ダンボール戦機白き翼   作:izuki

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2026/08/12 全体的に大幅な加筆・修正を行い再投稿しました。



第十一話 エンジェルスター(中)

「LBX…!?」

「きっと警備用LBXよ!気をつけて……!」

 

 ダクトの薄闇から迫る5機の影。それは昨日、総理暗殺未遂事件のホリデービルディングで遭遇した、あのLBX。

 それがなぜ、国内最大手の重工メーカーの工場内にいるのか。答えは一つしかない。

 5機はこちらを視認するこちらに向かって攻撃を始めた。

 アキレス、クノイチ、アマゾネスがLBXの軍勢へと肉薄していく。

 トールギスはハンターと一緒に援護に回る。

 アマゾネスと激しい槍撃戦を繰り広げている一機にドーバーガンの照準を固定。

 アマゾネスがバックステップで間合いを外した刹那、トリガーを絞った。

 砲撃を喰らった敵LBXが上半身を木っ端微塵に弾けさせて沈黙する。

 ほぼ同時に、バンのアキレスが鋭い突きで一機を仕留め、アミのクノイチがさらにもう一機を機能停止に追い込んだ。

 残り2機。同じ場所に固まっている。

 俺はトールギスのシールドからビームサーベルを引き抜き、スーパーバーニアを吹かせ残りの2機に向かって突進。

 2機は盾を構えながら、こちらに銃を撃ってくるがそれをローリングで回避しながら進み。

 そのまま一機をシールドごと溶断し、もう一機は盾ごと貫通させ突き刺した。

 そのまま、ダクトを抜けエンジェルスターの内部通路へ侵入し、LBXを使って内側から電子ロックを解除した。

 

「警備用LBXもここまでは追ってこないみたい」

「警備していたLBX、家で襲ってきたLBXと同じ系統だった……」

「総理暗殺事件の時に、ホリデービルディングで戦ったLBXとも同じだ」

「……てことは」

「ここが、イノベーターの基地!?」

 

 全員の顔が強張る。だが、それは同時に大きな希望の裏返しでもあった。

 本当ならここに山野博士がいる可能性がある。

 

「間違いない、ここに父さんはいるんだ」

「なら早く見つけよう。見つかったら不味いことになる」

 

 俺たちは警戒を密にしながら、無機質なコンクリートの通路を進んでいく。

 しかし、進んだ先の大扉にもロックが施されていた。

 周囲を見回すと、やはり向こう側のへと通じているであろう幅広の排気ダクトを発見する。

 再びLBXをダクトへと侵入させ、探索を開始した。

 しばらく入り組んだ通路を進めていくと、前方に3機のLBXが直立不動の姿勢で立ち塞がっていた。

 だが、さっきのLBXとは違う見たことがない機体だった。

 

「……なんだ、あいつら?」

「見たことないLBXだ」

 

 どことなく不気味な雰囲気で両腕そのものが鋭利な三本爪のカギ爪の武器腕になっており、さらに背部には謎の突起パーツが二つ、そびえ立っていた。

 

「来るわよ、気をつけて!」

 

 アミの警告と同時に、謎のLBXはこちらを確認すると、両腕のクローを広げてそこから無数の実弾が掃射された。

 ダクト内に激しい銃撃の火花が散る。

 アキレスが弾幕を掻い潜って攻撃を仕掛けるも、異常な跳躍力でそれを軽々と回避。

 すかさず後方からカズのハンターが精密狙撃を叩き込んだが、銃弾が着弾する直前、ヤツらの姿が文字通り掻き消えた。

 

「どこにいった」

「上だ!」

 

 俺がCCMのモニターを凝視して叫ぶ。

 警備用LBXはカギ爪をダクト天井の隙間にガチリと引っ掛け、まるで巨大な蜘蛛か猿のような生々しい動きで天井を這い回りこちらとの距離を急速に詰めてきていた。

 すかさずドーバーガン放つが、天井を腕で移動してこちらに近づいてくる。

 他の2機にもクノイチとアマゾネスが攻撃するが、それを避けて反撃している。

 

