流刑貴族の追放記-極獄と呼ばれた果ての地にて-   作:Anacletus

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第14話「ニアステラの悠久Ⅲ」

 

「戻って来たか。アルティエ」

 

 少年が急造ながらも何とか形を整えた鍛冶場にやって来ていた。

 

 道具を受け取る為である。

 

 ウリヤノフは騎士の装いを解きながらも帯剣したまま。

 

 上半身を裸で肌に熱を防ぐ泥化粧を上半身にして、現場に臨んでいた。

 

 あまりの熱さにその化粧もパラパラと乾いて落ち始めている。

 

「道具は今朝言った通り、誂えておいた。そこの棚の革に全て入っている。小物を造る為のノミと槌だ。持って行ってくれ」

 

「ありがとう」

 

「それと聞いたぞ。その子を眷属にしたとな。リケイ殿にしてもらったとか」

 

 少年が頷く。

 

 その背後には少し頬を赤らめて、コクリと頷くレザリアが付き従っている。

 

「呪紋にそのようなものがあるのは知っていたが、まさか施せる者がいるとはな。遠征隊の事だが、基本的には北に直通路がある西部をまずは安全にしたいと考えている。最初の出発予定までは時間がある。エルガム殿も準備している故、そちらも抜かり無きように」

 

 頷いた少年が道具の入った皮巻を受け取って頭を下げて鍛冶場を去る。

 

 それにすぐに追随したレザリアも頭を下げて、共にリケイの下へと向かう。

 

 その背中には大きなカバン。

 

 背負い籠のようなものに大量の野草が入っているのが見えた。

 

「……順調なようだ。子供を死地に向かわせる我らは決してイゼクスの門は潜れぬだろうな……東部なら地獄の門の守護者が亡者の手で阻むと言うが……我らならば阻むでは済まんな……」

 

 ウリヤノフはそう苦笑し、自らの罪深さを独白。

 

 再び鍛冶場の方へと戻っていく。

 

 今、少年が大量に掘り出した鉱石を精錬し、必要な金属を単離している最中。

 

 まだ、小さな道具程度しか作れていなかったが、しばらくすれば、数十人分の武器くらいは賄えるようになる。

 

 それまでに住居と住民の訓練。

 

 どれも一人では手に余るものを任せる相手がいるのは良い事だと彼は遠目にカラコムが初めて募った守備隊達の訓練を見やる。

 

 荒くれ者の水夫達ならば、兵には向いているだろう。

 

 問題はいつ何処から何が襲ってくるかであり、護るにしろ逃げるにしろ。

 

 周辺の調査と散策は継続するしかなかった。

 

 正しく、野営地の命運は少年と少女に任されていたのである。

 

 *

 

 リケイに木彫りの元となる乾いた流木やら道具を渡した足で2人と1霊は天幕に戻って来ていた。

 

 アマンザは仕事。

 

 ナーズは剣の稽古を忙しいウリヤノフから引き継いだカラコムに付けて貰いながら、大人に混じって守備隊の訓練に参加している。

 

 さすがに焼け焦げた衣服を新調した少年は煤けた鎧と鎖帷子はそのままに近頃増えた干した野草の袋を横に粗末なテーブルの上で乳鉢をゴリゴリしていた。

 

「本当に好き過ぎない? それ」

 

 レザリアが半ば諦めたように呟く。

 

 此処数日、少年に貰った薬を飲み続けた結果。

 

 何か体が丈夫になったとは感じられるくらいに少女の肉体……特に普通の肌は刃物一つ通さなくなったし、背筋を護る甲殻が青白く変色して来ていた。

 

 最初は何処か黒かったのだが、今や少女を刺した蜂の色そっくりである。

 

「……?」

 

 少年が大量に造った薬草の粉を貰って来た小瓶に詰て、その中に油らしきものを入れているのを見て、レザリアが気付く。

 

「ね、ねぇ。アルティエ」

 

「?」

 

「その油、どうしたの?」

 

「造った」

 

「え?」

 

「精油は大変だから、香油にした」

 

「???」

 

 何かヤケに高度そうな事を言われたような気がしたレザリアである。

 

「ええと、油って島で作れるんだっけ?」

 

「山砕きの果実の種を擦って蒸して袋に入れて重しを載せれば取れる」

 

「………」

 

「普通に美味しい」

 

「いや、そうじゃなくて。それって新しい食材として食べられるんじゃない?」

 

「……作るのが面倒」

 

「いや、作ってるじゃん!?」

 

「必要数のみ」

 

「お願いだから、エルガムさんに教えてあげて」

 

 しょうがなく後で教える事にして薬の粉末に油を入れたソレに木製の蓋をして棒状の蜜蝋が呪紋の僅かな熱で溶かされ、蓋に封がされる。

 

「ちょっと待って!?」

 

