流刑貴族の追放記-極獄と呼ばれた果ての地にて-   作:Anacletus

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間章「世界を滅ぼす七つの魔法」

 

 数多くの大陸が犇めくとある巨大な惑星。

 

 その殆どが未だ大神と邪神の戦争を引きずり、未だ神世が終り数百年という時勢にも争いの種は尽きない。

 

 神に見捨てられた大陸はそれなりの数存在しているし、近頃は世界が破滅しそうになったので大陸から脱出する勢力やら、新に現れた緋色の塔。

 

 月に繋がる階に向けて、幻を追い掛けるように大航海に出る者も後を絶たない。

 

 正しく、世は大混乱期にして大海洋時代。

 

 しかし、神に見捨てられた大陸の多くはそれに乗り遅れるどころか。

 

 それどころじゃないという所も多々ある。

 

『軍曹。今日を生き延びられなければ、我ら共和国に未来は無いと思え』

 

『少尉殿。ですが、帝国の……いえ、最後まで共に戦い抜きましょう』

 

『部隊を纏めろ。もう前線が夜明けと共に動き出すぞ』

 

『了解であります!!』

 

 例えば、限界集落染みて落ちた人口を維持しながら、限界ギリギリの資源を争って結束する国家や地域が大戦争をしていたり、嘗ての世界の遺物である邪神や大神の遺産を用いて新兵器のぶつけ合いで滅びそうになってたり……。

 

『オイ。坊主……これが共和国最後の神器だ』

 

『コイツが……新しいゴーレム……』

 

『旧き時代。古の技術……もうこれ以外存在しないフレームを使ってる。自己再生、自己復元、自己改良を可能とする正真正銘、大陸最後の希望だ』

 

『主神ダルナノグの心臓を用いた最後のゴーレム……』

 

 緋色の塔?

 

 何それおいしーの?

 

 こっちはそれどころじゃねーんだよ!!?

 

 というのが案外いる。

 

『目標マーキング完了!! フルファイア!!!』

 

『すげぇ……戦線に一瞬で大穴が開きやがった!!?』

 

『アレが最後の神器!! 最後の希望か!!!』

 

『全軍突撃!! 帝国の戦線を一気呵成に打ち崩すぞ!! 我らに後は無い!! 損害に怯まず敵軍後方に抜けて包囲殲滅せよ!!』

 

 そう、遥か緋色に染まった運河に掛かる月は見逃さない。

 

 正確には惑星に向けられた月面上に開く巨大な複眼が、だが。

 

 半ばクレーターにしか見えないように偽装されているが、実際は巨大な一人の蜘蛛の瞳が視認可能な大陸を次々に捕捉し、巨大なシェナニガン貴下の天使と蜘蛛の軍勢が天界で製造し続けている巨大樹木船に揚陸目標地点を指示していたりする。

 

『くくく、馬鹿め。我が最終兵器の良い的だわ。戯けが!!』

 

『例の大量破壊兵器だ!! 破壊しろ!! 坊主!!』

 

『うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!?』

 

『喰らうがいい!! 貴様ら共和国最後の神器毎消し去ってくれるわぁ!!!?』

 

『(´|ω|`)(滅び掛けてるのに元気でよろしいという蜘蛛の顔)』

 

 だから、人類が閉じ込められた大陸で諸々の破滅を引き起こそうとしているのを止めたりするのもまた蜘蛛達のお仕事の一つとなっていた。

 

 別に見知らぬ人類が大陸毎どれだけ滅ぼうと彼らの心は痛まないのだが、今後の為に使えるモノは使う主義を徹底する彼らに否は無い。

 

『ハイドロ・ブレイザァアアアアアアアアア!!!?』とか。

 

『フォトニック・カノン!!! シュゥウウウウウ!!!』とか。

 

『くくく、ようやく共和国の連中を地図から消す事が出来る!! さらばだ!! 我が宿敵達よ!!』とか。

 

 独自技術の発展が一定の値を超えて暴走し、全てを滅ぼせる系兵器……アトミックでバイオでケミカルな力の数々が神器と融合し、大陸の自滅に使われるのを放って置いたりもしないのだ。

 

『な、何だ!? いきなり機体が動かなく―――』

 

『ば、馬鹿な!!? 圧力チャンバーが停止した!!? 何が原因だ!!?』

 

『そ、装置がいきなり停止しました!!? 共和国軍我が方の前線を突破中!!? 技師達が現在原因を究明中であります!?』

 

『クソォおおおおおおお!!? どうなっている!!?』

 

 魔力が使えるからと魔力で技術開発すると大抵の文明が行き付く先が物質の圧縮や原子崩壊や次元や時空間の破壊、陽電子砲染みた代物や核融合系の爆弾に転用されるのは正しくよくある話なのだ。

