ダンボール戦機白き翼   作:izuki

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第十五話 特訓

 あの後地下闘技場を後にした俺達は、キタジマ模型店に来てアングラビシダスのことについて話していた。

 

「3機同時撃破なんて凄いテクニックね」

「あんなの真似しろって言われても俺には無理だな」

「私なんか、何が起こったのか分からなかったもん」

「でも、勝たなきゃいけないんだ」

 

 海道ジンの操作技術は異常なまでに凄まじいものだ。

 それに、わざわざあの状況にしての3機同時撃破。

 最初から計算していたんだろう。

 あいつもアングラビシダスに出るのであればあいつは確実に決勝まで登ってくるだろう。

 バンはお父さんを助けるためにも優勝する必要がある。

 そうなるとバンはあいつに勝たなければならない。

 

「1週間後か……よし、それまでみっちり鍛えてやろう」

「店長が?」

「ただの特訓じゃないぞ、装甲をカバーパッドに換装してもらう。AX–00で俺とバトルだ」

「な!無茶言うなよ!そんなの勝てっこねーじゃねーか!」

「いや、それくらいやってもいいかもしれない」

「どういうこと?」

「アングラビシダスの別名は破壊の祭典、通常なら禁止とされるアイテムとかも自由に扱うことができる。それにバンはアキレスの性能に頼ったバトルをしてきた。それに頼ったままじゃこの先は勝ち上がれない。だからこそAX–00でのバトルってことですね?」

「その通り、バン、それくらいで根を上げているようじゃアングラビシダスで優勝なんか出来ないぞ!」

「お願いします!」

 

 バンはアキレスのアーマーフレームからカバーパッドに換装しAX–00の状態で店長のグラディエーターと特訓を始めた。

 AX–00の状態なのですぐに倒されてしまうがバンはめげずに挑む。

 この調子なら大会までには仕上がっているだろう。

 

「私たちも頑張らないとね」

「ああ、そうだな」

「ミカ、俺たちも手伝おう」

「それはいいけど……シキ今LBXないでしょ」

 

 俺は思わず天を仰いだ。

 そうじゃん、忘れてたわ。

 今トールギスは改修中で最低でも4日はかかるし……

 ガンダムは使うわけにはいかないし……

 どうしたもんか

 

「LBXなら直るまでこれを使っていいわよ」

 

 そう言って沙希さんがムシャをレジに置く。

 

「良いんですか?」

「もともと店で貸し出してるやつだし問題ないわ」

「ならお借りします」

 

 ムシャを受け取って作業用の机で少し自分用に調整をする。

 

「ならあとは誰と誰がするかだな」

「それなら最初はカズとミカ、その後俺とアミでどうだ?」

 

 何故その組み合わせなのかアミが聞いてきたため理由を言う。

 

「この組み合わせにした理由は主にカズのためなんだ」

「俺の?」

「カズはまだハンターを使い始めて日が浅いし、それにカズは動いている相手に当てるのにまだ慣れていないみたいだから高機動LBXのクノイチかアマゾネスのどちらか、でカズとアミでやったら俺たちがいる意味ないのでこの組み合わせってわけ」

「なるほどね」

「あとそうだ、はいミカ」

 

 俺はあるものをミカに渡した。

 貰ったミカは最初はなにか分からない顔をしていたがすぐに理解したようだ。

 一旦休憩に入るバンと店長と入れ替わりカズとミカがバトルを始める。

 

「ゴーッ、ハンター!」

「…アマゾネス」

 

《バトルスタート》

 

 まず動いたのはハンター、逆関節故の高い跳躍力を生かし、高い岩の上まで一気に登ると、自身に有利な位置を陣取る。

 ハンターはアマゾネスに狙いをさだめ間髪入れずに引き金を引いた。

 だがアマゾネスはその機動性を生かしこれを回避。

 

「くそ!」

 

