ダンボール戦機白き翼   作:izuki

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第十八話 ゼロ

 アングラビシダス1日前。

 ミソラタウンの隣町、そこではアルテミスへの出場枠を掛けた大会が開かれようとしていた。

 

「おい、あの人……」

「もしかして……」

「いや、けど……」

「でも、あの格好……」

 

 大会会場はすでに多くの人でいっぱいになっていたがその中でも一人だけ周囲の人々の注目を集めている人物がいた。

 その人物は藍色のロングコートを着てフードを深くかぶっており、首にチョーカー、顔には黒い仮面を付け一人だけ異様な雰囲気を醸し出している。

 

「な、なぁあんた」

 

 そんな人物に一人の少年が声をかけた。

 

「……なんだ?」

「もしかして、去年のアルテミス優勝者”ゼロ”?」

「……ああ、私がゼロだ」

「やっぱり本物……!」

「すげえ!本物だ!!」

「サイン欲しい!」

 

 その言葉にさらに会場がざわめく。

 それも当然である。

 自分たちの目の前にいる人物が第二回アルテミスを優勝した正体不明のLBXプレイヤー”ゼロ”だというのが確定したのだから。

 

「な、なんでこの大会に?」

「この大会に参加するプレイヤー達と同じさ、アルテミスへの出場枠を勝ち取るためだよ」

 

 この大会に参加するプレイヤー達は優勝賞品のアルテミスへの出場枠を勝ち取るために参加しているだろう。

 勿論ゼロもそれのためにこの大会に参加している。

 

「君も出場するのか?」

「あ、ああ…」

「では、当たったときはよろしく頼むよ」

 

 そう言ってゼロはその場から立ち去った。

 ゼロ……いや”紅シキ”は人目の付かないところ着けていた仮面を外し、ため息をつく。

 

(思っていたよりも視線を集めるな……)

 

 ゼロとして参加するのだからこうなるだろうとは思ってはいたがここまでとは。

 周囲からの視線が思っていたよりも多い。

 

(まあ、こんな格好してるしな)

 

 服装に関しては前回の大会で着用していたものと変わらないが。

 今回、新しく仮面とチョーカーをつけている。

 この仮面は他の人から見ると何にも見えていないのでは、と思うだろうがこれには小型の内蔵カメラが付いており、これを通じて内側についているモニターで外が見えるようになっている。

 そしてこのチョーカーは一見普通のチョーカーに見えるがこれはチョーカー型の変声機でありこれを使って声を少し低くしている。(ちなみに去年は自分で声を低くして喋ってた)

 この二つはシキお手製である。

 なぜこの2つを新たに着けているかと言うと、身バレ防止のためである。

 前回は知り合いがアルテミスに出場していなかったが、今回のアルテミスではバン達が出る可能性もあるのでその時バレないためにも作った。

 

(まあ、まずはこの大会で優勝しなきゃな)

 

 仮面を付けなおす。

 そろそろ対戦相手の発表時間だ。

 俺、いや私は会場の広場に移動する。

 そしてトーナメント表が発表される。

 今回参加するのは32人。

 全31試合、2回勝てば準々決勝、その次が準決勝、最後

に決勝。

 

(私は一回戦、第一試合か……)

 

 開始は5分後、今のうちに機体の再チェックをしておくとしよう。

 

~~

 

『ただいまから、第一回戦、第一試合を開始いたします。選手は……』

 

 大会MCの指示に従い、指定されたバトルステージに着く。

 

「ゼロ!この戦い俺が勝たせてもらう!」

「ほう、言ってくれるじゃないか」

『Ready…─────』

「行け!ズール!!」

「デスサイズ!」

 

『─────…GO!!』

《 バトル スタート 》

 

 相手はズール、武器はブロードソードで左手に小型の盾トライアンギュラーを装備している。

 

「いけーーー!」

 

 ズールがこちらに向かってきて剣を振るう。

 それをデスサイズは最小限の動きで回避し続ける。

 

「くそっ!」

「その程度でこのガンダムデスサイズが倒せると思っていたのか?」

 

 振るわれた剣を避けリアスカートのビームサイズを展開して振るう。

 ズールは盾でガードするが盾ごと腕を斬り落とされ、急いでデスサイズから距離をとる。

 

「見るがいい、デスサイズの真の力を」

 

 デスサイズの姿が一瞬部れたかと思うと()()()()()()姿()()()()()()

「なに!」

 

 周囲を必死に探すズール。

 しかし見つからず手当たり次第に剣を振るうが空を切るだけ。

 デスサイズがズールの背後に現れビームサイズを振るい右腕を斬り落とし、バスターシールドを射出。

 バスターシールドはズールの胴体を貫通し破壊した。

 

『ズールブレイクオーバー。ゼロの勝利』

「対戦、感謝する」

(まずは1勝、この調子なら問題ないだろう)

 

 その後もビームサイズで敵を切り裂き、バスターシールドで貫いたりと。

 2回戦、準々決勝と順調に勝ち続け、準決勝。

 ……休憩時間中に何人かがサインが欲しいといってきたことには驚いたが。

 前にも言った通りこの大会の準決勝と決勝は機体を変えることが出来る。

 

(準決勝はお前に出てもらう。サンドロック)

『ただいまから、準決勝を開始いたします。選手は……』

 

 バトルフィールドに着く。

 どうやらジオラマは砂漠のようだ。

 サンドロックはこういったステージを想定して作った機体、このジオラマにはうってつけだ。

 

