流刑貴族の追放記-極獄と呼ばれた果ての地にて- 作:Anacletus
【臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。本日、午後5時32分頃、大陸中央の臨時特別商業路経由点ベセルナ地方においてアウトナンバーの出現を地方気象台が確認。帝国陸軍特化独立機甲大隊の残置処分中である地方待機要員よりドラクーン4名が即時出撃。これによる戦闘余波にて家屋倒壊43件、30m圏内の全家屋粉砕を確認。アウトナンバーの残余変動は4時間余りとなりました。討伐数4、回収数3の内訳は討伐300m級4、回収km級が2、残りは不明となっており、帝国報道官の声明によりますと―――】
【その時、あの方が仰られたんです。もしも、次に来る事があれば、今度はしっかりと宣伝させて頂きますと……あのお方は私の邪なる心を見通しておられた。そして、叱るでもなく。ただ、もう一度の機会をお与え下さったのです】
【現行、この空の色に関してはどうにも今現在の技術では局所的に変動させる以外の事は出来ないというのが帝国技研の回答であり、それがもしも可能であったとしても、技研が技術開示する事は無いでしょう。それはつまり、この時代を終わらせる技術が出来たという事であり、それはアウトナンバーの脅威に晒された大陸においては世界支配の完成を―――】
【こんばんわ。今日の晩御飯のお時間です。本日のお品書きはこちら……皆さんが大好きな帝国風オーブ焼きです。牛肉の肉々しさとハーブの風味と爽やかさ。そして、味付けによるコクで何処でも親しまれた庶民のごちそうです!!】
【本日、リセル・フロスティーナの副議長枠として初めて敗戦国側より3名の推薦が許可された事で事実上の大陸統一の内実は一旦落ち着くものとみられ、今後は統一議会における議長選挙日程を―――】
【臨時ニュースを申し上げます!! 臨時ニュースを申し上げます!! 本放送は帝国技研及び帝国議会承認の下における特別放送であり、大陸の全土放送は緊急時以外はこれに切り替わる事をご了承下さい。本日未明、基準時間9時34分、各地方の時間変動誤差13時間内より始まった大気色変動によって半世紀にも及ぶ色彩汚染が治まった事を確認したとドラクーン第十二大隊所属48名の連名による報告が成され、事実だと技研からの声明が出されました!! 地域の方々は空を見上げて下さい!! 半世紀にも及ぶ緑炎の空が失せていませんでしょうか!! 青が!! 蒼が返ってきます!!】
【帝国軍報道官より、原因究明の為に特別封鎖地域への艦艇派遣が行われる旨が先程、全新聞社及びメディアにおいて発表されました。これは極めて異例の対応であり、本案件は正式にリセル・フロスティーナ管轄となり―――】
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「?」
『やぁ、―――君。今、いいかね?』
「………」
『そうか。近頃は安定しているようで安心した。君に一つ頼みたい事があるんだ』
「?」
『君は事実上、帝国技研の嘱託職員という事になっているが、現在の帝国の最新鋭OSのアーキタイプを独自開発した事実上の国家機密でもある』
「………」
『我々にしてみれば、量子を用いた汎用OSは手を焼いたものがポンとお出しされた点で君に敗北している。だが、それで終われないのが一応は表向きの公務員という立場だ。そこでだが、君に少し手解きして欲しい生徒がいるんだ』
「?」
『【クロノ・ダイブ・システム】だ』
「?」
『【クロノ・ダイブ・システム】だ』
「??」
『【クロノ・ダイブ・システム】だ。君にならみ、見付け、見付け、みつけ、らら、ら、らられるは、は、は、ha………』
音声が途切れる。
そして、何も聞こえなくなった。
ただ、小さな光る板だけが虚空を落ちていく。
光はただ煌々と今も―――。