「?」

 

「ええと、それって蜜蝋だよね?」

 

「そうだけど」

 

「この島で蜜蝋って作れるんだっけ?」

 

「この間の蜂の巣から取って来た」

 

「お願いだから、エルガムさんにソレも教えてあげて」

 

 しょうがなく少年が頷いた。

 

 棒状に形成するだけでも面倒だったのだ。

 

 必要数以外は自分でどうぞというのが少年の基本スタンスだ。

 

 というか、そんな事をしている時間が惜しいというのは野営地全体で同じであり、出来れば、必要な事をとにかく前倒しで進めさせたいところというのが本音だ。

 

「………」

 

 今度は今日の獲れたての泥を外で乾燥させて来たものが丸く泥団子状に固められて、そのピカピカな泥団子に華の粉末らしきものがそっと布地の上で漫勉なく付けられ、最後に朝餉の時に作ったお湯を使って溶かした蜜蝋の中に入れられた。

 

 引き上げられ、棒に刺された状態でクルクルと回されながら蝋が垂れなくなるまで乾燥させられて、袋にそっと仕舞われる。

 

「その……泥団子だよね?」

 

「泥団子。危険」

 

「危険? そもそもおままごととかするの?」

 

「?」

 

 少年がよく分からないという顔で首を傾げる。

 

「??」

 

 レザリアもまた首を傾げられるような事を言ったかと首を傾げる。

 

「投げて相手にぶつけて使う」

 

「投げるの?」

 

「危険。割れると爆発する。後、泥に侵食される」

 

「え? え?」

 

「危険な泥を吸い込むと病気になる。こっちには効かない」

 

「―――そ、それって……」

 

「危ないから、持って行くのは1人3つだけ」

 

 そうして少年は自分の腰の裏に付けられるくらいの小さな袋に泥団子の蜜蝋封じを入れるのだった。

 

「準備してるんだ。アルティエって……」

 

 自分には分からないようなところで分からないような準備がされていてもよく分からないレザリアであった。

 

 こうしてイソイソと拠点での準備を続ける少年は午後になるとニアステラのあちこちにレザリアを率いて向かい。

 

 探索のイロハを叩き込んでいく。

 

「動きは最小限。回避出来ない時は事前に薬や準備。移動ルートは出来る限り、最短……死なないように安定するまで反復」

 

 少年がわざと通り抜け難い道を歩きながら、どんな道無き道でも工夫と反復して覚え込んだ動きで在り得ない程にスイスイと進んで行く様子はまったく異常だった。

 

「落ちている周囲のものを確認。薬草や毒草の群生地を把握。植生を確認。周辺地形を全て暗記。一番良いのは見なくても歩けるようになる事」

 

 と、言っている間にも少年は布で目隠しをして、川や小さな亀裂、多少の断崖、細い崖際、高度のある場所での曲芸染みた綱渡りな踏破を風に吹かれながらやってのけるのを見て、レザリアはもうただ己もやるしかないという顔になっていた。

 

 出来る出来ないではない。

 

 やるしかないのだ。

 

 やれない事を出来る限りやれるようにしながら、生き残れるように只管そういった技能を反復し、練習する。

 

『呆れてモノも言えませんわね』

 

 エルミは非常識に道を行く少年とそれに付いて行こうと必死なレザリアを見つめながら、思っていた以上に言葉にされると複雑な事をしているのに驚いていた。

 

 道無き道を行く少年は本当に広大なニアステラの領域の隅から隅まで目隠しで速足で踏破してみせたし、それを追う少女は目隠しすら無いのに付いて行く事すらままならない自分の未熟を思った。

 

(こんな事、普通なら教えられたって出来ないのかもしれない。でも、もう普通じゃないなら、ボクがアルティエの眷属なら、きっと……)

 

 こうして、ほぼ安全地帯に近しい場所での未知の領域を歩く基礎講習はざっくりと始められ、その合間にも冒険への準備が周囲でも進んで行くのだった。

 

 *

 

 道を外れて湖や沼や川、数mの高さがある場所から落ち、水や泥や蟲の巣に塗れ、悲鳴を上げ、毎日のように少年の五感を感じながら訓練し続けたレザリアが辛うじて少年に付いて行く事が出来るようになったのは7日後の事であった。

 

 只管に地味な反復、訓練、暗記と地形や天候の勉強。

 

 天気や季節で危険度が変化する領域での活動方法。

 

 領域が変化すれば、踏破方法も変化する。

 

 千差万別の様相を見せる大自然の最中には合理的な理屈と踏破する人間の叡智が必要だった。

 

 だが、そう知って尚、学び切れない。

 

 実践し切れない事があるのをレザリアは実感していた。

 

 少年が手に持った薬草や物品を即座に鑑定し、様々な組み合わせで運用する事で強さを、肉体や精神を効率的に強化していく様子を横で見ていれば納得も行く。

 

