バカとその後と恋愛模様!   作:八百六十三円の片道切符

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「ねぇ、雄二!これは…。」
「あぁ。ちげーねー。これが例の…」

「…待て。こういう時は、下からいけば…」


「「その手があったか!」」




「うぉぉ!!見え…!見え……ない。」




残念ながら、テレビを下から覗き込んでも、パンツは見えないらしい。



バカと川と魚釣り

バカテスト

 

「お目が高い」を使って文章を作成しなさい。

 

姫路瑞希の答え

この商品を選ぶとはさすがにお目が高いですね。

 

教師のコメント

問題ないですね。ものの良し悪しが分かるといった意味です。

 

吉井明久の答え

身長が高い人っておめめも高いよねー。

 

教師のコメント

女子高生目線の話をしているわけではありません。

 

土屋康太の答え

Ω!Ω!Ω高いよおおおお!!

 

教師のコメント

あとで職員室でゆっくりお茶でもどうですか?

 

 

 

 

「こんなことばっかりしてても仕方ねえか…。」

「これじゃあ逆にストレスが溜まるじゃないか!」

「…分かってない。見えるか見えないかが一番いい。」

今日は土曜日。つい数日前に雄二が高らかに戦争を行うとクラスメイトに告げたばかり。そんな中、雄二の提案で試召戦争前の息抜きとして久々に集まったのである。

とはいってもまだ宣戦布告はしていないのであるが。なんでもこのタイミングで宣戦布告をして準備なんかされたら敵わないから、前日に行うらしい。

 

「外で元気に遊ぶのもありかもしれないのう。」

秀吉が窓の外の暮れかけた空を見ながら呟く。こうして考えると、なんだか一日を無駄に使ったような気もする。

 

そんな様子を雄二は、思案顔になってそれから口角をにっとつりあげて

 

「なら、明日釣りでも行かねーか?」

 

「「「釣り?」」」

驚きの誘いであった。

 

 

「そうだ。翔子と2人で行く予定になっていたんだが、2人だとさすがにつまらんだろ。」これぞチャンスとばかりに目を強く希望に光らせて雄二は3人に向き直る。

 

本当は別に理由があるのだ。雄二としてはどうしても2人きりというのは避けておきたかった。

もし2人きりで行こうものなら川に沈められるか、釣り針でさされるにちがいない。例えるならばこの3人はまさに救世主。雄二自身は命を助けてくれ、とひたすら乞い願う獄人。これが本当の理由。

 

 

 

「ほう。面白そうじゃの。じゃが、ワシは釣りなどしたことないぞい。」雄二は秀吉が食いついたこの言葉を聞いて、水を得た魚のように、甘い誘い文句を連ねて行く。

 

「まぁそんなに難しく考えるもんでもない。初心者でも簡単だ。」

 

「…どこでやるの?」

「近くの川だ。聞くところによると、結構釣れるらしい。」近く、というのと、釣れる、というのを極力強調する。

 

「なら、美波とか姫路さんも誘ってみよっか?」

一方で、明久としてもこれは好機であった。美波をさりげなく一緒に遊ぼうと誘うことができるから。なぜかとっても乗り気になっている雄二も、

 

「おう。それもそうだな。」

 

明日の予定が決まった。

 

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「ひでよしー、あんた携帯なってるわよ?」

ソファの上で決して手に持っている本を手放さないまま容姿、顔立ちがほぼ同じ実の双子の姉、優子が教えてくれる。

誰かからメールでも来たらしい。

「すまぬ。とってもらえぬかのう、姉上。」

「いーわよ。ほれ。」

そういうといつもは断じて動かぬ、もしくは綺麗な足をだらしなーく伸ばして足先で投げるように渡してくるような姉が今日に限ってはどういうわけか、しっかりと本を置いて両手で丁寧に渡してくる。

「…。なんじゃ、怖いぞ。姉上。」

「なによ。ありがたく受け取りなさい。さもないと…」指をパキパキと綺麗な顔をゆがませる姉に、ため息ひとつついていつものことというように、

「冗談じゃ。ありがとうなのじゃ。」、と。

にしても不自然なほど姉の機嫌が良いので、聞いてみる。

「そんなに釣りが楽しみなのかのう?」

「はぁ?んなわけないでしょ。むしろ嫌なぐらいよ。」

 

あからさまに機嫌が悪くなった姉。よほどプライドにでも触れたのだろう。じゃあなにが姉の機嫌の良さを生み出しているのか気になるのではあるが、これ以上聞くのもいかがなものか、とためらっていると姉が自ら恍惚といった表情で語り出す。

 

