『私はね、2人とも。この黄金が好きなのです』
崖先に立ち、同行者の2人に向かって高らかに言う彼女。彼女の頭部からは、先端が2人に向かって湾曲して伸びている角と、紫色のヘイローがある。朝焼けの光が全てを照らし、彼女の黄色の髪から黄金の煌めきを引き出していた。
木の葉が揺れ歌うほどの風が吹く中、彼女は同行者の2人に歩み寄り手を伸ばす。
『そして黄金が消え、純白で世界が覆われ、新緑が芽吹き、育ち、また新たな黄金が生まれる。私はそれが好きでたまりません。しかしその価値を理解しない愚か者が、この世界にはごまんといる。ですので2人とも、どうか私に力を貸してほしい』
『具体的には、どうするつもり?』
細んだ目、黒髪に三日月のように沿った銀色の角と、緑を帯びた黒色のヘイローを携えた同行者の1人が、崖先に立つ彼女へそのように訊ねた。 未だ学生である身の上で、何を為すのか。彼女は視線を崖下の景色に移し、その問いを答える。
『環境保全運動を行うための組織、第1の目標として連合学院の環境・景観保全委員会への所属を目指し、私たちなりの活動を行います。そのための実績作りとして、今から私は組織を作ります。まずは百鬼夜行連合学院自治区全ての環境に着手する規模にまで』
『……本気?』
『今の私が嘘をつくような人に見えますか?』
『そうじゃない。今言ったことの意味を本気で理解してるの? それはもう学生活動の領域を越えて、自治区の支配者として君臨する事を──』
『無論、
同行者に見向きもせずに、彼女はそう言ってのける。
『この景色を守るためなら、
『出た出た、マオのいつものが。こうなってはもう止められないぞ、ウラ?』
3人の中で誰よりも大きい体に、1本の黒い角、歪な形をした橙色のヘイロー、そして褐色肌の同行者の1人が、隣に居る彼女に向けてそう言った。
呆れて溜め息をつく、ウラと呼ばれた同行者の1人は頬杖をついたが、すぐに頬杖を止めてマオと呼ばれた彼女に訊ねる。
『それで? ボクらに何をしてほしいの?』
『私は他組織の上層部と交渉し、組合への加入を促します。ウラ、貴女のその商才を見込んで、暫くは財務管理や事業計画を担当してください。アクロは組織の賛同者を集めるために民衆の扇動、組合の人員管理などをお願いします』
『って、ボクの負担大きくないそれさぁ!?』
『それについては、あくまでウラを中心に進めていく方針です。暫くは貴女に負担が集中し過ぎないようにしますから。それと、私たち3人が居なくても回るようになったら、今度は2人に事業を展開してほしいのですが』
『オレは何の事業をすればいいのだ?』
『アクロは人材派遣などのサービス業を。ウラは家業を継いでもらってくれると助かります。どうせなら規模を広げてこの自治区を嬉しい悲鳴で埋め尽くしましょう』
『ウッハッハッハッ! デカく広く! 良いじゃないか、なら行くところまで行こうや! キヴォトス全土とかな!』
『おや、ならそう動いてみましょうか』
『あぁもう、まだ始まってもないのにこの馬鹿共は!』
気安い仲であろう雰囲気から広がっていく、キヴォトス全土を巻き込もうと計画している話が、黄金を見下ろすことのできる崖という場所で行われた。
そんな会話も今や昔、時が過ぎ去って3人は成長していき、気が付けば────この3人は百鬼夜行連合学院自治区の実質的な支配者のような立ち位置にまで登りつめていた。
これは
とある3人の学生が起こした波乱万丈の珍道中のストーリーである。
はい、またなんです。
つい最近にブルアカ始めまして、こういうの書きたいと思って出しました。
失踪しそうなので、短編という形で残させてもらいます。
では、またの機会に。