2026/08/12 全体的に大幅な加筆・修正を行い再投稿しました。
「………結局、また夜更かししてしまった……」
昨夜は家に帰った後、今日使う機体の調整と設計途中の新機体モデリングに熱中してしまい、気がつけば時計の針は午前0時を回っていた。
そこからキリのいいところまで進めて眠りについたのは、午前2時を過ぎた頃だったと思う。
幸いだったのは、バンたちとの約束が昼過ぎからだったことだ。
おかげで午前中はベットに倒れこむように眠った。
今は、隣を歩くミカと一緒にキタジマへと向かっている。
「新しいLBXできたの?」
並んで歩く道すがら、ミカが不意にこちらを見上げて訊ねてきた。
「いや、まだ設計の途中だよ。急にどうした?」
「……なんとなく、気になっただけ。じゃあ、今日もトールギス?」
「うん。でも、私の設計図もそろそろ完成しそう」
「本当? 完成したらバトルしよう」
「うん、約束」
そんな他愛のない会話を交わしながら歩いているうちに、見慣れたキタジマ模型店の看板が見えてきた。
自動ドアをくぐると、すでに集まっていた面々が出迎えてくれる。
「お待たせ」
「おう、遅かったな」
声をかけてきたのは、友人のカズこと青島カズヤと、川村アミの二人だ。
「あれバンは?」
「それがまだなんだよ」
珍しいこともあるもんだ。と思っていると、勢いよく店のドアが開いた。
「遅れてごめん。さぁ、やろうぜ!」
「珍しいな。遅れてくるなんて」
息を切らせて駆け込んできたバンは、抱えていたカバンから一冊の雑誌を取り出した。
「ごめん、ごめん、今週のLマガ今日が発売日だったから」
「しまった、今日発売日だったっけ」
カズが悔しそうに声をあげる。
そんな賑やかな声を聞きつけて、店の奥から二人の男女が姿を現した。
店長の北島小次郎さんと、その奥さんの沙希さんだ。
「バン、シキ、ミカ、いらっしゃい」
「今日は、ちょっと遅かったな」
「「店長、沙希さん。こんにちは」」
明るく声をかけた2人に対しバンとシキも元気良く返事をする。
俺たちはこの店の常連で、放課後や休日は大抵ここに居浸っているため、店長たちとも仲が良い。
「バンたちも揃ったことだし、お前たちにいいモノを見せてやるぜ」
「ふふ、面白いものが入荷したのよ」
店長と沙希さんの思わせぶりな言葉に誘われ、俺たちはカウンターの周りに集まった。
「見ろ。今日入荷した新型だ」
ドン、と店長がカウンターに置いたのは、一つのLBXのパッケージだった。
「うわっ……! すっげえ――!!」
バンの目が一瞬で輝く。
パッケージには白を基調とした西洋の騎士を思わせる洗練されたデザインのLBXが描かれており、片手には巨大なランス、もう片手には強固な盾を構えており、そのビジュアルは文句なしに格好いい。
パッケージの箱を丁寧に開けて中を覗き込むと、そこには精緻なパーツがびっしりと並んでいた。
「白いLBXか!イケてんじゃん!」
「名前は……『アキレス』? ギリシャ神話の英雄アキレウスから取ったのかな」
「アキレス……!」
バンがその名前を、何かに取り憑かれたように呟く。
よほどこのLBXを気に入ったらしい。
「これ、アーマーフレームだけのパッケージ」
「あ、ほんとだコアスケルトンが無いと使えないな」
「でも、デザインは本当に素敵じゃない」
一般的なLBXは骨格である『コアスケルトン』と装甲である『アーマーフレーム』一式がセットになっていることが多い。
だが、これはアーマーフレームのみ。
つまり、自分でコアスケルトンを自分で用意して組み上げる、経験者や上級者向けのLBXということになる。
「タイニーオービット製かぁ。でもコレ、今週のLマガの新製品情報に載ってなかったけど……なんで?」
「そうなんだよ。妙なんだ。問屋から新製品だと送られてきたんだが、どのカタログにも載ってないんだ」
バンの疑問に店長も首を傾げている。
それは妙だ、あのタイニーオービットが新製品の告知もなしに市場に流すだろうか?