 そのままアマゾネスはフィールドを動き回り、点在する岩などの物陰を利用、もしくは避けてハンターの狙撃を躱し続ける。

 一方、撃てども撃てども当たらず、カズの顔に焦りの色が現れ始める。

 だがそんなカズのことなどお構いなしにアマゾネスが動く。

 岩陰から姿を現したアマゾネスはそのまま一直線にハンターの方向に向かっていく。

 そして懐からミサイル弾のようなものを取り出すと岩にいるハンターめがけて放り上げた。

 ハンターはすぐさまそれに狙いをさだめ撃ちぬいたがそこから煙が漏れ出し周囲一帯の視界を遮る煙幕を発生させた。

 

「な、なんだよこれ!」

「俺特性の煙幕弾」

「そんなのありかよ!?」

「ありなんだなーこれが」

 

 アングラビシダスでは間違いなくこれ以上のことをしてくる奴がいるだろう。

 これくらいは慣れててもらわないと。

 てかそれをこの店に置きっぱなしにしてたの忘れてたんだよねさっきまで。

 視界を奪われたハンターは、この煙幕に乗じて襲ってくるであろうアマゾネスに対応するべく、周囲に気を張り巡らせ警戒を続ける。

 だが、アマゾネスは襲ってくる様子もなく、徐々に煙幕が晴れ始めると、ハンターの警戒が緩くなる。

 

「もらった」

「っ! 後ろ!?」

 

 その油断を待ってたと言わんばかりにアマゾネスがハンターの後ろから襲い掛かりアマゾネスの攻撃をまともに食らってしまう。

 その1撃を受けたハンターは糸の切れた人形の如く倒れ込んだ。

 バトルの決着がついた。

 

「くそー、負けた」

 

 ハンターを回収したカズは悔しさを零す。

 けど十分な成果があったと俺は思う。ハンターの攻撃は一撃も当たりはしなかったけどどれも的確に狙い放たれたものだった。

 この感じだとすぐに当たるようになるだろう。

 

「てか、煙幕なんて卑怯だろ」

「アングラビシダスはルール無用。多分あれ以上の改造をしてるやつだっているはずだぞ」

「ま、マジかよ……」

 

 自身の想像が甘いことを認識したカズは少々気が滅入る。

 

「ミカ」

「ん?」

「ナイス」

「ん」

 

 その後は俺とアミが対戦したりバンとも対戦したりした。

 気がつけば、外もすっかり暗くなり、店長の終了を告げる声と共にこの日の特訓は終了。

 解散した。

 

~~~~

 

 その日の夜。

 俺は自室でトールギスの改修をしながら俺が出る隣町の大会のことについて考えていた。

 俺が出場する大会のルールはゼネラルレギュレーション。

 これはアルテミスをはじめとする公式大会のみで使われるレギュレーション。

 スタンダードとストリート同様LBXを破壊せずに戦うのが基本だが、必要であれば相手のLBXの破壊も認められる。アイテムは使用不可。

 これが特徴なんだがLBXは3機まで登録でき、準決勝と決勝は自身のLBXを変更しても良いことになっている。

 俺は今回の大会はゼロで登録しているためガンダムを使っても問題ない。

 そのためあとどの機体で出場するかなのだが…………

 

(とりあえずウイングはなしだな)

 

 ウイングガンダムは俺の相棒機なのだが今回は使わない。

 それに今ウイングガンダムはメンテ中なのである。

 こいつは可変機構を有しているが元々コアスケルトン自体は可変など対応してはいないため無理やり改造している。そのためこまめにメンテが必要なのである。

 今回そのメンテ中なため使えない。

 

(使えるのは……デスサイズ、ヘビーアームズ、サンドロック、シェンロンか……)

 

 デスサイズは、この間完成しテストも済ませている。

 せっかくだしデスサイズを使うか。

 初陣が大会ってのもたまにはいいだろう。

 あとはヘビーアームズ、サンドロック、シェンロンのどれから選ぶかだが……

 ヘビーアームズは、この間使ったしサンドロック、シェンロンにしよう。

 よし、決まり。

 そうと決まれば機体の状態確認と慣らしをしておこう。

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