 少年は特別なのだ。

 

 少なからず自分よりは。

 

 その脳裏に飛び交う情報や予想までも彼女には全て感じられている。

 

 だからこそ、彼女は理解を深めていた。

 

 分からない知識や高度過ぎるようにも感じる叡智の類を持つ少年に追い付く事は出来ないが、それを学び取ろうとする意欲は確かにまだ単なる化け物の力を少し使えるだけの少女を変革し、肉体と知性を強くしていた。

 

 落ちる度に自分がどれだけ恵まれた体にされ、少年の薬で強くなっていたのかを実感し、それでも怪我をする度に怪我の分だけ少年から受ける治療や医療の知識を必死に学んだ。

 

 怪我をする事もまた準備だったのだ。

 

 自分で傷を引き受けられるのにそうしないのは傷の治療法やケガをしながらも逃げたり戦うという緊急時の方法を教える為……全ては彼女の探索が可能なように鍛える為のカリキュラムだった。

 

 原野で生きていく為にどれほどの知恵が必要なものか。

 

 体で理解した少女は本来なら自分が重症でもおかしくないような状況でも軽いケガで済む現実を前にして感謝し、愚直に全てを吸収し続けたのである。

 

 夜は少年のもしもの時の為にと希少な紙を使って作られたマニュアルならぬ未知の領域の歩き方ガイドを熟読し、実戦する時の想定を何度も変更しながら、脳裏で未知の危険や敵とどうやって相対するかを悩みながら解答し、意識を夜の眠りに委ねるようになった。

 

「………ふふ」

 

 そうして全力で疲れ果てて眠ってしまった妹をアマンザはよく助け、掛け布をしてはおやすみと呟くのが日課になっている。

 

 こうして過ぎ去る時間の最中。

 

 巡回者と自らを名乗るモルニアもまた野営地を離れる事になったとの話で水夫達の話題は持ち切りであった。

 

『どうやら北部とやらに帰るんだと』

 

『道は教えて貰ったのか?』

 

『ああ、ウリヤノフ殿が食料や諸々の物資と引き換えに簡易の地図を貰ったのだとか。さっき、鍛冶場の連中が言ってたぞ』

 

 そろそろ深夜になろうという時間帯。

 

 危険があると分かってからは野営地の周囲では実力者を含めた複数人の者達が焚火をしている。

 

 築き上げられつつある掘りと丸太の壁の内部での話しではあったが、巡回も出来る限りやっており、暗い場所が出来ないよう複数個所で火を焚く事で死角を減らし、野営地の夜は少しだけ明るくなっていた。

 

「アルティエ殿。全て整いましてございます」

 

 いつもの浜辺で少年の前にはリケイが彫り上げた掌程の木彫りと装備が幾つか砂の上に並べられていた。

 

「それにしてもクナイ、でしたか? このような形を何故、木彫りで?」

 

「後で爆発する薬を塗って蝋で固める」

 

「ああ、それで重い樹木で造らせたと。面白い事を考えますな」

 

 リケイが少年の説明に納得した様子になる。

 

「明日にはあの姉弟達の家も出来るとか?」

 

「フィーゼに造って貰った」

 

「聞いておりますよ。何でも愛の巣だとか?」

 

「?」

 

 少年が首を傾げるのに苦笑して、リケイが話題を変える。

 

「変異覚醒者の住処の他にも酒場をすると聞きましたが?」

 

「エルガムがお酒作るって言うから」

 

「果実と魚、茸。全て食べられるものだと分かりましたからな。当然でしょう。第二野営地が再び再開されるまでには畑も更に増やすとの話も聞きましたな」

 

「フィーゼが畑の外にまた堀と壁を作ってる」

 

「見ましたぞ。アレは鬼気迫るという表情でしたな」

 

 リケイが見た限り、少年が黒焦げのパンになって運び込まれた翌日から、フィーゼは本当に限界ギリギリまで外で作業し、誰よりも後に仕事を終えて、ウリヤノフに注意されながらもそれを止める様子は無くなっていた。

 

 そのおかげで30棟の家屋と野営地を囲む堀と跳ね橋と壁が完成。

 

 更には現在野営地の外で開墾と同時に麦が植えられている畑にも灌漑設備と堀と壁が共に備えられようとしていた。

 

 それと比例してフィーゼの目の下にクマが出来ている事をエルガムは心配していたが、少年が齎した新しい薬草の知識で倒れないようにと薬を処方している。

 

「それにしても甘いものがこの数日で飲めるとは思いませなんだ。いやぁ、長く生きているが、まさか爆薬を呑む事になろうとは世の中はまったく分からないものですなぁ」

 

 リケイが笑うのは今日の昼過ぎの事。

 