「じゃあ、超レアものってことかな?すっげーっ!ほしいーっ!」
普通なら出所を疑うところだが、バンのテンションは天井知らずに跳ね上がっていた。
本当にLBXが大好きな奴だ。
「無理無理、どうせお前の財布事情じゃ買えないし。母ちゃんがLBXやるの許してくれないだろ?」
カズの容赦ない突っ込みに、バンが分かりやすくガックリと肩を落とす。
そうなのである。バンのお母さんは、バンがLBXを持つのを許してくれないのである。
だからバンはいつも、店長から貸し出されているLBXを使っている。
「そうなんだよなぁ……でも近いうちに手に入れてやる!」
「健闘を祈るぜ」
「じゃあ、そろそろやろうか。LBXバトル」
「おう!」
俺の促しで、全員がキタジマに来た本来の目的を思い出す。
店内に設置された、強化ダンボール製のバトルフィールドの周囲に全員集まる。
最初はカズ対バン。
カズのLBXは、『ウォーリア』。
バンは店から貸し出されている『ムシャ』。
「いいかルールはスタンダードレギュレーションだ」
「わかってるさ。フィニッシュは、破壊なしだな」
「了解。バン!今日の勝負は俺がいただくぜ」
「へっこっちだって負けないさ」
「じゃあ始めるぞ」
「「おう!」」
数分後、フィールド上でエフェクトが光り、勝負が決した。
「やったぁ!勝ちい!」
バンの見事なCCM捌きにより、ムシャがウォーリアを撃破。
これでバンの3連勝だ。
「まったく、借り物のLBXのくせに相変わらず、つえーな」
「そりゃ、俺が貸しているマシンは、チューニングも最高だからな」
「そうそう」
「酷いなぁ、マシンの性能だけで勝ってるみたいに俺だってちゃんと作戦を練ってやってるんだよ」
「それは自分の機体を買って、それで戦ってからだな」
「そうなんだよなぁ…」
カズの正論に返す言葉もなく、バンはうなだれる。
まぁ、こればかりは家庭の事情だから、俺たち外野がどうこう出来る問題じゃない。
「マシン性能を抜きにしてもバンは、結構強いと思うけどな」
「シキだけだよ分かってくれるのは」
あはは……
「ミカ、次やらないか?」
「うん、いいよ」
カズとバンと入れ替わるようにしてフィールドの前に立つ。
ミカは、『アマゾネス』。
俺は、自分でつっくた白を基調とした巨大バーニアを背負った機体『トールギス』。
それぞれのLBXがフィールドに降り立つ。
「じゃあ、いくよ。バトルスタート!」
アミの合図と同時に、ミカのアマゾネスが鋭い踏み込みで突っ込んでくる。
俺はその槍撃を紙一重で回避。直後、スラスターを瞬間的に噴射させ、後方へと高速で距離を取った。
「シキのトールギス、やっぱり動きが速い……!」
バンの感嘆の声を背に、俺は間髪入れずにドーバーガンを構えて引き金を引く。
放たれた砲撃はミカの見事なステップで回避されたが、距離のアドバンテージはこちらにある。
続けて二発、三発と砲撃を浴びせるが、すべてを避けて接近してきた。
さすが、『ストライダーフレーム』故の高機動性とそれを活かす操作テクだ。
その鋭い突きを左腕のシールドで受ける。
重々しい音を立てて防ぎつつ、空いた右手でシールド裏面にマウントしていたビームサーベルを抜刀。振り下ろす。
槍と光の刃が激突し、激しい火花を散らしながらつば競り合いになった。
しかし、パワーはこちらが上だ。トールギスがじわじわとアマゾネスを押し込んでいく。
それを見たミカは、すぐに引かせようとするがそこに合わせてその瞬間を逃さず、背部のバーニアを全開にして突撃した。
強烈な衝撃を受け、アマゾネスの体勢が大きくよろめく。
そのすきを逃さず、サーベルを捨ててスラスターをすべて噴かせて上空へ飛ぶ。
空中から見下ろす形でドーバーガンを構え、狙いを定めた。
「終わりだ」
よろめいた状態のアマゾネスに、避ける術はない。
上空からの砲撃が直撃し、アマゾネスがブレイクオーバー。
俺が勝った。
