平凡なキヴォトス転生者の日常   作:KV-1S

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中学生ブラックアルバイター登場

なお、まともな店長(ユウキ)が追加




凡人を狙う者と小さき労働者

 

 

キヴォトスには、ユウキを狙う組織がいくつかいる

 

 

カイザーコーポレーションにも目を付けられているが、カイザーからは直接的な手出しはされていない、カイザーとしては出来る限り友好でありたいからだ

 

 

その理由は蛇手、カイザーとは敵対関係にある組織だ

 

表向きは太平商工の名前で活動しているキヴォトスの大企業だが、その裏では様々な悪事に手を染めている

 

 

 

ボスの名前は李顺峰(リーシュンフェン)(以下:李)

 

狡猾さで右に出るものは居ないと言われている程頭が切れる

 

 

今までも自身の邪魔になるものを数多く粛清してきたオートマータであり、カイザーとはかつて鎬を削っていたが、カイザーとの競争に負けた為に大企業としては中堅止まりとなった

 

 

それもあってかカイザーに対する恨みも強く、いつしかカイザーの壊滅を目論む

 

かなりの狂人であり、本人も相応の実力者である

 

多くの敵を殺したことからついた異名は《気狂い殺人機》

 

 

 

 

そんな男を支えるのは参謀役の富鷹(トミタカ) コウヤ

 

李の忠実な部下であり、李が最も信頼を置く猫の獣人

 

戦闘者としても一流であり、得物は拳である

 

山海經に伝わる拳法を、己の技としており、その実力はかなり高い

 

山海經の憲法に自身の獣人としての能力を織り交ぜて独自の進化を遂げているため、並大抵の者であれば一撃で命を絶ち、強者であろうと一撃で重傷を負わせる

 

受ければ鋭く硬い爪に貫かれ、避ければそのまま掌底を叩き込む

 

受け避け不可避の一撃こそが富鷹の真骨頂だ

 

一撃相手を破壊することから《破砕の富鷹》と呼ばれている

 

 

この2人の下にも数多くの狂人や猛者が集う

 

その中でも《解体屋》《シナリオライター》《ロールプレイヤー》《追跡者》《虚無》の五人は一際頭角を現している戦闘者である

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

〜キヴォトス 某所のレストラン〜

 

 

カチャカチャ…

 

…ムシャ……ゴクッ…

 

 

李「それで、アマギ ユウキは始末できたのか?」

 

 

富鷹「ここ数日の混乱に乗じて殺害を試みましたが…全て撃退されたようです」

 

 

李と富鷹、土下座している男以外の人物はこの場にはいない

 

 

李「…お前には期待していたのだがな」

 

 

男「申し訳ありません!今一度チャンスを!チャンスをください!」

 

 

李が懐から銃を取りだして 、土下座をしている男に向けた

 

 

 

土下座している男は解体者(ブッチャー)

 

その大柄な体躯から繰り出される剛力と、その体躯からは想像もできない速さで動き、敵を破壊する蛇手の武闘派

 

今回の騒動中にユウキを殺害する任を李より下されていた

 

ワカモや先生など様々なイレギュラーが加わり失敗した

 

 

 

 

 

 

李「チャンス?それをお前にくれてやったところで、お前はあの男を殺せるのか?」

 

ブッチャー「必ずやこの手で始末してみせます!なのでどうか、ご容赦を!!」

 

 

男はしばらく動かなかったが、幾分かして向けていた銃を下ろした

 

 

李「もう一度だ、もう一度だけチャンスはくれてやる」

 

李「それで始末出来なかったのなら、その時がお前の最後だ」

 

 

ブッチャー「ありがとうございます!必ずあいつをヒラキにしてお届け致します!」

 

 

ブッチャーは立ち上がると再び頭を下げると扉へ向かう

 

 

李「…ブッチャー、俺はこう見えてお前には期待しているんだ、期待を裏切らないでくれよ?」

 

 

ブッチャー「ッ!はい、必ず!」

 

 

ブッチャーはそう言うと、装備を整える為に拠点へと戻った

 

 

李は手元の料理に目を向けると、富鷹に問いかけた

 

 

李「…そういや富鷹、食事を終えたあとの食器の置き方にはマナーがあるんだったよな?」

 

 

富鷹「ええ、一応ナイフとフォークの置き方に意味があるそうです」

 

