ブルアカの世界に転生した一般的日本人が極道をやる話 作:任侠的かちゅーしゃ
ブルーアーカイブ、略してブルアカ。
俺が死ぬ前によく遊んでいたゲームだ。
今の状況と頭の上の輪...ヘイローから察するに俺はブルアカの世界に生徒として転生してしまった。
これは俺にとって処刑宣告に等しかった。
ブルアカのストーリーが単なる青春モノであればよかったのだが、そうは問屋が下さない。
ブルアカのストーリーはバタフライ効果が根底にあるレベルに不安定で、少しの言葉や行動が命取りになりかねない。
原作ではこの綱渡り的ストーリーをプレイヤー、つまり先生がうまく動かし良い方向に導いていたが、本来ブルアカに存在しない俺が転生してしまった時点で先生がうまくやる幻想は期待できないものとなってしまった。
俺はブルアカのストーリーがバッドエンドに終わるのも、キヴォトスの終焉も、生徒たちの苦悶もどれもお断りだ。
じゃあどうする?
答えは一つ。
「俺がゴリ押しでブルアカ維持してやる!...っ!?」ビクッ
やっぱり俺の口から女の声が出るのはインパクトが強い。
言ってみたはいいものの、やることは多い。
まずバタフライ効果のバタフライの座を先生から穏健に、できれば秘密裏に奪い取らなければならない。
これに成功しても蝶が羽ばたきを原子単位で制御できないように、不確実性は大きいままだ。
これを打開するために俺が考えたのは組織的行動。
いくらストーリーを知っていても俺一人でうまくやれるとは思えないので、有能な人材を集めて組織で動き確実に良い方向に導く。
こう考えると俺がやろうとしてること、
ただ確実に違うのは俺が未来を知っていることだ。
きっとうまくできる。
自信と共に俺は立ち上がった。
しかし兎に角情報が少なすぎる。
今はストーリー上のどのタイミングだ?
そもそもここはキヴォトスのどこだ?
俺の身体の名前は?所属校は?
ダメだ、全くわからない。
スマホを見てみる。
ネットを漁ってもシャーレに関する情報は全くない。
と言うことは今はストーリー開始前か?
ブルアカのストーリーは綱渡りすぎるのでストーリー開始前と開始後じゃこれからの自由度に雲泥の差が出てしまう。
しかしストーリー開始前という事はかなり都合良く動ける。
安堵しながらスマホをスリープしてさらに情報を集める。
今は夏休みにあたる期間らしい。
初日から女子校送りは流石に厳しいのでこれは助かった...
しばらく部屋の中をうろついていると学生証を発見。
この身体の名前は時瀬ルカと言うらしい。
そして所属校は俺の想定の中でかなり壊滅的な結果だった。
まさかの
高校1年で、お得意のスマホリサーチ力によると某ミカと同級生。
つまり今はブルアカ原作開始の2年前。
もちろん俺はお嬢様の心得は知らないし、穏やかなはずのトリニティでゴツいM2ブローニングを持ち歩くのは自殺行為でしかない。
幸いサブマシンガンがある上に銃よりも人が危険な匂いしかしてない某正義実現委員会委員長もいるのでなんとかなりそうではあるが。
ただ組織的なストーリー操作を行うこの先、トリニティの政争や陰湿さは利用できる期待性はある。
しかし組織を作り、人材を集めるのなら知名度とティーパーティーなど既存勢力にも対抗できる戦力が必要だ。
トリニティに合わず、キヴォトスにないインパクトと、リーダーたる俺の
思わぬ妙案は俺の意思を即座に固めた。
極道をやろう。
そう、ヤクザだ。
キヴォトスにヤクザなんて聞いたことがないし、これはうまくいく。
そうと決まればまずは俺の武力を高めねば。
極道で強さは地位に直結する。
何故か当然のように30kg以上はある愛銃を持ち上げられてしまった。
もう一丁「オレを連装にしてくれ!」と言わんばかりの雰囲気を出す重機関銃がいたが、無視して家を出た。
某ミカがゴリラと呼ばれるのは不当だと気づいた。
だって、みんなゴリラパワーだもの。
射撃場に着くと、俺は愛銃を構えて、全身の力を込める感じで固定する。
そして的に照準を合わせ、初めての実銃射撃に高まる期待感の中、引き金を
引いた。
ドドドドドドドドドドドドド
凄まじい轟音が耳を劈く。
そして激しい反動と煙。
アメリカの特殊部隊ですらこんなものを手持ちで撃つことはできないだろう。
やはりキヴォトス人は化け物であると言うことを再認識させられてしまった。
手に熱を感じ、オーバーヒートしたのかと慌てて引き金から指を離し、煙が晴れたころには的は跡形もなくなっていた。
.50cal弾、怖い...
それから俺は1,2週間ほどM2ブローニングを移動目標にぶっ放したり、色々修行した。
連装も試した。
流石に2丁の射撃タイミングを同じにすると反動がまずいので、ずらして射撃間隔が短くなった連射のような感じで撃って慣れた。
その間に俺はキヴォトスの家で別の意味での修行も行う羽目になった。
今は自分の身体とはいえ、風呂の時の裸やトイレは堪えるものがあったな。
そんなこんなで振り返っていると、あと2日で夏休みが終わってしまうことに気づいた。
どうせ何かしら外出に誘われると見た俺は私服があるかどうかも確認しておいた。
結果としてはちゃんとあった、ただ、如何にも女の子らしい箪笥の中身を見て、やっぱり心に来て1人で勝手に悶々としていたのだった。
明日がもう登校日だ。
「私は時瀬ルカ、トリニティ総合学園に通う高校1年生...」
「うぬぬ...///」カァァァ
バチバチの女子校にぶち込まれて銃の訓練だけでまともにやっていける訳がないので、女の子の言葉遣いもいくらか練習した。
やっぱり恥ずかしすぎる。
もうぶっちゃけてしまおうと思う。
転生してまだ2週間だぞ!?
元は男の大人だぞ!?!?
いきなり現役JKでお嬢様学校にぶち込まれんの!?!?!?
キツすぎ!神がいるなら俺めっちゃ神に嫌われてる!!!
胸の内を吐き出しても現実は変わらない。
明日から俺は
しかも2年前とはいえ原作のメイン級キャラの聖園ミカまで絡んでくる始末。なんか名前似てる。めんどくさいことになりそうな予感。
この苦しい中で頑張って極道を立ち上げる必要がある。
いっそ開き直って某正実委員長のようにやばさ剥き出しで極道ノリノリで立ち上げてしまうべきか?
しかしそんなことをしてしまえば地位の固まっていない俺がトリカスの餌食になるのは必至、あくまでも時瀬ルカとしてうまく立ち回りながら極道を作りヤクザの道を征く必要がある。
俺は明日からの日々に底知れぬ憂鬱感を感じながら溜息をついたのだった。
神秘の時計は時を刻み続ける、そう、破滅へのタイムリミットを。午前0時を迎えればそれは破滅を意味する。
have a nice morning.