バカとその後と恋愛模様!   作:八百六十三円の片道切符

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あの男の子は…。


いつも自分がしたいことに一直線で。
それでも誰よりも仲間思いで。


ボクとバカと小柄な少年

バカテスト

音楽

一般的に合唱に置いて女の人が担う声域を答えなさい。

 

木下秀吉答え

ソプラノ、アルト

 

教師のコメント

正解です。演劇で得られた知識でしょうか。木下くんは、どちらの声域なのか先生には判断ができません。

 

吉井明久の答え

ソ、ソープ、、?

教師のコメント

至急職員室に来なさい。

土屋康太の答え

ソープ!!

教師のコメント

迷いがなくてよろしい。あとで、吉井くんと2人で職員室に…

 

須川亮の答え

ソープ!!!

教師のコメント

あなたがたは、本当に…。坂本くんを見習って少しはまともに勉強して…

坂本雄二の答え

ソープ嬢!!

教師のコメント

あとでFクラス男子全員で職員室に来なさい。

 

 

 

 

テスト一週間前直前の休み。天気、晴天。視界良好。

 

ボクは、買い物をしに、街に出かけよう、と考えていた。前から欲しい録音機があったし、こんな天気だ。出かけないともったいない。そんな気にさせる天気だった。

そうして家から出て、歩いていると、

小柄で、灰色の髪の毛を風に揺らしながら、目の前を、よく知った少年が通りかかる。こちらには気づいていないらしい。

ボクは少し息を吸って、

 

 

「はろはろ〜。ムッツリーニ君!こんなとこで会うなんて偶然だね〜。」こえをかけてみた。

「…工藤。」

「なにしてるのカナ?」

「…買い物に行く。」

「へえ。ムッツリーニ君も買い物かぁ。」

「…カメラのレンズ。」

「ボクも似たようなものカナ。新しい録音機買おうかな〜と思って来たんだぁ。」

「…そうか。」

「冷たいなぁ。そんなムッツリーニ君には、チラッ」

「…そんなものに興味は…」そういう彼から血の滝が流れていた。

いつもどおり輸血をしながら思う。この少年との不思議な関係を。

「大丈夫?ムッツリーニ君?」

「…問題ない。いつものこと…」プシャアアアア。

あ、膝の上に頭を乗せていたのがまずかったみたい。

「…これはこれで…本望…」

「ムッツリーニくーんっ!!」

何回も同じことで倒れるなんて、この少年は、ものすごくバカなのかもしれない。

 

「ね、買い物。どうせなら一緒に行かない?」あ、まだ気を失ったままだったっけ。輸血も手慣れたものだ。吉井くんや坂本くんもプロレベルであったことを思い出す。

「…仕方ない。」

「またそんなこと言って!そんなムッツリーニくんには…」

「…分かった。分かったからもう…」

「えー。しょうがないナァ。」

「…恥ずかしいからやめろ。」!ムッツリーニ君が体裁を気にするなんて…。

 

 

 

 

「熱でもあるのカナ?」

「…バカにするな。明久じゃない。」ことエロに関しては吉井くんよりひどい、と思うのだけど。

じゃあボクのことを心配して言ってくれたのかな?

 

こうやって、話していると本当にただのバカなんだけど、その奥では誰よりも仲間のことを考えていて…

「…工藤?」

「あ、うん。なんでもない!さぁいこう?」

「…あぁ。」

そんなことは考えても仕方ないよね。たわいもない話(猥談)をしながら、

しばらく歩いていると…

 

「…バカの気配!」

「えっ!ムッツリーニくん⁉︎」

「少しかくれてろ。」

あれは、、瑞希と吉井くん?

「…明久か。こうなったら早めに…」

「なにを考えてるのさ。」

「…明久をしとめる。」

え?

なんかとんでもないことを口走ったよね?

「…異端審問会にはかかりたくない。」

 

 

 

遠くから彼らの話が聞こえる。

「はっ!バカの気配!」

「え⁉︎明久くん?」

全く同じやり取りが繰り広げられていた。

「雄二か?ムッツリーニか?それとも須川くん、、」

「明久くん、なにを考えて…」

「獲物をしとめる!異端審問はいやだっ!」

 

ここにもあそこにもバカがいた。にしても、気配を察知できるなんてバカ同士通ずるものでもあるのカナ。

 

なんて考えていると、隣でムッツリーニくんは、、、なにをしてるんだろう?

「ムッツリーニくんそれは?」

「…対明久用の秘密兵器。」手元を見ると紙とコンパスを持っていた。ほんとうに刺す気なのだろうか。

「さすがにそれは危ない、というか、、。」

「…俺の命にはかえられない。」

なんという自己中心的意見であろうか。

 

一方、遠くを見やって、耳をすますと、

「とりあえず対雄二用と対ムッツリーニ用の秘密兵器を用意しておくか。」

やはりバカがいた。

その手には、同じくなにか紙と、杭(鉄製)が握られていた。

 

 

その次の瞬間、

 

 

吉井くんの頭のすぐ横をコンパスが通過して壁にささる。

と同時にこちら側に、杭が投げられて、同じく壁にささる。

 

 

「「ぐはっ。」」2人が全く同時に倒れた。

こちら側の壁を見ると、ムッツリーニくんの女装写真が、

向こう側の壁を見ると、吉井くんの女装写真(通称:アキちゃん)が壁に張り付いていた。

 

やることも考えることも全く同じ、とは逆にすごい、なんて考えていると…

 

