流刑貴族の追放記-極獄と呼ばれた果ての地にて-   作:Anacletus

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第101話「遠き胡蝶のカダスⅥ」

 

―――ニアステラの英雄捜索から二週間後【何処かの大陸】

 

「ねぇ……アンタ達、此処の蜘蛛じゃないでしょ?」

 

「(; ・`д・´)(鋭いな。お嬢さんという顔)」

 

 嘗て、神話時代の受肉神を造る為の秘薬の再現に失敗した大陸。

 

 神モドキな怪物達が次々に現れ、人類は絶滅寸前……という状況を引っ繰り返した世界の一角。

 

 今現在復興の為に大量の蜘蛛達と幼女達が働く首都は旧文明の復興が今のところは10年単位でしか不可能という事で蜘蛛達と幼女の楽園として新しい名前と共に再出発する事となっていた。

 

 嘗ての文明の灰に塗れた大陸は御伽噺の灰被りの姫の名を文字って【サンドリヲ】と名付けられ、今正にその歴史の一頁となるだろう演説が行われている。

 

『我らの時代は終わりました。我らが願ったのは安寧ではなく。生き残る事だった。しかし、それが呼んだ災禍は全てを滅ぼし、今ようやく災禍は終わりを告げたと言っても良い状況となった』

 

 理事会。

 

 怪物達から追われた人類が地下で組織だって行動する為に築いた最後の統治組織。

 

 彼らは糊の利いたスーツに身を包み。

 

 大陸の人間に向けて、放送を行っていた。

 

 青空の下。

 

 今も見える遥か天の緋色の塔と月に掛かる紅蓮の大河。

 

 薄ら呆けて見えるソレらを背景にして復興中の首都において彼らは告げる。

 

『嘗ての文明はもはやありません。残ったものを使い。今を共に生きる者達の力を借りて、着実に復興していくしかない。だが、嘗ての繁栄を求めるのは止めましょう。それがどのような結果となったか。我らは嫌という程に知っている』

 

 それは戒めのようにも聞こえた。

 

 あるいは反省の弁とも取れた。

 

 しかし、誰もが知っている。

 

 それは諦めた先に開けた未来をせめて次なる破滅には……己の業で滅ぼしはしないという自戒だ。

 

『今、人口の92%が幼い体となり、残された地下暮らしだった者達も日の光が不足した影響でかなり弱っている。何とかニアステラの蜘蛛の方々の力添えで回復して来てはいても、今後の人口回復の為には男性の復活や女性の復活。人間に戻れない場合にも子供が設けられて、どれくらいの次世代を残せるか。これを綿密に計算し、ある程度の人口形態を自分達で決めていかなければならない』

 

 続く話を聞いていた幼女達がそろそろ我慢の限界を露呈し、居眠りし始める者も多い最中、これなら問題なく式典は終わりそうだとイソイソと一人の少女が現場を後にした。

 

 その背後には三人の宝石蜘蛛アレキサンド達が付き従い。

 

 その頭には小さな蜘蛛と蝶のぬいぐるみがぴったりと引っ付いている。

 

 彼らが向かった先は造船工場。

 

 首都の中枢として怪物達に長年占拠され、今は巨大な大穴となった場所は穴の壁面を増設し、大規模な船舶を虚空に縫い留めるように建造、同時に発着場とする一大航空拠点へと変貌していた。

 

 魔力運用体系による重力と慣性制御の浮遊システムが蜘蛛のネットワークで流されて来た昨今である。

 

 縦穴に大量の船が立てて並べられ、建造中というのも不思議ではない。

 

「で、どうして付いて来てんの? というか、外から蜘蛛が来るなんて吃驚なんだけど」

 

『(´・ω・`)(ばれてーらという顔)』

 

 次々に姿を消していた蜘蛛達が現れ、少女の前にイソイソと出て来るとペコリと頭を下げて、何やら名刺を差し出した。

 

「ええと、外大陸遠征特別技術顧問団……つまり、何?」

 

 蜘蛛達が虚空に図解を糸で編み上げる。

 

「ん~~と。技術を各地で共有化して、知識で共有化出来ない現物を収集解析する集団? で、合ってる?」

 

 蜘蛛達が前脚で◎を描く。

 

「技術? 何? あたしの体を弄繰り回したいわけ?」

 

 違う違うと首を横に降った蜘蛛達が前脚の先でチョンチョンと少女の手袋を指差した。

 

「ああ、この宝石? アンタらコレが欲しいの?」

 

 解析だけさせて下さいと看板に描き込まれる。

 

 少女が手袋を脱いで両手に付いた翡翠色の半球体を蜘蛛達に見せる。

 

 それにちょっとだけ触れた蜘蛛の一匹が細かく球体に解析用の呪紋をカリカリと爪先からの魔力で刻印し、解析が始まって数秒後。

 

 その呪紋が消えた。

 

「(/・ω・)/(ごきょーりょくありがとーございましたーという顔)」

 

「ま、まぁ、いいけども……」

 

 白い式典用のドレス姿な執政官モドキ。

 

 今や権力者達の遣いっぱしりにして英雄と名高い少女が手袋をはめ直す。

 

 すると、蜘蛛達はイソイソと現場から離れると虚空の糸を歩いてある程度の上空に向かった後。

 

 ジャンプしながら虚空の糸に着地してビヨンビヨンと振れ幅を大きくしていき。

 

 5回目の跳躍時に消えた。

 

 途端、虚空から猛烈な風が地表を吹き抜けていく。

 

「あ……あれ、何処に向かってんの? まさか……」

 

 少女が上を向く。

 

 遥か天には昼時の月が掛かっていた。

 

 蜘蛛達はあの神との戦いで重要な要素の一つである移動の面においてヘルメースしか未だに持っていない能力。

 

 島の外と中を自由に行き来出来る方法を手に入れていた。

 

『(^○^)(ひゃっほぉおおおおおおお!! 時速3000kmの大気圏離脱跳躍ぅうぅぅという顔)』

 

 本来、島に入った者は因果的な収束という単純に言えば、どうやっても外に出られない呪い染みた効果を受ける……らしいのだが、今の蜘蛛達はそれを突破するヘルメースの能力解析はしていても、その力の使用がかなりの力を使う関係で自由に行き来は出来ていなかった。

 

 だが、その代わりとなったのは正しく巨大なる緋色の塔。

 

 ヘリオスが今も維持し、他の島の蜘蛛達と共に開発を進めている月と繋がった名称募集中の施設だ。

 

『\(|o|)/(二次跳躍先の糸を踏み外すおっちょこちょいはいないよねーと遥か大気圏の薄い層でまた糸に着地して跳躍し、音速を遥かに超えて熱圏付近までカッ飛んでいく顔)』

 

 あの戦いで太陽の女神の巨大な出力と神の力を収奪し続け、同時に核融合反応そのものを存分に吸収した施設は今やそれ自体が巨大な核融合炉心を“内部で生成する”ヘリオスの肉体の一部……疑似的な太陽神と化した。

 

 ソレ自体がヘリオスであり、同時にヘリオス自体が意志を通わせた肉体として巨大な隕石の質量そのものを自在に加工するのだ。

 

