ダンボール戦機白き翼   作:izuki

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第十六話 エージェント三人組

 あれから数日。

 シキ達はアングラビシダスに向けて、学校が終われば一目散にキタジマ模型店へと足を運び、時間の許す限り特訓をしていた。

 今日はアミ、カズ、ミカ対バンという3体1の状態で戦っていた。

 アミ、ミカのクノイチとアマゾネスが絶え間なく攻撃しバンのアキレスが攻撃を躱し続ける。

 

「そこっ!」

 

 躱した時にできた隙をカズのハンターが離れた岩の上から狙撃する。

 だがそれをアキレスは躱しさらに追撃してきたクノイチの攻撃を盾で受けアマゾネスの攻撃を躱す。

 そしてハンターの方へ身を翻すと一直線に向かっていく。

 

「させるか!必殺ファンクション!」

 

《アタックファンクション》

《スティンガーミサイル!》

 

 ハンターの背中から発射されたミサイルがアキレスに飛んでいき爆発を引き起こした。

 これで終わったかのように思えたが煙の中からアキレスが飛び出してくる。

 

「なに!?」

 

 カズは急いでアキレスにハンターの照準を合わせようとするが、アキレスはそのままハンターの懐に飛び込みアキレスランスの穂先がハンターの胴体を突く。

 ハンターがブレイクオーバー。

 

「よし!」

「もらった」

 

 しかし、次の瞬間アキレスの後ろをとったアマゾネス。その無防備な背後にパルチザンの薙ぎ払いを受けアキレスが吹き飛ばされる。

 アキレスはなんとか起き上がるがそこにクノイチが迫る。

 

「必殺ファンクション!」

 

《アタックファンクション》

旋風(ツムジカゼ)

 

 クノイチによる連撃をを食らい倒れ込むとアキレスはブレイクオーバー。

 

「負けた……」

「けど、最初の頃よりも確実に戦えるようになってきた」

「ああ、ここ数日で大分腕を上げたと思うぞ」

 

 勝利できずに悔しさを滲ませるバンだったが、ミカとシキの言葉を聞き、気持ちを切り替える。

 特訓を終了したバンの元に店長が奥からモーターらしきコアパーツを持ってきた。

 

「腕を上げたな、バン!今のお前ならこれを使いこなせる」

「使いこなせるって?」

「シグマDX9、タイニーオービット社製の最新高速モーターだ」

「凄い!」

 

 シグマDX9は最新型のコアパーツで最高出力のモーターだ。しかしこいつはスロットを10マスも使うという非常に大きいモーターでもある。

 

(正直、こいつ使いづらいんだよなぁ……)

 

 言ったら台無しになるから言わないけど。

 

「ほれ、受け取れバン」

「え? もしかして、くれるの!?」

「あぁ、俺からのプレゼントだ。その代わり、アングラビシダスでは必ず優勝しろよ!」

「店長、ありがとう!!」

 

 店長からシグマDX9を受け取ったバンは早速シグマDX9を装備するべく、作業スペースを借りて作業を始める。

 シグマDX9をアキレスに装備し終えたバンは早速、どの程度パワーアップしたのかを確かめるべく、シキ達とバトルをしたいと申でる。

 

「いらっしゃい!」

 

 そんなときキタジマ模型店に新しいお客が入店してくる。

 店長の声に反応し今し方入店してきたお客の方に視線を向けると、そこには見たことある三人組の姿があった。

 

「お前らは!」

「四天王、郷田三人衆!」

「よ、久しぶり」

「と、初めましてな奴らもいるな」

 

 それは、リコ・ギンジ・テツオの郷田三人衆であった。

 

「この人たちは?」

「ほら、前に話した郷田三人衆」

「ああ……」

 

 知らないふりをしておく。

 一応あの時見てたから知ってはいるんだけどね。

 

「俺達に何の用?」

「ちょっとな。リーダーが顔貸せって言うから、アタイ達がわざわざ呼びに来てやったんだよ」

「特に、バンに用があるでごわす」

「郷田がバンに?」

「一体何かしら?」

「……わかった行くよ」

「いいのか?」

 

