流刑貴族の追放記-極獄と呼ばれた果ての地にて-   作:Anacletus

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TipsⅠ

 

 

【エル大陸】

 

 -世界で最大の大陸。多くの種族が住まい。人類種と呼ばれる人型。五体を持つ種族が大陸の覇者として世を制した。古き時代より戦乱が耐えず。未だに大国各国は世界を切り分け、覇を争う永い永い大陸統一戦争、通称グレートゲームに興じている-

 

【鬼難島】

 

 -東の果て、極獄と呼ばれる大陸に幾つかある各国が共同して使う共同流刑地と呼ばれる場所の一つ。旧き時代より数多くの人間が送り込まれ、そして返って来なかった。内部の事はまるで分らず。各国は周辺航路を特別封鎖していないが、島の周囲の海流が複雑で座礁の危険が極めて高い事から多くの船は遠巻きにしか島を見る事が無い。流刑者がどうなっているのか確認される事は無く。今も時折、各国の厄介者や極刑の犯罪者達が船で移送され、その船毎消えていたりする事も確認されている-

 

【流刑者】

 

 -極刑の流刑者の多くはその国家においては基本的に国家転覆罪のような治世を揺るがす大罪の結果として移送される事が多い。ただし、そういう人物程に位が高い事が儘ある為、死刑ではなく極刑。その中でも流刑という形で辺境に流すのである。故に彼らはただの罪人ではなく。特権階級の罪人として様々なものを持って行く事を許可されている。例え結果が死であろうとも彼らは恵まれているのである-

 

【帝国】

 

 -大陸の中央に位置する帝国はグレートゲームに参加するプレイヤーとして極めて重要な立ち位置にいる。それは何処の援軍にも成れるし、何処からも攻められるという事であり、多くの国々は帝国との関係を重要視し、各国の大使館は必ず帝都と呼ばれる帝国の中枢である都市に置かれ、日夜暗躍暗闘を続けている。帝国が倒れる時、世界は破滅に向かうだろうという予言者の言葉は正しく単なる予言では済まない真実味を帯びるものであり、帝国の破滅は誰も望んではいないというのが、各大国の本音である-

 

【呪紋】

 

 -人が魔力を用いた呪紋を用い始めたのは神世の時代であり、彼らの多くは肌に特別な文様を刻んで、言葉を通じて力を発し、神の加護や様々な奇跡を従えたという。しかし、時が移ろう中で大陸の治世が鉄と血によって築かれるようになると一部適正のある人間にしか使えない呪紋は“魔の技”と呼ばれるようになり、軍事力を一部支える技術と成り下がり、数多くの術者は世に蔓延る“タダビト”に駆逐されていったという-

 

【呪霊】

 

 -人が死んだから霊になり、数多くの者達が天に還り、再び人の治世に降りて来る。こう説くのが教会と呼ばれる人々であり、呪霊と呼ばれる人の魂魄が現世が留まる現象は多くの場合、誰かを害する為であった事から、教会はコレを悪霊と呼んで神聖騎士と呼ばれる神の使徒……教会の騎士達によって討伐している。だが、嘗て古の時代には呪霊もまた人として奉られており、もう一つの現実を生きる存在として認知されていた-

 

【教会】

 

 -イゼクスと呼ばれる主神を奉る大陸に大勢力を誇る宗教組織。巨大な組織であり、各地のグレートゲームに参加する大国の王族などは殆どがこの組織と繋がりを持ち、熱心な信者もいる。多くは道徳や教育を司り、信仰と共に人々の生活扶助や地域の顔役として利害調整を行うのが各地の司教達の役割とされ、概ね人々に支持されているが、実利主義や合理主義を警戒しており、一部の信徒達は異端として組織内から排斥される事が多いとされる-

 

【タダビト】

 

 -魔の技を用いる者達の中でも先祖伝来に技を受け継ぐ一族の者達は呪紋を使える者と使えない者、魔の技に属する技能が無い者をそう呼んでいる。それは一部侮蔑的な表現である事もあれば、単に技能が無い人間であるという事実を言うだけの場合もある-

 

【賢者の石】

 

 -教会が禁じた魔の技には錬金術と呼ばれるものが存在している。そして、その錬金術においては賢者の石は終局であり、破滅であり、再生と始原の象徴でもある。ただし、教会に破壊された魔の技は多く。体系が残っていない技能はかなりの数に上る。しかし、それでも口伝や口外されない一族伝来の秘密の一つとして呼び習わされる賢者の石は万能であると言われ、大陸に残された技能を持つ者達にとっては極めて重要なものとなっていて、現物を探して見つけ出し研究する、現物を自らの手で造り出すというのは彼らの悲願でもある-

 

【真菌共生】

 

