「海道ジン!」
「ここ、あいつの部屋だったのかよ」
「随分大きな扉だと思ったらそういうことか」
よりにもよってこいつの部屋か。
無駄に広いしよくわからないデザインしてるな。
「山野バン君、アングラビシダスでの決着をつけよう」
「え?」
そう言って海道ジンは懐から自身のLBXであるエンペラーを取り出す。
「戦え、この強化した”エンペラーM2”と」
以前のエンペラーはアングラビシダス決勝戦でバンのアキレスとの戦いで海道ジンの操作に内部CPUがオーバーヒートしてしまいバンの勝利に終わったが、戦いの決着がついたわけではない。
その決着をつけたいのだろう。
「辞めろバン、バトルしてる間に警備員呼ばれるぞ」
「先を急ぐべき」
そうだ、今は侵入作戦の最中。
ここでLBXバトルに応じればカズの言う通りバトル中に警備員を呼ばれるかもしれない。
「お待ちください!今通報すればこの袋小路、なす術失く捕まりますよ」
後ろから白髪の老人、海道ジンの執事さんが出てきてそう告げる。
「なるほどそう来たか、バトルに応じれば通報はしないと?」
「そうだ」
厄介なことになったな。
先を急ぎたいがここで断ればすぐにここへ警備員がくるだろう。
「しょうがないかバン、バトルしてやれ」
「でも……」
「父親に会いたいのだろう?」
「!」
「バトルさえすれば後は好きにすればいい……どうする?」
バンは少しの逡巡の後。
「わかった。受けて立つ!」
俺たちは部屋の中心にあるバトルフィールドに移動しバンと海道ジンは互いにLBXを構える。
「Ready…───」
「エンペラーM2!」
「行くぞ、アキレス!」
執事さんの合図でお互いにLBXをDキューブ内にに投下。
以前と同じジオラマは城砦。
バトルが始まる。
最初に動いたのはエンペラーだった。
真っすぐアキレスの方へ向かってくる。
それに合わせてアキレスはランスによる突きを放つが高速移動で躱され背後から蹴りを受けてしまう。
その後も繰り出されるエンペラーの高速移動を交えた攻撃を何とかシールドで受けて反撃するが躱されてまた攻撃が繰り出される。
その攻撃をアキレスは防ぐことしかできない。
「相変わらずなんて速さだ……」
「エンペラーM2の反応も前より上がってるわ」
アミの言う通り、強化したというだけあって以前よりも反応速度が良くなっている。
それに海道ジンの操作についていけていない感じはしない。
「っく」
「このエンペラーM2はCPUを入れ替えてある。最高クラスのものにな」
「っ!最高クラス」
「アングラビシダスの時のように操作スピードについていけずシステムエラーが出ることはない。つまりこの勝負、僕が勝つ!」
「ならこれだ!」
《アドバンスドVモード》
バンはVモードを発動させエンペラーに向かっていく。
「行けー!」
アキレスはランスによる攻撃をエンペラーに繰り出すが全てハンマーで防ぎ。
突きの攻撃をバク転で躱し着地。
懐に飛び込み左腕によるアッパーで浮かせ蹴りで吹き飛ばす。
「ああ!」
何とか体勢を立て直すがすぐさまエンペラーの攻撃が襲い掛かる。
「CPUを変えただけでこんなに違うのかよ…」
「もともとの操作テクニックの高さも相まってさらに強くなってる」
アキレスはVモードの機動力を生かし城壁へ登り走る。
エンペラーもそれに並走して追い抜かしジャンプしてアキレスの前に着地する。
「Vモードのスピードを上回るなんて……」
エンペラーの攻撃にアキレスが吹き飛ばされる。
そこにすかさずエンペラーがハンマーを振り下ろす。
それをシールドで受ける。
「なんてスピードとパワーなんだ」
アキレスはエンペラーの攻撃を防ぐことしかできず防戦一方になる。
そしてVモードも制限時間を迎えてしまう。
「これで終わりだ」
エンペラーが必殺ファンクションの構えを取る。
「こっちだって!」
アキレスも必殺ファンクションの構えを取る。
お互いに必殺ファンクションの打ち合いになると思ったその時。
「見つけたぞ!」
部屋の扉が勢いよく開けられ警備員がなだれ込んでくる。
「ヤバッ逃げるぞバン!」
「こっちだ!」
バンはアキレスを回収し俺たちは逃げ始る。
しばらく走り撒くことが出来た。
「なんとか撒けたな……」
「ああ、まったくこんなことはもうごめんだぜ」
「急ぎましょう、早くバンのお父さんを助けないと」
俺たちは再び地図の場所に向かう。
地図通りに進んで行くが進んで行くととてつもなく大きな扉がある場所に着いた。
