流刑貴族の追放記-極獄と呼ばれた果ての地にて-   作:Anacletus

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第16話「ニアステラの悠久Ⅴ」

 

 遠征隊が西部に向かった翌日。

 

 帰って来た者達が報告したのは信じられないような冒険の情報ばかりだった。

 

 しかし、巨大な塔とソレを維持していた大蜘蛛の死亡によって西部が危険から解放されたという情報を確認する為、ウリヤノフが単独で西部を一通り見て回ったものの、先日までの気配は消失。

 

 同時に少年達が倒した大蜘蛛の拠点であった塔の残骸も発見され、焼け落ちた蜘蛛の巣も幾らか残って森や平野に残存していた為、全てが事実であると認定された。

 

 少年はガシンとレザリアに連れられて野営地に戻るとすぐに診療所へ入院。

 

 それから二日は安静にしていたものの。

 

 すぐに起き上がって第二次西部遠征の準備を始めていた。

 

 あの時の戦いの詳しいところを遠征隊の誰もがウリヤノフやエルガムには話していない。

 

 だが、それでも一つだけは彼らにも確かだ。

 

 少年はきっと止まらない。

 

 同時にまた自分達もそうだろう、と。

 

「ほっほっほっ、いやぁ……また増えましたな」

 

 夕暮れ時。

 

 まだ焚火の集れていない浜辺で少年は老爺に肩を竦められていた。

 

 リケイがシャニドの印に付け加えられた印を確認し、目を細める。

 

「呪紋の内容が知りたい。知識不足」

 

 それは一部本当の事であった。

 

 幾度となく繰り返していたとしても、大蜘蛛相手で呪紋を獲得したのは初めての事だったのだ。

 

「霊属性呪紋の多くは呪霊の強化や弱体化。霊力の増強や運用。他にも呪霊に強い攻撃などもあるのですが、これはそのどれとも違うようだ」

 

「知らない?」

 

「ええ、まず間違いなく魔の技と呼ばれるものでしょうな」

 

「?」

 

「ああ、知らなかったですか。タダビトが魔の技と呪紋を呼ぶようになったのは呪紋の中に人を滅ぼすものを確認するようになってからなのですよ」

 

「人を滅ぼす?」

 

「そう、たった一つの呪紋。たった一人で国すら滅ぼす呪紋があった。これは見た事もありませんが、そういったモノが認知された頃から、呪紋の多くは教会によって忌避されるものとして、魔の技として術者が狩られたのです」

 

「コレは?」

 

「少しお手を……」

 

 リケイがそのシャニドの印に加えられた文字を繁々と間直に見やる。

 

「大蜘蛛から得た。飽殖神……この象形……礼賛、礼賛ですか。ははは……」

 

 何処か呆れたように肩が竦められる。

 

「飽殖神とは恐らく大地母神ウェラクリアですな」

 

「ウェラクリア?」

 

 少年は未だ知らない神の名に目を細める。

 

「女神でして。教神イエアドとは同格になります。そして、その本質は増やす事、増える事ですじゃ」

 

「増やす……」

 

「左様。その蜘蛛の祖先は恐らく神によって褒め称えられたのでしょうな。そのせいで報告されたような異常な身体能力や再生能力を持ち、子孫も増えていた」

 

「そんな感じ」

 

「既存の呪紋などの効果などを参考とするに肉体の賦活。あらゆる能力の増強。同時に子宝にも恵まれるという具合かと」

 

「子宝……」

 

「要は子供が出来易くなるのではないかと。まぁ、どれだけ強力な呪紋でも発動せねば問題はありますまい。まぁ、時折持っているだけで効果がある呪紋というのもありますがな。そのシャニドの印のように」

 

「………」

 

「そういうのは大抵、祈祷呪紋が多いので左程心配は無用かと。それとそちらの【不可糸】ですが、もうお分かりのように見えざる糸を出して使うものでしょう。物を移動させたり、操ったり、攻撃に転用すれば、剥ぐ事や引き寄せる事にも使える。ただ……」