 少年と念入りに色々と情報を交換していたエルガムが遂にとても便利なものを実用化するに至った。

 

 ソレはとある花だ。

 

 とても甘く栄養があり、同時に乾燥させて叩くと弾ける怖ろしい花。

 

 群生地から少年が採取してきたソレは鍛冶場で鉄が製造されるようになって初めて作った樽の金輪と大樽、そして清らかな水で共に運用された。

 

 煮沸して濾した飲料水を果汁のように甘く変質させ、同時に酒の原料になり、切り株の芯に濃度の高い原液をしみ込ませて火を付ける事で発火。

 

 簡単に切り株を灰にして処理出来るようになったのである。

 

 これで一気に畑が広がった。

 

 馬こそいないが精霊によって荷車が引かれ、周辺を焼き畑する事も出来るようになったのはかなり大きいと言える。

 

「水夫達も船の者達も甘いものが得られて随分と機嫌が良くなったのは間違いない」

 

「そう」

 

 他にも少年が油の製法を教え、蒼い蜂の残存した蜜蝋を全て熱処理して持って来た事で生活がかなり豊かになったのは間違いない。

 

 何せ今までの蒸し魚に揚げ魚が加わった上に石鹸なども作られるようになった。

 

 そして、船に積まれていた鉄鍋のおかげで塩も少量ずつだが出回り始めている。

 

 塩田はまだ造られていないが、海水を濾して蒸発させ、塩の精錬が始まっていた。

 

 木材は今のところは豊富だ。

 

「塩味にこの島の香辛料が使えるようになったのも大きい」

 

 森を切り倒し、燃料として焼き払う事で視界を確保し、農地を確保し、家も立てたとなれば、島の外の生活に追い付いて来ている。

 

 急激に開発が進んだ野営地はもう村と言ってもいい規模となっていた。

 

「後は船がどうなるかと言ったところでしょう」

 

 問題は脱出用の船の修理だ。

 

 船そのものを直す事は可能だが、応急処置は素人大工であり、本格的な大工仕事が出来る船大工が必要になった。

 

 それに付いてはモルニアが北部には船大工がいるという話をしていた為、西部を何とか安全にする事が出来れば、連れてくる事も出来るかもしれない。

 

 つまり、遠征隊の次の目的地として北部が加わった。

 

「西部フェクラールの制圧がまずは第一歩。となれば、強力な敵の出所や情報が必須……戦うにしても封鎖するにしても、後はお二人……いえ、4人次第ですな」

 

「4人?」

 

 今のところエルガムからは2人で遠征に行ってこいとしか少年は聞いていない。

 

 今回まだ遠征隊の仲間は増えないのだろうと少年は今の状況を識別していた。

 

「まぁ、明後日には分かる事ですじゃ。木彫りに予め魔力を込めて置かれるといい。自然回復には時間が掛かる以上は必要な分は事前に込めておくのがお得でしょう」

 

 リケイに頷いて、少年は修道女のヨハンナに造って貰った革製のポーチ。

 

 腰の後ろに付けるソレに木彫りを入れて、木製のクナイを数十本弾帯のようにベルトに差し込んで丸めた。

 

「では、遠征隊の成功を祈って」

 

 リケイが木製のジョッキに入っている甘い液体を飲み干してニヤリとする。

 

 準備は完了した。

 

 後は西部に向かうのみ。

 

 問題は何処まで少年と少女の力が通用するかに違いなかった。

 

 *

 

 モルニアが野営地を後にした今朝方。

 

 少年は一応は踏破能力がそこそこ上がったレザリアを連れて、最後の仕上げとして東部へと向かう蟻塚の道を抜けていた。

 

 少女の脚には少年の真菌が付着して、同じように歩く事が出来るようになり、壁歩きという何とも奇妙な経験を何とか潜り抜けた少女は教会の横穴の外に出て、広大な領域を見やると目を真ん丸に見開いていた。

 

「未踏破領域が沢山残ってる」

 

「こ、これ、エルガムさんは知ってるの?」

 

「知らない。それと人間に見えるけど、もう人間じゃないのが沢山いる。話せても襲ってくるのがいたら、容赦なく倒す事」

 

 いきなり過ぎる少年の話であった。

 

 しかし。

 

「呪霊召喚【燻り贄のウルクトル】」

 

「!!?」

 

 彼女の前で巨大な目が付いた青白い化け物が溢れて。

 

「もし倒すのを躊躇するとこうなる」

 

 その言葉にゴクリと唾を呑み込んだレザリアは少年の底無しに現実しか言わないという生態をようやく思い知った気がした。

 

 そして、おもむろに3mはありそうなソレの上に乗った少年に手を差し出されて引っ張り上げられ、上に乗る。

 

 ひんやりしている表面は何故かブブブブと震えており、シャカシャカと音がしたかと思うとソレが進み出した。

 