 -菌類というのは人類にとって多くの場合は良き隣人であり、悪しき隣人でもある。病原体であり、あるいは体内に巣食う共生者でもあるが、生物との共生を選ぶ菌類は少ない。しかし、同時に新たな菌類が人と共生する事で大きな力を得る事は間違いない。正しく、それはミトコンドリアのように人体内部で細胞の仕組みに組み込まれた時、多くの恩恵を齎し、生存の為に宿主を生かして強化するのである。例え、それが化け物のように宿主を変異させてしまうものだとしても……-

 

【祈祷呪紋】

 

 -呪紋には幾つもの種類がある。特に属性と系統は複数種類存在しており、祈祷呪文は正しく神への祈りによって発動させるものが多い。だが、実際に戦闘前に掛けるという事はあっても戦闘中に掛けるものの多くは祈祷を用いないのは精神を戦闘に向けている最中に祈るというのは危険な行為だからである。その為、呪紋を用いる者達は祈りや様々な詠唱をどうにかして省略出来ないものだろうかと悩み、幾つかの答えを得る事になった-

 

【精霊詠唱代替】

 

 -呪文を用いる者達の多くが詠唱を最小限度に抑える為に行った事の一つは同じ大陸に存在する別の誰かに肩代わりさせるというものであった。特に空間に偏在する精霊は殆どの場所において存在していた為、ソレら精霊に詠唱を肩代わりさせる事は合理的であり、その為に精霊と契約し、自らの魔力を分け与える事を従属契約と呼んだ。ただし、精霊詠唱代替は精霊が見えている事、周辺精霊を味方に付けている事。周辺精霊と契約するという3段階の準備が必要であり、結局それを実践出来る術者は殆どいなかった為、手法は知られていても廃れていったとされる。また、精霊のいない場所も例外的に存在しており、その場合は更に特定の精霊を連れ歩く必要があった為、運用難易度が上がった。この為、術者が1000人いてもそこまでやれるのは1人か2人というのが現実であった-

 

【シャニドの印】

 

 -教神イエアドの祈祷呪紋の一つ。あらゆる呪文を修めた賢者シャニドが開発したものであり、本来は神や自然の中で魔力に属する存在と結びつく事で発現する呪紋を得易くなり、呪紋自体も強化する秘術の印である。これを持つ者の多くは英雄になったと伝わるが、力を持つ故に悲劇的な最後を遂げるという。今では失われているとされ、文献にしか残っていない-

 

【ウィシダの炎瓶】

 

 -祈祷呪紋に属する炎属性呪紋。本来、十秒近い祈りを捧げる事で発動する。教神イエアドの加護に属しており、旧い時代の聖人ウィシダが神に炎を捧げた時にその炎を貯めて置く為の瓶が神より下賜された。以来、炎瓶が失われて以降も神に祈りを捧げる事で炎瓶を給わる事が可能となった。炎に関する触媒を神に関連して捧げる事で発現する事が多く。本来は鍛冶師の聖人であるウィシダが剣を打つ為に使用していた-

 

【第三神眼】

 

 -嘗て、賢者シャニドは自らの目が盲いた時、三つ目の瞳を得た事で人を超えた世界を見る事が可能となり、更に叡智は飛躍したと伝わっている。第三の目は呪紋を用いる者達にとって多くの場合、結果的に得る事が多いものであり、彼らの目の大半は特化して、人が本来知らない領域を観測し、その領域に即した呪紋を強化し、その領域に住まう生物達と交わる事が可能となった。しかし、それは同時に人間から離れていくという事であり、生きたままに霊魂となる者、怪物となる者、神となる者、あるいは人以下の化け物となる者。結果は様々であった。第三神眼は取り分けシャニドが用いた第三の目とされており、その叡智に比例するように複数の領域を観測する事が出来るとされる-

 

【ウェルキドの大剣】

 

 -抗魔特剣と呼ばれる対呪紋用、術者用の剣の一つ。神話に出て来る蛭の怪物ウェルキドが呪紋を用いる英雄を殺した事に準え、ウェルキドの眷属と呼ばれる人外の異形達が自らの乱杭歯と自らの筋繊維を剣に織り込んで鍛えた代物。呪紋の詠唱に反応して、その呪紋の術者の喉を狙って抉り出して殺す為だけに特化されており、その際には他の領域に生きる者が詠唱していようと領域を超えて相手の喉を潰す。詠唱者に向けて強靭な蛭の再生能力と柔軟性を維持する触手が乱杭歯を誘導するが、装備者であろうとも襲う為、運用は慎重に行われる。一種の安全装置として装備されていなければ、発動しないという縛りが付いている。これは眷属が呪紋を使う事が後の歴史においても儘ある事だったからとされる-

 

【抗魔特剣】

 

