ダンボール戦機白き翼   作:izuki

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第二十話 山野バンVS仙道ダイキ

 Bブロックの試合が始まった。

 1回戦、アミ、カズはともに順調に勝ち進み2回戦。

 アミの対戦相手は海道ジン。

 その戦いの決着は一瞬でついた。

 クノイチの先制攻撃をなんなく躱すとジ・エンペラーは素早い動きでクノイチの背後に回り込み無防備な背中に向けて、ハンマーの一撃をくらいブレイクオーバー。

 

(4秒18……こんなにもは早く決着がつくとは)

 

 五秒と掛からずに二回戦を終えて、特に満足した様子もなくステージを後にする海道ジン。

 

(海道ジン……戦ってみたいものだ)

 

 次の試合はAブロック準決勝。

 仙道ダイキとバンの試合。

 バンは前の試合で右腕を斬り落とされている。対して仙道ダイキは無傷で勝利している。

 相手は《箱の中の魔術師》だ簡単には勝てはしない。

 

(さて、どうするのかな。バンは)

 

 準決勝の開始が告げられるとバンと仙道ダイキがステージに姿を現しバトル開始の合図とともにDキューブ内の草原のフィールドに両者のLBXが降り立つ。

 

(ほう……なるほど)

 

 フィールドに降り立ったアキレスは右腕をハカイオーのモノに交換していた。

 あの時郷田はバンにハカイオーの右腕を渡していたのだろう。

 

《バトルスタート》

 

 バトル開始の合図とともにアキレスが先制攻撃を仕掛ける、しかしジョーカーは持ち前のジャンプ力を生かして易々と躱してみせた。

 だがジョーカーの立っていた場所には、大きな穴が穿たれていた。

 パワーのあるハカイオーの腕のおかげだろう。

 

(パワーは十分、だがそれには弱点がある)

 

 攻撃力が上昇している事を確信したのだろう。

 バンは畳み掛けるように攻撃を繰り出し始める。

 しかし、ジョーカーはアキレスが次々と繰り出す攻撃を、俊敏な動きで躱し続ける。

 この状況一見するとジョーカーが防戦一方に思えるだろうだが実際はそうではない。

 繰り出す攻撃の数々をジョーカーは軽々と躱し、一方のアキレスは、攻撃を繰り出す度に右方向に引っ張られるように重心が傾いてしまう。

 

(ハカイオーの右腕はパワーもあるがその分重量もある、それ故にアキレスの機体バランスが右へ傾いてしまう)

 

 バンもそれに気づきそのバランスの悪さを逆手に取り、重さを軸にランスを振るう。

 しかし、そんな攻撃も、ジョーカーは軽々と躱し今度はジョーカーがジョーカーズソウルを振るいアキレスは防戦一方となる。

 

(さっきまで躱すだけだったのはバンに攻撃が通用しないという事を思い知らせる為…ってとこか趣味が悪いな)

 

 ジョーカーは特有の俊敏性を生かしてアキレスを翻弄し始める。

 そして、突如跳躍した次の瞬間、空中のジョーカーが三機に分身した。

 

「始まったな」

 

 3機のジョーカーは、一斉にアキレス目掛けて攻撃を仕掛ける。

 アキレスはシールドを使い攻撃を防ぐものの全ての攻撃を防ぐ事は出来ず死角から繰り出される攻撃を受けてしまう。

 バンを見るにどうにかして本物のジョーカーを見分けようとしているようだ。

 バンは何か閃いたような顔をするとCCMを操作しアキレスランスを地面に突き刺し、そのまま地面をえぐるように回転させる事により土煙を発生させる。

 

(なるほど、砂煙から出てくるのは残像ではなく本物のジョーカーのみ、発想はいい。だがそれは無意味だ)

 

 予想通りに、1機のジョーカーが土煙を突き破りアキレスへと迫る。

 アキレスはそのジョーカーに対して攻撃を仕掛けるも、あえなく躱され、ジョーカーは土煙の向こうへと姿を消し横合いから別のジョーカーが土煙を突き破って飛び込みジョーカーズソウルを振るい、アキレスに手痛いダメージを負わせた。

 バンはそれに驚いた様子。

 そんなバンを他所にアキレスは3機の連携攻撃を防ぎきれず、じわじわダメージを受け続ける。

 もうLPも4割切っているだろう。

 ジョーカーがアキレスにとどめをさ刺そうとジョーカーソウルを振り上げる。

 その時バンのCCMが輝き変形しアキレスが黄金に輝く。

 