 

「?」

 

「生命属性というところが気になりますな。そちらの属性の呪紋は大抵、生命に干渉するものが多い。つまり、糸自体にも何らかの効果があるのでしょう」

 

「………」

 

「適当にそこらの蠅でも捕まえて見ては?」

 

 少年が手を虚空に翳して、黄昏時に飛ぶ蠅を手の甲から出る見えない何かで絡め取って引き寄せる。

 

 そうして数秒後。

 

 身動き一つ出来ない蟲がシワッと水分を失ったかのように枯死した。

 

「……生命活動が失われた、感じ?」

 

「生命を低減? いや、吸収しているような?」

 

(……体力0.000002%増加……これは……)

 

「まぁ、敵を糧にするとなれば、蜘蛛らしいですな。しかも、霊属性の視覚が無いと見えないと来た。霊の見えない相手に付けるだけでジワジワ生命力を奪って殺せるとは面白い暗殺術で」

 

 冗談なのかどうか。

 

 リケイに色々と聞いた後。

 

 少年は暮れ掛けている空の下。

 

 浜辺を後にする。

 

「……どうやら本当に思わぬ拾い物なようだ。まさか、教会の討伐隊よりも先に探し物の方が見付かるとは……本隊に連絡せねばなりますまいな」

 

 リケイが手に紋章を浮かび上がらせる。

 

 シャニドの印。

 

 それには少年とは比べ物にならない程の象形が刻まれており、老爺の呪紋の多様さが伺えた。

 

「まずは何から話すべきか。あの異様な速度……英雄か。はたまた、何処かの血族か。もしくは……本当にいるのかもしれませんな。旧き人々というのが」

 

 老爺が天を仰ぐ。

 

 星々がさざめく夜の最中。

 

 黒光りする蒼ざめた星が月の横にチラリと見えていた。

 

 *

 

 少年が住まう事になった家屋の一室。

 

 内部にあるテーブルには野営地の実力者だけが集まる。

 

 飲む為ではなく。

 

 会合場所として使われているのだ。

 

「これで西部への進出の目途が立った。とはいえ、西部はまだ未探索の場所が多く。現生する植物や蟲の生息域も分かってはおらん」

 

 ウートが全員の意見を代弁するように語る。

 

 周囲にはウリヤノフ、エルガム、カラコム、ガシンが揃っており、少年もそこに座っていた。

 

「遠征隊の活躍と疲弊は聞いている。二度目の遠征に向かうには野営地を出て西部に拠点を設けるのが良いだろうとウリヤノフとも相談していた」

 

 その言葉に騎士が頷く。

 

「はい。現行でかなりの危険が減ったニアステラの内部は危険地帯に近付かなければ安定しています。新しい蟲の目撃報告も無く。新種らしいものの発見もない」

 

 エルガムがそれを裏付けるように木製の薄板に書いた報告書を各員に並べる。

 

 字は金属の焼印を圧して作られており、全てここ最近出来た鍛冶場によって造られたものだ。

 

 野営地の完成と共に水夫達に再び始めさせた詳細な調査の内容が載っている。

 

「今のところ異変は起こっていません。西部の安定化までは唯一の陸路である海岸の洞窟を第三野営地として整備し、漁業を行いながら、ニアステラ北部の整備を行うのが良いかと思われます」

 

 食料供給は今のところは安定しているが、冬が来ないとも限らない為、畑の増設に合わせて、食料の加工と備蓄が進んでいた。

 

「アルティエ。君が何度も重症を負いながらも薬などを用いて戦った事は聞いている。君のおかげで今後の野営地の安全は更に確保される見通しだ」

 

 ウートが軽く頭を下げた。

 

 それに驚いたウリヤノフだったが、主の顔にある決意を前にしばし黙る事にした。

 

「本来ならば、休んで欲しいところではあるが、北部との事もある。西部への遠征を早めに終え、外からの客人が言っていた巡回者の使う通路へと向かって欲しい」

 