 -タダビトと呼ばれる人々の多くが呪紋を畏れていた旧き時代。それに対抗する為に造られた剣の多くがこの抗魔特剣に属していた。効果は様々であるが、一様に呪紋の使用者。つまり、魔の技を使う術者に対して効果を発揮するものとして鍛造されており、中には通常の武器として使っても極めて高い能力を持つものもあった。現代に残る英雄譚の英雄達、その武器の大半、聖剣、魔剣と呼ばれるモノがコレである。魔の技を使う者達の減少と共に使用される事が無くなり、鍛造技術も失われ、今では伝説の武器と化しているが、一部ではこの鍛造技術を発展させた国家や今も伝える者達が残っており、創る事は可能とされる。ただし、神世の時代の剣は殆ど情報から現物から全て消え去っており、それは伝説を超えて抗魔特剣の中でも【神世剣】という名で呼ばれる神の武器とされる-

 

【呪霊召喚】

 

 -呪霊を現世に再び生命として呼び出す限定的な輪廻転生の呪紋の一つ。生命属性と呼ばれる希少な系統の呪紋であり、特殊な霊体の媒質となる物質や存在の力を魔力で増幅して使用する。ただし、極めて使用者が少なかった上、呪霊は大半の場合、未練よりも怒りや憎しみで現世に留まる事が多かった為、使用者も呪霊に殺される事が多く。殆どの術者は現代に生き残る事が出来なかった。ただし、呪霊との契約や圧倒的な実力があれば、呪霊は感情よりも畏怖の対象として使用者に付き従う。殆どの場合、呪霊そのものが高濃度の呪いであり、憎悪であり、憤怒の感情の塊である為、攻撃を受けたり、その血潮を浴びると様々な弊害、霊障を受ける-

 

【燻り贄のウルクトル】

 

 -呪霊の中でも大量の生贄を捧げるような儀式において発生する事がある集合呪霊の一種。大半は呪いと憎悪の塊である為、生命のある者を憎んで襲う。その血潮は霊を呼び寄せる贄の効果を保持しており、霊の影響力を強く受けるようになる為、戦えば戦う程に霊が集まって来て死に取り込まれる可能性が高まる。その上、顕現して尚、霊の領域の存在である為、大半の物理攻撃は半減以下のダメージしか与える事が出来ない。ある意味で最も呪霊らしい呪霊と言えるが、集合体である為に自我が殆どなく。本能的な畏怖や恐怖を覚える相手には従属する。ウルクトルは地名である-

 

【ファルターレの貴霊】

 

 -呪霊でも個人の自我を保った者は極めて有用な技能を持つ者であれば、嘗ての旧き時代は英雄の共、友人として帯同する事はよくある事であった。貴霊とは呼んで字の如く。尊き霊であり、こう称される者の大半は死んで尚、誰かの為に何かをしようとする希少な人材であり、魔の技が廃れる前は尊ばれる対象であった。殆どの場合、個人名を持つ者はおらず。家の名で呼ばれる事が多かった。その名が個人名となった時、その霊はもはや霊というよりは一存在として神格にすらも抗する霊的自我であり、神格化されれば、神とすら戦えたとされる。彼らは正しく信仰されたり、盛んに語り継がれる事で神のように力を強められたからである-

 

【ヴァンジーの爆華】

 

 -奇妙な事に二つの概念は一つの摂理で一致する。甘いものは危ない、のだ。極めて巨大で不安定な分子構造を持つ成分が甘いとすれば、それこそが神の摂理であろう。それは取り過ぎれば甘き毒であり、叩けば全てを吹き飛ばす爆薬である-

 

【人形師の呪冠】

 

 -嘗て大陸の東部においては人形師なる呪紋の術者達がいた。特異な精神属性の呪紋【生命付与】は生命無き者に精神を限定的に与えるという力であり、同時に好きなものを生命として生きさせる事が出来た為、人形師、人形使いなる術者達の多くはより強大な姿形を生み出す造形師でもあった。彼らは木彫りや彫刻、絵、表現可能なものなら何でも一時だけホンモノに出来た事から重宝されたが、その最たる伝説は一つである。妻を失った夫が妻を造った悲劇は今も語り継がれる。彼は人形師ではあったが、良き夫ではなく。良き人形師ではあったからこそ、妻は彼を殺す程に愛して、共に消えたのだ。呪紋を入れ込まれた冠は正しく呪いでもあり、反動で生命をモノにしてしまう怖ろしき呪具であった-

 

【エンデの指輪】

 

 -呪紋の多くは象形の形で残されるが、象形そのものの解消で消え去る。だが、本来あったモノが消滅する事は無く。実際には呪紋の概念が集積していた力は世界に拡散して消えている。エンデの指輪は正しくその霧散する力を収集する為のものであり、旧き時代のタダビト達が敵から呪紋を得る際に破壊して消してしまう問題を解決する為に生み出した。旧き時代の教会の守護者達はこの力を持って、強大な術者達を打ち倒して、その力を己のものとし、世界最大の宗教組織へと育て上げていった。指輪は神聖騎士に今も継がれているとされるが、術者が殆ど消えてしまった現代では単なる甲虫の指輪に過ぎない。指輪の甲虫は教会の主神イゼクスが遣わす“神蟲”の名を冠する聖なる虫の遺骸から造られ、この世に現存数は30個無いとされている-

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