をとる度に悪口しか出ないなんて須川くんが可哀想だ。
しかも、
どちらにしろ命がないから。
「吉井。」
「はい。須川くん惨たらしく死ねっ」
「吉井。あとで職員室に来い。」
「なんで僕だけっ⁉︎」
なぜか1人職員室でこってり絞られた。
「「2人1組でゴミ拾い⁉︎」」
「そうだ。今日は、地域貢献の一環として、ゴミ拾いに参加してもらう。大量に拾えた人には、ご褒美があるらしいぞ。」
「なんで2人1組なんですか?」僕が鉄人に聞く。
「吉井。あとで、職員室に…」
「聞いただけなのに⁉︎」
「冗談だ。それに関しては、あまりにバラバラに行動されて、帰ってこなかったりしたら困るかららしい。」
冗談で、そんなことを言わないで欲しい。
「鉄人。テスト前なのに、なんで地域貢献なんかするんすか?」雄二が聞く。実際その通りだ。
「地域貢献するのは、お前たちFクラスだけだ。」
Fクラスの扱いに大きな疑問を感じた。
「そのペアだが、、、勝手に決めてくれていいそうだ。じゃあ9時半には校門前にペアを作って集合してくれ。」
となると、やっぱりいつものメンバーと…
「明久くん。一緒にやりませんか?」
「うん!いいよー。」姫路さんとなら…待てよ。この展開バカと美波に関節へしおられるパターン!
「ごめんなさい!」とにかく美波に謝ろう。異端審問会は美波に、遠慮している(びびっている)から先にこっちだ。
「なんで謝ってるのよ?瑞希といってきなさいよ。」
「え?…あ、うん。」
「せいぜい頑張りなさいっ!」美波が大きな笑顔を咲かせて僕に言う。
そんな顔で言われたら、ゴミ拾いも頑張ろう、と思える。
「そだね!任せておいてよ。」
「美波ちゃん…?」
「どうしたのよ?」
「いえ!その…ほんとに行きますよ?」
「えぇ。頑張りなさいよ!その…色々と、ね。」
「…。はいっ!」
姫路さんと美波がなにやら話をしている。
姫路さんは少し、怪訝な顔をしていた。
「じゃあ俺はムッツリーニと行くかな。」
「島田は秀吉と行けばいい。」
その選択は、正解だろう。
なぜならムッツリーニは、女子といったら死んでしまうだろうし、ね。
秀吉を男が奪ったら僕らのクラスは、確実に暴動が起きる。
「くそぉ!アキちゃんを誘おうと思ってたのに…」
「姫路の野郎!!」
「俺のアキちゃん…」
「愛しのアキちゃああーん!」
「アキちゃ…吉井くん!!」
「吉井くん…ダメだよ!これは罠だ。」
みんなもはや姫路さん<<僕の女装なんて、頭がおかしいんじゃないかな?
あと、DクラスとAクラスの人がいた気がするのは気のせいじゃないよね⁉︎
でも、久保くんが言うからには本当なのかもしれない。
「久保くん!それは本当?」
「あぁ!そうだともー」
「明久が死地に赴いた。」
「明久よ。お主の墓はしっかり立てるのじゃ。」
「…楽しかった。」
なんで、みんな僕を死者扱いするの⁉︎
でも、久保くんは、今回の慈善活動には参加しないし、
なにより断って、姫路さんを悲しませたくない。
「ごめん!久保くん。これが罠でも僕は行くよ!」
「吉井くんが決めたなら仕方ないね。僕がFクラスなら良かったんだけど…」
「そうだね。でも久保くんがFクラスになれるわけないよ!」
学校でも1.2を争う秀才だし、なんせ常識人だ。
「君が望むなら…いや、なんでもない。」
「じゃあ、授業頑張ってね!」
「うん。」
「明久よ、前も申したが、相談はワシか島田にしていただけると相談に乗れると思うぞい。」
秀吉はなにを言ってるんだろう。
「とにかく、体操服に着替えて校門前に集合だ。」雄二がクラス代表らしく声をあげる。
それにしたがって、みんなが更衣室に…
「なにやってるの?秀吉。」
「なにをやってるも、普通に男子更衣室に…」
「秀吉、なにを言ってるのさ!秀吉の更衣室は…」
「ワシはお主らと着替えるのじゃ!」
ぷしゃあぁぁ!