「出発、南部方面」

 

 どうやって進んでるんだと見てみれば、体の下に大量の腕が蟲のように生えていて、ゾワリとした背筋を震わせながら、彼女は乗っているコレが怒り出しませんようにと尻尾を縮めてプルプルする。

 

 本日は抗魔特剣を持っていない少年である。

 

 本来、全ての存在を容赦なく襲うはずのソレは完全に乗物とされており、平原を抜けて南部に向かう。

 

 1時間程の道中。

 

 何度か少年が道端に降りて薬草やら他の取得物を以て戻るとバリボリと生食しながらブツブツ呟いており、内容が何か極めて危なそうな内容だった事から、まだまだ少年の眷属は知らない事ばかりだと自分の知識不足、力不足を痛感する事になる。

 

「これって何処に向かってるの? アルティエ」

 

「東部の南東。魂が回収されて天に還されてた地点」

 

 言っている傍から少年の額に瞳が開き。

 

 ギョッとしたレザリアであるが、視界が共有されると空の上空に青白い彗星のようなものが次々に南部大きな山岳部の頂点に向かっていき、とある山岳部の上で天に昇って行っているのが解った。

 

『確かに魂に関連した情報とかありそうですわよね』

 

「?!! だ、誰!!?」

 

 ようやく声や姿が見えるようになった相手にエルミが肩を竦める。

 

『貴女の事をずっと面倒見させられていた者ですわ。本当にわたくしの騎士の癖に主使いが荒いんだから』

 

「え? え?」

 

 エルミが真下で動く亡霊と同じような半透明なのを確認して、レザリアの顔が蒼褪めていく。

 

「ゆ、幽霊!?」

 

『失礼ですわね!! 貴方が死に掛ける度にわたくしが教えて助けさせていたんですのよ?!』

 

「え!?」

 

「エルミ。ファルターレの貴霊。生き返りたいって言ってる」

 

「え? え?」

 

『よろしくね? お嬢さん。ま、わたくしのように美しく生きられるよう努力する事ね。ふふん』

 

 田舎娘に負けるわけないと胸を張るエルミはそうニヤリとするのだった。

 

 こうして山岳部近くまでやってきた一行はウルクトルが自然と消えた事で降りざるを得なくなっていた。

 

『どうやら、此処から先は霊的なものは顕現出来なさそうですわね。何か強い力でそちらの世界から押し戻されてるような感じがしますわ』

 

 エルミが解説しながら山岳部の岸壁の真下。

 

 大穴が開いているのを確認する。

 

 内部は真っ暗であるが、石畳の道が敷かれている為、人工物なのは間違いなく。

 

「夜目は大丈夫?」

 

「う、うん」

 

「人工物は罠が満載。歩く場所や壁の穴には気を付けるように」

 

「は、はい……」

 

 ゴクリとしながら、少年が速足に歩き出した。

 

 それに付いて行く少女は半分、少年の視界を借りながら、その洞窟というよりは人口的に掘られたのだろうトンネルが螺旋階段のように上に上に昇っていく事を確認して、崩落しないかドキドキしつつ、観察を重ねる。

 

 そうして、数十秒も歩いていると巨大な横に伸びた長方形状の空洞に出る事になっていた。

 

『大きいですわね。それに壁に文様や絵が沢山……』

 

「ほ、本当だ……天蓋が……」

 

 空洞の頭上からは陽光が射し込んでおり、それが中心部に置かれた複雑な象形の鏡らしきもので反射して壁のあちこちを照らし出し、全体的に明るく保っていた。

 

『300年前くらいの装飾様式ですわね。前期アルロッサ王朝時代の茨と蛇の文様。随分と旧いようです』

 

 少年が思わずエルミを見やる。

 

「解るの?」

 

『フフン。これでも東部1の教養のある美少女ですから』

 

 偉そうに胸を張る少女はフワフワしながら周囲の絵を読んで解説を入れていく。

 

『始りは此処ですわね。船で辿り着いた者達が……一緒に建物を立てて、教会を立てた。やがて、大きな蟲や人外……怪物……旧き怪物の眷属と争い……勝利した。しかし……勝利の代償に大勢が亡くなり、山の頂上に教会? いえ、ですが、怪物のものらしき紋章もありますわね。これは共同墓地のようなものかしら? とにかく、魂を慰める場所を立てた……ええと、最後に銀色の蝶? ええとええとこの綴りは……』

 

「【ファルメクの環元蝶】」

 

『そうそう。そんな感じですわって、知っていますの?』

 

「現物持ってる」

 

 少年がいつも持っている袋の中から、その仄かに温かい膨れた蝶っぽい何かを出した瞬間だった。

 

 カタカタと空洞内部にあった壊れた椅子やテーブルの残骸。

 

 更には金属製らしい燭台の残骸。

 

