いつも自分がしたいことに一直線で。
それでも誰よりも仲間思いで。
バカテスト
音楽
一般的に合唱に置いて女の人が担う声域を答えなさい。
木下秀吉答え
ソプラノ、アルト
教師のコメント
正解です。演劇で得られた知識でしょうか。木下くんは、どちらの声域なのか先生には判断ができません。
吉井明久の答え
ソ、ソープ、、?
教師のコメント
至急職員室に来なさい。
土屋康太の答え
ソープ!!
教師のコメント
迷いがなくてよろしい。あとで、吉井くんと2人で職員室に…
須川亮の答え
ソープ!!!
教師のコメント
あなたがたは、本当に…。坂本くんを見習って少しはまともに勉強して…
坂本雄二の答え
ソープ嬢!!
教師のコメント
あとでFクラス男子全員で職員室に来なさい。
テスト一週間前直前の休み。天気、晴天。視界良好。
ボクは、買い物をしに、街に出かけよう、と考えていた。前から欲しい録音機があったし、こんな天気だ。出かけないともったいない。そんな気にさせる天気だった。
そうして家から出て、歩いていると、
小柄で、灰色の髪の毛を風に揺らしながら、目の前を、よく知った少年が通りかかる。こちらには気づいていないらしい。
ボクは少し息を吸って、
「はろはろ〜。ムッツリーニ君!こんなとこで会うなんて偶然だね〜。」こえをかけてみた。
「…工藤。」
「なにしてるのカナ?」
「…買い物に行く。」
「へえ。ムッツリーニ君も買い物かぁ。」
「…カメラのレンズ。」
「ボクも似たようなものカナ。新しい録音機買おうかな〜と思って来たんだぁ。」
「…そうか。」
「冷たいなぁ。そんなムッツリーニ君には、チラッ」
「…そんなものに興味は…」そういう彼から血の滝が流れていた。
いつもどおり輸血をしながら思う。この少年との不思議な関係を。
「大丈夫?ムッツリーニ君?」
「…問題ない。いつものこと…」プシャアアアア。
あ、膝の上に頭を乗せていたのがまずかったみたい。
「…これはこれで…本望…」
「ムッツリーニくーんっ!!」
何回も同じことで倒れるなんて、この少年は、ものすごくバカなのかもしれない。
「ね、買い物。どうせなら一緒に行かない?」あ、まだ気を失ったままだったっけ。輸血も手慣れたものだ。吉井くんや坂本くんもプロレベルであったことを思い出す。
「…仕方ない。」
「またそんなこと言って!そんなムッツリーニくんには…」
「…分かった。分かったからもう…」
「えー。しょうがないナァ。」
「…恥ずかしいからやめろ。」!ムッツリーニ君が体裁を気にするなんて…。
「熱でもあるのカナ?」
「…バカにするな。明久じゃない。」ことエロに関しては吉井くんよりひどい、と思うのだけど。
じゃあボクのことを心配して言ってくれたのかな?
こうやって、話していると本当にただのバカなんだけど、その奥では誰よりも仲間のことを考えていて…
「…工藤?」
「あ、うん。なんでもない!さぁいこう?」
「…あぁ。」
そんなことは考えても仕方ないよね。たわいもない話(猥談)をしながら、
しばらく歩いていると…
「…バカの気配!」
「えっ!ムッツリーニくん⁉︎」
「少しかくれてろ。」
あれは、、瑞希と吉井くん?
「…明久か。こうなったら早めに…」
「なにを考えてるのさ。」
「…明久をしとめる。」
え?
なんかとんでもないことを口走ったよね?
「…異端審問会にはかかりたくない。」
遠くから彼らの話が聞こえる。
「はっ!バカの気配!」
「え⁉︎明久くん?」
全く同じやり取りが繰り広げられていた。
「雄二か?ムッツリーニか?それとも須川くん、、」
「明久くん、なにを考えて…」
「獲物をしとめる!異端審問はいやだっ!」
ここにもあそこにもバカがいた。にしても、気配を察知できるなんてバカ同士通ずるものでもあるのカナ。
なんて考えていると、隣でムッツリーニくんは、、、なにをしてるんだろう?