「これは……」

 

 あの時のエジプトとのバトルの際に発動した……

「Vモード…]

 

 ジョーカーは高く跳躍すると再び三機に分身し、三方からジョーカーズソウルの一撃をアキレスにお見舞いしようとした。

 だがアキレスはランスを振るい、発生した風圧によってジョーカーの分身ごと吹き飛ばし、フィールドの山に叩きつける。

 先ほどまでと同じ機体とは思えぬ変化に困惑する仙道ダイキ。

 一方のバンも、目の前の光景を目にして、困惑を隠せないでいた。

 そこには岩肌に叩きつけられた事で分身が解けたはずのジョーカーが、3機のまま存在している光景であった。

 

(ようやく気付いたか……)

 

 そう、ジョーカーは分身していたのではない()()()()3()()()()()()()()()()()のだ。

 3機同時操作など普通のプレイヤーでは不可能だ。ましてやそれを分身のように見せるために3機の絶妙な連携でそう見せていたのだ。

 本来であればこれはルール違反になるがここはルール無用の大会アングラビシダス違反にはならない。

 3機のジョーカーは再びアキレスへ攻撃を開始する。

 しかしアキレスはそれらの攻撃を防ぐと1機のジョーカーへ突きによる強烈な1撃を叩き込んだ。

 ジョーカーは怯まずアキレスに攻撃を仕掛ける。

 そしてまた同じ動作で反撃する。

 バンの方を見る。

 一見するとCCMの操作をしているように見えるが指の動きとアキレスの動きが連動していない。

 

(やはり、この時のアキレスはパワーとスピードが上昇している。だがコントロールができないという欠点がある)

 

 仙道ダイキもそれに気づいたのかジョーカーの攻撃が当たるようになってきた。

 アキレスはその場で膝をついてしまうそんなアキレスにジョーカーの更なる攻撃が加えられる。

 

《アタックファンクション》

《デスサイズハリケーン》

 

 ジョーカーはジョーカーズソウルから溢れ出る黒く輝く帯で螺旋を描きながら上昇し、黒く輝く巨大なハリケーンを生み出すとアキレス目掛けて放つ。

 アキレスはシールドを構えて何とか凌ごうとするが、デスサイズハリケーンの威力を前に吹き飛ばされ、近くの岩肌に打ち付けられる。

 

(ここまでか……)

 

 今度こそ止めを刺すべく最後の一撃をお見舞いしようとするジョーカー。

 これで終わりかと俺が思ったときアキレスの目が赤から黄色へ変わりジョーカーの攻撃を躱した。

 

「……躱しただと」

(先ほどまでの単調な動きではない、プレイヤー側、バンの意思を反映した動きをしている……コントロールできるようになったのか?だとしても何故急に……)

 

 まあとりあえず今は気にしないでおこう。

 もう一度ジョーカーはアキレスを取り囲み、一斉攻撃を仕掛ける。だがアキレスは高速の跳躍で回避、その後の連続攻撃も躱し続ける。

 

「対応出来なかったジョーカーの速度に追い付き、凌駕する動き」

 

 それはいい。

 だがそれだけでは勝てない。

 次の瞬間アキレスはジョーカー3機に背を向き、フィールド内にある山岳地帯へと走り出す。

 左右に聳え立つ岩肌、道幅の狭さからLBX1機がかろうじて通れる場所。後ろは壁で後ろへ逃げることはできない。

 そこにアキレスは逃げ込みジョーカーは、一列に並んで追いかけていた。

 

「!なるほど。そういうことか」

 

 バンが一本道なら1対1の状況を作れるという作戦で戦おうとしている。

 この場のほとんどの人物がそう思っただろう。

 そう読んだ仙道ダイキは三機のジョーカーは跳躍させ三方向から攻撃しようとする。

 すぐにアキレスは移動し、三機のジョーカーが直線上に重なる位置に移動すると。

 必殺ファンクションを放つ。

 

《アタックファンクション》

《ライトニングランス》

 

 アキレスの放ったライトニングランスは、ハカイオーの右腕でパワーが増大した事も相まって、直線上にいた3機のジョーカーを貫き、見事、三機同時に撃破を達成した。

 その光景に仙道ダイキは唖然とする。

 

(そう、最初からバンの狙いはこれだった)

 

 わざと自ら追い込まれ一対一の戦いに持ち込んだと思わせ飛び上がったところをライトニングランスでまとめて倒す。

 

「……見事だ」

 

 これができるやつはそういない。

 

(成長したなバン)

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