「ゼロ、ここであなたと戦えること光栄に思うわ。だけど勝つのはこの私よ!」

「できるものなら、やってみるといい」

『Ready…─────』

「クイーン!」

「サンドロック!」

『─────…GO!!』

 

《 バトル スタート 》

 

 バトルが開始すると同時にクイーンは距離をとり装備している機関銃でこちらを攻撃してくる。

 私はサンドロックのスラスターを吹かせて避けながらバルカンを放つ。

 命中はするが蚊がさした程度のダメージしか与えられない。

 

(さて、どうするか)

 

 回避し続けながら考える。

 相手は遠距離からこちらを狙ってくる。

 それに対してこちらは遠距離攻撃の手段がほとんどない。

 だが、打つ手がないわけじゃない

 

(まずは、相手の狙いをこちらから外す)

「このままいくよ!」

 

 飛んできたミサイルを回避して両肩のホーミングミサイルをロックオンし放つ。

 クイーンは狙いをミサイルに変え、撃ち落としその場に煙が舞う。

 その煙の中からサンドロックが飛び出してくる。

 

「っな!」

 

 相手はすぐさま防御しようとするが遅い。

 そのまま灼熱化させたヒートショーテルを振り下ろし。

 ショーテルはクイーンを斜めに斬り破壊した。

 

『クイーンブレイクオーバー。ゼロの勝利』

「対戦、感謝する」

「……こちらこそ対戦ありがとう」

 

 これで残りは決勝のみ。

 

(シェンロンお前の出番だ)

 

 決勝はシェンロンで戦う。

 決勝開始は10分後。

 それまでシェンロンのチェックをしておこう。

 

~~

 

 時間になり私は決勝戦が行われるバトルフィールドに来ている。

 

「決勝戦であなたと戦えること、とても嬉しいです。ですが勝つのは僕とこのウォーリアーです」

 

 相手のウォーリアーの武器は右手に槍の迅雷棍と左手に小型の円形の盾ライトバックラーを装備している。

 

「良い覚悟だ。こちらも全力で行かせてもらおう」

『Ready…─────』

「行くぞ!ウォーリアー!」

「シェンロン!」

『─────…GO!!』

 

《 バトル スタート 》

 

 開始と同時にウォーリアーとシェンロンがぶつかり合う。

 お互いに攻撃を防ぎ、防がれ一向に攻撃がヒットしない。

 ビームグレイブを盾で防がれてしまうため盾にはビームコーティングがしてあるようだ。

 

(なかなかやるな。ここまで勝ち上がってきたことはあるということか)

 

 しばらくぶつかった後、ウォーリアーが後ろへジャンプし距離をとる。

 そこへ右腕のドラゴンハングを展開し伸ばして相手を攻撃する。

 ドラゴンハングによる攻撃を盾で受けるが、クローが盾に突き刺さっており、縮めると同時に盾を奪い投げ捨てる。

 

「盾程度で!」

 

 ウォーリアーが槍を構え突っ込んでくる。

 

「甘いな!」

 

 それをシールドで受け跳ね飛ばし、ビームグレイブで袈裟斬りにしウォーリアーは爆発した。

 

『ウォーリアーブレイクオーバー。ゼロの勝利』

『よって、今大会優勝者はゼロ!』

 

 会場が沸き立つ。

 

「良いバトルだった。対戦、感謝する」

「……こちらこそ、ありがとうございました」

 

 握手する。

 

『ゼロには優勝賞金とLBX世界大会《アルテミス》の出場権が与えられます』

 

 これでアルテミスへ参加ができる。

 さて、今年はどんな猛者たちが参加するかな。

 

 

 俺たちは明日行われるアングラビシダスに向けて最後の特訓をおこなっていた。

 けど、何でか今日はミカの機嫌が少し悪いような……

 

「な、なぁミカ。なんかあったのか?」

「別に…」

「別にって、困り事なら何か力になれるかも知れないだろ?」

 

 そう聞くとミカはボソリと口を開いた。

 

「今日、シキいないから……」

「え?」

「たしか叔父さんのところに言ってるんだっけか?」

「うん……明日の夜まで帰ってこないって…」

「それで、少し落ち込んでたのね」

「じゃあアングラビシダスもシキ来れないのか」

「うん、申し訳ないって言ってた」

 

 そっか、少し残念だな。

 シキは俺の特訓にも付き合ってくれたし、大会も見に来てほしかったな……

 その時だった、CCMのネットニュースが流れてきたのだ。

 CCMへと送られてきたニュースにはLBXと書いてあり、すぐにニュースサイトへと飛ぶ。

 

「バン、何を見てるの?」

「隣町のLBX大会のニュースが出たみたい」

「マジかよ、どんなニュースだ?」

 

 そう言いながらカズとアミ、ミカが俺のCCMを覗き込む。映し出された記事の見出しにはこう書かれていた。

 

「『LBX大会○○○○、優勝者は第二回アルテミス優勝者ゼロ』……」

「え、ゼロ!」

「マジかよ!あの大会に出てたのか!」

「……本当だ、写真載ってる」

 

 そこにはゼロの姿と見たことのないLBXが3機写っていた。

 

「てことは、バンがアングラビシダスで優勝すればアルテミスでゼロとバトルできるかもしれないな」

「ゼロと……」

 

 アルテミスで……

 

「そのためにはまずアングラビシダスで優勝しないとね」

「よし!こうしちゃいられない!カズバトルしよう!」

「おう!いいぜ!」

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