「そっか、バンが優勝したんだ」
『うん、すごいバトルだったよ』
アングラビシダス決勝戦が終わり会場を出た後。
人目を気にしながら路地裏に入り、そこにあらかじめ隠しておいたバッグから着替えを取り出してゼロの服装から着替えた。
まあ着替えたって言ってもコート脱いで仮面とチョーカーを外していつも着てるジップアップのパーカーに着替えただけなんだけどね。
その後は夜まで時間を潰すためにトキオシアデパートのゲームセンターで遊んでた。
そういやLBXの対戦ゲームがあったからやっていたんだけど、その対戦相手がものすっごく強かったな……結局10戦中3勝7敗という結果に終わってしまったけど、また対戦したいな。
名前聞いとくんだった。
そして今家に帰って来て風呂に入ってご飯食べた後、トールギスⅡの製作をしているときにミカから電話が掛ってきたためこうして通話しているわけです。
「海道ジンがイノベーターの刺客だのか」
『大会でアキレスを破壊することが目的だったみたい』
「なるほど、それで山野博士の居場所は分かったのか?」
『えっと……』
決勝戦が終わった後ジンから教えてもらった情報をもとに、宇崎さんがパソコンでその位置を特定する。
その場所はグレースヒルズの一角にそびえ立つ海道の屋敷…海道邸だったとのこと。
そして海道義光が黒幕だということが判明し海道ジンはその孫だということが分かった。
だが黒幕がわかったが 海道義光は政界の大物、その影響力は警察にも当然及んでいる。
イノベーターの仲間が警察に潜んでいないとも限らないため下手に動けない。
どうしたものかと悩んでいるところに石森里奈さんが現れ海道邸のデータが入ったUSBをわたしてくれたらしい。
その後、石森さんが侵入し手に入れた海道義光の屋敷の設計図を解析するべく、その解析を行える場所に移動することになりその道中で檜山さんことレックスが自分たちの関係について教えてくれたらしい。
聞くと、三人は元々タイニーオービット社の研究開発室で共に働いていたとの事、三人は当時在籍していた山野博士の助手を務めていたのだそうだ。
そして5年前の山野博士誘拐の際、同行していたレックスと石森さんは共に誘拐されたとの事。
そして、山野博士がイノベーターの研究所から逃走を図った際、レックスのみが逃走に成功したらしい。
その後宇崎さんが運転する車はトキオシアデパートのそのまま地下にある駐車場へと進み駐車場の一角に駐車すると。
車ごとエレベーターのごとく地下深くまで降下するとそこにはテロリスト対策組織、"シーカー"の基地に到着した。
そしてデータを解析し作戦の概略が説明され、決行日時と集合場所、更に細かな確認事項などを経て、海道邸潜入のブリーフィングが終わり、解散したらしい。
『潜入は明日の夜、放課後に集合』
「了解、潜入するのは俺達だけなのか?」
『ううん、私たち以外にも郷田先輩と郷田三人衆……あとリュウも一緒』
なんで少し間を開けた?
