流刑貴族の追放記-極獄と呼ばれた果ての地にて- 作:Anacletus
我々の船があの懐かしい世界より旅立って幾星霜。
もはや、逃れられない定めと知りながら戦い続けた果て。
遂に我らは約束の楽園を前にして力尽きた。
されど、大いなる導きに依りて、蒼き青年と紅き少女の手を以て、我ら体を失えど、新たなる楽園にて再び命を芽吹かせ―――。
「(´・ω・`)(あ、またカミの話してる……悪いけど、あっちは今取り込み中だから、そういうのは全部終わってからにして欲しいんだよなーと看板に書く顔)」
な、何?!
く、蜘蛛、だと!?
そんな、馬鹿な!!?
いやいや、待て待て!!
あらゆる困難を超えて敵も味方も何もかも滅んだ先で転生しようという時に何の夢だ!!?
「(-ω-)(ここは現実ですよ。おじーちゃん。それと人生はもう終わったでしょと諭してみる普通の唯物論的蜘蛛の顔)」
ま、まさか!?
我らは楽園にようやく―――ああ、あれこそは間違いない!!
あの緋色の月……月?
何故だ!!
蒼き大いなる星が何故にああも禍々しいのだ!!?
「(´・ω・`)(あのね? おじーちゃん。じんせーは一度死んだらお終いなんだよ? 蘇ったりしないから。基本、おじーちゃんもゆーれーだからね? 本人の残り滓。人権とか無いから大人しくしてて欲しい。いや、マジで……と散々に呪霊と転生に苦しめられてる父にまた面倒を押し付けられないと不法入星者に厳しい蜘蛛の顔)」
どういう事だ!?
楽園は!!?
我らは死んでようやく柵から逃れられたのだ!!
おお、死して尚魂は生き続け―――。
「(・∀・)(あの星の中以外だと本人のザンサーでしかないんだけど言ってもダメそう……あの星のてんせーけいのシステムは殆どが物理エンジンで高速サイクルしてるって話が本当なら、事実上死ぬ事も生きる事も左程に意味は無いんだけどなーと今も戦う同胞達からの最新知見を光の速さで受信する入星管理官の顔)」
何なんだ!?
貴様は!!?
はっ!?
まさか、我らの少年と少女が愛の力で倒したはずの邪神がまだ!!?
「(´・ω・`)(じゃしんはご先祖様で今は貴重なシゲン。かみはゲンザイリョーですが何か?という顔)」
し、資源!?
原材料!!?
な、ば、は!?
ど、どういう事だ!?
「( ̄ー ̄)(めんどーなのは倒してりよーしてます。蜘蛛ですから……という蜘蛛のドヤ顔)」
何で蘇れないとか言い始めるんだ!?
この害虫!!?
老人には優しくせんかぁー!!?
「(*´ω`*)(これがいわゆるローガイか~~という顔)」
くお!?
とても失礼な事を思われてる気がする!!?
「(・ω・)(それにしてもあの定理関連の諸法則の観測結果から言って、事実上の転生は宇宙の高速サイクル時の疑似時間加速と時空の繰り込みとメビウス的な構成に存在の当該波動そのものを再組み込み……“世界の総量”が変わらない限りは変形しても本人の構成情報を担保し続けるわけね。存在を時空間の多重螺旋構造内で巡らせて再構築。本人を本人のままに時空間まで含めて同じものがお出し出来るとか。よーせーしんのせーのーは蜘蛛に是非とも欲しいなと独白してみる顔)」
何をゴチャゴチャと!!?
おお、約束の地よ!!
わ、わたしは必ず!!
必ず、子供達をぉおおおおおおおおお!!!!
「(*´ω`)(ま、いっか。宇宙の総量に変化が無い以上、この人達も結局ずっと同じ事してて、“今回だけ”引っ掛かったんだろうし……)」
く、かくなる上は我が魂使い果たしてもぉおおおおおおお!!!
「(´・ω・)(このおじーちゃんがっつあるなという顔)」
くぉおおおおおおおおおおお!!?
ふんぬぅおおおおおおおおおお!!?
きぇあああああああああああああ!!!?