「不味いな……いったん引くぞ」

 

 トールギスとアキレスが前線でシールドを重ね合わせ、敵の猛攻を防御。

 その隙に全機を一歩後退させ、距離をとる。

 しかし、奇妙なことに警備用LBXたちはある程度距離を取ると、それ以上こちらを追ってこようとはしなかった。

 

「……来ない」

「ああ、来ないな」

「なんにせよ、助かったぜ」

「でも、なんで追って来ないのかしら?」

 

 いくら待っても、こちらを追撃してくる気配はない。

 俺は物陰からトールギスのメインカメラをズームし、ヤツらの挙動を克明に観察した。

 完全に機能を一時停止したかのように微動だにしなくなっていた。

 そして、背部にあるあの奇妙な突起パーツが、周囲の空間をスキャンしているかのように不気味に明滅している。

 …………もしかして。

 

「……ねえ、シキ」

「ああ、多分同じこと考えてる」

 

 俺はトールギスの左腕のシールドのマウントを解除し、フリスビーの要領で警備LBXに向けて投擲する。

 瞬間、スリープしていたはずのLBXが起動。

 クローから放たれた銃撃で、シールドを空中で叩き落とした。

 

「やっぱり」

「ああ……おそらく自動制御のLBXだな」

「ええ!」

「そんなこと、可能なの!?」

「できない事はない……ただする奴がいないってだけだ」

 

 恐らくだが、あの定位置から絶対に動かないということは、あの区画が防衛テリトリーとしてプログラムされている。

 さらに言えば、背部のアレは侵入者を検知するためのセンサーユニットに他ならない。

 なら、攻略法は極めてシンプル。

 

「カズ、ハンターで背部にあるセンサーを狙え」

 

 警備LBXのセンサーに向かってハンターのライフルから銃弾が発射される。

 センサーを失った警備用LBXは、目の前に俺たちのLBXがいるにもかかわらず、完全に目標を見失って左右にうろうろと迷走を始める。

 

「これであのLBXたちは、こちらを認識できないはず」

「よし、一気に行こう」

 

 こちらを認識できなくなった警備用LBXたちは、先ほどまでの苦戦が嘘のように簡単に倒すことができた。

 そしてダクトから抜け出し、扉のロックを解除してそのまま先に進んでいき、地下3階へ降りて奥へ進んでいった。

 再び重厚なハッチが行く手を阻む。

 やっぱりまた、ロックがかかっており。

 そしてお約束のように横に設置された通気ダクト。

 俺たちは手慣れた手付きで再びLBXを送り込んだ。

 だが今回は警備LBXはおらず、すぐに出口に辿り着いた。

 

「誰かいる」

 

 そこには中年のおっさんが所在なさげにポツンと立っていた。

 

「誰か来るわよ!」

 

 部屋の自動ドアが開き、重厚な足音と共に二人の人物が姿を現した。

 

『霧島さん、ご苦労様です』

『神谷さん!?……いえ神谷会長、それに八神さんまで、どうして?』

『会長はやめてください、霧島さん。強化ダンボールの開発者として私は貴方を尊敬しているのですから』

 

 スピーカーから流れる会話に、バンとカズが目を見張る。

 

「強化ダンボールを!?」

「あのオッサンが作ったって!?」

「どうして、そんな人がここに……」

 

 霧島平治。LBXの歴史を根底から変えた画期的な素材『強化ダンボール』を開発した、元・アスカ工業の社長だ。

 しかしアスカ工業はタイニーオービット社に吸収され霧島 平治は社長じゃなくなったはず。

 

『辛い気持ちは分かりますよ。優秀の技術者であった貴方が開発したもの、開発の場……全て奪われたのですから』

『神谷会長…』

『思い出しますなぁ……貴方が強化ダンボールを開発するまで、LBXは危険な玩具だったことを……あの頃は、毎日、子供たちが怪我をしたニュースで持ちきりでしたね。あれでは、LBXが販売中止になるのも時間の問題だった……』

 