 そういったものがガタツキながら下からスゥッと青白い人型が姿を現す。

 

 その手には明らかに武器が握られており、殺到し始めた。

 

『きゃ、ちょ、何ですの!?』

 

 その数は10や20はいるだろう。

 

 少年が奥の通路の入り口へ先にレザリアを向かわせ、通路の入り口付近まで走って、集まって来る相手を振り祓うように腕を翳した。

 

「ウィシダの炎瓶」

 

 ゴヴァッと炎が周囲に拡散され、燃え上がりながら霊魂達が悲鳴を上げる間もなく焼け朽ちて消えていく。

 

 その姿の多くは一般人が武装したようなものであったが、幾人かは帷子に鎧を着込んだ兵士のようにも見えた。

 

 炎に巻かれて大半が消えた後。

 

 まだ残っている兵型の亡霊に向けて、少年が木製のクナイを投げる。

 

 連続して一人一本ずつ投げ放つと。

 

 霊に当たった瞬間。

 

 ピキッと封蝋が割れて、ボンッという音と共に弾けたクナイの先端の爆発で兵達もまた吹き飛んでいく。

 

 相手を殲滅した後。

 

 すぐにレザリアを追った。

 

 すると、次の階段を上った先。

 

 既に戦闘状況になっており、レザリアが入り口で敵を食い止めていた。

 

 その手には木製で中型の正方形な盾。

 

 そして、片手にはクナイが握られていて、相手を盾で思い切り吹き飛ばし、距離を取ったら、クナイを投げて爆破していた。

 

 弾かれて吹き飛ばされた亡霊達の多くが爆発に巻き込まれて、数体ずつ融け消えてはいたが、やはり兵隊は耐久力も高く。

 

 クナイを密集状態で避ける事が難しくても回避を試みていた。

 

 少年が前に出て密集してくる者達に向けて腕を払う。

 

「ウィシダの炎瓶」

 

 燃え上がる炎によって兵達もまた次々に燃え散り、何とか耐えた者達もまた少年が前に出てダガーで切り払うとすぐに消えた。

 

 部屋は一部山岳部の岸壁を刳り貫いているらしく。

 

 手すりも何も無い。

 

 壁の先は虚空で昇って来た50m程下の岸壁が見えた。

 

「危ないよ!! アルティエ!!」

 

 少年が少し覗き込んで、下の突起らしい岸壁の一部に死体らしき白骨が垂れ下がっているのを見付ける。

 

 その内部にキラリと光る何か。

 

 ダガーがヒュンと振られると伸びた菌糸の黒い糸がソレへ一直線に伸びて吸い付き、引き戻されると手の中に納まる。

 

「それ何?」

 

 少年が手にしたのは教会が使う御守り。

 

 聖印にも似た代物だった。

 

「あ、イゼクス様の聖印? でも、何か違うような?」

 

『ん~~あ、これイゼクスの聖印じゃない?』

 

 エルミがすぐに看破した。

 

『ええと、彫り込まれてるのが似てるけど違う。これは教え導く神? とにかく、何か教えてくれる神様らしいわね』

 

 少年が聖印を持っているとスゥッと鑑定が発動する。

 

「教神イエアドの聖印。知能、知識、12%上昇(固定再上昇可)。呪紋の魔力効率32%上昇。呪紋取得確率4.3%上昇(固定再上昇可)」

 

 そこで少年の第三の瞳が開く。

 

「ひぇ!? い、いきなりは驚くから止めてよぉ?! ボクの心臓壊れちゃう!?」

 

 さすがに瞳が増えるのはビビったレザリアが涙目になる。

 

「精神属性呪紋【眷属儀礼】を獲得。眷属に獲得済みの呪紋を一時的、永続的に取得させる。呪紋の威力は眷属と主の知能型ステータスと魔力の平均値となる。簡易儀式を用いる永続契約は威力が固定で上昇する」

 

「え?」

 

「ちょっとこっち」

 

 少年がレザリア壁際に引っ張っていくと。

 

 自らの手をレザリアの手に重ね合わせて握る。

 

「ひゃ?! な、何するの? ボクの手に!?」

 

 すると、ボンヤリと少年の手に有るシャニドの印と同じモノがレザリアの手にも浮かび上がる。

 

「これって?」

 

「さっきの炎の呪紋が使える」

 

「え?」

 

「他のも使える。剣が使えなくても大丈夫」

 

「あ、う、うん」

 

 唐突過ぎて何が何やらよく分からないが自分も炎とか出せるらしいと理解した少女は……いつまで手を握っているのかと慌てて体毎少年から離れた。

 

「次の階層に行く」

 

 こうして少年を先頭にしてイソイソと少年少女は部屋と通路を行き交いながら昇っていくのだった。

 

『……何、人の前でイチャイチャしてるのよ。まったく』

 