「だって吉井くんを見れるんだもの。」

「なっ…」

予想外の一言だった。少し気を奪われたのち、はっと立ち戻って姉に告げる。

「明久には島田が…」

「知ってるわよ。それが見たいのよ!」

もうわけがわからない。

「出来たてカップルのこう…きゅんって感じ?それが見たいの!付き合ってるんでしょ2人。」

「…。」

改めて言われるその言葉に、自分とは関係ないと思いながらもうつむいてしまう。

美波が明久と好き同士であるという、その事実を。

「どうしたのよ、秀吉。」

「な、なにもないのじゃ。なにも。あと、たぶんまだ付き合ってはないと思うぞい。」苦し紛れではあるがぎりぎり言葉を紡いで言い返す。

 

「あ、そうなんだ…。まぁそれはそれで見てて面白そうかなー。」

「ワシは先に上に上がっておくぞい?」考えれば考えるほどなんというかいたたまれなくなって、その場を立ち去る。

 

「あ、うん。お風呂沸いたら言うわね。」なんて言葉を背中で受けておいて。

 

リビングの入口の扉を閉めて2階への階段をつかつかと上がっていきつつ、そういえばと思い出したように携帯を開いてメールを確認する。するとそこには、

 

From 島田美波

 

木下、明日行くんでしょ。待ち合わせてから行く?10時にはいつものところで!

 

 

本当になにをどうしたらいいか分からなくなる。

 

はがゆさに唇を噛む。

とりあえず、了解とだけでも返しておかなければなるまい。そうは思うのだが。リビングよりも一段二段は肌寒い階段の空気の中、指先は思う通りに動いてはくれなかった。

 

 

_________________________________

 

 

 

「…工藤?」

「な、なんでもないよ!明日だよね。うん行く。」

返ってくる言葉が少したどたどしいから、

「…なんなら迎えに行こうか?」と余計な言葉まで付け足してみる。

「ふーん…そんなにボクの下着がみたいんだ。いーよ、ムッツリーニくんになら。」

康太自身が仕向けた言葉の端に、逆転のきっかけでも見つけたのか、電話越しにいつもの挑発が始まる。

「…お前の下着になど興味などないっ!で、どっちなんだ。」このパターンはもう何千何万回とやられてきた。おかげで耐性のようなものが出来て最近は前よりも耐えられるようになってはいる。

 

「ちぇー。つまんないの。じゃあお願いしよっかな。」

「…分かった。10時には行く。」

「うん。遅れたら、罰ゲーム♥︎だからね!」死んでも遅れないようにしよう。遅れたら出血多量でどうせ死んでしまうから。

 

なんて光景をありありと思い浮かべていると、そこで、電話は切られた。

明日はなんとしても早く起きねばなるまい。

携帯をポケットにしまいこんで後ろを振り返ると、

「お兄ちゃん、ご飯だってさー。」妹である陽向が康太を呼びに来てくれていたらしい。

それは往々に結構なことなのだが。気になることひとつ。

「…分かった。ところで陽向。」

「ん?どうかした?」

「…もしかして聞いてた?」

そう単刀直入に問うと妹は目をあからさまに上方にそらして、さらには体もちょっとこちらとは違う方に向け、ちょっと上ずった声で、

「そ、そ、そんなわけないじゃん!」

どうもそんなわけあるらしい。これで誤魔化せてると思うのだろうか、素晴らしい精神力である。

聞かれたくらいなんともないと思おうとすればそうも思えるのだが、やはり恥ずかしくなって、言い訳に走る。

 

「…これは罰ゲーム。」

「へー、そうなんだ、へー。」陽向はにやにやと全く信じていない様子。そしてにやにやした顔のまま聞いてくる。

「彼女?」

「…違う。本当に。」こればっかりは嘘でもなんでもないからはっきりと言い切る。

それを聞いて、ふーんといった顔で、

「とにかくご飯だって、康太くん。」

 

完全にバカにされているらしい。

 

 

 

それと同じ頃、悩みまくっている女子1人。 工藤愛子は部屋中をひっくり返していた。

さっきまでは久々に電話できたことが嬉しくて逆に、

「変なこと喋ってないよね?」とか「迎えに行く、だって!!」とかはしゃいでいたのであるが。

今はそんな状況とは一転。

 

 

 

「どれがいーかなぁ…。」

今まで着ていったことがなくて可愛い服。それをずっと探しているのだが、さっきからしっくりくるものがないのだ。今から買いに行けるものでもないので、なんとか見つけるしかない。

 

小一時間さがしたあと、

「ない!」結論は出た。どうにもないらしい。 愛子はどちらかというと服を買う事とかが好きで、周りの子たちと比べても結構な数持っている方だと思っている。だからこそ探せば見つかると思ったのであるが。

 