 それは8年前に遡る。

 2042年、当時タイニーオービットの研究者だったバンの親父さん。山野淳一博士がLBXを開発し、日本で発売された。

 しかし3年後、その圧倒的な性能故にLBXの事故が多発、LBXが危険視されたため販売中止となった。

 

『だが、貴方が強化ダンボールという舞台を生み出したおかげでLBXは安全な玩具として蘇ったのです』

『ですが、強化ダンボールはもう私のものではありません』

『そう……許せないのは、貴方から強化ダンボールの権利を奪った宇崎悠介。タイニーオービット社のLBXは出荷数が過去最高のようですね。貴方が開発した強化ダンボール、全てはそのおかげだというのに……』

 

 盗聴音声を聞きながら、俺は冷徹に状況を整理した。つまり霧島平治は、タイニーオービット社による強引な買収で会社と技術を奪われて絶望していたところを、神谷重工に拾われたという感じだろう。

 

『……ところで、八神君』

『はい』

『山野博士は、今もエンジェルスターの最深部に?』

『えぇ』

 

 やはり確定だ。バンの父親はここにいる。

 やはりここがイノベーター。

 …………いや神谷とイノベーターにつながりがあることが確定した。

 

『では霧島さん、貴方にお願いしたいことがあります。貴方にとっても、悪くない話だと思いますよ。アスカ工業再建のためにも……ね』

『……どういう意味ですか?』

『そうですね……場所を変えましょう、こちらへ………』

 

 3人の足音が部屋から去り、その部屋へと侵入した。

 そして、部屋の奥にある巨大な強化ガラスの向こう側を見下ろした瞬間、全員が言葉を失った。

 

「ねぇバン!これって……」

「おい!兵器だぜ?こりゃ…」

「神谷重工が兵器開発をしてるって噂は本当だったんだ!」

「ホント……最悪だな」

「うん、最悪」

 

 ガラスの向こう側に広がる広大な自動製造ライン。

 中ではガラス越しにロボットアームによって無機質に、大量に組み立てられていく光景が広がっていた。

 

「バン!お父さんのところへ行きましょ!」

「さっさとオヤジさん救出して、こんな施設とはおさらばしようぜ!」

「あぁ!」

 

 俺たちは入ってきた扉とは別の扉から出て、再び最深部を目指す。

 奥へと進むエレベーターを発見しさらに下へ向かいさらに奥へ進むとどんどん広くなっていく。

 辿り着いた最深部のエリアは、大きな入り口の殆どがシャッターで閉じられており、そのひとつだけ子供ならしゃがめば通れる高さでシャッターが半開きになっていた。

 そのシャッターをくぐり中へ入り、周りを見る。

 がらんとした広大な倉庫のようだった。

 

「ここに、バンの親父さんが居るのか?」

「いや、違う倉庫だなここ」

 

 そういった瞬間。

 背後で凄まじい金属音が轟き、今しがたくぐり抜けたばかりの半開きのシャッターが閉じられた。

 同時に、薄暗かった格納庫の天井の照明が一気に点灯し、奥から床全体を激しく震わせるような重低音のエンジン駆動音が鳴り響き始めた。

 

「何か来る!」

「カズ、それ開きそう?」

「ダメだぁ! 上がりもしねぇ‼︎」

 

 カズが閉じたシャッターをこじ開けようとするが、持ち上がらない。

 やられた、完全に罠にハメられた。

 駆動音はみるみるうちに大きくなり、格納庫の奥の巨大な鉄扉が歪な力で内側から捻じ曲げられていく。

 直後、力任せに粉砕しながら大型の重機らしきマシンが姿を現した。

 

「なんだこりゃ!」

「逃げるんだ!」

「こっちに来るぞ!」

 

 大型重機はゆっくりと獲物を追い詰めるようにこちらへ迫ってくる。

 背後のシャッターは閉ざされ、逃げ場はどこにもない。

 

「こうなったら、やるしかない!」

ミカがガンダムを使うならどれがいい?(これからの物語に影響があるかもしれない)

  • ガンダムデスサイサズ
  • ガンダムヘビーアームズ
  • ガンダムサンドロック
  • シェンロンガンダム
  • アマゾネスのままでいい
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