 

『く、ならば、アレを出せ!! 開発中だった機体搭載型の小型版だ!!? 一発撃てればいい!!? 共和国を殲滅するのだ!!!』

 

『は、はい!!? 格納庫よりいつでも正面に撃てるよう設置するのに2分掛かると!!?』

 

『どんな手を使ってでも二分稼げ!?  そのまま完了と同時に撃て!!!』

 

 これでとばっちりで島が滅んでも困る彼らはそういう自分の手に無い破滅を破壊し、大神勢力圏にある力と叡智の全てを収集する為にあらゆる大陸へと脚を向け。

 

『(^ω^)(はろーみなさん。くもーぐんがやってきましたよーという顔〉』

 

 善意の隣人という大嘘を真顔の笑みに携えてやってくる使者と化した。

 

 つまり、だ。

 

『―――馬鹿な!!? 防がれただと!? どういう事だ!? 何が起こった!!? 我が最終兵器がどうし―――』とか。

 

『な、何だ!? また機体が動かない!!? アイツを斃せるのはオレだけだってのにどうした!? ラングレン!!? 何故、動かないんだ!!?』とか。

 

『これは!!? 外部からの干渉だと!!? この戦乱で大神が復活するのでも無ければ、神器が機能停止するはずが無い!!? ッ!? 何だ!!? あの大陸は―――』とか。

 

 要は最終兵器の打ち合いをしてる悪そうな顔のおっさんのいる基地を月の複眼に顕現させた第三神眼で捕捉して、巨大樹木船セフィロトの艦砲で消し飛ばしたり、神器搭載型の機動兵器を蜘蛛達の高次元からの干渉力で停止するわけである。

 

『神器が次元圧で強制的に弁を閉鎖されている?! こんな事が―――』

 

『(・∀・)/(はろーいろいろ知ってそうなおにーさん。くもーぐんです。神器回収に来ましたーと不用品回収業者として映像を送ってみるセフィロト級オペレーターの顔)』

 

『―――!?!?』

 

 遂に神が見捨てた全ての大陸も含めて、大神勢力圏全ての大地に到達。

 

 セフィロト級が一大陸一隻体制で配備された日。

 

 大神と邪神が争っていた大陸で起動していた神器を使って戦争してる大国や世界の秘密を探求して己の力としていた強者。

 

 その類の殆どが蜘蛛の急襲を受けて、活動を停止した。

 

 怖ろしい事に大陸を滅ぼせる神器の大半を活動不全にまで陥れ、更には戦争そのものを介入によって有耶無耶にしてしまった蜘蛛達はこう人類に告げた。

 

『(^ω^)(ちょっと、邪魔なんで静かに破滅しない程度に戦争してて貰えます?という顔)』

 

 無論、そんなバカげた新たな侵略者に軍というものはまったく以て普通の対応をしたのは言うまでもない。

 

 殴り勝てばいいんだろう!!

 

 とかいう勢い任せの攻撃を仕掛けてしまうのが大半であった。

 

『何だ!? アレは!!? 攻撃だ!! 攻撃しろ!!?』

 

『何だ!? どういう事だ!? 何で180口径を喰らって破壊出来ない!!?』

 

『アトミック・ブレイザーが効かない!!? 核融合反応を防いでいるだと!!?』

 

『新たなゴーレム!? 一体、何処があんなものを開発し―――』

 

『隊長!!? アレを!!? アレを!!? 空に何かが現れ―――』

 

『何だ……山脈? いや、大陸、なのか……?』

 

 そして、彼らは知る事になる。

 

 大陸を焦土に出来る兵器を打たれて平然としているモノ。

 

 神器の攻撃を受けて、平然と虚空に佇むモノ。

 

 大陸そのものを破壊する力を秘めた攻撃の最中で腕組みで微動だにせず。

 

 平然と片腕で全ての空から雲を消した最終兵器染みた人型のゴーレム。

 

 その名前はシュヴァリア(デミ・ストレンジ・レッド製)一般機……後々、神々との大規模戦闘で無限の戦力を延々と削る為に使用される事が決定した例の宇宙侵食破壊系兵器であった。

 

 そんなのが一体だけで報復攻撃によって全ての武器を全損させたのだ。

 

 単なる自分の装甲表層を剥離させて鱗粉のようにまき散らし、設定された特定物質のみを侵食崩壊させたのである。

 

『何だ? ゴーレムが、車両が、銃が緋色に砕けていく……』

 

『世界の終わりがやって来た、のか?』

 

『何もかもが緋色に砕けて、ひっ!!?』

 