「あれ?愛子ちゃん?」

「はろはろー。吉井くんとデート?」

「で、で、デートなんてそんな…」

 

「あ、あ、愛子ちゃんこそ!なにをしてたんですか?」

「えっ…と。パソコンを買おっかなーなんて思って…」録音機なんて余計なことは言わない方がいい気がした。

「あれ?土屋くん?」あっ。

「…たまたま。」

「そ、そうなんだ〜。買いにきたらたまたまムッツリーニくんに会って…」

「そうですか。た•ま•た•ま、ですよね。」瑞希がニコニコし始めた。ボクたちもデートしてると思われたのかな、と思うと少し恥ずかしい。ボクは、いつもは実践派とか言ってるケド、本当はろくに彼氏もいたことがないから全く慣れていないから、こういうことは、、、。

 

「…偶然の賜物。偶然に偶然が重なっただけ。アクセサリー。」

「それを言うなら、accidentaryかと…。」

「…わざと。」

そこまで偶然を装われると少し傷つくんダケド、、、

「ムッツリーニ!やっぱり君だったんだね。」

「…明久。いつの間にあんな写真を…。」

「ムッツリーニこそ!僕の女装パンチラなんてなんでそんなものを…」

「「人として最低だ!」」

 

しいていうならどっちも道を外れている、と思うんだケド。

 

そうやって2人が言い争っていると、遠くの方からこんな声が聞こえてきた。

「…雄二。買い物行くなら言って欲しい。」

「どうせ言わなくてもついてくんだろ。」

「…夫の買い物に付き合うのは、妻として当然のこと。」

「し、翔子!こんなとこで変なこと言うんじゃねぇ…バカの気配っ!」

もう一人のバカが勘付いたらしかった。

「ねぇ。ムッツリーニ。」

「…任せろ。」

「「雄二の野郎!!」」バカ2人が動き始めた。

「…人の幸せは、」

「「絶対許さない!」」

「しにさらせええぇ!妻帯者ぁ!」

そして2人は、坂本くんに、釘を投げつける。

「ごふっ。」坂本くんが倒れる。

よく見ると、壁には結婚届が貼り付けてあった。

「…雄二。嬉しい。」

2人ともやることが的確だなぁ。

こういうやりとりを何度も見てきたけど、本当に面白いしバカだな、と思う。

 

「雄二。人生の墓場へ帰れ!」

「…帰るべき。」

「それはお前らに言えることじゃねーだろ!ムッツリーニいつの間に工藤とデートするように…」

「そうだよ!ムッツリーニ。言ってくれればいいのに。」やっぱりそんな風に見られてたんだ。そう思うと顔が赤くなってくるのが分かる。

 

「…デートじゃない。たまたま。偶然の賜物。アクセル全開。」

「それを言うならaccidentaryだと思うが…」つい数分前のことも覚えられてないムッツリーニくんもそうだけど、今ので分かる坂本くんはもっとすごい。

「え?握手デート?」もっとバカがいたかもしれない。

「明久。お前は本当に救えないな。」

「…明久はバカ。アクシデ……」あ、自分も忘れてるんだ。

 

 

「とにかく、だ。明久。ムッツリーニ。今日見たことは忘れよう。」

「…了解。」

「そうだね。」

「にしても工藤さんと仲良くやってるね。ムッツリーニ。」

「…たまたま。」

「でも…」

なんて男子の会話にききいっていると…

 

 

「…愛子?」

「だ、代表!坂本くんとデートカナ?」

「…そう。いつものこと。」なんだかんだ仲が良く(?)て羨ましい。

坂本くんの告白(?)を思い出すと余計にそう思う。

「…土屋とデート?」

「はいっ!」

「って違うよ!瑞希もなに言ってるのさ!」

 

 

 

「にしても偶然だったねー。」みんなと別れて、家電屋さんの中で小柄な少年に話しかけてみる。

「…バカとの遭遇は、面倒。」

「あはは。」

そんなこといいつつ、本当は大切に思ってることなんて分かってるんだけどね。

思ってることとは逆のことを言うー。

 

 

 

ということは、ボクのことも…。

 

 

 

 

「…見つかった、工藤?」

「えっ。うん。」

 

 

 

そうして2人とも欲しいものを買って、帰り道。

「今日は楽しかったねー。」

なんて軽口を叩いてみる。本当に心から楽しいのだ。バカといるのは。

とくに、今横にいるバカと。

「…疲れた。」

「そっか。残念だなぁ。」

「…俺も…」

「え?なんか言ったぁ?」

「…なにもない。送る。」

本当は聞こえてたけどね。楽しかったならそうちゃんといえばいいのに。

 

「え?いいの?」

「…仕方が無い。」

全く正直じゃないなぁ、と思う。

「ありがと。そんなムッツリーニくんにはぁ、ご褒美に、ちらっ」

「プシャアアアア!」

「きゃっ!ムッツリーニくん⁉︎」

「…本望っ。」

 

西からさす夕日が眩しい。この調子なら明日も晴れそうだ。

 

 

 

まだこの気持ちがなんなのかは分からないけど。

この先も色々なことを傍らに立つこの少年としていけば…

 

 

いつか

 

分かるのかな。

 

 

でも、今すでに

分かってること一つ。

この少年といると心から楽しい。

この少年もたぶん同じことを思ってくれてる。

 

 

 

 

 

ただ

それだけ…

 

 

 

だよね?

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