ブルアカの世界に転生した一般的日本人が極道をやる話   作:任侠的かちゅーしゃ

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来訪

 

「ふぅ....」

 

俺は与えられた部室でコーヒーを飲んでいた。

これは組員がドンパチやった後始末が大量に降ってくる中での数少ない休息だ。

転生前はブラックで飲んでいたのに、こっちに来てからはブラックは余りにも苦すぎて砂糖を入れなければ飲めなくなってしまった。

これも身体の違いと言う奴なんだろうか?

 

そういえばこの部室が与えられたことも、組が部活として認められたのも、誰かによる介入があったと言う噂を聞いた。

とてもきな臭いが...今の所脅威ではないだろう。

どちらにしろ勢力拡大はうまくいっている。

収入...シノギの額も構成員数も右肩上がり、トリニティ内での影響力も正実やティーパーティー、シスターフッドやらには及ばないがそれらにとっても無視はできないほどまで増長しているのだ。

 

コンコン

 

ん?誰だ?

 

「入っていいよ」

 

来訪者に部屋へ入ることを促す。

 

ガチャ

 

「なっ...」

 

まさかこいつは...!?

 

「ククク...どうもはじめまして、時瀬ルカさん?」

 

原作において「黒服」と呼ばれる存在。

まだこの名前はついていないようだが、明らかに同一人物だ。

 

「おっと、自己紹介がまだでしたね。私達はキヴォトスの、この世の真理を追い求める...今は適切な名前を拝借して使っております 『ゲマトリア』と言う集団に属する者です。」

 

何で今現れた?

考えるが答えは出ない。

 

「早速本題に入りましょうか。─私は貴女の『異常性』に注目しています」

 

「異常性...?」

 

「銃撃戦が日常のこのキヴォトスで、最も重要な『力』とは何だと思いますか?」

 

「私はそれを、武力と認識しているのです」

 

「貴女の『異常性』とはその武力にあります」

 

「私の見積もりですと貴女はゲヘナ最強と称される空崎ヒナ、ミレニアム最強の戦闘集団C&Cの中でも最も武力の高い美甘ネル...彼女らと同等またはそれ以上の戦闘力を有しています」

 

俺、そんなに強かったっけ...?

 

「はぁ...」

 

「厳密には潜在能力、です」

 

「今貴女が空崎ヒナや美甘ネルと戦って勝てる見込みは高くないでしょう、しかしそれでも強力な部類です...何故そんな貴女が最近勢力を増している中規模部活の長程度にしか評価されないのでしょう?」

 

「何であんたがそんな事を追って...」

 

「私は貴女の潜在能力を引き出し、キヴォトス最強の一角を張れる実質戦闘力を得た貴女からデータを取りたいのですよ」

 

「そこで一つ、取引を提案します」

 

「今日の夜...今から3時間ほど後にここがゲヘナ風紀委員会、正義実現委員会...部長はどこかに行ってるらしいですが...トリニティの一般兵力数百を含めた連合軍によって襲撃されます」

 

「は?」

 

こいつ、今何て言った?

風紀委員会と正義実現委員会とトリニティがここに攻めてくる?

突然すぎる情報が俺の思考を一瞬停止させる。

 

「そこで、貴女はこの腕時計をつけて戦闘に臨んで欲しい」

 

「この腕時計は着用者のバイタルデータや戦闘状況などの情報を私達の方に転送します」

 

「貴女の全力の戦闘からデータを取ります...代わりに私達はその腕時計に貴女が捕縛や命の危険を感じた際に押していただければ大型煙幕・強力なEMPを放ったり逃走の手助けとなる機能を入れました」

 

「ククク...悪い取引ではないでしょう?貴女がデータを送っていただければ最悪の事態や自由を失ったりするリスクを大いに抑えられるのですよ?」

 

確かにこいつの言うとおり本当に攻めてくるのであればリスクカットとしてもこの腕時計の機能は悪くない。

でもこの黒服が真実を言っていなければ?

壊滅的な事態に陥るのは間違いない。

しかし攻められて時瀬組が空中分解しては今までの努力が無駄になる。

そうしたらこのキヴォトスの未来は...

 

「...」

 

「わかった、その取引、乗ろう」

 

「ククク...ご協力感謝します」

 

俺はこいつの提案を受けることにした。

原作みたいに身柄を要求しているわけではないし、恐らく問題はないだろう。

 

 

時間がない。

可能な限り急いで戦力の召集・整理や防衛準備を進めているが、トリニティ校舎内であまり暴れたくないのか思うように人員も集まらない。

刻一刻と時間が削れ、予定の時刻まであと1時間に迫っている。

ツルギは何処かへ消え連絡が取れないし、ネルはミレニアムにいたので間に合わない。

主力が全欠員している時瀬組が連合軍相手に戦えるのか?

どうすればいい...

 

しばし考え、俺は一つの打開策に辿り着いた。

 

「こちらからの奇襲」

 

そう、こちらから相手の不意を突くのだ。

これなら劣勢をいくらかマシにできるかもしれない。

よし、決めた。

 

 

「全員、こっちから攻めるぞ!準備始め!」

 

 

 

神秘の時計は時を刻み続ける。午前0時を迎えればそれは破滅を意味する。

ああ、慈悲(Chesed)はどこにもない。

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