見つからなかったこと自体は残念なことであるのだが、それは逆に考えるとそれだけみんなと、とくに灰の髪の男の子と一緒に過ごした時間が長いということにもなるかもしれない。

転校してきた愛子にとってはそれは思わず「ははっ」と微笑んでしまうくらい嬉しいことであった。

 

ないものは仕方ない。どうせならと、少しお高い服を引っ張り出してきて、それに決めて、もう迷わないぞとばかりしっかりと服の収納棚の扉を閉める。

クリスマスイブの時に着たものと同じその服に。そしてそのポケットには小さなアクセサリーをいれておく。

これもクリスマスにもらったもの。愛子の大切な思い出が詰まったプレゼント。だから、こういう時はいつだって持っていくのだ。安心させてくれるから。

 

「もう寝よっかな!あ…お風呂入らなきゃだっけ。」

 

 

_________________________________

 

「あ、明久くん!」

「姫路さん、おはよー。」

待ち合わせたところはいつものところ。しかし、瑞希には予想外のことであった。明久がそんな呼びかけをしてくるとは思っていなかった。

明久は美波が好きだ。なのに他の女の子と2人きりになるなんていいのだろうか。

瑞希にはそこが引っかかって仕方がなかったのだが、当の明久は全く気にしていないように振る舞っているし、実際気にしているようにもみえない。

 

あんなことがあったというのに、ここまで変化がないということに思わずため息がでる。自分でも勇気を出して、切り出したつもりだったから余計に、である。

 

あの日、自分のところに明久はやってきた。手に持っていた箱。きっとプレゼントかなにかだったのだろう。もしかしたら明久は、自分に告白をしようとしていたのかもしれない。だけど、分かっていた。そんな告白はただの嘘にすぎないこと。美波は明久が好き。そして明久も美波が好き。そんなことは、口で聞くよりずっと確かに、2人を見ていたら分かることだった。

 

だから聞きたくなかった。どうしても。もしあのまま、また「好き」という言葉を聞いてしまったら、嘘だとわかってても喜んでしまったかもしれない。認めてしまったかもしれない。

色んな人の色んな気持ちが見えはじめて、考えに考えて、悩みに悩んで、その結果。選んだ瑞希なりの答え。

 

だからこそ、明久にはしっかりしてもらいたいのではあるが。

 

「でさー、メロンパンのチョコの部分が…」ついに思い余って、あいも変わらず話を続けようとする目の前にいる悩みの種の話をさえぎり立ち止まって、

「明久くん、いいんですか?」

「ほっぺたに…ん?なにがさ?」

同じく明久も立ち止まってこちらを見ている。意を決して、

「えっと…その…美波ちゃんがいるのに、私なんかと一緒にいていいんですか?美波ちゃんに怒られても知りませんよ?」

言いたいことをしっかりと伝える。すると、明久は、思っていたような反応とは真反対に、

「…心配ないよ。変に意識しないほーがいいくらい。」

「…。」

ついになにも言葉は出なくなって、

「…気つかわせたならごめん。とにかく、変な気つかわなくていいから、さ。」

そうとだけ言って、明久はまた歩き出す。置いていかれる形になった瑞希も早足で明久を追ってから、なんとなく気まずくなって、

「メロンパンのチョコ…」と呟くと、

「…そう!それでチョコが溶けて…」

 

とりあえずは、これでいいらしい。

 

 

 

「明久のわりには早いな。」

「ごめんね。僕も成長するんだ。」

明久は誇らしげな笑顔を、問うてきた雄二に返す。

本当のところは、瑞希が待ち合わせを早く設定しただけなのであるが。

 

「だそうだぞ。島田。」

「どーせ瑞希に言われて仕方なくしただけに決まってるわよ。アキが1人で起きる?幼稚園の子が1人でお着替えできるよりすごいことよ、それ?」

くそっ!僕だって…僕だって…パジャマぐらい着れるもん!僕のほうが…

 

なんて悲しい言い訳は心になんとか封じ込めて、美波に向き直って話しかける。一言目は大事だ。たとえ相手に罵倒されていようとも…。だから精一杯顔をキリッとさせて話しかける。

 

「おはよう、美波。」

「ふっ。」

笑われた。

 

「…。」

「なによ、ははっ。なんのつもりー?」

楽しんでくれたようだからなんでもよいのだけれど。

 

 

 

そんな明久たちを遠くから見るもの2人。

「にしてもお主も大変じゃのう、姫路。」

「…かないっこないってことは分かるんですけど、少しでもって期待させられちゃうんです。」

「…あやつらの信頼関係は相当なものらしいのう。」

 

そう呟いた目の前、先ほどまでにこやかな雰囲気だった2人は盛大に喧嘩していたのであるが。

 

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