「ふう……なんとか勝てたな」
「負けた……」
CCMを仕舞いながら、ミカが少しだけ頬を膨らませて不貞腐れている。
なんかごめん。
「にしても、シキもやっぱり強いよなぁ」
「本当に。それにしても自作なのに凄い完成度よね、シキの機体。プロ顔負けじゃない」
アミがトールギスを覗き込むようにして絶賛してくれる。
「幼い頃から、父さんに機械いじりやプログラミングを叩き込まれてたから。それに……どうせ作るなら、自分が一番納得できるものにしたいしな」
俺の言葉に、ミカは何かを思うように静かにトールギスを見つめていた。
その後も、互いにアドバイスを出し合いながら何度もバトルを繰り返しているうちに、気づけば外の景色はすっかり綺麗な夕焼け色に染まっていた。
「あ、もうこんな時間か。続きはまた今度だな」
「じゃあな、俺寄るとこあるから」
「じゃあまた明日」
「シキ、帰ろ」
「ああ。じゃあバン。また明日」
「ああ、また明日」
キタジマを後にし、それぞれの家路につく。
夕暮れの街をミカと並んで歩きながら、今日の晩飯は何にしようかと冷蔵庫の中身を思い出していると、隣を歩くミカがふと口を開いた。
「ねえ、シキ。……今日、ウチでご飯食べていかない?」
思わぬ提案に、足を止める。
一人暮らしの身としては正直めちゃくちゃ有り難い申し出だ。
だけど……
「申し訳ないしいいよ。それに急に行っても迷惑でしょ」
「お母さんは、良いって。何なら、何が何でも連れてきてって」
「あはは……じゃあ、お言葉に甘えてご馳走になろうかな」
「うん」
ミカが嬉しそうに、小さく口元を緩める。
その後は言葉通り、ミカの家で温かい晩御飯をご馳走になった。
ミカのお母さんは相変わらず優しくて、「最近ちゃんとご飯食べてる?」とか「寂しいことがあったら、いつでも来なさいね」と、実の息子のようにあれこれと心配してくれた。
すっかり夜になった頃、俺はミカの家の玄関先で靴を履いた。
「じゃあミカ、おばさんにもよろしく。また明日な」
「うん。…………ねえ、シキ」
ドアを閉めようとしたミカがふと動きを止め、俯きがちに声を紡ぐ。
「……シキは、寂しくないの?」
――その言葉を、他人から向けられたのは、本当に久しぶりのことだった。
思い返す。両親を亡くし、誰もいない暗い家に一人で帰る生活。
俺は優しく微笑んで、一歩歩み寄ると彼女の柔らかい髪に手を置いた。
「寂しくないよ。だって、ミカがいてくれるから」
ポンポン、と子供をあやすように優しくその頭を撫でる。
すると、ミカは一瞬で耳の裏まで真っ赤に染め上げ、普段のクールさからは想像もつかないほど激しく動揺した。
「そ、そう……っ! じゃ、じゃあ、またね!」
早口で別れの挨拶を告げると、ミカは勢いよくバタン!とドアを閉めて家の中に逃げ込んでしまった。
「……あはは、可愛いな」
静まり返った夜道に、ぽつりと独り言が漏れる。
ここ最近は徹夜続きで頭も疲れていた。今日は余計な作業を切り上げて、早く眠ろう。
シキは静かに自分の家へと歩き出すのだった。
ミカがガンダムを使うならどれがいい?(これからの物語に影響があるかもしれない)
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ガンダムデスサイサズ
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ガンダムヘビーアームズ
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ガンダムサンドロック
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シェンロンガンダム
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アマゾネスのままでいい