 

李「…この飯を作ったやつを呼んで来てくれないか?」

 

 

富鷹「?ええ、分かりました」

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

シェフ「李様、いかがなさいましたか?」

 

 

李「ああ、俺の隣に来てくれ」

 

 

シェフ「?分かりました」

 

 

シェフは困惑しながらも、李の隣に移動した

 

 

李「なにやら食器の置き方にはマナーがあるらしいから、ちょっと食後の置き方を教えてくれよ」

 

 

シェフ「かしこまりました…」

 

シェフ「このようにフォークとナイフの刃先を揃えて縦に置くと、食事を終えたサインになります」

 

シェフ「刃先を横にしておくと美味しくいただきましたというサインになります」

 

シェフ「フォークの間にナイフを刺して八の字に置くと、好みの味てはなかった、という意味になります」

 

 

シェフは丁寧に李に説明をした*1

 

 

李「なるほどな…シェフ、ひとつ忘れてるぜ?」

 

 

シェフ「そんなはずは…グウッ!?」

 

 

トスッと軽い音がいやに響く

 

 

そして、ポタ…ポタと赤い雫が落ちる

 

 

李は、手に持っていたナイフをシェフの腹の辺りに刺すと、そのまま鳩尾よりもさらに上に切り進めていく

 

 

シェフ「グオォァァアアァァアッ!!?」

 

 

ブチブチと、肉を無理矢理切るいやな音が響く

 

 

李「クソまずかったら、こんな風にシェフにナイフぶっ刺してぶち殺すんだよ」

 

 

李がナイフをそのまま振り切ると、シェフは血を吹き出しながら糸が切れた人形のようにその場に倒れ、事切れた

 

 

富鷹「……味が気に入らなかったので?」

 

 

李「いや、味は美味かったよ、こいつが気に食わなかっただけだ」

 

 

富鷹(……この人は、やはり狂ってる)

 

 

李「ユウキィ…お前が死んだ後に食う飯はどんなに不味くても美味いだろうなァ!?」

 

 

李はしばらくの間、ケタケタと不気味な音を出しながら笑い続けた

 

 

富鷹「…死体の処理は私達の方でしておきますので、ボスはお召し物をお着替えなさってください」

 

 

李「ありがとなぁ、やっぱりお前は最高の部下だよ」

 

 

李は着替える為に出ていった

 

 

後に残ったのは、苦悶の表情を浮かべながら絶命しているシェフの死体と、それを処理する為に富鷹とその部下だけであった

 

 

 

 

 

 

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エンジェル24D.Uシャーレ店

 

 

 

ユウキ「先生、またプラモ買いに来たんですか?」

 

 

先生"えへへ、つい…"

 

 

ユウキ「…当番の子に怒られても知りませんよ?早瀬ちゃんとか」

 

 

先生"どこでそれを!?"

 

 

ユウキ「毎回毎回早瀬ちゃんがこっちに来るんですよ、先生の無駄遣いを止めるのを手伝ってくださいって、立場上断ってますけども」

 

 

先生"そんなぁ…"

 

 

先生は、泣く泣くプラモデルを元あった場所に戻そうとする

 

 

ユウキ(すんげぇ凹んでるな…ったく、俺も甘いな)

 

ユウキ「いいよ先生、それくらいなら就任祝いでくれてやるから、こっち持ってきな」

 

 

先生"いいの!?やったぁ!"

 

 

ユウキ(やっぱり男か女かわかんねぇよな…あ、そういえば)

 

ユウキ「先生、ちょっと時間貰っても良いですか?」

 

 

先生"うん?"

 

 

 

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ユウキ「と、言う訳でうちのコンビニに新しい子が入ったんですよ、ソラちゃんです」

 

 

ユウキはソラを先生の前に連れてきた、ソラは困惑しながら挨拶をする

 

 

ソラ「ええっ!?ええっと…よろしくお願いします!」

 

 

先生"よろしくね"

 

 

ユウキ「はい、よく出来ました、そんな君には飴をあげよう」

 

 

ソラ「むぐっ!?…あ、おいひい…」

 

 

ユウキはソラの口に飴玉を押し込み落ち着かせる

 

 

ユウキ「彼女はまだ中学生なんですが、うちでバイトしたいらしくて、正式な手続きと届出を出した上で働いてもらってます」

 

 

先生"そうなんだ…これからも来るから、もし来たらその時はよろしくね?"

