ダンボール戦機白き翼   作:izuki

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2026/08/12 全体的に大幅な加筆・修正を行い再投稿しました。



第九話 総理暗殺事件

 翌朝。

 俺とミカは指定された場所に向かうために満員の通勤電車に揺られていた。

 パレードが行われる目抜き通りの最寄り駅で下車する。

 宇崎さんから指定された集合場所は駅のすぐ近く、パレードで賑わう街道の脇道から侵入できる雑居ビルの裏通路だった。

 周囲の喧騒を避けるように裏通路へ向かう途中で、同じく緊張した面持ちのバンたちと合流。

 待機していた宇崎さんの車に乗り込み今日行われる暗殺に関する情報、そして財前総理のパレード開始時間が急遽予定より大幅に前倒しされたということを聞き、宇崎さんの指示で、俺たちは街へと飛び出しそれぞれ担当区域の捜索を開始した。

 インカムから宇崎さんの声が響く。

 

『みんな、現状を報告してくれ』

『こちらパレード中央地点のバン。見当たりません』

『パレードスタート地点のアミ。こっちにもいないわ』

『パレート終了地点のカズ。こっちもいねえ』

「中継地点のシキ。それらしい奴はいない」

『こっちも、同じく』

 

 まずい。総理が乗った車両が通過するまでもう時間がない。

 

『ねぇ、みんな。ちょっといい?』

 

 混濁する通信の向こうから、バンの声が割り込んできた。

 

『どうしたんだ、バン』

『俺たちが敵の立場だったらどこで狙う』

『そうね…………狙撃ポイントになりそうな所は警備が厳しいし……警備が無いところとか』

『だよね、だから敵も警備が無いところを狙撃ポイントにするんじゃないかな』

 

 当然の発想だ。

 暗殺を確実に遂行し、なおかつ迅速に脱出できるルート。

 そこを選ぶはず。

 

「なら、街道に面しているところじゃなくて、さらに奥とか」

『この辺りにはビルが乱立している。そんなことは不可能だ』

『……もしかしたらビルを貫通させるのかも』

 

 宇崎さんの鋭い指摘に、通信の向こうでバンが突拍子もない仮説を口にした。

 

『そんなことは、不可能だと言っているだろう』

『タクヤさん。貫通させるのはガラスだけだったら可能でしょ。目の前にそういうビルがある』

『そんなものが…少し待ってくれ』

 

 耳元で、宇崎さんが激しくキーボードを叩く音が遮二無二に響く。

 

『これは…中央に高い吹き抜けがある。さらにその奥にはビルがありそこからなら狙撃可能だ!』

 

 『全員そこへ向かってくれ』と宇崎さんが指示する。

 俺も即座に足を反転させた。

 しかし、沿道は総理を一目見ようとする群衆で完全に埋め尽くされており、人の波が厚い壁となってまともに前へ進むことすらできない。

 

「チッ……バン、悪い。人が多すぎてそっちに向かうのに時間がかかる。俺抜きで先に行ってくれ」

『わかった』

 

 通信を切り、群衆の薄い細い路地を選んで遠回りする。だが、距離のロスが大きすぎる。

 焦燥感で心臓が激しく脈打つ中、再び宇崎さんからの通信が来た。

 

『シキ、聞こえるか』

「どうしたんですか」

『先ほどのビルにいたLBXは(ダミー)だった、カズにその場からハンターのスコープで探してもらったところ、ヘリポートのあるホリデービルディングでLBXを発見した。今バン、アミ、ミカが向かっているが間に合いそうにない。一番近いのは君だ、急いで向かってくれ』

 

 俺は走りながら、瞬時に頭の中で位置関係を計算し、疑問を告げる。

 

「カズは?一緒に向かってないんですか?」

『カズにはあの場所からハンターで狙撃をしてもらう。高精度照準機能があるハンターなら狙撃可能だ』

 

 なるほど。俺たちが止めるのが先か、カズの弾丸が間に合うか、二段構えの作戦か。

 

「了解、ホリデービルへ急行する」

 