『お、オレ達は大丈夫なのか!? オレ達は!!?』

 

 何もかもが緋色の砂として崩れた後。

 

 その何かがズラリと背後から数千機単位で戦場の空に並び始めた事で多くの者達は悟ってしまった。

 

 呆気なく。

 

 本当に呆気なく自分達の物語は終わってしまったのだ、と。

 

 それは正しくまったく本当に狂おしい程に空気を読まない分投げエンドだ。

 

 バトル漫画を読んでいたら、最終局面で一番強い敵と味方が何か軽いノリでやってきた侵略者に武器も能力も取り上げられて、スゴスゴと戦闘を止めて、平和に暮らしました〇とかいう……暴挙だ。

 

『(≧◇≦)(はーい。せんじょーのみなさん。こーんにーちわーとウルで落着して、両軍の人員を糸でグルグル巻きにしていく係の顔)』

 

『何だ……お前ら一体、何なんだよぉおおおおおおおおおお!!?』

 

 神器使いやら最終兵器やらの使い手もこれにはお手上げである。

 

『(^o^)丿(我ら世界の平和に寄与するちょっとお茶目な苦労人!! くもーぐんと申しますと律儀に絶叫する兵隊達に大量の名刺を超音速で移動しながら見えるように置いていく営業職の顔)』

 

『ひ、く、蜘蛛だ!? まさか、魔物か!? 馬鹿な!!? こ、こんな知性のある怪物が攻めて来たって言うのか!!?』

 

 人々は世界観に生きている。

 

 そして、大陸の多くの世界観は敵も味方も共有されている。

 

 いきなり、知らない超技術を持った勢力に最終戦争で漁夫の利されて勝利されてしまったら、その世界観とやらは全て崩壊してしまう。

 

『そ、空にいきなり戦場の光景が!!? 何だ!? 敵の新兵器か!?』

 

『あ、アレは!? きょ、共和国と帝国の最前線だ!!?』

 

『―――何だよ。何で皆、緋色に染まって……ひ!!? ぎ、銀色の蜘蛛!!?』

 

 いきなり、物語が第一部完!!!みたいな打ち切りになったら、そりゃ誰だって怒りたくもなるだろう。

 

 だが、本当にまったくどうしようもなく悲しい事に……今やセフィロトのバックアップを受けた蜘蛛達が一ミリも“単なる神器”程度に負ける要素は各大陸の戦場には無かった。

 

 邪神の魔力をサンプリングする事に成功した蜘蛛達は大半の神器を活動停止させて機能不全にする術をもう開発した後。

 

 ついでに邪神側の神器であろうとも同様だ。

 

 太陽の女神から散々吸収した魔力と高次元すら焼く炎、核融合反応も継続的に塔内部で起こし続けており、事実上……出力の限界はあれど、疑似太陽神と化したヘリオスが常時定圧で良ければ無限に出力を可能としていた。

 

 蜘蛛が緋色の塔の使者であると知れば、多くの戦場において何もかもが終った。

 

 悪も正義も無い。

 

『ははは、ははははは……帝国の次は蜘蛛の軍隊だと? 我らの大陸も遂に終焉を迎えるのか……』

 

『(>_<)/(いえいえ、そんな事はありませんよと戦争中の負けそうな方の司令部のど真ん中に現れて、全ての重火器を使用不能にしつつ、逃走する為の通路を封鎖して、丁寧に名刺を司令官に渡してみる営業職の顔)』

 

『―――銃を納めろ!! どの道、この階梯の怪物相手に我らが生身で勝てるものじゃない!!?』

 

『(>ω<)/(おー話の分かるしれーかん=サンだなーと蜘蛛の商会の商品カタログ(大陸復興プラン+大陸間経済圏構想案+ニアステラとの国交樹立案)をお出しする顔)』

 

 先制攻撃を受けたという大義名分をわざわざ作った蜘蛛達はソレをテコにして蜘蛛が気に入らない悪党、つまり少年が生存を許容しない程度の人格を全て蜘蛛にして取り込むか大地に肥料として即座に混ぜ。

 

 同時に最終兵器の類のある場所や機体、兵器類を即時停止接収。

 

 人類も超人も未来を見る超越者さえも諦める以外無かった。

 

 蜘蛛達はただただ理不尽だったからだ。

 

『何だ!? 銃弾も魔力も何も利かねぇぞこいつら!?』

 

『く、クソ!?』

 

『(。-∀-)(はーい。手を上げて動かないでねーと良さそうな人々を部屋に軟禁して、施設を奪っていく部隊長の顔)』

 

『や、やつらは本当に怪物なのか!? あの統制の取れた動き!? アレは軍隊だ!!? く、蜘蛛の軍隊だってのか!!?』

 