 核融合反応における莫大な出力を維持する方法は既に確立され、同時に自在に女神との戦闘データを流用して操る術を握ったヘリオスは外と直通となる緋色の塔を今も編纂しながらエネルギーの増幅と月の維持に努めている。

 

『(^◇^)(あ、例の大陸からの帰還組だ。特異点の情報取れたー?と虚空で糸を編み込んで惑星上の大陸に垂らしながら張り巡らせている作業中蜘蛛の顔)』

 

 彼ら蜘蛛達はこの天の回廊に到達しさえすれば、惑星の何処からでも島内部に帰還可能になった。

 

 その為に必要な力はヘリオスの移動方法よりも確実に消費エネルギーが少ない為、更に省コスト化する為に天に続く蜘蛛の糸が塔から彼らの活動領域となった大陸群全域に張られている最中である。

 

 蜘蛛達くらいにしか見えないだろう細い細い糸の橋……いや、あやとり染みた複雑さの“巣”は蜘蛛達の跳躍に使われ、30分で上空500km先まで到達する事の出来る足場となっていた。

 

『(/・ω・)/(はい。おつかれー。下層基地にお降りの際は検疫受けてねーと真空の海を渡って飛び込んで来る仲間達を網でキャッチする係員の顔)』

 

 真空の宇宙空間まで到達後は低重力下の真空を周回軌道に乗って塔に一直線。

 

 塔のターミナルとなっている蜘蛛の糸の終点場所へと高速で突っ込み。

 

 ネットで受け止められて、その場所から地表の島内部へと直接落下で帰還する。

 

 衛星軌道上の基地化された塔の下層領域はリング状になっており、内部には大量の蜘蛛達が月との往来を4時間で出来る中継ステーションを建設。

 

 ヘリオスの電力供給で自分と荷物をレールガンのように加速して瞬時に音速を遥かに超える速度で塔内を跳んでいた。

 

 彼らは物資運搬したり、各地からやってくる蜘蛛相手に商売したり、研究開発や解析を行う白衣の者達が研究課題に取り組んで多くの蜘蛛達にその成果を共有したりと忙しい。

 

 最終的には全ての蜘蛛達の働きによって蜘蛛全体の能力の底上げが行われている為、誰も彼もが重要な仕事をしていると言えるだろう。

 

『(・ω・)ノ(あーそこそこ。そこの家具の建付けは木製にしといてと基地内の居住区画を運び込んだ物資で整えているインテリアに詳しい蜘蛛の顔)』

 

『(´|ω|`)(もうすぐ人を入れるから、その前に一通りは数を揃えておかないとねーと運び込んだ物資で緋色の領域を板や壁紙で覆って隠す蜘蛛の顔)』

 

『(=_=)(小型の核融合炉心を先進大陸の最新鋭機材(潰れた軍事産業から買い叩いた代物)で自作して構造を試行錯誤している蜘蛛の顔)』

 

『(*´ω`*)(各大陸の真菌製の生化学炉心は順調稼働中。各生物資源、一時資源、加工資源の還元反応も順調……“種”への充填率と産出量は5日で1粒。各地の候補地も買い付けが進んでて順調順調と資材管理帳簿を付けている蜘蛛の顔)』

 

 現在、月を侵食したヘリオスの質量はソレの最終的な掌握と本星との間との重力均衡を維持しつつ、様々な施策を行っている最中であり、月面と月の外殻にも蜘蛛達は進出し、基地化を進めていた。

 

『(*|▽|)(此処が月面か~と放射線を吸収してエネルギーにする転換細胞を実用化してみた生身蜘蛛の顔)』

 

『(´▽`)(この細胞スゴイよ~さすが残ってた女神の生細胞から培養した一品……増殖させたら、全蜘蛛に配ってみようという顔)』

 

『( ゜ω゜)(ノクロシアン化もしくは神化してれば、活動出来てたけど、これからは普通の蜘蛛も宇宙に行ける時代か……と太陽光と放射線でエネルギーをどれくらい回収出来るか自分の肉体で試す被検体にして実験者な蜘蛛の顔)』

 

 正しく月面下にある緋色の都市は蜘蛛達の未来だ。

 

 まだ小さな街程度のものにしか過ぎないが、神々の宇宙での拠点やら邪神の観測やら世界中の状況やら何もかもを解析する為の拠点として、最終目標に向けて拡大を続けていた。

 

 月面から近隣惑星への片道切符で各種の資材と必要なあらゆる物資を満載したウルが丸まってボールのように基地から吐き出され、無限に湧き出る神の力を用いて加速し続けて消えていく光景は正しくSF染みていた。

 

 が、現在知られていない神々の拠点探索や各地の惑星を資源化する事で更に規模拡大を狙う彼らには島の内部でやっていた事の延長線上の事でしかない。

 

『(´▽`)(やっぱり質量は正義!! なら、自分達も質量を使うのは正義だよねと大質量弾や大質量落下兵器や超質量の重力加速による惑星破壊規模攻撃の準備をイソイソと進める蜘蛛の顔)』

 

『(;一_一)(ま、全てを滅ぼせる系統の兵器は一通り揃えておいて損は無いし、アレの処理能力を飽和させる為にも島の全てを破壊し尽くせるだけの攻撃方法は必須よねと質量兵器自体をエネルギー化して超出力を雑にぶつける呪紋をイソイソと構成しつつある顔)』

 

『(゜∀゜)(どうせ高次元高次元。気にしない気にしない。と、高次元干渉による防御で防がれるのを想定して、神の力を中和すれば、即時消滅させられるだけの火力を出す為に深宇宙規模現象観測と極限環境再現の方法を同時構築中な天才系蜘蛛の顔)』

 

 ちなみに近頃は蜘蛛の勇者がいた大陸製の技術と魔力運用体系の合理化が普及したおかげで内燃機関や超巨大な構造体への理解が深まった蜘蛛達は規模の大きい工作活動を活発に行っている。

 

 同時に各大陸単位でウルの一律の製造と改修が大規模な地下工場の造営終了と共に始まっており、樹木型の冥領の神樹を基礎とする船体を用いたソレと呪霊機の増産も相まって物流が活発化。

 

 島の内部ではなく。

 

 外部でこそ、莫大な利益を上げる物流の要にして軍事力として密に配備が進められ、各地でこっそり収奪された埋蔵資源や買った資源埋蔵地域から運び出した資材が大陸間でやり取りされていたりした。

 

『( ̄▽ ̄)(先進大陸製の機材と技術と方法論を後進大陸に輸出。後進大陸の豊富な資源を裏工作用に先進大陸へ輸入(密輸)。実に儲かる構図という顔)』

 

『(´・ω・`)(資源を金以外で運用出来る強みはやっぱり蜘蛛の良いところだと思うとイソイソ後進大陸の資材で加工食品を大量生産するラインを造る技師の顔)』

 

『(^ω^)(バレなければ、犯罪じゃないんですよ?と法整備されていない大陸で栽培された“何処の国の税関も通っていない”“極めて高額な化学物質の原材料”を“意図的に法整備されていないゲリラ占領地域”で“合法的に加工して”“合法な地域の闇市場”で大量に売りさばくバイオケミカル大好き蜘蛛の顔)』

 