 ちょっと膨れたエルミを連れ立ちながら。

 

 *

 

 二時間後、ようやく数百m先の頂上へと三人はやって来ていた。

 

 各地の空洞には大量の亡霊達が犇めいていて、あちこちで出入り口付近でウィシダの炎瓶による炎とクナイと少年のダガーが猛威を振るった結果。

 

 亡霊達は全滅。

 

 また幾つかの部屋では白骨化した者達の懐に少年が拾ったのと同じイエアドの聖印と呼ばれる品があって、拾い集める事になった。

 

 少年も含めて合計で6つ。

 

 レザリアも装備しているし、ちゃっかり少年に手渡して貰ったエルミも霊的に変質した聖印を装備して少し賢くなったかもしれない。

 

 後の三つは適当に必要な人間に配ろうと決めて、最後の階段を昇って来た彼らが見たのは階段の先の荒れた頂上であった。

 

 焼け焦げてから長い年月を掛けて風化したような朽ちた剣の群れの墓標。

 

 そして、その下には宝箱らしき銀色の木箱が僅かに錆びた状態で置かれていた。

 

 だが、問題はそこではなく。

 

 宝箱の前に形を保つ骸骨がいる事か。

 

 それがカタカタと震えて、害意も無さそうに少年達へ顔を向けた。

 

『まさか、人絶えたグリモッドの霊殿に再び聖印を継ぐ者が来るとは……これもイエアドのお導きかもしれぬ』

 

「しゃ、喋った!?」

 

 レザリアが少年の背後に思わず隠れる。

 

『下の階の者達が失礼した。彼らは彷徨う者。何れ、この霊殿が崩れ去る時に開放される哀れなる亡者だ』

 

「貴方は?」

 

 初めて見る相手。

 

 少年は警戒は解かずにそう訊ねる。

 

『東部大霊殿の守護者イブラヒル。嘗て栄えたグリモッド最後の生者だった男の成れの果てだ』

 

「此処は魂を集めて空に還してる。何故?」

 

『此処が島の魂の管理をしているからだ。島で産まれるモノは何であれ島の霊殿より転生の輪に入った存在だ。島で死ぬ者もまた同じ。だが、我々は滅びた』

 

「何故?」

 

『貴殿が持っているソレ……【ファルメクの環元蝶】のせいだ』

 

「?」

 

『この地に一時的に入植した我ら教会の一部は大地に根ざし、グリモッドで嘗ては大勢力を誇った。我らは霊を操る呪紋に長け、この島にしか生息しない蟲を用いて、多くの儀式を行った』

 

「儀式?」

 

『この島は輪廻の輪を独自に持つ場であり、本来は世界に還元されるはずの魂を内部で循環させる。そして、その蝶は島の内部の魂を呼び寄せる輪廻の鍵であり、あらゆる生物に転生する触媒として使う事が出来た』

 

「あらゆる生物……」

 

『それこそ人の魂が、どんな生物にも成れるとすれば、人は高みを目指す』

 

「………」

 

『だが、その結果……力無き人々の魂の多くは無理な転生で劣化し、本来の転生の輪に戻れず。呪霊と化して自我を失っていった』

 

 少年がウルクトルを脳裏に思い浮かべた。

 

『また、多くの者がより良い地位の家に生まれたがり、蝶を得る為に争って死者が増え、その死者が呪霊と化して人を襲い、その呪霊から逃れる為に生者はこの地を後にした。残された者は生まれた先から劣化した魂の為に生ける亡者となり、その状況はやがて島全体に広がって多くを破滅させたのだ』

 

「この地域にもう生きている人間はいない?」

 

『そうだ。生きているように見える人型の殆どは肉体があるだけの亡霊。そして、奴らの多くは蝶を集めても転生出来ず。生きるモノ全てを憎んで燻り殺し、呪霊となって彷徨う悪霊と化している』

 

 それそのものを少年は既に従えている。

 

「………」

 

『全ては終わった事だ。盛者必衰。何れはこの霊殿も朽ちるだろう。だが、それまでは役割を果たさねばならん』

 

 フワリと骸骨から40代くらいだろう白い肌に黒い瞳のスキンヘッドな男の亡霊が立ち上がる。

 

『此処は死者と生者の転生を司る地。幸いにしてお前達には資質がある』

 

「資質?」

 

『強き魂。劣化せぬ魂は蝶の加護を受ける最低限の資質であり、蝶さえあるならば、新たなる生命として生まれ変わらせよう。蝶一つで同じ種族。蝶二つで別の種族。蝶三つで人を超えた種族。蝶半分で人より劣った種族』

 

『ハイハイハイハイ!!』

 

『何だ? 娘子よ』

 

『亡霊は!! 亡霊は転生出来ますの!?』

 