 彼らは一人で人類を遥かに超える強度の肉体と大陸を焦土に出来る魔力と人類には一個人では決して到達し得ない戦闘技能と先進大陸を遥かに超える魔力運用体系と圧倒的な生産力を背景にした資源や兵器の物量と……何よりもユーモアと人類を誑かして見かけ上の幸せを押し付ける叡智があった。

 

『つ、つまり、貴官らは世界を破壊する力を不用意に発動させた大陸を制圧し、全ての争いを収める為にやって来た、と?』

 

『(^◇^)(勿論です。蜘蛛ですからと看板に書き込む顔)』

 

『敵味方問わず。今まで戦場でやられていた全ての悪行を暴き。あらゆる悪党と断じた人間を肥料か蜘蛛にして消滅させ、物資不足を解消する、と?』

 

『(^▽^;)(悪党が消えて、物資が十分なら、戦争する必要無いよねとリアルタイムで戦場及び後方地帯で“駆除”された人類のリスト(天使蜘蛛の特殊掃討部隊製)を司令部のスクリーンに映してみる顔)』

 

『だ、大統領!? ぐ、軍の高官まで!!? アレはゴーレム製造企業の役員!!? 貴官らは我らの陣営の重要人物を殺したのか!!?』

 

『(T_T)/(あ、これ彼らがやってた悪行を天使蜘蛛が頭を覗いた際に確認したリストです。どうぞお納め下さい)』

 

『――――――!?!!?』

 

 一番簡単に自分達の側に付くだろう人々をさっそく政治家や企業、諸々の分野の実力者から取り込み始めた時には全て終わっている。

 

『法に乗っ取りもせずに処分するだと!? そんな事が許され―――』

 

『(・∀・)(でも、貴方達が最初に撃ちましたよね?と看板に書く蜘蛛の顔)』

 

『な、何!?』

 

『(・∀・)(つまり、先制攻撃の為に自衛権が発動され、敵対勢力国家の制圧時に出た犠牲ですよね? それって貴方達の国際条約でも戦争犯罪になるんですか?と全部知っていながらこの大陸の国際法のグレーゾーンでごり押しする顔)』

 

『く、蜘蛛が法を騙るのか?!』

 

『(^◇^)(僕ら蜘蛛には人間の見分けは付かないですし。勿論、蜘蛛の顔を人間が分からないのと同じ(大嘘)です。この“先制攻撃してきた大陸”の悪意ある人間は全て処分対象なんですが?と戦争の理不尽さを国際条約のオブラートに包んで自分達の正当性を更にごり押ししてみる顔)』

 

『(―――コ、コイツら!? 我々の大陸の法体系までも事前に!!? し、侵略者なのか!? これが外界の、くっ!!?)』

 

『(・ω・)ノ(貴方がこの契約書にサインすれば、前線の人達も貴方の部下も後方の戦争加担してた民間人もお腹一杯のご飯が食べられて、衣食住を確保出来るんですが、貴方は自分の良心や誠実さで法の正しさを説きながら、物資不足で死を待つだけの彼らを、救わねばならない人達を、己の志の為に救わないのですか?と更に追い詰めて見る蜘蛛の顔)』

 

 読心能力を備え、人を廃人にする程度の呪紋を大量に揃え、精神的に自分達へ依存させる為の物理的な手練手管に長け、その上で何も知らない無智なる人類の前では可愛いぬいぐるみに化け、『(>_<)(ボクわるいクモじゃないよ。くもくもという顔)』までしてみせるのだから、抗う事など不可能だ。

 

『―――全軍、戦闘行動を停止せよ……帝国中枢たる宰相は倒れた。帝国軍指揮官の8割の戦死を確認した。現在、拘束されている者はしばらく大人しくしていてくれ。今後の事は追って通達する……ッ』

 

『(>_<)(あ、組閣する時になったら、外交官送るのでコレに通信してねと大陸に置いた蜘蛛の担当部署への直通番号を教えておく蜘蛛の顔)』

 

『我らは一体、何の為に戦争をしていたのだろうな……よもや、こんな結末になるとは……神々に見放された人は何処まで堕ちるものか』

 

『( ̄д ̄)(あ、神はこの間、何体か攻めて来たからある程度駆除したばかりだよ。神頼みはしても無駄だから、これからは蜘蛛頼みすると尚良しと看板に大神連合の神々が敗北するシーンを大量に映像化、プロパガンダする営業職の顔)』

 

『―――――――――』

 

 正義は役に立たなかった。

 

 悪は役に立たなかった。

 

 ドラマチックに人の感情が左右する戦争とやらは死人ばかりが出ていた。

 