ぜはぁっ、ぜはぁっ、ぜはぁっ!!!
こ、この害虫、つ、強い!?
「(/・ω・)/(ま、そーゆーこともあるって。取り合えず、てきとーに受肉して、しばらくはろーどーりょくのごてーきょーにごきょーりょくしてねーと彷徨える宇宙移民系魂魄を転生させてみる顔)」
ふ、ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?
な、何じゃぁあああああ!!?
赤い星にす、吸い込まれるぅううううううううううううううううう!!!?
「(・∀・)(これで12万人目……案外、宇宙って彷徨ってる魂いるのねと宇宙労働者を再生して再び労働の幸せを与えてみる人の心が無い……もとい蜘蛛の心しか持ち合わせてない蜘蛛の顔)」
「この人でなしがぁああああああああああああああああああああああ!!!?」
とある宇宙中心点。
嘗て、宇宙誕生が起こった宙域。
真空の海に浮かぶ複数の天体の一つ。
火星にて。
人々が月に掛かる緋色の大河の影響で観測する事も出来ない世界には数十本の黒い天高き塔が建っていた。
ソレは正しく黒蜘蛛の巣(真空極限環境用)である。
ついでに地獄門経由で送られてくる莫大な神の力を産出する天使蜘蛛達によって、次々と物質が魔力より生み出され、無限に増幅される力を以て大気組成が開始。
大量の水までもが生成され、呪紋によるマクロ規模の原子変換によって必須元素が次々に比率毎に産出、塔を中心に噴出する巨大な質量の多くが水に溶けて流れ出し、各地の渓谷や大地に流入し、広く広く星の上を満たし始めていた。
「(`・ω・´)(第三次てらふぉーみんぐ開始が間に合ってる。これなら例の計画もきっと……と意味深な事を言いながら、真空で誘導灯以てベストを着込み、魂魄の交通整理してる誘導系蜘蛛の顔)」
巨大な大河の源となった黒蜘蛛の巣は正しく生命の源だ。
その殆どが黒蜘蛛の巣の最新Verであり、特に極限環境特化で真空、超定低圧、低温、超高温、超規模出力の宇宙線、などなどに耐えられる仕様であり、ソレらの極限環境を用いた産物の抽出を可能とする。
嘗て、少年と名誉ちちの人と呼ばれた樽の人ガシンが散々にやっていた呪紋を用いた作成方法から転換された作成方法は効率重視。
ソレが真菌を用いた質量の補填と凝集、次元、時空間系呪紋を用いた種の製造が開始された事で各大陸で大量に製造された黒蜘蛛の巣の種は【
「(・ω・)(自動化したナクアの書の写本を種の制御系に使って、ほぼ生物の再生は可能。例の神化する土が食べられる蜘蛛なら、天使蜘蛛に劣っても魔力の自己産出も可能……後は出力と規模拡大だけに注力……後、数か月以内に必要分の力を揃えられなければ敗北……シビアだなーとパンをモシャル蜘蛛の顔)」
巣は各極点、各赤道上から規則正しく配置され、大量の資源を大気、水、大地に混ぜて変質させる現場となった。
今や地表は水気を取り戻し、適当に蜘蛛達が養殖している真菌への適応適正がある諸々の微生物、ウィルス、動植物の宝庫になりつつある。
実際、黒蜘蛛の巣の外ではさっそく肉体を“不本意に”取り戻した元魂魄だった宇宙人……もとい、恐らくは旧き者達の子孫や子孫由来で造り出された種族……つまり、人型に何かしらの+αな特徴を持つだけの“亜人”が大量に混じっており、何なら大陸の殆どの場所と変わらない様子で渋々ながらも蜘蛛達の労働基準に従って、間違っても祖国や遥か果ての故郷では有り得ないような緩々基準な生活に戦々恐々としていた。
「あ、アリエン……ナゼ、ナゼ、ザンギョーがナイ?!? コレは罠!! ワナよ!!?」
「ひ、ひぇ……う、嘘だぁ!? 排泄所が無料!? この嗜好品が無料!!? む、むりょ、むりょ、むりょりょりょ、プクプクプクプク―――」
「あなたしっかりしてぇええ!!? これはオヤツ!! クモ=サンのオヤツよぉおおお!!?」
「だぁかぁらぁ、てーきゅーびって何さ!? え?! 休んでもイイひ?! あ、うん。分かった。ソレでその日にはどんな仕事をすればいいの? え? 好きにしていい? ああもう、そういうのいいからさ。だから、ロードーは何基準で何をどうすればいいって言うの!?」