 俺の問いに頷きそのまま着いていく。

 道中、アミは特訓を中断させられて少し不機嫌で、カズに関してはパワーアップしたアキレスの相手にうってつけなんじゃないかと言い、そんなカズの考えにバンは賛同する。

 ミカは俺の横を無言で歩いている。

 俺はと言うとなんか面倒なことに巻き込まれるような何か嫌な感じがしてならない。

 

「悪いけど、ここから先は行かせないよ」

 

 そんなことを思っていたとき。

 俺たちの前に金髪のグラマラスな女性、背の高い痩せ型の男性、背の低い肥満型の男性、の三人組が立ち塞がった。

 全員黒のスーツを身に付け、ピエロの様な仮面を被っている為、その素顔を窺う事は出来ない。

 

「何だこいつら?」

(嫌な予感ってよく当たるよね…………)

 

 その奇妙な出で立ちを目にし、カズとアミが訝しがるのを他所に。

 バンは、三人組の姿を以前目撃していた事を思い出し声をあげた。

 

「何だよ、ひょっとこ野郎ども!」

「俺達を誰だか知らねぇのか? そんな所に突っ立ってたんじゃ通れねぇだろ!」

「さっさと退くでごわす!」

 

 そんな三人組に臆することなく立ち向かう郷田三人衆。

 しかし、男性二人が素早い身のこなしで郷田三人衆の背後に回り込み仮面に指を当て、仮面の表情を変化させる。

 それを目にした刹那、郷田三人衆は怯えた様子でその場から逃げ出してしまった。

 おい。

 

「ふん。あんた等に用はないんだよ、引っ込んでな!」

 邪魔者を退けた三人組は、残されたシキ達の事を見据える。

「さぁ、これで邪魔者はいなくなったよ。痛い目を見たくなかったら、大人しく、私達に付いてきてもらおうか」

 

 相手は三人とは言え得体の知れない者達、下手に逆らえば、どんな目に遭うか分からない。

 シキ達は大人しく三人組の後についていく。

 こうしてシキ達が足を運んだのは、細い路地を一本入った所にある、人目に付きにくい小さな空き地。

 

「ここなら邪魔が入る事はないよ。さぁ──」

「お前達、イノベーターだな!」

「こいつらが!?」

「イノベーター!?」

「っ!」

(ああ、やっぱり?)

 

 女性の話を遮り、バンが発した一言に、カズ・アミ・ミカの三人は驚愕。

 シキはそんな気がしてたと納得する。

 ということはこいつらの目的はプラチナカプセルか。

 

「だったら、どうだって言うんだい?」

「お前達に聞きたい事がある!」

「あ? 聞きたい事?」

「俺の父さんが今どこにいるのかを知ってる筈だ! それを教えてもらうぞ!」

 

 イノベーターの一員である三人組を前に、臆することなく詰め寄るバン。

 だが、それに対して、三人組はくつくつと笑い始めた。

 

「何を言うかと思えば、偉そうに」

「分かってるんですかねぇ? 自分の立場ってものが?」

「まったく、誰に物言ってるんっすかねぇ?」

「俺は、俺はイノベーターだからって怖くないぞ!」

「「あぁ?」」

「生意気なお子様だねぇ! でも、私達を前に逃げる事無く立ち向かってくるその勇気だけは褒めてやるよ。だから……」

 

 女性はDキューブを取り出すと、バンの前に放り投げ展開させる。

 そして、LBXを取り出した。

 

「私達とバトルして勝ったら、教えてあげなくもないけどね。……けど、あんたに勝てるかしら? この"デクーエース"と!」

「「俺達の、”デクー改”!!」」

「生まれ変わった私達のLBXに?」

 

 デクー改と呼ばれた機体は、青を基調とした機体で肩と膝にスパイクが付いている。

 デクーエースと呼ばれた機体は、ワインレッドと金色の機体色で2機と比べてすらりとしたフォルム、どうやらストライダーフレームのようだ。

 