 そして、戦争で正当化されたはずの勝敗に関する全ての悪行が暴露され、同時に悪党が大陸から民間人も含めて1割近く消えた。

 

 いきなりの強襲による蜘蛛達の単なる大虐殺とも見える行動が後に殆どの犯罪者を一律消し去ったと判明する。

 

 その“おかげ”でどれほどに大陸が健全になったか。

 

 こう唱える人々を支持層として形成する為に彼ら蜘蛛は人々の生活再建をまったく完璧にやり遂げるだろう。

 

『(・∀・)(せんそーしてるようなとこほどに今後の世界統一でやり易くなりそうと思う政策決定会議所属蜘蛛の顔)』

 

『(^ω^)(女子供関係無く手に掛けるゴーカンマーとかサツンジキーとか人を不幸にして歓びを感じるサイコパスーとか人を廃人化する麻薬を売ってたバイヤーサンとか。明らかに悪意しかない人間が徒党を組んでくれてて助かる。纏まって蜘蛛化したり、肥料にしたりするのは簡単だしねという蜘蛛の顔)』

 

『(´・ω・`)(ちゃんと心の隅から隅まで読んでから実行してるからね。人類が生存するのに生きて居られちゃ困る悪意の塊には消えて貰うしかないよねという極論の塊みたいな部隊に指示出しする指揮官蜘蛛の顔)』

 

『(・∀・)戦争を互いの大虐殺と呼ばない人類の蜘蛛への熱い掌返しを期待しよう。百人殺せば虐殺者で千人殺せば英雄なわけもないんだよなーという顔』

 

『(|ω|)(せーぞんとーそーもしゃかいのげきとつもたしゃのころしも排除という点なら何ら変わらないよね。善悪ではなく。事実で語れば、世界の歴史の大半は人殺しが造って来た事はまったく現実なのだが、人類って自分が良いモノだ、正しいんだと疑いたくないしゅーせーしてるんだよなー……現地住民の心理状況をグラフ化して計測し続けている大陸の心理管理系蜘蛛の顔)』

 

 戦場での行動は正しく彼らの戦いを体現している。

 

 広告よろしく。

 

 蜘蛛達は自分達をより良く見せようとしているが、それはそう誰かに見られたいからという人類の根本的な欲求とは異なり、単純に一番合理的に自分達の目的に合致した方法だからに過ぎない。

 

 そうしてプロパガンダする為の蜘蛛達の機関が大陸の意志決定者達に暗黙の了解としていずれ受け入れられる事になるが、それはまた未来の話。

 

 ただ、その時点で分かっているのは新たなる侵略者は理不尽に“先制攻撃されたから、攻撃し返しました”という建前で大陸から自分達を脅かす可能性のある人材を幼女にして一掃、自分達の父基準で殺処分しとかないとロクな事にならない個体を抹消した事だけであった。

 

 彼らは本質的に戦争を止めに来たのではない。

 

 島に迷惑が掛かりそうな状況を改善し、適当に人類が大人しく生きていける状況を構築しに来ただけなのだ。

 

 そこに善悪は無く。

 

 単純に悪党を消しているのも悪党のせいで世の中が荒れて、大人しくしていられない国や人間が出ないようにする為の行動でしかない。

 

『ひ、お、おれらが何しギャァア―――』

 

『に、逃げ―――』

 

『こ、ころ―――』

 

『あ~くも~? そんなんどこにい―――』

 

『へへ、お楽しみだったのによぉ。あ―――』

 

『ひ、ひぅ。ぁ、ぁあ……』

 

『(^_-)(お嬢さん。助けに来ましたよ?と今まで男達に散々性的にボロボロにされていた少女を優しく抱き抱えて呪紋で記憶を消してから治しつつ、処分した悪漢を不可糸で真菌の元に運ばせていくウィンク紳士蜘蛛の顔)』

 

 虐殺そのものが瞬時にこっそりひっそり終了したせいで一般人達にとっては民間も軍も無く生きてられちゃ困る人々が“戦争でいなくなった”という扱いになったので悪党と人倫に反してた連中が大虐殺されたというのは大きなインパクトはあるが、許せない事とは認識されなかった。

 

 何なら物資不足や戦争による荒んだ生活で精神が擦り減っていた彼らには既存の悪党達が戦争でしくじった軍のせいで死んだ事から『ざまーみろ』という風潮すら伺えた為、相当に倫理観も低減していたと言えるだろう。

 

『ひ、ぶ、ぶちょ―――』

 

『こ、このへいきさえあれば、ていこくな―――』

 

『うわあぁあああ!!? 逃げなきゃ逃げな―――』

 

『帝国の実験台共のい―――』

 