「…本当にここ?」
「さっきの事例があるから心配になるな」
俺とミカがそう言う
「だけど地図ではここだぜ」
「とりあえず入ってみましょう」
「うん」
バンを先頭に扉を開けて中に入る。
中は暗く電気がついていないがとても広い部屋だということが分かる。
「…父さん?父さん?」
「ふふふっ…」
「誰、父さんなの?」
真っ暗な部屋の中。
何者かの笑い声が響き渡る。
俺はそれに警戒を強める。
部屋の電気が付き俺たちの目の前に声の主が姿を表す。
そこにいたのは敵の首魁、海道義光の姿だった。
「待ちかねたぞ」
「海道義光!」
「今日は居ないんじゃなかったの?」
俺たちは海道義光がいない今日を狙って潜入しただが今ここに海道義光は居る。
情報が間違っていたのか、それとも…………
「父さんを返せ!」
「父親に会いたいか、良いだろう。ただし」
俺たちの前のシミ一つない白のテーブルクロスがかけられたテーブルの上に降り立った白銀のLBX。
鎧を彷彿とさせる装甲、頭頂部の三日月を模した頭飾り、手に持つ剣、背面の日輪の様なブースターユニット。
まるで日輪を背に佇む侍の如く外観、そして醸し出すその雰囲気は、異様な迫力。
その見た目からは従来のLBXとは一線を画す機体であると見てわかる。
「"月光丸"、このLBXに勝てたのなら、父親を返してやろう」
月光丸はその異様な迫力を持ちながら佇む。
「どうした? 山野バン。君達の得意なLBXバトルで勝てれば、父親を返してやると言っているのだ。異論はあるまい?」
「バン、これは罠だ……」
「そうよ。バン、ここは一旦退いてから……」
「やってやるさ! いくぞアキレス!!」
カズとアミの制止を振り切り、バンは月光丸とのバトルに臨むべく、テーブルの上にアキレスを降り立たせる。
「5人一緒でも構わんぞ」
「なら遠慮なく。トールギスⅡ!」
「アマゾネス」
「ハンター!」
「クノイチ!」
余裕の態度の海道義光にシキたちもLBXを投入。状況は4対1となった。圧倒的、有利な状況。
それでも海道義光は余裕そうな態度を崩さない。
それにシキは警戒を強める。
先行してアキレスとクノイチが突撃し連続攻撃を仕掛けるがそれを軽々と躱され。
攻撃を跳躍で避けた月光丸の着地の瞬間をハンターが狙い撃つが当然のように避けられ、更にはその避けた先に向けてトールギスⅡのドーバーガンを撃つが手に持つ剣でによって切り払われる。
「ちぃ!」
トールギスⅡはバーニアを吹かせて急接近しヒートサーベルで斬りかかる。
しかし剣で受け止められる。
逆に押し返され斬りかかってくる。
それをバーニアを吹かせて後ろへ飛ぶことで躱すが少しかすってしまった。
(早い)
距離を取って様子を見る。
「それで終わりかね? では、こちらからいくぞ」
《アタックファンクション》
《
月光丸は手にした剣を構えると、エネルギーを集約させる。
そして次の瞬間、剣を振るうと、集約させたエネルギーを斬撃として繰り出した。
三つの強力な斬激が周囲を囲んでいたシキたちに襲いかかる。
防御手段を持たないアマゾネス、クノイチ、ハンターはなす術もなく斬撃を受けてしまう。
クノイチとハンターは片脚と片腕を失い機能を停止。
アマゾネスは胴体が切り裂かれ破壊されてしまった。
アキレスは間一髪の所でアキレスシールドを構えた事により直撃は免れたものの多大なダメージを負ってしまった。
トールギスⅡはシールドとサーベルで防御した。
ダメージこそ負ったもののアキレスほどではない、戦闘は可能だ。
「ほぉ、あれを耐えたのか」
「まだ!」
「無理するなバンそんな機体の状態じゃ無理だ」
「くっ!」
「面白い来るがいい」
「ああ、そうさせてもらう!」
先ほどの攻撃で使い物にならなくなったシールドを捨てヒートサーベルを構えてバーニアを吹かして突撃する。
トールギスⅡと月光丸の剣がぶつかり合う。
最速で駆けるトールギスⅡは月光丸に肉薄、切り結ぶが次第に押され始める。
「パワーが負けている?!」
距離を取りすぐさまバーニアを吹かせて上昇し空中からドーバ―ガンを連射するが。
それらもすべて躱される。
急降下しヒートサーベルを月光丸に振り下ろす。
勢いをつけた一撃であったにも関わずそれも簡単に受け止められてしまう。
「チィッ!」
「これで終わりだ」
月光丸に押し返される。
《アタックファンクション》
《
トールギスⅡに再び3つの斬撃が襲う。
避け切れずに左足と右腕を斬り落とされ機能停止した。