「北部に向かう?」

 

「ああ、西部北端の何処かに通路があるとは教えてくれたが、そこまでだったからな。そこから先は自分達でという事だろう」

 

「……フェクラールにどれくらい時間を掛けられる?」

 

 そこで少しウートが考え込んだ。

 

「3ヵ月。3ヵ月だ。理由は我らが此処に来たのは春であった事。この一月程で野営地を築いたとはいえ、冬の到来が有るのか無いのかも分からず。それがいつになるかも予測出来ない。基本的に10月の収穫終わりまでに水夫達の不安を解消する為にも船大工もしくはその知識が必要だ」

 

「どうして10月?」

 

「砂浜の船が冬の嵐で持って行かれる可能性がある。だが、無用に船を移動させようとすれば、船が壊れかねない」

 

「つまり、修理して沖に出せないとダメ?」

 

「ああ、水夫達自身が言っていた事だが、この島から出るには海域の複雑な海流を読み解いて乗らねばならない。また、船を停泊させておける港を岸壁に設営する必要もある。荷物を運び込むにも修理するにも砂浜から移動させねばならないが、今のままでは不可能だ」

 

「………」

 

「港の設営は?」

 

「桟橋を含めて10月までに終わらせる。木材の乾燥と備蓄も始まっている。冬が本格的に来る前までに冬越しの用意を済ませるとなれば、野営地の殆どの人員は食料生産に回さねばならない」

 

 少年がウートの背後に立っているフィーゼを見やる。

 

「娘の事は気にするな。木材も今は今年必要な分は全て切り倒して、寝かせている最中だ。冬用の薪も備蓄が進んでいる。大仕事の大半はもう終わっているからな。好きにさせたい」

 

「解った」

 

「では、野営地の現場指揮は引き続きウリヤノフとエルガム殿に。カラコム殿には水夫達の訓練と化け物と戦える部隊の整備をお願いする」

 

「任されましたよ。ウート殿」

 

 カラコムが胸を叩いてニカリと笑う。

 

「遠征隊は怪我が無いよう。引き続き西部での探索を続行。一月後までには洞窟の拠点が出来ると聞いている。それまでは日帰りとするか。もしくは訓練や野営して力を蓄えて欲しい」

 

 こうして野営地の方針会議は終わり、アマンザが難しい話は終わりだとまだ発酵が左程進んでいない蜂蜜酒モドキと揚げた小魚を振舞うのだった。

 

 *

 

「あ、レーズ!! アルティエ」

 

「久しぶり。ナーズ」

 

 少年が難しいお話はお終いとばかりに宴会ムードな場所を抜けて外に出ると男達に混じって戻って来たナーズとばったり会っていた。

 

 その顔には擦り傷が多く。

 

 腕や脚には包帯が巻かれた場所もある。

 

「だ、大丈夫!? ナーズ!!?」

 

 思わずレザリアが心配そうな顔になった。

 

 殆ど遠征と訓練で帰るのは夜に疲れて眠る時だけだった為、殆ど顔を合わせていなかったのだ。

 

「大丈夫だって!! オレこれでも筋が良いってカラコムのにーちゃんに言われてんだぜ? ねーちゃんの事も心配だしさ。ねーちゃんとウチの事はオレに任せとけよ」

 

「ナーズ……」

 

「一番辛いのはお前じゃん。オレなんか健康そのものだし、大冒険に出ても今の俺じゃあっさり死んじまう。だからさ。オレの分まで色んなところに行って、戻って来たら教えてくれよ? な?」

 

「……ッ、うん、ぅん……っ」

 

「何泣いてんだよ。馬鹿♪」

 

 笑いながら、涙を堪えるレザリアの頭をガシガシとレーズが撫でた。

 

「これから何処行くんだ?」

 

「あ、うん。呪紋を試すの」

 