『( |ω| )(寿命を延ばす薬程度は創れる先進大陸……侮れないけど、チョロい。1g単価が20億とか……蜘蛛的には美味しい儲け口よねと麻薬より恐ろしい寿命行進剤で高額所得者系最上位社会層老人を狙い打ちにしつつある謎のバイヤーマンの顔)』

 

 次々に蜘蛛達から降ろされる大量の文明の利器や便利商品、超高額商品の大量生産版があちこちで出回り始めているのである。

 

 それは後進大陸、法整備の無い無法地帯のみではない。

 

 先進大陸でも極度の不景気に入りつつある市場に比例して大きく成った闇市場が活況であり、蜘蛛達は既存の物流ルートで儲けている全ての商業母体から活力を奪って闇市場の帝王と化しつつあった。

 

 特に武器が投げ売りされるフェイズに入った先進大陸では軍産複合体が複数大規模に連鎖破綻し始めており、その速度は恐ろしく早く。

 

 破綻した企業を投げ売りの嵐に巻き込んで、超格安どころか。

 

 タダ値同然で掴んだ馬鹿な機関投資家を演じつつ、蜘蛛達はソレらを完全に廃滅させ、武器製造の技術と知識を吸い上げた後は跡形もなく消し去っていた。

 

『一体、どういう事だね!!? もう整備は受けられないのか!!?』

 

『は、はい。ゴーレムの特殊ダンパーは現在、寡占状態だったのですが、その企業が破綻したとかで一時的に生産が止まった後、競合他社も連鎖破綻して、代替品も今は在庫が……』

 

『他の部品は!? 何処かに在庫は無いのか!? 各地の機体がオーバーヒートで次々に止まっているのだぞ!!?』

 

『それが中古市場で高額取引されており、2か月前の532%から1000%程度高い値段で良ければ、取り寄せられはするのですが、数を揃えるのは……』

 

『グッ!!? 武器の中古市場は暴落しただろう!!?』

 

『ソレが……買い占めが起きたらしく。暴落後にほぼ全て市場の在庫が捌けた様子でして……それも中小国の例のゲリラ行きになったとの噂で……大佐には申し訳ないのですが、現物が無ければどうにも……』

 

『どうなってるんだ!? 我が国では手に入らないのか!!?』

 

『いえ、手に入りはします。入りはしますが……まぁ、お財布と御相談されて下さい。現在、重要部品という事で何処の国も対処に追われているそうです』

 

『クゥッ……なら、それで!! これ以上は何も出んぞ』

 

『い、いえ、ダンパーだけではなく。排熱粒体を用いる事が出来る特殊な三軸ギアや精密動作部分に使う特殊な精油。他にも誤差の少ない精密ボルトや外れない特殊ナット、1世代前のモノ以外はほぼ品切れでして。というか、一世代前のものもかなり上がってまして……』

 

『どうやって戦えばいいんだ!!? 馬鹿にしているのか!!? 先進国で先端部品が手に入らないだと!? 整備はどうする!!? 国防は―――』

 

 武器の在庫や武器の製造装置は債権団が差し押さえる前に別大陸へと蜘蛛の物流ルートで移送されて、在庫はほぼ空であり、技術を持った企業を破綻させまくった蜘蛛達の策略により、先進装備の大半は殆ど整備を受けられずに放置の憂き目。

 

 更に現場の末端技術者や職人、設計部門の人々を別のまともな仕事に斡旋して生活を助けつつ、兵器産業から脚を洗わせたり、昨今は軍事企業への風当たりが強いからと身元を隠して生きられるようにと図った事で蜘蛛達はそういう技術者や科学者達との太いコネまで手に入れた。

 

『君のおかげで民生部門に何とか就職出来た。感謝するよ。平和議連に全面的に強力させてくれ。今の会社の役員からもそう言われている』

 

『(;・∀・)(これからもよろしくお願いしますとペコリ頭を下げてみるサラリーマン風偽装な蜘蛛の顔)』

 

『まさか、軍事産業からこちらに来られるとは……その上で私の研究までも……今、不景気ではあるが、きっとこの技術で新しい分野を開拓してみせるさ』

 

『(T_T)/~~~(今日はお疲れ様でした~~とハンカチを振って研究者を料亭から送り出す営業職に化けた蜘蛛の顔)』

 

 事実上、大陸内部の自分達を殺せる武器を造れる産業を廃滅寸前まで追い込むという蜘蛛達の目的はほぼ達成。

 

 兵器産業に投資する“健全な投機家”達は自分をビルの上から投棄する事になったが、市場の操縦権を最安値の現物と言う手段によって掴んだ賢い蜘蛛達はコラテラル・ダメージという言葉を覚えたので『(^◇^)(ま、この棄損しまくりの市場そのものには何の魅力もないけど、人の不幸で飯を食おうとする人間が減ったからヨシ!!という顔)』で意にも介さず。

 

『平和産業が今は熱い!!』とか言いながら、ゲリラに制圧させた中小国発の魔力運用技術のベンチャー企業や民間団体を情報工作用に他大陸との融和路線を推進する福祉組織として多数先進国内に設立したりしていた(勿論引き抜いた科学者や技術者の大半はその場所にエキサイティング・シュートされた)。

 

『兵器産業に関わっていない事がトレンドです!!』

 

 と言いたげに国防産業を批判する層を取り込んで他の大陸から持ってきた物資で貧困層や貧民層を救済すれば、正しく彼らは傍目には大不況に喘ぐ貧民達を助ける正義の使者と見えた事だろう。

 

『え、いいんですか? お、おれ、何の金も……』

 

『(>_<)(まぁまぁ、中小の後進国で僕らが作った野菜のスープでも飲みながら……と人型形態に化けて今にも行き倒れそうな浮浪者や日雇い仕事で死にそうになっていたおっさんや青年を保護して優しく毛布を掛け、食器を手渡す顔)』

 

『う、うぅぅ……でも、でも、オレは……元々、兵器産―――』

 

『(/・ω・)/(此処では誰でも脛に傷持つ仲間さ。何も言わなくていい。君がこれからは人を助ける産業に従事すれば、何も問題何てないよね?とチラシを渡し、“仲間と仕事”を与えて兵器産業に戻らぬよう自分達の勢力にリクルートする超絶マッチポンプ慈善事業を裏から牛耳る陰謀大好き系蜘蛛の顔)』

 

『う、うぅぅぅ、ありがどう゛ござびばずぅぅぅぅ!!?』

 

 経済行動学や経済心理学的な状態で言えば、貧困は貧者に貧困になる行動を助長するのであり、同時に貧者は貧困を助長する行動を行いがちであるという事実を以て、彼らの目が曇っているのは間違いない。

 

 だが、曇っているからこそ、彼らが蜘蛛達にとっては良いお客さんである事も確かであり、賢い人間程に瀕して鈍した時の落差に道を誤る事はよくある話。

 

 正しく、そんな人間を生み出し、それを自分達で救済して安定して面倒を看つつ、心変わりさせて使い倒すのは蜘蛛達の十八番な活動であった。

 