「ぼ、ぼくハタラケマス!! だ、だから、げんざいりょーにしないでぇ……はたらけるからぁ……い、妹だけはぁ……」
「おにーちゃん。クモコワイ!!?」
「(´Д⊂ヽ(宇宙コワイトコ……と、宇宙基準ブラック労働の犠牲者だったらしい殆どの種族にちちの日のプレゼントを渡して盛大に7日間くらい祝う事にした労働監督官系蜘蛛の顔)」
「(´・ω・`)(先進国の物書きは宇宙に夢見過ぎだってハッキリ分かんだね。効率化と合理化は最終的に知性体を物理的に豊にしても心は豊にしてくれないとか。ちちの事で分かってはいたけど、悲しい叡智だなーと宇宙系移民者達用のマニュアルを書いている事務仕事系蜘蛛の顔)」
低重力過ぎて軽い大気層を重くする為に複数の黒蜘蛛の巣が地表から地下大深度へと到達した根をマントルに沿わせて地表の内部構造を侵食。
網の目状に真菌と超重元素……極めて重い金属元素を精製しながら、重量を増させている。
これにより惑星全体で質量の増加に伴って重力もまた1Gへと近付きつつあった。
それに従って肉体や建造物や諸々の重量が重くなるわけだが、蜘蛛達の生物資源への無類の叡智は今や天を衝く勢いで上昇しており、予め準備してあった事もあって、彼らが干渉する全ての生物資源、遺伝資源を元にした生物達は上手く適応が完了。
無論のように再生された移民者達も同様であった。
「(´・口・`)(大気層がようやく1気圧に近付いて来たっぽい。最終的には生物資源鍛えるのと訓練用に10Gくらいまで耐えられるように遺伝調整しないとなーと空気の濃さを感じながら、各地の黒蜘蛛の巣の産出速度を調整してる長官系蜘蛛の顔)」
大気層の形成が急速に進行した結果。
今や惑星全土では激しい異常気象が巻き起こり、その中心点に黒蜘蛛の巣が建造されて気象制御用の要塞として運用も開始されていた。
そう……何故か、この宙域へとやって来た宇宙移民系魂魄達を使った大規模惑星経営がいつの間にか開始されていたのである!!
勿論、大陸規模での経済圏構想をやって成功させている蜘蛛達であるからして、そこら辺はまったく抜かりない。
魂魄から再生させた生物も諸々ちゃんと生活出来るように“改造”されているし、そもそも本来の体ではないので当人の魂魄の情報から適当に再生させても現物無しなフルスクラッチ生物は見た目以外は完全に蜘蛛達の故郷である巨大な当該惑星基準の生物遺伝子100%由来な被造物。
今更、死んだ後なので形以外は気にしないで生活してねと超人染みた極地適応可能な生態までもごり押しする蜘蛛達の話に再生された楽園目指して数百億光年みたいな人々も頷かざるを得なかった。
魂魄だろうが、宇宙移民だろうが、楽園を求めてやってきた外宇宙、別銀河、別次元種族だろうが、そんなのは蜘蛛達を前にしては知った事ではない、と切り捨てられる些事でしかないというのが事実である。
そのせいで菌糸で出来た超速演算能力を持つ高度知性体やら、蜘蛛達と同じ蟲っぽい爆速繁殖能力を持つ蟲人系人材やら、精神生命体系念動実存種族やら、宇宙系エルフっぽい超長寿な長耳種族やら……バリエーションは豊富だが、殆どの者達の感想は一緒となった。
【この超生物、どう頑張っても勝てる気がしない(/o\)】
生憎と宇宙に出て永い生活の果てに進化し、念動力とか、精神生命として限界まで力を付けた神の如き力を持つ波動生命とか、超テレパシーで相手の精神を覗き見る最強読心能力者とか。
そういうのは最終的に納得するしかなかった。
【―――諦めよう。そして、働こう(´Д`)】
生憎と彼らはなまじ力があるせいで自分達を超える存在に出会った事が無かった。
出会っても“勝負”にはなった。
だが、蜘蛛達は違う。
彼らからしても超絶な自己種族と他種族が持つ能力の大半を備えた上で全ての技能、 能力に対して耐性と適応性を獲得し、同時に社会性を得た極限環境適応生物……クモ=サンを前にしては転生させられた恨みと恩が半々ならば、黙って従っておこう!!