 方向を急転換し、全力疾走でホリデービルディングに向かう。

 すぐにホリデービルディングに到着し、警備の目をかいくぐり非常階段を一段を使って上に登っていく。

 あと数階で、屋上のヘリポートへ繋がる扉というその踊り場で、そいつらは現れた。

 姿を現したのは、総勢20体近くにおよぶ、見たこともないLBXの軍勢だった。

 重厚なブロウラーフレームの装甲に迷彩が施された長方形の巨大な大型シールドを構え、片手には無骨な機関銃を握っている。

 

「……ここから先は通さない、ってか」

 

 遠くからパレードの歓声が微かに聞こえる。もう一刻の猶予もない。

 普段の戦闘なら、こんな場所でコレを晒すような真似はしない。

 誰かに見られてバレるリスクはある。だが、今はそんなことを言っている場合じゃない。

 

「──出し惜しみは無しだ。ヘビーアームズ、発進」

 

 

 《XXXG-01H》──『ガンダムヘビーアームズ』。

 

 

 私が設計したガンダムの内の一体。

 多様な火器を内蔵した最高火力を持つ機体。

 多人数による乱戦・制圧戦を想定して作られたこの機体にとって、この狭い階段の踊り場は絶好の盤面。

 

「一気に仕留める──必殺ファンクション!」

 

 《アタックファンクション》

 

 ──《フルオープンアタック》

 

 ヘビーアームズの全身のハッチが一斉に解放された。

 左腕のビームガトリング、両肩のマシンキャノン、胸部装甲に内蔵された胸部ガトリング砲、両肩部のホーミングミサイル、両脚部のマイクロミサイル。

 全門、前方の20体を完全ロックオン。

 一斉に掃射する。

 踊り場全体が閃光で満たされ、凄まじい爆風が吹き荒れた。

 放たれた無数のミサイルと実弾の嵐。

 敵のLBX群は慌てて大型シールドを構えて防御態勢を取ろうとしたが、放たれた圧倒的な破壊の濁流を前に盾など何の意味もなさなかった。

 次々と爆砕し爆風が巻き起こり大半の敵LBXが沈黙する。

 煙を割って、辛うじて生き残った数機がこちらへライフルの銃口を向けてくる。

 

「往生際が悪い」

 

 ヘビーアームズの機動性を活かし、敵の銃撃をステップで回避。

 流れるような動作で右腕のアーミーナイフを展開し、すれ違いざまに首部を正確に一刀両断する。

 一機、また一機と確実に葬る。

 最後の1機がスクラップとなり、静寂が戻る。すべてのLBXを完璧に沈黙した。

 ヘビーアームズを回収して屋上へ行こうとすると、そこで宇崎さんから連絡がはいった。

 

『シキ、カズが狙撃でライフルの破壊に成功したそうだ。だがまだ安心できないに屋上へ急いでくれ』

「成功したんですね……よかった」

「シキ!」

 

 背後から声をかけてきたのは、息を切らせたバン、アミ、そしてミカだった。

 言葉を交わす間もなく、俺たちは扉を開けてヘリポートへと駆け上がった。

 そこには一機のLBXがポツンと佇んでいた。いかにも暗殺者(アサシン)といった風貌の、不気味な黒い機体。

 それはこちらを一瞥すると、壊れたライフルを捨てて懐から新たなライフルを取り出した。

 

「ライフルをもう一丁持ってるわ!また狙撃する気よ!」

「させるか!アキレス!」

「クノイチ!」

「トールギス、出撃」

「行って、アマゾネス」

 

 4機のLBXが同時にヘリポートに降り立つ。

 アミのクノイチとミカのアマゾネスが、相手のLBXの両サイドを挟み込むように突っ込んでいく。

 敵のLBXはライフルを構え迎撃しようとしたが、俺はトールギスのドーバーガンの照準を瞬時に合わせて一撃で敵のライフルの銃身を木っ端微塵に撃ち砕いた。

 武器を失い体勢を崩したアサシンへ、クノイチのコダチとアマゾネスのパルチザンが両サイドから激しく突き刺さりその装甲を大きく切り裂く。

 そこへ、本命であるバンのアキレスが正面から肉薄した。

 

「うおおおおおお!」

 