『おう。青年。此処じゃ福祉活動や福祉系の社団法人もしてるんだ。そこで働かないか? ご老人を助け、社会に貢献するんだ。オレも昔は兵器産業の末端でラジエーター作ってたんだが、今じゃ此処で三食住居付で高齢者の住宅設備直してるんだ。給料はそんな良くないが、このご時世に旨い飯と仲間、やりがい、それにちゃんと労働規制が守られた仕事……搾取無き労働なんて在り得ないような毎日が此処の日常だ。そんな悪いところじゃないぜ?』

 

『せ、先輩と呼ばせてください!!? ぐず、でもオレ営業職だったので出来れば、営業か事務でお願いします!!』

 

『お、おう。い、いんじゃねぇかな?』

 

『(`・ω・´)(インテリは案外、魂までインテリ……と今後の政治畑の候補者リストに青年を突っ込んで兵器産業を糾弾する“正義の味方”を増やそうと次の犠牲……もとい救助者の寝床に向かう顔)』

 

 蜘蛛達はこのような状況の先進大陸の先進国で“無料の衣食住”という名の囲い込みを実施。

 

 こうして、マッチポンプも裸足で逃げ出す先進大陸陥落術最終奥義……『この超絶不景気はなんもかんも兵器産業と軍産複合体が悪い!!』という情報工作を発動。

 

 報道機関にも“平和団体”と言う名前で圧力を掛けつつ、『実際に不景気になったのは軍事部門連中と今の政治家のせい!!』という……自分達で軍事部門を潰した事は沈黙しつつの非難活動を開始。

 

『つまり、アルバートさんはこの不景気の元凶は全て軍事産業が悪いと?』

 

『ええ、そもそも莫大な設備投資をした理由が他の国の兵器市場に兵器を流し込む為でした。しかし、そうはならなかった。そして、銀行もこれに加担した。政治家もそれを後押ししていた。それが連鎖的に破綻して、今は責任の押し付け合いの有様です。見て下さい。議会では毎日のように与野党で重鎮であった軍産複合体を背景に持つ政治家達が説明責任に追われている。不景気の理由など、見るまでも無く我らは毎日この目で見せられ続けている』

 

『確かに……では、今回の不景気の仕組みを分かり易く纏めた映像がありますので、そちらをどうぞ』

 

 こうして、社会の機運は平和一択へと傾けられていた。

 

 嘗て泥と硝煙に塗れていたゲリラの中核メンバー達は今や世紀の平和活動家として先進国の貧困層を衣食住支援で救う聖人と崇められ、彼らの支援を受けた政治家志望の平和主義者達が次々に各地方で議員として当選し始める有様。

 

 何れ、国政にまで進出する事は間違いなく。

 

 不景気の責任を取って、政権が民主主義に則った選挙を開催するまで秒読み。

 

 議席獲得は確実とか言われ、実際にその時は迫っていた。

 

『こちらマイスラ共和国発のベンチャー企業、平和議連所属の研究所に来ています。番組の方で取材を申し込んだところ、内部に入ってから映した全ての映像をカット編集せずに流す事を条件に入る事を許可されており、此処からはノーカットでお送ります』

 

『(>_<)/(あ、来た来た。ネギを背負ったカモ的な報道関係者系のお客さん5名、入りまーすと福祉施設職員に化けた蜘蛛の顔)』

 

『(^u^)(兵器産業に従事してた家族が失職して路頭に迷った人々からの同時波状攻撃『ただの事実(軍需産業批判風味)』を垂れ流す準備はおーけー?という顔)』

 

『(≧◇≦)/(社内託児所にお父さんが蒸発した子達を大量スタンバイ!! ついでに同情を買える系苦労話しか出来ない笑顔の暗い兵器産業に従事してた家族のいる従業員もダースで追加しといたよという蜘蛛の顔)』

 

『(^ω^)(ま、今は皆かなり明るくなったし、子供達には知能とユーモアのある蜘蛛は味方と絵本や童話で教育はバッチリさ。そこらの情報操作の出汁に使った後、人材をポイ捨てする団体と違ってウチは死ぬまで貧困にならないよう面倒見るから情報機関やカルト、過激政治思想団体よりは有情でしょ、と本日の昼食を作る食堂コック系蜘蛛の顔)』

 

 どれだけ技術が進もうと人間は人間である。

 

 食事もすれば恋もする。

 

 良い寝床に仲間だって欲しい。

 

 人生……そう、人生を社会と企業から放り出された彼らには正しく蜘蛛達の福祉活動は圧倒的な善意にしか見えないだろう。

 

 自分達を保護してくれる勢力に仕えるのは彼らにしてみれば、当たり前の話だったし、実際に給料は高くが無いが低くも無い。

 

 こうして組織の連帯者とその支持者達は着々と増えていたのだった。

 

『くもすきー♪』

 

『くーもくもくも~♪』

 

『ぬいぐるみー♪ くもちゃんはおとーさんやくね?』

 

『(^ω^)(重力操作で重量軽減し、ぬいぐるみ形態のままに子供達に遊ばれつつ、本来の姿で休憩してる蜘蛛の顔)』

 

 彼らを聖人としか見れなくなっているのも無理は無い。

 

 蜘蛛達に心こそを救われているのだから。

 

 ついでに抗い難い肉の欲望。

 

 あらゆる物質的な不足も克服されている。

 

 彼らが平和主義団体と銘打った組織に忠誠を誓い、誇りを胸にその歯車の一つとして勉強し、働き、利益を得ている事はもはや言うまでも無く表向きは善行。

 

 これこそカルトの手法であるが、心ばかりか。

 

 金を毟るなんてトンデモナイと金まで出す彼らに文句を言う輩は誰もいない。

 

『こ、此処が新技術の出所……託児所があるんですね』

 

『(/・ω・)/(どうぞ、こちらへレポーターのお嬢さん。子供達は顔見知りの子が多いのでそっと見て下さればと託児所に預けられている子供達の背景を書いた観覧時のお約束パンフレットを配る優しい笑顔の育児系おねーさん偽装な蜘蛛の顔)』

 

『わ、分かりました。子供達の事に付いてはさすがに顔出しは致しませんので……』

 

 表向きは『( ^ω^ )ナニモワルイコトハシテイマセンヨ?』というのが蜘蛛の勢力であり、今までの労働環境や企業からの搾取に合っていた誰もが自分達という存在そのものが産業から搾取され、産業を廃滅させる為の手駒として囲っているのだとはさすがに気付かなかった。

 

『現場のイルネさん!! どうでしょうか!! 選挙本部の方は!!』

 

『は、はい!! これは……見なし当確です!! 前評判を破り!! 政党【平和議連】の議員が5議席獲得しました!! 与党は本地域の選挙戦を上院選前の礎石とする予定でしたので、コレは大番狂わせです!!』

 

『うぉおおおおおおおおお!!! 当選しましたよ!! これで先進国と後進国の垣根を超えて平和に一歩近づいたぞぉおおおおお!!!』

 

『現場はお祭り騒ぎです!! 平和議連本部よりエヌケージーのナーシャ・イルネがお送りました!!』

 

 人間であればこそ、衣食住、誇り、仲間、そういった原始的な生態的欲求や社会的欲求を満たしてやれば、どんな人物だろうとも余程に決意が固くない限りはコロッと彼らの手の内に転がり込むしかない。

 