鼻血で廊下が赤に染まる。ムッツリーニの血液摂取は早めにしないといけない。
「木下くん!明久くんと着替えるなんて許せません!それなら私が…」
姫路さんとんでもないことを言ってることに気づいてる⁉︎
「木下。バカとバカやってないで、早くこっち来なさい。」
「お主ら…ワシと着替えることに違和感は感じぬのか!そんなこと言ってたらワシとて男じゃ!お主らを襲うやもしれぬぞ?」
秀吉なんてことを言うんだ!そんなの…
ぷしゃああああ。
ムッツリーニが僕の気持ちを赤い噴水で代弁してくれた。
「…ゆ、百合…」ばたっ。
早いとこムッツリーニをポケモンセンターに連れて行かねばならない。さすがに血液パックが足りない。
「木下くんの抜群のプロポーションが、見れるなんて嬉しいです。参考にしようと思ってたんです。」
「そうね。木下と胸の大きさ比べしないと、って思ってたのよ。」
「もう生きていく自信がないのじゃ…」
「大丈夫だぞ。秀吉。ほれ。」見ると、ここ文月学園のどの箇所にも存在し、もはや定番となった秀吉部屋があった。
「もうこのやり取りは疲れたのじゃ…」
ならば、いい加減諦めればいいのに。
校門につくと、鉄人が待っていて、その場で解散となって、各々街に出て行く。
範囲は、鉄人が、配った地図に書いてあって、街の少し外れの郊外までだ。
「明久くん行きますよ?」
「うん!」
2人組とはいえ、ここはやっぱりみんなが行くところを聞いておこう。
「雄二たちはどのあたり行くの?」
「そうだな。公園のあたりでサボってやろうと思ってるが…」
さすがは雄二だ。
「でも、なんで公園?」
「街の中心の方は見回りの先生がいるかもしれねぇーしな。」
なるほど。雄二らしく用意周到で、しっかりと考えられている。
「…公園なら撮影もできる。」
「ムッツリーニ。ほどほどにしないと怒らえるよ?(犬の散歩をしてる若妻を頼む。)」
「…万に一つも油断はない。(任せておけ。)」
「お主らも懲りぬのう…。」
「美波と秀吉は、どうするのさ?」
華やかな女子2人組が行くところは是非とも聞いておきたい。
「どうする?木下。カフェでケーキでも食べる?駅前の店新作出たんだって!」
「お主もなかなかにFクラスじゃのう…しかも男とカフェなど、で、でーと…」
「あんたも女の子なんだから、少しくらい気になるでしょ?」
「じゃから、ワシは男じゃと…とはいえ新作と言われれば、気にならぬこともないのじゃがな。」
なにやらため息をついてる秀吉は今日も女の子らしくて、可愛い。
「で、アキたちはどこにいくのよ?」
「えーと…とりあえずはみんなについて行こうと…」
「私たちは、あっちの方に行きますよ?」
姫路さんが指さした方向には、大量の民家。
本気で掃除するつもりらしい。
「おう、頑張れよ!」
くそぉ…他人事だと思って…。
最初はみんなと一緒に行けばいい、と思っていたのに、すぐに姫路さんはどんどん道はずれにそれていって、ゴミを拾うでもなく僕に、
「明久くん!せっかく2人きりになれるのにどうして…」顔を真っ赤にして、なにやら怒っているようにも見える。そんなにゴミ拾いがしたかったのだろうか。
「えっーと…やっぱりみんなと一緒の方がいいかな、って。」
「やっぱり明久くんは何も分かってません…!」
「ごめんなさいっ!姫路さんがそんなにゴミ拾い熱心だったなんて思わなくて…」
「はぁ。やっぱり明久くんは明久なくんですね…」姫路さんががっかりしたような安心したような顔をした。
「でもこの辺にゴミなんかあんまりないような…はっ!姫路さんもしかして賞品が欲しくて、そんなに張り切ってるの?」
「そうですね。…そうかも知れません!」姫路さんが笑顔になった。とりあえずは怒ってないみたいで一安心だ。
「姫路さん。そんなに焦ってもしょぅないよ。あいつらがゴミ拾いなんか早々しないと思うよ?」
「そうですよね。焦っても仕方ないですよね。いつか、もう一度ちゃんと…。ではみなさん何をするんですか?」
すると、ちょうど目の前に福村くんと原田くんがゴミ置き場にいるのが見えた。
「おい!福村。エロ本だ!!」
「こ、これは…!(自主規制)が(自主規制)を(自主規制)している伝説の…。お手柄だ!やるじゃないか、原田!」
「まぁあーいうことだよ。」
「あはは…」姫路さんが苦笑いしている。とにかく僕がすべきことは…
「福村君!是非とも僕にも…」
「吉井!そうなんだ!お宝を発見してな!…」
「その逸品を僕にも見せてくれない?」
「あぁ!お宝は共有しないとな。実は…って、お前、パートナーは?」
「ん?僕のパートナーは、ひめっ…」
「明久くんに、福村くんに、原田くん。なにをしているんですか?とくに明久くん。」
「待て!俺は関係ない!吉井が勝手に食いついて…」くっ!突然仲間を売るなんてさすがはFクラスだ。
「反省して、早くそれを置いてくれますか?」姫路さんの目が死んでる!
「くっ…仕方ない。ここは、俺と吉
井は犠牲になるから福村は逃げるんだ。こいつを持って。」
「まかせろ!あとで…」
「そうはさせません!!」
ビリっ(お宝が破られる音)
シュタッ(福村くんと原田くんが逃げ出す音)
ゴツッ(僕が地面にあたまをたたき付ける音)
「明久くん、あれはなにですか?」
「あれは、聖書…ゴミです!」
「元のところに戻して、早く次に行きますよ?」
元のところに戻す…って、もう原型がないじゃないか!
僕の集中力を持ってしても、復元に一週間はかかる。待てよ?復元できるじゃないか!
「復元しようなんて思ってませんよね?」
なんで読まれたの⁉︎
「はい…。一週間もあれば復元できるなんてこれっぽっちも…」
びりっ。ぼきっ。
僕の背骨と
僕たちのお宝は目の前でチリとなった。