 渾身の力で繰り出されたアキレスの槍が、アサシンの胸部装甲を深く貫く。

 火花を散らし動きが完全に停止する敵機。

 

「やった、か?」

「バン、それダメなやつ……っ!」

 

 俺が叫んだ瞬間、火花を散らしながらアサシンが動き出し隠し持っていたハンドガンを抜き放った。

 銃口が真っ直ぐに向いたその先は──────

 

「ッ……!! ミカっ!!!」

 

 考えるより先に、身体が動いていた。

俺はミカの身体を突き飛ばすようにして彼女の上に背後から覆いかぶさり、その華奢な頭を自分の両腕で抱え込むようにして床へと倒れ込んだ。

 直後、ヒュンッ!という凶悪な風切り音と共に、俺の頭上を本物の銃弾が激しく通り過ぎた。

 床に倒れ込んだ姿勢のまま、片手でトールギスを操作しビームサーベルを抜刀。

 背部のスーパーバーニアを吹かせて急接近し、一刀両断する。

 敵機は激しい爆音と共に今度こそ木っ端微塵に爆砕した。

 

「急に押し倒してごめん。大丈夫だった?」

 

 抱き起こしながら顔を覗き込むと、ミカは目を丸くしたまま気のせいか顔を耳の裏まで真っ赤に染めていた。

 

「う、うん……大丈夫……」

「そっか……よかった。本当に怪我がなくてよかった……」

 

 安堵の息を漏らす。その様子を後ろで見ていたアミが、何故かジト目を向けている気がするが…………

 タイミングを測ったように、宇崎さんからの通信が入る。

 少し顔が赤い気がする。気のせいか?そう思っていると宇崎さんから連絡が入った。

 

『よくやった、みんな!だが、まだ安心するな。急いでその場から撤収するんだ。騒ぎに気付いた警察が押し寄せてくるぞ!』

 

 俺たちはLBXを急いで回収すると、非常階段を駆け下り現場から鮮やかに離脱した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 激闘を終えた俺たちは、再びブルーキャッツへと集まっていた。

 

「よくやってくれた!カズ、見事だったぞ」

「あぁ、ハンターのおかげさ」

「ホントによくやったよ。お前らは正真正銘、この国を救ったヒーローだ!」

 

 宇崎さんたちからの熱い言葉。

 だけど、俺たちの胸の中にはあまり現実感が湧いてこなかった。

 

「……信じられないよな、俺たちが総理の暗殺を阻止したなんて」

「ホント、凄すぎてママに話しても信じてもらえないだろうな」

「でも俺……アサシンと戦ってる時、怖くなった……相手は暗殺用のLBXだったんだ、下手すりゃ俺たちも……」

 

 カズが自分の小さく震える手のひらを見つめながら、ぽつりと本音を漏らした。

 そうだ。相手は本物の殺し屋だった。

 もしあの時、もし俺が咄嗟に体を張っていなかったら────今頃、ミカはどうなっていたか。

 俺たちは「死」のすぐ隣を綱渡りしていたのだ。

 今回は、運が良かったに過ぎない。

 

「……そうだよね」

「バトルに夢中になってる間は実感がわかなかったけど、今思い出すとちょっと怖いかも」

「……宇崎さん、答えてください!なんで俺たちがこんなことを?それに、なんで俺たちだったんだ?」

 

 バンの問いかけに、宇崎さんは何か覚悟を決めたかのように顔を向け、バンの目を真っ直ぐに見つめ返した。

 そして、宇崎さんはとある真相を俺たちに語った。

 

「バン、君に伝えておくべきことがある。飛行機事故で亡くなった君のお父さんのことについてだ」

「え?なんで、父さんのことを?」

「実は……君のお父さんは、生きている」

「「「「「えっ……!?」」」」」




今回の話で出たガンダムヘビ―アームズは持ってる人は、HGACのガンダムヘビーアームズを思い浮かべてください。

ガンダムベビーアームズ

【挿絵表示】

ミカがガンダムを使うならどれがいい?(これからの物語に影響があるかもしれない)

  • ガンダムデスサイサズ
  • ガンダムヘビーアームズ
  • ガンダムサンドロック
  • シェンロンガンダム
  • アマゾネスのままでいい
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