 こうして存在と身分を偽装した蜘蛛達のリクルーター軍団の手によって次々に本来兵器産業を回していたはずの中核人材や人的資本の多く。

 

 その兵器産業を肯定したり、消極的に受け入れてくれたはずの家族達が社会から枯渇したのである。

 

『本時の取材を受けて頂きありがとうございました。放送前には流す映像に関して精査の為にもお送り致しますので何かあれば、ご一報下さい』

 

『(/・ω・)/(平和の為によろしくとレポーター背後のAD達に平和と書かれた饅頭40箱と蜘蛛系人材が回す飲食店の平和弁当40箱を渡す蜘蛛の顔)』

 

『あ、これ……美味しいって噂の……あ、ありがとうございます。こ、こんなに頂いちゃって……』

 

『(|_-)-☆(平和の為にいつだって全力投球さ★と黒いウィンクを投げ掛けるイケメン系人材篭絡術が得意な蜘蛛の顔)』

 

 勢力という名の社会層そのものが兵器産業分野から強奪されたのだ。

 

 産業基盤への消耗戦術。

 

 人的資源へのダイレクトアタックは先進大陸の最先端軍事技術を扱う層を大幅に別産業へと引き抜くことに成功。

 

 どれだけ資金が集められようと、どれだけ熱心なリクルーター達が来ようと兵器産業に戻らない人々、批判する人々を厚く強固な蜘蛛達の支持基盤として取り込み。

 

 兵器市場は冷え冷えのカチンコチンに硬直……世相の事も相まって食える産業への若者の誘導と戦争への忌避感を煽るキャンペーンと共に“戦わない戦争”は終結しつつあったのだった。

 

 勿論、報道関係者の多くは彼らに友好的だ。

 

 生憎と贈り物攻勢に耐えられる勤め人というのは物資不足が深刻になりつつある国ではいないのだ。

 

 世の中は“金”と“権力”……そして、誰もが心底から心地よく成れるお題目……“善意”であると蜘蛛達は社会に知らしめたのである。

 

 *

 

―――緋色の塔基部地下区画【氷の間】

 

 あちこちで蜘蛛達が世界をガリガリと自分色に染め上げて人類社会の程よい分断と技術的後退と蜘蛛的情報福祉活動で骨抜きにしている頃。

 

 此処最近はようやく諸々の情報からの開発が一段落したヴァルハイルの冴えない白衣の呪霊機狂いにして蜘蛛達のブレイン役であるエル・アーカは作業温度-35度の氷点下で息を白くしながら、手袋に防寒装備を付けた状態のままでカタカタと呪紋の譜律を刻印するタイプライターのような機材で虚空に呪紋の羅列を書いていた。

 

 ソレが流れ込んでいくのは暗闇の奥にある大きな閉じられた縦長の棺桶。

 

 40m程の大きな箱の中央部にある丸い印が掘られた場所だ。

 

 吸い込まれていく譜律が魔力の光を帯びて僅かに箱の上に浮かび上がっては沈み込んでいく様子は箱の中に譜律を押し込めているようにも見える。

 

「ん?」

 

 ふと彼が顔を上げた時だった。

 

 箱の内部から知らぬ間に僅か……そう、ほんの僅かだけ開いたような……隙間から糸のようなものが一本……出て来たかと思えば……明後日の方向へと伸びて何かを探しているかのように蠢いていた。

 

「反応している? ふむ……まぁ、結局は彼が使わなかったせいで更に機能を詰め込めたわけだが……やはり、己の操縦者は必要かね?」

 

 エルの言葉に反応したのかどうか。

 

 糸はスルスルと引っ込んで棺桶が中央の隙間に戻り、キシッと隙間が閉まる。

 

「まぁ、待っていたまえ。君の出番は来るとも……未だ東部だけは時間変動が酷いらしいからな。あちらで緋霊王と教会の決着が付いた頃には彼も戻って来るだろう。もう少しで今現在手にした全ての叡智を君に入力し終わる」

 

 彼がカタカタと譜律を流し込んでいく。

 

「此処は素晴らしい情報の溜まり場だ。君に応用出来る限りの情報は使わせて貰ったし、時間空間の叡智、ノクロシアの技術、蜘蛛達の解析した遺伝資源、生物由来の能力、魔力の深奥、真理たる法則、無限の力に類する各種の“破れ”……神と邪神とそれに連なる全ての魔力運用体系と生物達の情報までもある」

 

 エルは楽し気だ。

 

「ついでに彼が結局使わなかった力までも君は持っているじゃないか。まぁ、待ち切れなくなったら、勝手に行きたまえ。今知る限りの情報の入力と応用した兵器類の開発と搭載は終わっている。応用発展形が形になるのはまだ少し先だ。今のままでも、この星を十分に滅ぼし得るのだから、慌てる事は無い」

 

 カタカタと両手で情報を入力し終えたエルが椅子から立ち上がる。

 

「さぁ、出来たぞ。ヘリオス。彼の力を解析出来たのは大きかった。これで全蜘蛛達の基本性能は全て備えられた。後は君次第。いや、君と彼次第だ」

 

 男は棺桶にそう微笑み掛けた。

 

 しかし、男が気付く。

 

 情報を入力し終えたら、いつもならば、正しく入力が終了した旨が棺桶の機構でお知らせされるのだが、今回はそうならない。

 

「ふむ……」

 

 男が棺桶をコンコンと叩いた。

 

 そして、耳で拾った音の反響から内部にはもう何もない事を確認する。

 

「まぁ、良いか。こちらはこちらで彼の本番用の装備を設えなければならんしな。我が息子殿も罪作りなヤツだ。愛機となるべきものをほったらかして、今は何処にいるやら」

 

 肩を竦めた男はその冷たい領域からイソイソと出て隣のシュヴァリアを筆頭にした各種の武装と装甲、機体開発をしている区画へと向かった。

 

 その最重要区画の上では今もウルや諸々の機体が次々に増産され、ラインで運ばれて組み立てられ、増産指示と共にフル稼働中。

 

 先進大陸の技術を丸々導入して、島専用にチューンナップしつつ、天才というよりは狂人のエルがガリガリと仕事で設計したラインは正しく神掛かって明らかに本家の大陸のものよりも数倍以上の速度で組み立てを行っていた。

 

『(*´ω`)(月産20万台をほぼ自動……核融合のエネルギーで稼働は問題ないけど、資源の増産はプラチナルや魔力で増やせる物質頼み。最終的に生存に必要な資源以外は増殖するヘリオスの侵食物質とプラチナル、神樹の3種類になりそうという顔)』

 

『(´・ω・`)(ぶっちゃけ、あのデミ・ストレンジが自律機動出来る兵器に搭載されたら、どんな文明も一瞬で滅ぶんだよなーという顔)』

 

『(´|ω|`)(ぶんめーというか。その星が丸々デミ・ストレンジ・レッドに置き換わるから、危なくて滅ぼしても良い面倒な宇宙空間で戦える敵くらいにしか使い道なくね?という顔)』

 

『(´-ω-`)(時間を掛ければ、銀河団とか、宇宙団クラスの大戦力を消し飛ばす程度の能力が10m強の兵器に載ってる事になるからなーという顔)』

 