リュウがかわいそうだろやめてやれよ。
「潜入するのはまあいいんだけどミカはどうやって夜抜け出す気?俺は問題ないけどミカはお母さんにバレたらまずいと思うけど…」
『…………』
ミカが黙ってしまった。
そこまでは考えていなかったんだろう。
さてどうしたもんか……普通に言っても許してくれるわけないし、てか言えないし…………あっそうだ、いやけど、でもこれならごまかせるんだよな…………よし。
「ミカ、明日泊まりにこない?」
『……え?』
「いや、ほら俺の家に泊まるっていえばさ明日夜に出ても親には何も言われないしさ、あ、嫌だったら別にいい…」
『泊まる!』
俺の言葉をさえぎってミカが食い気味に答える。
『ちょっと待ってて!』
小走りに足音が聞こえる。
どうやら通話を切らずにミカのお母さんに許可を取りに行ったらしい。
「……あ~~~~~はっず」
明日のためとはいえ自分から泊まりに来ないか誘うなんて。
まあまだ許可がとれるかは分からないけど。
『…お待たせ、お母さん良いって』
「良いんだ、いや俺から言ったことなんだけど……」
『明日、よろしく』
「あ、うん。」
この後は明日のことを少し話した後通話を終えた。
さて、明日は海道邸に潜入する。
LBXでのバトルになることもあるかもしれないし今日中にこいつを仕上げよう。
翌日、ミカといつも通りに学校に登校し、いつも通りに授業を受け、今は昼休み。
俺達は屋上に集まっていた。
「今日、ジン来てなかったわね」
「来れるわけねーだろ」
「自分がイノベーターの黒幕の孫だって俺達は分かってるわけだからな」
「……ジン」
「それに、転校するって噂もあった」
俺たちにバレている状態は危険だと判断したのかも知れない。
「今夜海道邸に潜入するのね」
「乗りかかった船っていうにはヤバすぎる船だなぁ」
「あらカズ、降りるの?」
「んな訳ねぇだろ! ここまで来たんだ、最後まで付き合ってやるよ!」
「そうよね、そうこなくっちゃ!」
「むしろここで降りたらどういう神経してるんだって話だけどな」
「本当に」
そう言いあって少しふざける。
昼休みの終了を告げる予鈴が鳴り、シキ達は各々の教室に戻り午後の授業を終え迎えた放課後。
バン達は集合場所に向かうべく、先ずは準備を整える為に各々一目散に帰宅する。
シキはミカと一緒に家に帰りで必要なものをバッグに詰めていき準備を整える。
「これで、よし」
「終わった?」
「ごめん待たせた。じゃ行くか」
家を出て集合場所へ向かう。
俺たちが着くと既にバン達が集まっていた。
「おっせーぞシキ、ミカ」
「すいません、遅れました」
「いや、問題ない。むしろ時間より早く集まったな」
「よし、ではいくぞ」
宇崎さんを先頭に進み、予定どおりグレースヒルズのショッピングモールの広場まで来る。
「……しっかし、どう見ても単なる広場だよなぁ」
「里奈さん、どこに隠し扉があるんですか?」
「ここよ」
石森さんが中央噴水の地面のスイッチを押す。
すると床の一部がスライドして開きそこに地下へと進む階段が現れた。
「よし、ここからは予定どおり別行動だ、バン、アミ、カズ、ミカ、シキは北の地下水道を進むルート。郷田、リコ、ギンジ、テツオ、リュウは南側の地下水道を進むルートだ」
「俺と里奈そしてレックスは電気系統の制圧をおこなう」
「了解」
「よおし、行こうぜ!」
俺たちは階段を下りチームに分かれて地下水路を進んで行く。
やっぱ地下水路なだけあって少し匂うな。
「気味悪ところね。何か出そうだわ」
「そうだな、なんか出る前にさっさと行こう」
そのまま順調に進んで行き海道邸内部に難なく侵入成功。
「こちらバン、内部に侵入しました」
『こっちもだぜ』
『よし、バン達はそのまま居住区の入り口に向かってくれ郷田達はセキュリティールームへ』
「了解」
カズを先頭に設計図から作り出したルートを頼りに進んでいく。
「ここを右だ…」
カズが角を右に曲がると何かにぶつかってしまう。
顔を上げるとそこにはサングラスをかけたスーツ姿の人。
前を見ていなかったカズは警備の人員に正面衝突。
すぐにつかまってしまう。
「構うな、俺を置いて先に行け!……やっぱ助けてぇ!」
威勢よく叫ぶカズだが警備に睨み付けられてすぐに心が折れる。
バンとシキは警備の脛に蹴りを入れてカズを救出、そのまま逃げ出す。
「バカ!地図だけじゃなくて前も見ろ!」
「ごめん!」
ワラワラと出てくる警備たちから逃げ。
逃げている最中に見つけた大きな扉を開けて中に入り追っ手を撒き安心する。
「なんとか撒けたな」
「カズ、気を付けて」
「それにしてもこの部屋は一体……」
広い部屋で内装は和と洋が混ざり合った独特のセンスが光り、部屋の中央にはDキューブが設置されている。
「待っていたよ。山野バン君」
声をした方を向く。
そこには海道ジンが立ち塞がっていた。