というのが転生者コミュニティーでは決定されていたのだ。
この極短い期間での話である。
「あ、おじーちゃん。おじーちゃんも此処に来たのね」
「な、何じゃ!? はっ、まさか、我が孫!!? お前達もあの害虫によって楽園行きを止められたのか!? な、何と言う悲劇!!?」
「まぁ、おじーちゃんたら……でも、此処も案外住み易くなるらしいわよ。あの蜘蛛さん達はあの星の守護者(仮)なんですって。あ、これローブ」
「守護者だと!!? あ、ありがとう。ごほごほ……喉から黒い液体が……ぐぐ、あの害虫め……そ、それにしても此処は一体……青空の光が……ふ、ふぉおお!!? デ、デカイ!? 何なんだこの街わぁああああああああああ!!?」
転生者達は皆一様に最初の肉体を得る区画が居住区画の高台に設定されている。
巨大な黒蜘蛛の巣の内部に卸された一際太い根。
その根元に無数に埋まったカプセル染みた黒い棺桶は全て真菌のスープで満たされており、ほぼ自動で蜘蛛達の助けも入れながら、種族毎にテンプレート化した肉体を魂の情報から構築。
これを瞬時に惑星の遺伝資源内部から似通ったのを集めて造り、魂を定着させるのである。
此処までするともはや自動転生システム的にも見えるが、蜘蛛達の管理が可能なように調整されているので転生した種族が下手に反乱する芽まで摘まれている神仕様であった。
起き上がった者達が高台から見る街は異様な程に賑わっている。
殆どは蜘蛛達であるが、多種多様な種族がちらほら混ざっている。
遠目から見えるのは巨大な横断幕と無数に天を衝く高層ビル群だ。
そこには旧き者達の文字。
ゼド語でウェルカムと書かれているし、実際にその言語の情報を持っている種族も少なくは無い為、彼らは旧き者達を祖とする者の大半とソレを知る者達からして、あの超生物がその旧き者達の最終兵器なのではないかと半ば思っていた。
「あ、此処は居住区画よ? 今、彼が馬車を回してくれてるから」
「バシャ!? バシャって何じゃ!? 一体どういう事なんだ!!? 天井は見えないし!! 空気は美味しいし!! 風も爽やか過ぎるぅ!? 宇宙はもっとこーほら、あれじゃろ!!? 暗くて冷たいもんじゃろ!!?」
「まぁ、おじーちゃんたら……あ、私今日は他の転生待ちの子達を迎えに来たの。ちょっと待っててねぇ~~♪」
「何じゃ転生待ちってぇえええええ!!? ま、孫娘よぉおおおおおお!!?」
「(・ω・)ノ(ま、元気出せってと“青年”の肩をポンポン叩く優しい蜘蛛の顔)」
「ふぉ!? で、出たな!? 害虫!!? だが、ワシは騙されん!! 騙されんぞおぉおおおお!!!?」
―――10分後。
「美味しい……く、馬鹿な!? 害虫は害虫じゃなくて、クモ=サンだと言うのか!? この超生物め!? 何処の銀河を滅ぼして、悪魔のような叡智と体を手に入れた!! これでも我が一族は邪神には詳しいのだ!? 匂い!! 匂いぞ!! 貴様ら、邪神の一形態だろぉおおお!!?」
「(-ω-)(このおじーちゃん、ホントがんこだなーと否定はせずに街案内を続けるガイド系蜘蛛の顔)」
「まぁ、おじーちゃんたら、元気なんだから。ふふふ……でも、おじーちゃん。クモ=サンは天体環境操作が出来るから、立派な上位独立種族なのよ?」
「は!? ま、まさか!? あの約束の楽園の衛星が禍々しくなっていたのは!!?」
「ええ、クモ=サン達の仕業らしいわ。元々は静止衛星軌道じゃなくて、惑星を周回していたのを止めたのだって聞いたわ。こんなの邪神でも難しい事じゃないかしら? やっぱり、旧き方々の叡智を受け継ぐ種族なんじゃ?」