「あ~魔の技ってやつ? オレも何か目覚めねぇかなぁ。炎よ出ろ!! みたいなさ」

 

 ナーズの言葉にそれじゃあ出ないよと笑いながら、別れた2人が人気のない浜辺の方まで来ると元々用意していた木製の十字架。

 

 人想定の目標を何本か浜に打ち立てる。

 

 レザリアは慣れたもので木製の木槌をガンガン打ち終えてもケロリとしていた。

 

「いいよー」

 

 少年がシャニドの印を一度見つめてから、水平線に沈み始める夕焼けを横にして目を閉じる。

 

「【飽殖神の礼賛】」

 

 少年が呟くと同時だった。

 

 その体の穴という穴から血が大量に溢れ始め、思わず蒼い顔で慌てたレザリアを少年が押し留める。

 

 溢れ出した血がすぐに周囲で黒く真菌によって浸食され、少年の内臓がボコボコと肉体内部で蠢きながらも数秒で収まる。

 

「だ、大丈夫!!?」

 

 今にも泣き出しそうなレザリアに頷いて、少年がこれは扱うのが難しいと実際の呪紋の効能を確認していた。

 

「質量補填、血液の増殖、内臓の増加、細胞の増強……あの数の脚や変形した肉体の理由……ふぅ……」

 

 いつもは口に出して確認している具体的な効果も追い付かない程に大量の情報が少年の脳裏には流れていた。

 

(質量保存の法則を無視して細胞が増殖。しかも、完全に同じものが増える。内臓の個数や血管の強化。バランスが崩壊したら、自滅……取り敢えず……)

 

 真菌による無駄な臓器を全て分解して菌類の栄養分にしつつ、残った臓器の位置を調えつつ、それに適した血管を敷いて、増えた心臓や他の臓器の整合性が取れるように接続していく。

 

「増殖臓器を統合。心臓を三つ、方肺を6葉で固定。腎臓を四つ、肝臓を二つ。血管強度を6倍で固定。大腸小腸を二つずつ。胃を多重分割して容量を削減。胆嚢を四つ。精巣を四つ。全臓器のサイズを一回り小さく再構築」

 

 ブツブツ呟きながら菌類による臓器の形成と統合を纏めて行い続ける少年の肉体は内部で蠢くような音が続いており、その度に少年の顔は渋くなる。

 

「過剰臓器と分泌物、脳細胞の新規分をアポトーシス……っ……真菌で消化。ダガ-に充填……充填……過剰生産分を備蓄し切れず。備蓄先を……」

 

 チラリと少年が心配そうにプルプルしながら見守っているレザリアを見た。

 

「……備蓄先」

 

「へ?」

 

 少年が自分の尻尾を見ているのを見て、思わず少女は何の事かと聞くより先に少年の手がガシッと少女の蜂っぽい尾を掴んだ。

 

「ひゃぁ!? な、なな、何するの!? アルティエ!!?」

 

「真菌備蓄」

 

「あ、あ、あ、何コレぇ!? 熱いよぉ!?」

 

 思わず顔を真っ赤にしたレザリアが尻尾が燃えるように熱くなりながらも、悪い感じもしないままに自分の尻尾がパンパンに膨れ上がっていくのを涙目で見た。

 

 ついでに彼女のスーツ染みた甲殻の色が蒼から青黒いものになっていく。

 

「また色が変わっちゃう~~?!!」

 

 そうして数秒後。

 

 クテッと倒れた少女の肌が血管に流し込まれた真菌で全体的に少し浅黒くなった。

 

「備蓄完了……これでしばらく大丈夫……最初期対応能力を獲得完了……今後の取得予定能力の発見と選定、取得経路開発を開始」

 

 少年がそう呟くものの。

 

 バタンと少女の胸元に覆い被さるように倒れ込んだ。

 

「ちょ、アルティエ~~!!?」

 

 思わずまた顔を赤らめるレザリアである。

 