「ムッツリーニくんそれは?」
「…対明久用の秘密兵器。」手元を見ると紙とコンパスを持っていた。ほんとうに刺す気なのだろうか。
「さすがにそれは危ない、というか、、。」
「…俺の命にはかえられない。」
なんという自己中心的意見であろうか。
一方、遠くを見やって、耳をすますと、
「とりあえず対雄二用と対ムッツリーニ用の秘密兵器を用意しておくか。」
やはりバカがいた。
その手には、同じくなにか紙と、杭(鉄製)が握られていた。
その次の瞬間、
吉井くんの頭のすぐ横をコンパスが通過して壁にささる。
と同時にこちら側に、杭が投げられて、同じく壁にささる。
「「ぐはっ。」」2人が全く同時に倒れた。
こちら側の壁を見ると、ムッツリーニくんの女装写真が、
向こう側の壁を見ると、吉井くんの女装写真(通称:アキちゃん)が壁に張り付いていた。
やることも考えることも全く同じ、とは逆にすごい、なんて考えていると…
「あれ?愛子ちゃん?」
「はろはろー。吉井くんとデート?」
「で、で、デートなんてそんな…」
「あ、あ、愛子ちゃんこそ!なにをしてたんですか?」
「えっ…と。パソコンを買おっかなーなんて思って…」録音機なんて余計なことは言わない方がいい気がした。
「あれ?土屋くん?」あっ。
「…たまたま。」
「そ、そうなんだ〜。買いにきたらたまたまムッツリーニくんに会って…」
「そうですか。た•ま•た•ま、ですよね。」瑞希がニコニコし始めた。ボクたちもデートしてると思われたのかな、と思うと少し恥ずかしい。ボクは、いつもは実践派とか言ってるケド、本当はろくに彼氏もいたことがないから全く慣れていないから、こういうことは、、、。
「…偶然の賜物。偶然に偶然が重なっただけ。アクセサリー。」
「それを言うなら、accidentaryかと…。」
「…わざと。」
そこまで偶然を装われると少し傷つくんダケド、、、
「ムッツリーニ!やっぱり君だったんだね。」
「…明久。いつの間にあんな写真を…。」
「ムッツリーニこそ!僕の女装パンチラなんてなんでそんなものを…」
「「人として最低だ!」」
しいていうならどっちも道を外れている、と思うんだケド。
そうやって2人が言い争っていると、遠くの方からこんな声が聞こえてきた。
「…雄二。買い物行くなら言って欲しい。」
「どうせ言わなくてもついてくんだろ。」
「…夫の買い物に付き合うのは、妻として当然のこと。」
「し、翔子!こんなとこで変なこと言うんじゃねぇ…バカの気配っ!」
もう一人のバカが勘付いたらしかった。
「ねぇ。ムッツリーニ。」
「…任せろ。」
「「雄二の野郎!!」」バカ2人が動き始めた。
「…人の幸せは、」
「「絶対許さない!」」
「しにさらせええぇ!妻帯者ぁ!」
そして2人は、坂本くんに、釘を投げつける。
「ごふっ。」坂本くんが倒れる。
よく見ると、壁には結婚届が貼り付けてあった。
「…雄二。嬉しい。」
2人ともやることが的確だなぁ。
こういうやりとりを何度も見てきたけど、本当に面白いしバカだな、と思う。
「雄二。人生の墓場へ帰れ!」
「…帰るべき。」
「それはお前らに言えることじゃねーだろ!ムッツリーニいつの間に工藤とデートするように…」
「そうだよ!ムッツリーニ。言ってくれればいいのに。」やっぱりそんな風に見られてたんだ。そう思うと顔が赤くなってくるのが分かる。
「…デートじゃない。たまたま。偶然の賜物。アクセル全開。」
「それを言うならaccidentaryだと思うが…」つい数分前のことも覚えられてないムッツリーニくんもそうだけど、今ので分かる坂本くんはもっとすごい。
「え?握手デート?」もっとバカがいたかもしれない。
「明久。お前は本当に救えないな。」
「…明久はバカ。アクシデ……」あ、自分も忘れてるんだ。
「とにかく、だ。明久。ムッツリーニ。今日見たことは忘れよう。」
「…了解。」
「そうだね。」
「にしても工藤さんと仲良くやってるね。ムッツリーニ。」
「…たまたま。」
「でも…」
なんて男子の会話にききいっていると…
「…愛子?」
「だ、代表!坂本くんとデートカナ?」
「…そう。いつものこと。」なんだかんだ仲が良く(?)て羨ましい。
坂本くんの告白(?)を思い出すと余計にそう思う。
「…土屋とデート?」
「はいっ!」
「って違うよ!瑞希もなに言ってるのさ!」
「にしても偶然だったねー。」みんなと別れて、家電屋さんの中で小柄な少年に話しかけてみる。
「…バカとの遭遇は、面倒。」
「あはは。」
そんなこといいつつ、本当は大切に思ってることなんて分かってるんだけどね。
思ってることとは逆のことを言うー。
…
ということは、ボクのことも…。
「…見つかった、工藤?」
「えっ。うん。」
そうして2人とも欲しいものを買って、帰り道。
「今日は楽しかったねー。」
なんて軽口を叩いてみる。本当に心から楽しいのだ。バカといるのは。
とくに、今横にいるバカと。
「…疲れた。」
「そっか。残念だなぁ。」
「…俺も…」
「え?なんか言ったぁ?」
「…なにもない。送る。」
本当は聞こえてたけどね。楽しかったならそうちゃんといえばいいのに。
「え?いいの?」
「…仕方が無い。」
全く正直じゃないなぁ、と思う。
「ありがと。そんなムッツリーニくんにはぁ、ご褒美に、ちらっ」
「プシャアアアア!」
「きゃっ!ムッツリーニくん⁉︎」
「…本望っ。」
西からさす夕日が眩しい。この調子なら明日も晴れそうだ。
まだこの気持ちがなんなのかは分からないけど。
この先も色々なことを傍らに立つこの少年としていけば…
いつか
分かるのかな。
でも、今すでに
分かってること一つ。
この少年といると心から楽しい。
この少年もたぶん同じことを思ってくれてる。
ただ
それだけ…
だよね?