『( ̄▽ ̄)(……事実上、通常物質がある次元で使うと危ない事になるし、質量崩壊の自爆プロセスは元より、置き換わった後に相手をエネルギー還元、それを収束加圧機能を付けて攻撃範囲を極限まで収縮する方式で実用化なんじゃないかなという顔)』

 

『『『(T_T)(それはそれで限界加圧した数十兆度以上になるだろう収束エネルギーで銀河とか両断出来そうと思う蜘蛛の顔)』』』

 

 鎖に釣られた無限の如くある機影のラインナップは地下を通じて、冥領、北部、西部全域から更に塔を経由して外にすらも運ばれていく。

 

 緋色の塔の低層階から各大陸へと流れ星の如く送り出され、断熱圧縮で焼き付きながら、流星となって山間部に落ちて来るソレらを蜘蛛達は落下中に受領し、外大陸での製造分も合わせて次々に戦力を拡張。

 

 あの世の無限にも等しい神々の戦力にも耐え抜く為に着々と規模を底上げしているのだった。

 

『(;´・ω・)(接触コースで無事にキャッチせーこーという顔)』

 

『(っ|ω|)っ(これが宇宙を滅ぼせる系兵器の試作一号機か~と全身デミ・ストレンジ・レッド製シュバリア(偽装済み)をペシペシ空中で叩いて確認する顔)』

 

『(´▽`)(こっちはウルに複製ドラグリア=サンもあるぞというホクホク顔)』

 

『(・∀・)(そう言えば、陸上制圧用に金ぴかりゅーがくれたデータで各地の資材を集積してドラグリア(城バージョン)の制作が決定したってよという顔)』

 

『Σ(・ω・ノ)ノ(マジで!!? これからは動く城が標準装備になるのかーと驚きつつも操縦してみたいと思う機材運用大好き系蜘蛛の顔)』

 

 近頃、流星が多いと話題に登る後進大陸ではそうして現地の先住民達に向ければ、滅茶苦茶過剰戦力だろう惑星すらも消し飛ばせる火力が集積されていた。

 

 ソレらの運用母艦としてソリトゥード大陸の蜘蛛の勇者シャナニガンが製造する小大陸級の神樹艦が竣工。

 

 名前を悪魔の大陸で偽神様をしているノクロシアンが貰った国の名前から【セフィロト級】と名付けて1日に1隻ペースで現実へと出現させ、姿を消して各大陸の外洋上空で待機状態へと移行。

 

 先進大陸群以外の全ての人がいる大陸の防護と同時に神々の干渉を撥ね退ける防波堤として運用を開始していた。

 

 大陸の蜘蛛以外の知的生命は同規模クラスの巨大構造物が空の上に浮かんで自分達を見守っているとも知らず。

 

 天使と天使蜘蛛達が運用する艦は一隻に数百万人を載せて、船内で更に無限の神力を用いた物質の生成と戦力の増強を実行。

 

 指数関数的に増え続ける力を強大な戦力と変えて、表向きの蜘蛛の母艦とされる国家規模クラスの大きさの“小型艇”を派遣。

 

 蜘蛛の氏族の威容を知らしめるのに一役買っていた。

 

 *

 

―――?日前【兎月境】

 

 人々の見る前で彼らの故郷が枯渇していく。

 

 緑の生い茂る山林も数多くの植物も土すらも枯れていく。

 

 暗く暗く暗く。

 

 しかし、その事態の中央。

 

 巨大な真菌層を湖面の如く広げた少年は真菌制御のフィードバックによる負荷で吐血しながらも、口元を拭い。

 

 里の中央にある広場で次々に肉体に入る負荷による亀裂から血を零しながらも再生を続け、何とか広大な領域の養分の全てを真菌に集め切る事に成功していた。

 

「……本体を」

 

 そう掠れた声で呟く彼の周囲には遠巻きにしているウサミミエルフの長老連と桜花老、更に少し心配そうな顔のランドとメイジェーンがエルフ達の魔歌で浮かび上がりながら、事の経緯を見守っていた。

 

「行くぞ!! 使徒様!!」

 

 他の者達の前ではそう呼びながら、少年の頭上。

 

 桜花老が明かりを落とす巨大な光の塊となっている天上に向けて拳を大きく握り締めた。

 

 ビシリと彼女の腕に亀裂が入った途端。

 

 噴き出す血潮にも構わず。

 

 彼女が叫ぶ。

 

「顕現せよ!! 源界の階!!」

 

 その時、天上が罅割れて崩落しながら分解されて魔力の粒子となって散っていく。

 

 最中からゆっくりと降りて来るのは巨大な黒い繭。

 

 それが少年の前にゆっくりと落着した。

 

「………外殻表層だけでこの威圧感。取り込むのに時間が掛かる。今から数日、此処に陣を張る。内部環境が安定するまで外から開けないで欲しい」

 

 少年がそう言い残すと黒い繭を囲い込むように湖面の如く広がっていた黒い真菌がゆっくりと端から持ち上がり、まるで卵を包み込むようにして少年と共に全てを封じ込めて更に巨大な繭を形成した。

 

「皆の者!! これより数日間、何があろうとも繭を護り抜け!! もしここで我らが護れねば、邪神の大陸に光は差さぬと思え!!」

 

 覚悟は決まっているのか。

 

 大人も子供も次々に残っている周辺集落に物資を集め、籠城戦の構えとなって、陣地を構築し始めた。

 

 風光明媚な山林と里山の村はこうして暗い禿山に他の地下領域と同じような状況になりながらも松明の明かりが灯され、臨戦態勢へと入った。

 

「……ランド」

 

「何だよ」

 

「あたしら、お荷物だね」

 

「違いねぇ。だが、見届けるヤツも必要だろうよ」

 

「そう、だね」

 

「普通じゃねぇのは分かってた。だが、邪神とやらを肉体に取り込んで持っていくなんて考えもしねぇよ普通」

 

「はは、本当に……その前段階ですら死に掛けてたように見えるんだけどねぇ」

 

「いや、何回か死んでるぞ」

 

「へ?」

 

「あいつの体の内部であの黒い黴とやらを増殖させて力を増させてる時に何度か心音が途切れてた……」

 

「そうかい……そこまでして……」

 

 メイジェーンの顔が僅かに歪む。

 

「あの黒いスライムみたいなのが体を治してたんだろうさ。だが、本当に可能かどうかとオレは疑念を持ってたが、今は……まぁ、成功するんだろうと思ってる」

 

「どうしてだい? 一応、説明された時に乗っ取られてる可能性もあるって言ってたじゃないか。本人がさ」

 

「その場合でも瀕死の邪神の意志は希薄でロクな意志表示も出来ないだろうとは言われてただろ。そこも込みで成功確率は高いんだろう。ただ、オレは……」

 

「?」

 

「あいつは……自分の為ならば、何を犠牲にしてもいいという感じだ。だが、同時に目的の為なら自分すら捧げても何ら構わないと証明した。だが、それには打算も妥協も合理性もある」

 

「何が言いたいんだい?」

 

「何もかもをしっかりと考え尽くした上で今出来る最上の事を実行する。オレなんかより随分とご立派だ。何も考えずに子供達を地獄に送り込んでた考えなしなオレからしてみたらな」