 ミチミチと肉体が形を留めながらも変化していく音がする少年を抱いて、レザリアは誰にも見られないように家の裏口へと向かうのだった。

 

 部屋の中は薬草の匂いに満たされている少年の部屋は殺風景だ。

 

 とにかく材料くらいしか置かれていない。

 

 寝台の上の干し草は数日おきに変えられているが、倒れ込んでいる時か疲れた時しか使われておらず。

 

 未だフカフカであった。

 

 それに少年を横たえたレザリアがフゥと息を吐く。

 

「もぅ……死んじゃうのか。破廉恥なのか。どっちかにしてよ。どうすればいいか分からないんだから。ボクだって……」

 

 恥ずかしそうにパンパンに膨れた尾が見やる瞳はちょっと潤んでいた。

 

 夜の灯りは貴重なのだが、一応は油が取れるようになったので少量がランタンという形で野営地の守備隊や一部の夜も仕事がある書き物系の人材に宛がわれており、木戸が閉まった部屋の内部が煌々と仄かな灯りに照らされていく。

 

 少女は寝台に頬杖を付いて少年を見やる。

 

「また、無茶な事して……前はもっと男の子っぽく出来てたのに……何か、近頃おねーちゃんにカワイイって言われるし……」

 

 ジッと少年の顔を見やれば、少年のあどけない横顔は戦っている時とはまるで違うものに見えて。

 

「全部、アルティエのせいなんだから……責任取ってよね」

 

 そう呟いて、少年と同じく眠気に誘われた少女はそのまま少年の横に顔を埋めるようにして眠りに墜ちていく。

 

『あらあら、まぁまぁ、んふふ♪ 人の恋路程面白いものもないですわぁ。それに何かまた体が変わってますのね?』

 

 ニヤニヤしたエルミが少年の体に耳を当てて確認する。

 

『これは……増えているというより密度や質を上げているのかしら? 増えるのに見た目が変わらないのならば、そういう事ですわよね。あら?』

 

 少年の股間が大きく膨れている事を確認し、イソイソと内部をちょっと首を突っ込んで確認した亡霊少女はちょっと頬も赤くクスクスと怪しげな笑みを浮かべた。

 

『転生するなら、貴方の子供でもよろしくってよ? わたくしの騎士が強くて好みなら、その子供もきっとそうでしょうから♪』

 

 今度、転生とやらをする時はあの骸骨聖人に聞いて見ようと決めて、エルミがレザリアとは反対側の場所に陣取って瞳を閉じる。

 

 こうして彼女達が自分のポジションを確保して数秒後。

 

 布でしか遮られていない通路を伝ってフラフラした人影が入って来ていた。

 

「(みゃったく!! わたくしだって、えんしぇーたいなのですから!! 連れて行ってくれてもいいじゃありませんか)」

 

 ブツブツと呟いているのは顔の赤いフィーゼだった。

 

 屋内でフラフラしていた彼女が灯りの付いた室内でアルティエを見付ける。

 

「むぅ~~おっきしてますのね」

 

 じぃ~~っと少年の股間を見やった彼女はジト目で横のレザリアを見た。

 

「(しょ、しょみーんはこ、こんじぇーんこーしょーも早いって聞きまふわ。けしからんのですわ……まったく)」

 

 そう言いながらも少年の寝台に近付いた少女はパサッと上着の外套を脱ぎ捨てて、そのまま少年の上に被さるようにして倒れ込む。

 

「(あ、当たってまひゅわ……こ、こんな……でも、とっても熱いのですね)」

 

 少量のアルコールに脳をやられていた少女はそれ以上の思考を放棄して、そのまま眠る事にしたのだった。

 

 翌日の朝。

 

 少年は寝起きで自分の股間が何か冷たい事に気付いて、顔を固まらせ。

 

 誰もが寝ている事を確認して、疾風のようにその場から逃走し、ササッと川で衣服毎水浴びしつつ洗った後、身嗜みを調え、プルプルしつつ、ちょっと落ち込むのだった。

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