「ぬ、ぬぅ!? まさか、邪神を用いた最終兵器!? 鹵獲か!? 鹵獲されて改造されたのか!?」
「(*´ω`)(あ、因子は持ってるけど、天然由来100%遺伝資源変質体だよと今、邪神を鹵獲して色々している事は棚に上げ、内実をまるっと省いて教えてみる顔)」
「く……何か“おためごかし”を言われている気がするぞ!? 旨い!? くぅ?! こんな旨いもんを創れる癖に邪神の系譜とは俄かには信じられん!!?」
世の中、知らなくて良い事なんて山ほどある。
ついでに蜘蛛達が天体を飛び出して別惑星で諸々の惑星改造に勤しんでいるのは単純に現在の規模拡大を極限化して、最終戦争計画を間に合わせる為である。
妖精神を筆頭にしてとにかく力の総量規模で負けている蜘蛛達はそれを増幅する為だけであちこちの星系の天体を確保し、彷徨ってる魂魄を再生させての労働などは単なる次善事業以上の事では無かった。
「(;・∀・)(そろそろ星系のほぼ全ての大型天体の質量を消費し尽くす頃合い。近傍宇宙空間から大規模質量の収集が可能になれば、かなり早く目標数値が達成出来るはず……)」
彼らの最終目標。
敵を倒す為に想定される力を産出する。
それに必要なのはとにかく質量である。
その質量の元出が惑星上の物質ではあまりにも足りないと考えた彼らが取った手段はまったく単純極まる話であり、時間の関係で到達可能な上で自分達が実現可能な質量のエネルギー化を行える大質量体……つまり、惑星が選定された。
結果として恒星以外のほぼ全ての天体と宇宙空間に残っている塵や小惑星帯などが次々に掌握されて、あちこちで地獄門経由での質量転移を開始。
大質量そのものを天界でエネルギー化。
資源として有用そうなのは資源化。
惑星規模の質量体を次々に蜘蛛達の強化に使用した結果。
天界では天使蜘蛛達の能力はガワとなるウルが準神格位クラスまで開発が進んだ事で成功していた。
その大量のウル・セラフが惑星に群がる様子は正しく星を食い尽くすイナゴならぬ蜘蛛であり、その壮絶な作業はさながら天界というまな板で料理するかのような楽し気な気配に満ちている。
「( ̄▽ ̄)(ガス、マントル、コア……必要量の金属資源とガス資源、水素資源と超重元素資源以外は質量崩壊によるエネルギー創出で消費……ちちの例の呪紋を基礎にしたら、何でもかんでもエネルギーに出来てロスもほぼ出なくてオトク……と巨大惑星をウルによって解体し、霊力掌握でニュートロニウム・テトラ化した脚で崩壊させてエネルギー吸収してるウル搭乗系作業員の顔)」
次々にウル・セラフと命名されたソレに乗り込んだエンジェラ達が莫大な質量をエネルギー化し、そのエネルギーを用いて、ウル・セラフを増産し、増産したウル・セラフで更に神の力の総量を増幅しというループ作業へと順次切り替え。
この作業で質量からエネルギーを創出し続ける蜘蛛達も加えて、超高密度エネルギー塊となったウル達は惑星そのものの4割近くの質量を消費。
残りを資源として更に技術開発を進めていた。
「(^▽^;)(腕を突っ込んでエネルギー化しつつ魔王蜘蛛サンやノクロシアン=サンに送るだけの簡単なお仕事だなーと惑星の表層を秒速40kmで爆速疾走するウル・セラフに乗った蜘蛛の顔)」
「(´・ω・`)(マントルの中、熱ひ……でも、サウナってこんな感じよねとマグマ・ダイバーしながら、あらゆる質量を自身から数km以上エネルギーにして特製の不可糸のケーブルで送る作業員系蜘蛛の顔)」