『ぅ、うぐ、ぁ~~あ~~~ぅ~~~~』

 

『(>_<)(はろーじんたいじっけんされまくりのみなさん。あ、もう喋れないみたい。みなさんこっちですよ~~きょうでこのじっけんじょーはへーさでーす。と、もうあらゆる器官を切除されて別の何かを埋め込まれ、殺戮兵器の実験体にされていた数百人の民間人を先導する人に化けた蜘蛛の顔)』

 

 殺された多くが戦争犯罪人やら戦争従事中に人を残忍に殺した奴らやら制圧地域で女子供無く強姦してた犯罪者やら犯罪シンジケートの構成員の上層部やら麻薬製造してた組織やら兵器製造業の研究施設所属者だった事が後々公になるのは間違いない。

 

『これで戦争も終わりますな~~次は何処の地域に武器を流し込みましょうか?』

 

『ですな。現地の末端になりそうな組織は抑えてあります。金をチラつかせれば、大抵の人間は転びますからな。くくく』

 

『それにしても旨い!! オイ!! シェフを呼べ!! この料理を作った者に褒美を出したい』

 

『ヾ(≧▽≦)ノ(こんにちわ。せんそーを裏から牛耳るひとたちとカートを押してやってくるフツーの給仕蜘蛛の顔)』

 

『ひ!? く、蜘蛛!!? 何だ!? どういう事だ!!?』

 

『(*´ω`)(今日の献立はこちらですとカートの上の料理の“原材料”を彼らを前にしてカパッと開いて見せる特殊な調理技術を持つコック系蜘蛛の顔)』

 

『ひ、ひぁあああああああああ!!!? あ!!? な?!! ドーソン!!? バーゼム!!? な、あ、さ、皿に頭を!!? 馬鹿な!? ま、まさか、そのコック帽!?! うっっっ』

 

『(^ω^)(今まで他人の涙で美味しく肥え太った帝国武器製造業連盟の皆様。ご同僚の肝臓はどーでしたか?と老人会の主催者達が絶叫した様子を撮影し、賽の目状に“調理”していつものように真菌へ餌を上げる蜘蛛の顔)』

 

『(^◇^)(これでこの人達の部下も自分がどうなっちゃうのか分かったよね。大人しく蜘蛛に協力的になって欲しいなーと脅し文句と材料を手に入れてホクホクな営業職蜘蛛の顔)』

 

 戦争主導をしてた大物の政治家や実業家を筆頭にした組織的な層の3割近い人員が消失した事で戦争継続指導が不可能になった挙句。

 

 その跡継ぎや部下の大半が蜘蛛達によって絶望したままに取り込まれる事が確定。

 

 それと同時並行で大規模な蜘蛛達の復興事業とやらが即日国々において行われ、戦場で敗北した帝国だか共和国と名乗っていた軍人達の多く。

 

 幼女にされた人々から全うに蜘蛛達を睨む人々までもが“どうにもなりません。我らは不用意に蜘蛛の方々に攻撃して敗北しました。亡くなった方々には申し訳ない”とか“言い訳”をさせられた事もまったく大陸の人類には絶望だったに違いない。

 

『ひえぇ!? く、蜘蛛!!? 蜘蛛が!!?』

 

『な、何だ!? あの馬鹿デカイ箱!!? は!? む、麦、だ、と!!?』

 

『馬鹿な騙されるなぁ!!? あんな量の穀物が一か所に集められるわけがない!!? じゅ、銃を持……ッ』

 

『(*´ω`)(こちらくもーぐんです。占領政策の一環として穀物と医療のお届けに来ました~~と銃を持つ相手の手に名刺を置く物流業者してる蜘蛛の顔)』

 

『こ、これはご丁寧にって!? は、はや?! こ、これがせ、占領? 帝国の奴らじゃないのか?! お前らは!!? というか、意志疎通出来る?!! どうなってんだ!?』

 

『( ̄▽ ̄)(はーい。医者が必要な方を連れて来るか並んでください~~すぐに治療しますからね~~と簡易医療施設用のテントを瞬時に数十棟建てていく蜘蛛の顔)』

 

『おぉ、神よ!!? 何なんですか!? この怪物達は!!?』

 

『(´・ω・`)(あ、神なら死にましたよ? ウチの島とかだと、と看板に映像を映し出してみる医者蜘蛛の顔)』

 

『………………』

 

 事実上の占領に対して占領政策内容を見た“全うに蜘蛛が嫌いな層”は結局……正義や法で破滅するよりは正義と法は程々にして利益を得る事を決断した。

 

 実力が無い。

 

 意義が申し立てられない。

 

 勝利出来なかった事がどれだけ無力な事か。

 