 

「ランド……」

 

「あいつなら、きっと預けるなら、預けるに足るかどうかをしっかりと確認して、裏取りくらいはしてただろう。何もかもを尽くして……安穏と過ごしてたオレとは違って……」

 

「………」

 

「結果が全てだ。そして、ヤツは結果だけは出し続けて来た。オレ達が五体満足、食事もまともに取れてるのが証拠だ」

 

「ッ、あ、あの子だって食べてただろう?」

 

「食ったフリだよ。そこまであいつは食べなくても死なない体に見える。あの黒いのを使ってる限りは……だから、必要最低限の水以外は口にもしてなかった」

 

「そ、そんな……じゃあ、今まで食べてたのは……」

 

「いつ、何時、遭難するか。いつ何処に閉じ込められるか。オレ達の生存を第一にして他は全て投げ捨てて行動してたんだ。アネさんの肌に傷一つでも付いてたら、オレはあいつを許さなかったはずだし、何一つ信用しなかっただろう。だけど」

 

 ランドが仄暗くも冷静な瞳を繭に向ける。

 

「あいつはそんなオレの事すら見通してたんだ。その上でオレとアネさんをあの状況で無傷のままに運んで見せた。気付いてたか? オレ達を受け止めてるスライムの方があいつの使ってたスライムよりも多かったんだぜ?」

 

「そ、そうだったのかい……坊や……」

 

 メイジェーンもまた繭を見つめる。

 

「全部、見透かした上でオレ達が付いて来れる範囲で、受け入れられる範囲で非常識な行動をしてたんだ。何処まで人間心理に詳しいんだか。文句を言ってたオレらの方が子供だったなんてよ……」

 

 そこまで聞いてメイジェーンがキュッと胸元の外套を握る。

 

「無事に……戻って来るわよね」

 

「ああ、戻って来るさ。あの強かさ……勝算が無くちゃあいつはやりゃしない。オレらは待とう。此処のエルフ達の手伝いでもしながらな」

 

「うん……」

 

 2人の人間がそう互いに決意を固めている時。

 

 その後方で陣地構築に動き出したウサミミ・エルフ達は長老連と桜花老が陣の中央で会議を行っていた。

 

「本当に良かったのですか? 桜花様」

 

「よいよい。どの道、我らに道は無いじゃろう」

 

 1人の老人に訪ねられ、そう兎月が頷く。

 

「ですが、さすがに弱り切っているとはいえ、大欠片ですぞ? 本当に可能だと?」

 

「可能じゃろう。我には分かる。邪神がソレを望むはずじゃ」

 

「邪神が、望む?」

 

「お前達には言わずにいたが、この大陸の邪神の意志はな。主体性が無い」

 

「主体性、でございますか?」

 

「他の大陸の大欠片がどうかは知らん。だが、聞こえて来るに人並みの意志と欲望を持っているように見えるが、此処の欠片は違うのじゃ」

 

「どうしてでございますか?」

 

「長年封印してきたのでな。そこは分かる。つまり、興味が無いの一言に尽きる」

 

「興味?」

 

「恐らくじゃが、過去の意志が強烈な影響力を持っていた時代にいたせいで我らのような精神薄弱にして身体虚弱の生物に興味が持てないのじゃろう」

 

「つまり、神のような相手でなければ、反応しないのでございますか?」

 

「恐らくな。だが、使徒様が来た時に封印が一瞬解けそうになった」

 

「な!? ま、まことでございますか!?」

 

「ああ……この数千年。数千年じゃぞ? 恐らく一度とて無かった反応が、あのたった一人の人間が来ただけで激烈になった。認められているのじゃ。敵にしても味方にしても邪神が使徒様を一個人として認識しておるのは間違いない」

 

「故にああしていきなり……」

 

「皆には済まぬと思っている。だが、我ら新緑のアーク・エルフの宿願は大陸の開放と邪神の時代を新たな時代へと塗り替える事。外界からの情報では太陽の女神アマテラス様もまたもう没しておる。我らはその先へと向かわねばならん」

 

「おぉ……やはり、大岩とやらの事件の時に女神様は……」

 

「それ自体は良いのだ。話では満足して御隠れになったと。問題は……我らの庇護せし神の力も日に日に弱まっている事……皆、分かってたじゃろう?」

 

 長老連が僅かに顔を俯けて沈黙する。

 

「えぇ……近頃、友人達がバタバタと逝きましたからな」

 

「老齢ならばともかく。孫達も病気がちですしな」

 

 老人達にも分かっていた。

 

 自分達の信奉していた女神がもうこの世にはいないのだと。

 

 それを認めるのが怖かったというのが本音だったのだ。

 

「使徒様の話では彼の故郷、島には数多くの秘薬があるそうじゃ」

 

「秘薬、でございますか?」

 

「うむ。寿命を正常に戻す薬や我らの日の光に当たれるようにする薬は恐らく作れると言っておった」

 

「まことですか!?」

 

 兎月から頷きが返される。

 

「それを信じて貰う為に今の環境で生成出来る薬を人数分貰っておる」

 

 兎月が複数の小瓶が入った箱を取り出した。

 

「それは昨日要り用だと用立てた小瓶。これが……秘薬?」

 

 老人の1人が小瓶を取り出して松明の光に翳した。

 

「ソレはあの特殊なスライムで現在生成可能な緩和薬だそうじゃ」

 

「緩和薬?」

 

「我らの肉体の不調の原因となる血統の因子を一時的に封じてくれるのだとか。詳しい事は分からん。だが、先に呑んで確認した。見るがいい」

 

 兎月が袖を巻くって腕を付き出す。

 

 その腕からは僅かに神の力が溢れているように見えた。

 

「僅かですが、神の力が外まで漏れて来ておりますな」

 

「体調は良い。恐らくじゃが、今まで肉体内部の不調を治す為に使われていた神力の一部が必要無くなり、体の外にまで漏れて来ておるのじゃ」

 

「おぉ、では……本当に……」

 

「使徒様の話ではこの薬は恒常的にあの黒いスライムから生成可能だそうじゃ。根本的な体質の改善には島の力が必要だとの事。また、日の光への耐性も上げてくれるとの事でのう。試してみたが、今まではすぐに肌が崩れておったのが、今は少しヒリヒリする程度で済んでおる」

 

 その言葉に長老連の誰もが背後の繭を見上げた。

 

「……本当に桜花様が占った通りになりましたな。救い主来たりと」

 

「さてな……使徒様は救い主等という柄ではないかもしれぬ。だが、約束は守ろう。己の命と意志を賭して……そこは信用してよい。我らが誠実である限りは余程の事が無い限り、見捨てられはせぬ」

 

 そこまで聞いて老人達が頷き合う。

 

「お分かり申した。桜花様。我ら今後の予定を全面的に同意致しましょう。里が枯れても人が枯れねば、いつか芽吹く者達が一族を、我らの未来を再興しましょうぞ」

 

「うむ。良い……全て良い……これよりアーク・エルフの長として命ずる。使徒様に仕えよ。我ら一族の末達の為、外に向かうぞ。我らにとっても大陸にとっても新たな時代の幕開けじゃ!!」

 