「(≧◇≦)(ひゃっはー生きの良い宇宙移民系魂から超光速航行技術を取得したぞぉおおおおおおおおおおおおとさっそくセフィロト級の機関部に開発した情報を元に改造を加える技師系蜘蛛の顔)」
此処最近のカダスへの侵攻によって最初期型のセフィロト級の殆どが捌けた天界はシェナニガンの旗艦アルゴノォトを中心として超規模エネルギープラント化した大陸規模のウル・セラフの格納艦。
【ミストルテイン級】
要は電池のようにエネルギーを蓄え、更に増幅も出来る新艦種を開発。
腹に大量の格納ハッチを儲けられ、更に樹木のギョロ目が甲殻で覆われて、まったく凶悪さが増したソレは正しく悪の大戦艦みたいな有様になっていたが、生憎と現在進行形で時間が足りない蜘蛛達はデザイン性の悪さは無視した。
「( ^ω^ )(う~ん。効率よく増やすにはやっぱりまだ質量が惑星40個分くらい足りないんだよなーという現在の労働進行を監督してる計算得意系蜘蛛の顔)」
無数にウルがハッチ内部で大量に埋まった船が集まり、互いの相乗効果で太陽すら凌ぐエネルギー総量を倍々ゲームで増幅しながら、ウルも含めて同じものを増産し続けるという作業に移行しているが、それでも日に10隻が限界であり、想定される相手に対してはまだまだ対抗出来る量に達していなかった。
それでも、もしもの時……太陽くらいならポンとお出し出来るレベルの安定したエネルギー増幅装置と化した【ミストルテイン級】は現在進行形で140隻程まで増加。
居住可能惑星以外の全ての星系にあった惑星が消えた大事件も緋色の運河の影響で惑星上からは事実上観測が困難になっていた為、誰にも悟られる事なく順調に計画は遂行中であった。
「( ̄▽ ̄)(金星、木星、土星、水星、希少資源以外は全てエネルギー化完了。やっぱ、ちちの方法でエネルギー収奪したら、大体何でもイケルのは大きいよねー。後は地獄門経由で別星系の岩石系惑星からレア資源以外の質量を持って来れれば……ふふふと宇宙進出中な蜘蛛の顔)」
「(*´ω`)(むむむ? 宇宙の旅に出た同僚から地獄門経由で情報受信中……しばらくお待ち下さい……生物のいない中性子星を54個、岩石惑星を合わせて143個程発見との報告と電波を受信中な蜘蛛の顔)」
「(;´∀`)(空間転移でエネルギーを使い果たしたけど、地獄門経由でエネルギーの催促と……現地に小規模の門を形成するまで154時間……ソレが終ったら、本格的に収奪開始と連絡があったねと次の作業の為に準備を始める蜘蛛の顔)」
「(=^・ω・^=)σ( ΦωΦ)σ(エネルギー確保ヨシ!!という大目標達成に指差し確認する現場作業監督官系蜘蛛の顔)」
それを横目に通常のセフィロト級も次々に蜘蛛達の神の力の増幅で増やされ続けており、ミストルテイン級から持たらされるエネルギーを更に増幅して先日の数千倍規模で艦を増やし続けている者達はようやく戦力比が大神達や邪神の大本相手にも拮抗するまで秒読みという状況になった事で何事も無く全計画が進む事を切に願うのだった。
だが、彼らの前途には未だ色々と路傍の石ころのような問題も山積している。
その一つが姿を現した時。
蜘蛛達はまた一つ誰も知らない伝説を創る事になるが、それはまだ少しだけ先の話。
一つ確かな事は近傍星系に到達している蜘蛛達からの緊急連絡があったという事だ。
曰く。
「(`・ω・´)(何か、数百m級の宇宙船っぽいのが数万隻単位で移動して来てるっぽいと最大望遠で太陽フレアを背景にして遥か果ての宙域を観測してる蜘蛛の顔)」
そう、蜘蛛達の往く手には彼らにとっても未だ多いと表現出来る何かがゆっくりと近付いて来ていたのだった。