 エルミが物凄い勢いで喰い付いた。

 

『体が無ければ、産まれ直す元が無い。輪廻の輪に入り、新たな生物になる事を覚悟する必要がある。意識を保ったままに輪廻したいならば、魂の無い生きた体を持って来るといい。転生させよう』

 

『~~~聞きまして!? 遂に方法が見つかりましたわ~~』

 

 目をキラキラさせて神に祈りを捧げまくる現金なエルミを見て、少年に『どうしたの幽霊の子?』と訊ねたレザリアはエルミの事情を聴いて成程と頷く。

 

『この場を用いる最後の者として契約の証を取るといい』

 

 イブラヒルが宝箱の前から退く。

 

 少年が横合いから開くと。

 

 内部には二つの品が入っていた。

 

 片方は小さな掌に収まるような金属製の廟らしきもの。

 

 もう一つは薄い金属製の札のようなものだった。

 

『【臥私(ふし)祖廟(そびょう)】と【環支(かんし)符札(ふさつ)】。元々は旧き英雄達が死した際に用いていたものだ。廟はこの地と繋がり、何処でも転生を行える。もう死んだ肉体であろうとも不滅なる魂を用いて再度転生させる。そうなれば、どのような傷も毒も病も治るだろう。蝶が必要ではあるがな。符札は島の各地に立てられた霊殿を行き来する為のものだ』

 

「行き来?」

 

『【大霊殿】は此処を含めて各地方に存在する。今はどうなっているかも知らぬが、そうだった場所ならば、破壊されていようと行き来が可能だ。そして小さなものは人が入れない廟のような形で各地に置かれている。符札を掲げれば、掲げた者が行った事のある霊殿まで即座に戻る事が出来る』

 

「霊殿は作れる?」

 

『霊殿を設置出来る場は限られる。信仰の対象となる象徴の近く。後は集落などだ。造り方は其々でも構わぬ。ただし、教神イエアドの呪紋を用いる事が可能な者が符札を掲げて祝詞を唱えねばならん』

 

 少年がイブラヒルから祝詞を聞き取る。

 

『貴殿らが人として島に生きるならば、留意せよ。島の王達は決して人を許さぬ』

 

「王って何?」

 

 レザリアが首を傾げた。

 

『この島の本来の持ち主達だ。古き者達よりも前から此処に住まっている』

 

「ふるきもの?」

 

『しかし、此処にやってきた亜人の強さはその王達すらも滅ぼし、今も戦いは続いている。聖域が開かれぬ限り、人にも亜人にも王達にも未来は無いだろう』

 

 どういう事かと訊ねるより先にイブラヒルがスウッと骸骨に戻って気配が消える。

 

『何かスゴイ事を聞いた気がしますわね。さっさと帰りましょうか。疲れましたわ。わたくし……これから体探し!! 頑張りますわよ~!!』

 

 やる気を出してホコホコした亡霊という何だかよく分からないものになったエルミを横目に少年がそっと2人を両腕に腰を抱いた。

 

「ひゃわ!? な、ななな、何してるの!? ボクの腰に何か用なの!? アルティエ!?」

 

『しゅ、淑女の腰は高く付くんですのよぉ!? 何で抱き締めてますの!?』

 

「もしもの時の為」

 

 言っている傍から少年がこの島で見た霊殿らしきもの。

 

 もしくは霊殿の跡地かもしれない場所を思い浮かべる。

 

 すると、その場から瞬時に三人が消えた。

 

 僅かに骸骨の瞳に青白い光が灯る。

 

『……最後の流刑者達か。蝸牛の王、蟻の王、蜂の王は倒れた。だが、種子は残され、命は巡る。蛭の大眷属が滅した今、他の眷属達の攻勢は必至か』

 

 呟きは誰もいない山頂で風に融けて消え、集まる魂達は天へと上り続けていた。

 

―――ニアステラ山岳部。

 

「こ、ここは?」

 

 少年が目を開いた時にはもう目の前に茸が映っていた。

 

「大霊殿だった場所。たぶん」

 

「たぶん?」

 

「第二野営地の茸農場」

 

「え? それ大人達がもうちょっとしたら再開しようって言ってた場所じゃ……」

 

「そう。この場所以外に大霊殿っぽい場所知らなかった」

 

『いつまで掴んでるんですか!? まったく』

 

 エルミの声で少年が2人を離し、大量の巨大茸が生えている蟻の墓標の中を歩いて外に出る。

 

 すると、まだ日は落ち切っておらず。

 

 昼過ぎくらいだろう事が2人にも分かった。

 

「蜂の巣のところに行って、廟を造ってから戻る」

 

「あ、ちょ、アルティエ!?」

 

『やれやれですわね。休む暇も無いとは……』

 

 こうして彼らは翌日に備えた後、夕方頃には野営地へと返ったのだった。

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