 盛り上がるエルフ達が薬の配布と共に活気付いていく。

 

 そして、彼らは数日後。

 

 繭が罅割れるのを見るだろう。

 

 そこから飛び出した何者かが次々に彼らの里にまで押し寄せ始めていた怪異達を屠り、外に飛び出していくのを見るだろう。

 

 そうして、彼らは里に渦巻くスライムに飲み込まれ。

 

 一つの船の上にいつの間にか載せられていく事となる。

 

 黒き氷の船。

 

 その甲板に立つ女が倒れながらも、船が進み始めた時。

 

 ようやく、彼らの新たな時代への船出は始まる。

 

 カダスに嵐が吹き始めていた。

 

 *

 

―――現在、氷の船【船室内】

 

「………」

 

 少年はゆっくりと微睡みの中で手順を反芻する。

 

 邪神の力を取り入れる為に必要となるのは調理技法と耐性獲得の方法。

 

 要は致死量の見極めと無力化。

 

 神の力で邪神の力を相殺した破片を思紋機関による呪紋で生体機能を弱めつつ真菌で取り込む。

 

 取り込んだ細胞を消化して構成物質を細胞に取り込んだ際の作用を確認し、確認した際に致死量を計って、摂取する。

 

 摂取後、肉体の細胞で摂取した物質への耐性が得られるまで耐久。

 

 耐久時にあらゆる細胞が破壊されるのを低減すると同時に再生と物質の取り込みとそれを有用に活用する作用機序を真菌から一早く細胞に導入して定着。

 

 嘗て肉体を強くする為に苦労した時の事を思い出しながら、里で集めた薬効をとにかく細胞に注入して耐久と耐性を完全に得るまで待つ。

 

 死すらも画するだろう痛み。

 

 いや、痛みという信号とすら認識出来ない過剰な神経の悲鳴に肉体が反応しないように押し殺して耐え続けるのは久方ぶりの話だが、問題など無かった。

 

 嘗て、真菌が無い頃には毒を短期間で摂取して死ぬ事も儘あったのだ。

 

 強くなるというのは簡単に見えて大変だし、薬となる物質を精製する為の知識を深めるのに数万年以上の月日を費やした。

 

 もっと深く。

 

 もっと厚く。

 

 分からぬ事なんて無いように。

 

 少女達が病やケガで死ぬのを見ている事しか出来なかった時に感じた感情に比べれば、死ぬ程度の激痛なんて少年には単なる信号に過ぎない。

 

「………」

 

 耐え切った後。

 

 得た耐性を用いて、少しずつ物質を摂取し、耐えて耐性を獲得してというプロセスを何度も繰り返す。

 

 そうして、摂取可能な量が1gを超えた辺りから新型作用機序の細胞への完全定着と共に邪神の構成物質を有用に肉体の細胞に取り込めるようになる。

 

 太陽神の灰を山ほど貪っていたので中和は問題ない。

 

 問題なのは総量的に中和限界があるという事。

 

 しかし、残りは真菌の方に押し付けて、適応完了後に限界より少し余裕を持って邪神の摂取を完了。

 

 そのまま増えた魔力と能力で一気に肉体を開発する……予定だったのだが、そうは問屋が卸さないとばかりに問題が発生。

 

「名前は?」

 

『あら? 昔、教えたわよ。アルティエ……』

 

「覚えてない……」

 

『そうね。あの形態の時は殆ど情報を得られていないものね』

 

「……あの形態は……到達出来た回数だけで1万回を超えない」

 

『ええ、時の運というのが重要なのよ』

 

「運?」

 

『正確には貴方が一定以上の能力と邪神の因子を大量に摂取し、肉体が負けた時という事ね』

 

「……蟲が主原料の薬に肉体が適応した時に起こってたはず」

 

『ええ、だからよ。貴方も薄々おかしいと思っていたのではなくて? 神以外の全ての者達を蜘蛛化する力……神の力すら一定量以上でなければ、抗えない理由。蜘蛛達がどうして貴方の薬を全て受け入れられたのか」

 

「蜘蛛が邪神の系列でウルガンダは……邪神の欠片の一つ……そっちの力が適応出来るなら、蜘蛛達も同系統で適応出来ない理由が無い」

 

『正解……』

 

 緩やかな笑みを少年は感じた気がした。

 

『早めにあの蜘蛛達と合流する事ね。貴方の血統の因子が不活性化し始めているわ。あいつの力は静止させる事……その力そのものを取り込んだ貴方は印が開放されなければ、その内に全てが止まってしまう』

 

「………」

 

 少年は感じていた違和感がどういう類のものか説明が付いた事で時間制限が付いたらしいと己の肉体の自己探査によって期限を割り出していく。

 

(………1月か2月持てばいい方……カダスを抜けるのに邪神を討伐する必要があるなら、かなり時間が押してる……頼みの綱の神の力の発露が中和で全部持っていかれてる以上、見つけられるのはかなり難事……)

 

 少年がゆっくりと動き出そうとして、その体が崩れていく。

 

 途中、周囲で悲鳴が上がったようだったが、少年は構わず起き上がった。

 

「坊や!?」

 

 思わず止めようとしたらしい女性の腕が自分を押さえつけようとして、完全に水分を失った肉体が崩壊し、すぐに周囲に控えていた真菌のスライムによって吸収され、黒い布に巻かれた。

 

「ただいま」

 

 そう声にしてみて、僅かに首を傾げた少年だが、喉に手を当ててから、体の中心が妙に軽い事に気付いた。

 

「?」

 

「ぼ、坊や!? な、中から……っ」

 

 ゆっくりと灰のような滓を零しながら立ち上がった少年がいつもよりも声が高いのに気付いてチラリと自分の体を見下ろす。

 

―――無い。

 

 ついでに有る。

 

「ラ、ランド!! 見るんじゃないよ!?」

 

「へぁ!!?」

 

 傍にいたらしい男が何かを頭部にぶつけられて引っ繰り返る音がした。

 

 そこでゲラゲラと笑い始める声も一つ。

 

「く、くくく、使徒様や? どうしてそう面白いのじゃ? ほんにまぁ……今、新しい服を持ってこようかや」

 

 まだ目が回復し切っていない少年が顔の滓を払い落とす。

 

 その腕は細く。

 

 その脚は細く。

 

 その胴体は細く。

 

 その首は細く。

 

 そして、体全体がちんまりとしていた。

 

「坊や……なのよね?」

 

「問題ない。預けていた鞄とそれから水を……」

 

「問題しかないよ!? アンタって子は!!? 何で女の子になってるんだい!!?」

 

「……成り行き」

 

 実際には自分の肉体と密接に関わっている真菌が神性を取り戻し、恐らくはエルコードの力の一つが開放されているから、とは言えず。

 

「オレが怒られるのは理不尽じゃないか?」

 

 そう凍っていても何故か寒くない船室の床で倒れたまま呟くおっさんの声に納得する少年の姿は少女になっていたのだった。

 

 もしも、蜘蛛達がこの事を知れば、大混乱に陥るだろう。

 

 何故と聞く必要もない。

 

 ちちがははになってしまったら、『(>_<)ややこしい事である!!』と蜘蛛の百人に百人が言うに決まっているのだから……。

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