 それを事実として知る時、蜘蛛達の“支援政策”は明らかに彼らにとっては最善策ではないが、人々の生活を改善する次善策であった。

 

『(;^ω^)(はーい。お嬢ちゃんの両足再生しときましたよー。成長痛でしばらく痛むかもだけど、普通に歩いていいですからねーと地雷で両足が吹っ飛んで死んだ魚の目になった車椅子少女に希望をプレゼントしてみる医療系蜘蛛の顔)』

 

『―――ッ、お、お母さん。わ、私の脚が、脚が!!?』

 

『な、治ってる?! ああ、神様!!?』

 

『(;^ω^)(はーい。神様は死んでるから、これからは蜘蛛に何かあったら教えてねーと看板に書いて宣伝も余念なく行う規範的蜘蛛の顔)』

 

『『あ、はい……』』

 

 蜘蛛は全知全能ではない。

 

 しかし、集団という程度の規模で理解するのならば、万知万能であった。

 

 人類の柵や感情、種族、民族、思想、概念に依らない蜘蛛はあらゆる点で戦場の死神……ではなく……戦場に対する死神であった。

 

『(。|`ω|)(はいはい。やめやめ。このせんじょーはしゅーりょーねという顔)』

 

 人類にどうしろと言うのか?

 

 塹壕が意味を成さない。

 

 陣地が意味を成さない。

 

 兵器は全て緋色の砂に変わった。

 

 食料すら存在しない。

 

 どころか!!

 

 何よりもパンツ以外に何一つ着ていない!!!!!?

 

 何もかもを奪い去る蜘蛛の手練手管。

 

 しかも、それすら『(≧◇≦)(あ、すいません。ちょっと遣り過ぎちゃった。後で補填しときますね~と看板に書く顔)』で胡麻化されるのだ!!?

 

 人類というのは案外物質に頼り切りであり、精神論を吐いている者も存外、武器一つすらないのでは締まらないし、心細いものだったりする。

 

『全部、無くなっちまった……これが終りだってのかよ……』

 

『これが世界の終局……神の裁きだってのか?』

 

『(´・ω・`)(あ、いえ、蜘蛛の通常制圧行動ですという顔)』

 

『『!!!?』』

 

『( ̄д ̄)(ま、死んでなきゃ安い安い。さっさと家に帰って明日の就職先でも探した方が得ですよ。兵隊さんと大陸に先んじて浸透していた蜘蛛達が経営する中小企業の住所と電話番号と担当者の名刺を差し出してみる顔)』

 

『『あ、これはどうもご丁寧に……』』

 

 戦場における何もかもを奪われ、同時に人としての尊厳一枚にされた時、同じ身一つで人類が蜘蛛に勝てる要素は0であった。

 

 勿論、狂信者とか、思想主義主張の為に命を張る連中もいた。

 

 が、その類は精神崩壊させる類の呪紋を頭部に彼らが感じられないようにブチ込んで一晩すれば、一般人になりたいと泣いて言い出すので問題は無かった。

 

 問題は大抵の場合、全てを奪われて、心を折られても折れない類の信念を持つ一握りの人々であるが、それこそを警戒する蜘蛛達に抜かりはない。

 

 そういう類の者達が本当に個人、単独、一人切りで孤独というのは中々無いのだ。

 

 ソレらを骨抜きにするのは簡単だ。

 

『まだだ。まだ、終わらない……オレは―――』

 

『(・∀・)(あ、神器遣いの人はけーん。これ貴方当ての電話ですと携帯端末を差し出してみる顔)』

 

『?!!』

 

『―――エゼス君!! エゼス君!! 私よ!! 今、ウチの孤児院にその、大きな蜘蛛の人が来て、す、すごい額の寄付を……』

 

『ッッッ』

 

『(^◇^)(軍は制圧したから何処からも文句は出ませんし、その神器なら言い値で買いますよと小切手と神器使いの人の実家の今後の経営プランまで出して商談を持ち掛ける商社マン系蜘蛛の顔)』

 

『………分かった。敗北、か。共和国も帝国も無く。アンタらの勝ちだ……』

 

 彼らの大切な人々が蜘蛛を敵じゃないよと言い始めれば、そこに孤独こそを恐れる人類が敵うわけがないだろう。

 

 生憎とそんな奇特で孤独な叡智を持つ超越者の類はいなかった。

 

 蜘蛛達の人類篭絡術は正しくシェナニガンを筆頭にして、近頃はマニュアル化されており、妥協は無かった。

 

 そう、妥協は一切、無かったのである。

 

『まさか、神器が停止するとはな……世界を創生する事も世界を破壊する事も出来る力……それだけの力を以て、お前達は何を成す? 旧き邪神の系譜よ』

 