「どんな奴が相手だって、俺は負けない!」

「言うじゃない! あぁ、そうそう、言い忘れてたけど、このバトル、戦うのはあんた一人だよ」

「っ!?」

「つまり、三対一って訳さ? どうする、それでも私達にバトルを挑むかい?」

「卑怯よ!」

「よせバン、相手のLBXの性能も分からないのに戦うのは無茶だ!」

 

 バン一人でイノベーター三人組とバトルを行うと知り、カズはバンにやめろと言う。

 

「大丈夫、父さんを助ける為なら俺はどんな相手とだって戦う!」

「泣かせるねぇ~。だからって、手加減なんてしてやらないけどね! やれ、デクーエース!!」

「ほら行け、デクー改!」

「やれ行け、デクー改!」

「アキレス!」

 

 港湾都市をモチーフとしたジオラマ。

 ルールはアンリミテッドレギュレーション。

 バンのお父さんの情報をかけた勝負。

 開始とともに散開した3機はすぐさまアキレスを包囲すると銃とロケットランチャーで三方向から攻撃を仕掛ける。

 だが、アキレスは飛来する弾丸や弾頭を躱し、逆に相手を翻弄する。

 

「アキレスの動き、以前よりも格段に良くなってる」

「凄い、これもシグマDX9のお陰ね!」

「何やってんだいお前達!」

「だってボスぅ、アイツ早いんですよ」

「そうッスよ」

 

 アキレスは三機を翻弄しつつ、隙を見てアキレスランスによる攻撃を浴びせていく。

 

「よし!これで!」

 

《アタックファンクション》

《ライトニングランス》

 

「いけー!ライトニングランス!」

 

 アキレスランスにエネルギーが集約しそして放たれたエネルギーは青白く輝く光のランスとなり、ターゲットとなったデクー改を貫くと、巨大な爆発を引き起こした。

 

「スゲー!今のアキレスの必殺ファンクションか!?」

「凄い!」

「威力が高いな」

「うん、それに長射程」

「や、やってくれるじゃないのさ!」

「なら、間合いを取るまでッス!」

 

 暫し唖然としていた残りの二人だったが、我に返ると、すぐにアキレスから距離を取り、ビルやコンテナ等の物陰に身を潜めるデクーエースとデクー改。

 

「隠れたって、もう一発、ライトニングランスだ!」

 

《アタックファンクション》

《ライトニングランス》

 

 もう一度ライトニングランスを放つとデクー改が身を潜めていたビルに直撃。

 爆煙が晴れて姿を現したのは、ライトニングランスにより大きく抉られたビルの姿と、ライトニングランスが直撃したデクー改の無残な姿であった。

 

「こんのぉ! いつまでも調子に乗ってるんじゃないよ!」

 

 デクーエースがアキレスの死角から一気に懐に飛び込み攻撃してこようとするが、そこにアキレスの蹴りが炸裂し、手に持っていた銃が飛んで行ってしまう。

 

「何っ!」

 

 そして、無防備となったデクーエースに、アキレスランスが突き刺さる。

 次の瞬間爆発四散。

 バンが勝利した。

 

「やったーー!」

「おめでとうバン!」

「おめでとう!」

「特訓の成果ちゃんと出てたな」

「うん、ばっちり」

 

 三人組はこの結果が信じられないのか、固まっている。

 

「約束通り父さんの居場所を教えてもらうぞ!」

 

 バンの言葉に我に返った三人組は、咄嗟に顔を見合わせ視線で会話を行い。

 

「ヤダね!」

「知りたきゃ自分で何とかするんですね!」

「と、言う訳で……」

「撤収!!」

「「ラジャーッ!!」」

 

 一目散にその場から逃げ出した。

 それを慌てて追いかけるが、三人組の逃げ足の速さを前に、途中で追いかけるのを諦めるのであった。

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