 

 

ソラ「ふぁ、ふぁい」モグモグ

 

 

ユウキ「時間取ってすみませんね、という訳なんでこれからもよろしくお願いします」

 

 

先生"分かった!…新しいプラモの入荷もお願いしていいかな?"

 

 

ユウキ「分かりました」

 

ユウキ(懲りねぇなこの人)

 

 

ユウキは冷めた目で出ていく先生の後ろ姿を見届けた

 

 

ユウキ(こうやって平穏ならいいんだけどな───)

 

ユウキは今朝あったことを思い出す

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

??「ユウキさん」

 

 

支度を済ませて仕事に向かうユウキに声をかける者がいた

 

 

ユウキ「ん?空崎ちゃんおはよう、良く来たね?といってもこれから仕事だから出掛けちゃうけどね」

 

 

来ていたのはゲヘナ風紀委員会、委員長の空崎ヒナだった

 

彼女は何やら神妙な面持ちをしている

 

 

ユウキ「遠いだろうにわざわざ俺の家まで来るなんて、どうかしたのかい?」

 

 

ヒナ「単刀直入に言うけれど、ユウキさんは狙われているわ」

 

 

ユウキ「…一応聞くけれど、それを伝えて君はどうしたいんだ?」

 

 

ヒナ「私の所へ来て、そうしたら守ってあげられる、そいつらを捕まえるまで私の元にいて」

 

 

 

ヒナはユウキが狙われていることを知り、保護しに来たようだ

 

 

 

 

ユウキ「…残念だがヒナ、それは無理な話だ」

 

 

だが、ユウキはそれを冷たく切り捨てた

 

 

 

ヒナ「そんな…どうして?」

 

 

ユウキ「それは、俺の行いがもたらした物だろう、それなのに守ってもらうというのは都合が良すぎる」

 

ユウキ「俺を狙うやつもそれとなく目星はついてる、君たち生徒のようなものではないこともね」

 

 

ユウキ(俺を狙っているのはきっとどんな手でも使ってくる、そんなヤツらとの争いに生徒も、先生も巻き込みたくない)

 

ユウキ(大人は子供の責任を背負うことはあっても、自分の責任を投げ出す事は許されないんだ)

 

 

ユウキは無茶をするが無能という訳では無い

 

自分を狙う相手がどんな存在かもわかっている

 

だけど、そんな争いに生徒は巻き込みたくないという強いエゴが彼には存在するのだ

 

 

ユウキ「それが相手なら俺は君たちの手を借りるわけにはいかないんだ」

 

 

ヒナ「でも!それじゃ貴方が危ない!」

 

 

ユウキ(ヒナはいい子だから、頑なに譲らないであろうことはわかってた、それでも…)

 

 

ユウキ「ヒナ、これは俺自身のエゴだ」

 

ユウキ「汚ぇ争いにお前らを巻き込みたくはないんだよ」

 

 

ユウキ(だから俺は君を突き放すよ、ヒナ)

 

 

ユウキ「だから手を引け、ヒナ」

 

ユウキ「これ以上、この件に関わるな」

 

 

ユウキは、冷たい殺気を放ちながらそう言う

 

その殺意には猛者であるヒナですら一歩退いた

 

 

ヒナ「っ!……分かった…けれどこれだけは約束して」

 

ヒナ「無茶をしないで、危なくなったら素直に頼って

 

 

ヒナの語気が弱くなっていく、もう理解しているのだ、この男が止まらないことも、それでも、目に涙を浮かべながらも、言葉を紡ぐ

 

 

ヒナ「絶対に絶対に、死なないで!

 

 

ユウキ「…約束はしかねるが」

 

 

ヒナ「約束して!必ず居なくならないって誓って!