『(●´ω`●)(世界を滅ぼす七つの魔法って知ってる?と白旗を上げて肩を竦める神器遣いのおにーさんに訪ねてみる蜘蛛の顔)』

 

『七つの法?』

 

『(´・ω・`)(血統、社会、愛情、規律、自由、神、そして人類だよと蜘蛛の秘密を教えてみる顔)』

 

『七つの法……それがお前達の極めたものか……』

 

『(´|ω|`)(己の血統の力の無さに死んだ人がいた。社会での地位が無いばかりに死んだ人がいた。自他の愛に振り回されて死んだ人がいた。規律と自由の果てに死んだ人がいた。神の前に幾度と無く死んだ人がいた。そして、人類の愚かさと賢しらさのせいで無限に死んだ人がいた)』

 

『( ^ω^ )(もうその人が死ぬ事は無い。世界を滅ぼす七つの力を全て極めつつあるから……遠くない未来に全てが終る)』

 

『―――面白い。ならば、連れて行ってくれるか? 神器の代価だ。世界の終わりか。未来の果てか。お前達に同行する権利を寄越せ』

 

『( ̄▽ ̄)(一名様。セフィロト級19番艦にごあんなーいという蜘蛛の顔)』

 

 こうして蜘蛛達は今日もイソイソとドラマチックな世界とは程遠い灰色の未来に向けて、毎日が日々平穏にして日々日常なる時代を造る為、各大陸への浸透を続けていくのだった。

 

 その惑星で残る彼らの浸透していない地域はカダスのみ。

 

 天界で今も生産拠点となっているシェナニガンの旗艦であるセフィロト級一番艦アルゴノォトの横では次々にカダスにある全大陸に回す為の艦が急ピッチで整備建造されており、旗艦もまた日々成長を続けていた。

 

『(`・ω・´)(はーい。こっちこっちー。次元圧を下げる武装はそっちの第七区下層域に取り付けてねーと武装を運搬する物流作業員な蜘蛛の顔)』

 

『(´ρ`)(近頃、更に次元系列の知識に詳しくなったせいで攻撃と防御がかなり上がったなと神の干渉力を次元を歪める兵装で弾く機器を調整する蜘蛛の顔)』

 

『(゜Д゜)ノ(はーい。セフィロト級42番艦まで順次艤装済ませて~時間ないよ~と現場監督する蜘蛛の顔)』

 

『(^-^)(ホント、神の軍勢倒すのに全然艦が足りないなぁ……少なくとも300劫くらい光の速さで飛んでも辿り着かない程度の領域に天使とゴーレムがミッチリ確保されてるっぽいし、さっさと対抗戦力比を0.0000000000000000000001%くらいにしないとなーとセフィロト級の次の艦を設計する技師系蜘蛛の顔)』

 

 何れ来る大神達との全面戦争に備える為、艦に乗らないほぼ全ての蜘蛛と天使達は力の増幅と艦の建造、物質を魔力から生成する事に時間を費やしており、その曼荼羅染みた虚空に配置される蜘蛛の中心で成長していく無数の船は静かに時を待っている。

 

 彼らがひっそりと時空間を加速させ、猛烈な年月を莫大な力の出力、増幅の為に費やしている事をまだ蜘蛛達以外は知らない。

 

 神が永遠にも等しい時間で溜め込んだ力を上回る為、蜘蛛達の戦いは誰も知らないところでひっそりこっそり行われていたのだった。

 

 その中核システムの大本となったとある大陸の時間操作系能力者は今日も自分を使い倒してくれる“ご主人様”の為に毎日毎日時間を加速し続けている。

 

『(・∀・)(今日も元気だ。時間が早い)』

 

『jげぽjgpgj;お5えが;5gじぇあgj5いあlg』

 

『(゜∀゜)(う~ん。悟ったら痛みが快感になるとか。人類の適応能力ってスゴイよねぇ……まだまだ一杯使ってあげるからね!!とサイコパスみのある事を考えながら、不可糸に包まれた元時空超越者の繭から興奮で溢れ出す汁を拭いて整備する蜘蛛の顔)』

 

 もはや、蜘蛛に規模の概念で人類が永遠に追いつく事は無いだろう。

 

 世界を滅ぼす七つの力に圧し潰され続けた誰かさんが極め続けた……否、究め続ける力は……正しく魔なる法。

 

 何も知らなかった世界で永劫にも等しい時間を以て組み立てられたあらゆる叡智と技能は確かに当人の思惑を超えて、その現身に等しい蜘蛛達に活用され、更なる飛躍を果たし、人類の永続と滅亡しない程度の繁栄の為に運用され始めていたのだった。

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