 

 

流そうとするユウキに、断ることは許さないと強く迫るヒナ

 

 

ユウキ「…分かったよ、約束する」

 

 

ヒナ「…約束は守ってほしい」

 

 

ヒナは聡明だ、故に理解している、この男はそれでも頼ろうとしないことを

 

 

ユウキ「ああ、守るよ」

 

ユウキ「朝からありがとね、空崎ちゃん」

 

ユウキ「それじゃ俺は仕事行くけど、君も遅れないようにね」

 

 

ヒナ「……」

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

うそつき、本当は守ってくれないくせに

 

貴方は優しいから、そうして私たちを遠ざける

 

あなたの身に何かあれば、その時は…

 

 

 

私がその敵を、捕まえる…

 

 

 

 

そんなのじゃ生ぬるい、貴方が止めたとしても必ず息の根を止める

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

ユウキ(俺は、平穏のために)

 

 

ユウキ(この手で敵を殺す)

 

 

 

ユウキ「そんなの任せられるやつなんて、居るわけないよな」

 

 

ソラ「ど、どうかしましたか?も、もしかして私なにかしてしまいましたか!?」

 

 

ユウキ「ああ、ごめんそういうわけじゃないんだ、ちょっと考え事をしてたらそれが漏れちゃったみたいでね」

 

 

ソラ「ほっ…なら良かったです…」

 

 

ユウキ「ん…そういえばこの匂いって…」

 

 

ソラ「えっ?あぁ!?タイマーセットしておくのを忘れていました!」

 

 

ユウキ「落ち着いて、とりあえずチキンは救出するとして………」

 

 

つ かなり濃くなったチキン

 

 

ユウキ「うん、新しく揚げ直そうかこれ…」

 

 

ソラ「ほ、本当にごめんなさい!」

 

 

 

ユウキ(暫くは、この平穏を楽しむとしよう…)

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前らみたいな下衆は、この地には不要だ」

 

 

「だから…必ずお前の後に全員始末してやるよ!」

 

 

 

 

「この解体屋を甘く見るんじゃねぇ!お前を殺して、俺はボスの役に立つ!」

 

「あの人は天涯孤独の俺を拾ってくれた恩人だ!」

 

 

 

「そういやお前、自分の親をその手にかけたそうじゃねぇか?」

 

「何が天涯孤独だよ、お前は天涯孤独なんかじゃねぇ

 

「お前はイカれた家族ごっこに夢中な親殺しだよ」

 

「そのうちそのボスも殺しちまうんじゃねぇーの?お前はそういう奴なんだよ、お前が家族や仲間なんてもん、壊さわけねぇだろうからなぁ!?

 

 

 

「親から貰った恵まれた体で、親と同じように壊すんだろうなぁぁぁ!!!」

 

 

 

「黙れぇぇぇ!殺す、絶対に殺す!天城ユウキ…お前だけはここで殺してやる!絶対に許さねぇ!!」

 

 

 

 

 

「ユウキィ!お前をグチャグチャにすり潰してから、お前と関わりあるやつ全て殺して、仲良く合い挽き肉にしてやるよぉぉぉ!!!」

 

「お前に出来るわきゃねぇだろ!お前はここで死ぬんだよぉぉ!!!」

 

 

 

 

 

「お前はここで腹と首かっ捌いて確実に殺してやるよ!!!」

 

 

 

「絶対に逃がさねぇ、絶対に潰す、絶対に殺してやらぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

解体屋とユウキ

 

激突の日は近い

 

 

*1
ちなみにこれは実際にある作法だが、イギリス式のマナーであり、フランス式等とは異なる







キヴォトスにおける凡人を指すなら、天城ユウキだろう


けれど、彼は凡人を自称しているだけだ


精神は壊れて、破綻している



人の為など考えることもしないが

それでも人の為を思う


人を殺す事を否定するが

人を殺すことに躊躇いはなく


人を殺すことを悪とするが

人を殺すことを人を生かす手段として選ぶ


多くの為に少数を犠牲にし

少数の為に多くを犠牲にする




そんな破綻者が、彼という人間なのだ


彼と深く関わることなかれ

彼に深く関われば、己も狂気に飲まれる





だから、私は飲まれたのかもしれないと、今となっては正直思う


彼は優しいから、今回も私の手助けを拒んでいる


たとえ彼が拒んでも、私は彼の力になりたい


「だがら、いいよね?ユウキさん」


少女の目は、月明かりによって妖しく光った







先生の今月の給与:38万(+aの手当てあり)

光熱費や水道使用料は免除

散財額:33万円

今月の食事:ユウキの情け、レトルト、カップ麺


ユウカから一言:先生、無駄遣いしすぎです!いくらなんでも使い過ぎですよ!

ユウキから一言:先生、そういう系(浪費癖)のカウンセリングが必要なんじゃないか?

先生:本当に、申し訳ない

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