流刑貴族の追放記-極獄と呼ばれた果ての地にて-   作:Anacletus

75 / 135
第70話「モナスの万障Ⅶ」

 

 エルタ・オル。

 

 男は痩せぎすで高身長だった。

 

 蒼褪めた白い肌。

 

 氷のように硬い相貌。

 

 僧侶のような衣。

 

 その死人よりも冷たそうな蒼い瞳。

 

 スキンヘッドの彼が銀の錫杖を地面に付けば、味方さえも震え上がる。

 

 神聖騎士の中でも古参である者達の1人。

 

 彼にとって、大陸はもはや異形、亞人の狩場では無くなって久しい。

 

 殆どの者達は駆り出してしまっているし、残った者達も純血の亞人はおらず。

 

 辛うじて人に有用であるからと保護という名目で生かしている者達が協会の幾つかある保護特区や大陸でも恐らくもう片手の指で数えられるだろう教会にも滅し切れない隠れ里にしか生息していない。

 

 亞人の血を引く者は未だ民間にも存在しているが、先祖返りというものであり、教会はそういった者達を『信心を持てば、救われる』と説いて、やはり保護という名目で協会の専門の部署に配置して、揺り籠から棺桶まで面倒を見ている。

 

 そう、彼のように田舎の滅びた隠れ里出の蒼き肌の亞人を神聖騎士として登用する事すらある。

 

 それは教会黎明期からの一貫した話であった。

 

「………此処は……今は無き我が亡郷もこうだっただろか」

 

 男が感傷的に呟くのも無理は無かった。

 

 今、彼らが占拠している拠点には最低限の連絡用の騎士達が数名詰めているのみで戦場ではあっても最前線という雰囲気ではなく。

 

 心動かすモノが殆ど無い。

 

 何も無いとはある意味で大陸の亞人の最も心象に近い風景だ。

 

 騎士達も訓練などはせず。

 

 ただ攻撃を一切棄てて、防御と伝令として特化した者達だけであり、彼ら神聖騎士三名以外に戦える者はいない。

 

 岩壁に開いた坑道らしき洞窟は東部バラジモールに続く唯一の道だ。

 

 内部を神聖騎士である彼と残りの2人で制圧してから、幾らか物資を運び込んで後方との連絡用通路を設定し、安全に情報をやり取り出来るようになったとはいえ。

 

 それでも未だ北部の事を神聖騎士ですら殆ど知る事が出来ていない。

 

(ヴァルハイルの者と思われる強者が陣地後方に2人。遠方に下がった亞人共の軍は大規模な塹壕と共に監視網に奇眼や魔眼を持った者を多数配置してロクに情報収集が進んでいない)

 

 神聖騎士は多かれ少なかれ呪紋を修めているものだが、その呪紋の大半で情報収集が出来ていないとなれば、それは彼らが古臭いというよりは敵が進み過ぎているというのが真実だろう。

 

(殆どの操獣が途中で落とされる以上、こちらの隠蔽は殆ど無駄という事だ。せめて、あの蜥蜴共が消えてくれれば、後方に抜ける隙間もあったはずだが……)

 

 この10日以上の時間で彼ら神聖騎士が理解した事は北部の戦乱は彼らが大陸でしてきた戦争に劣るものではないという事実。

 

 彼らに匹敵する戦力やよく練られた超越者殺しの戦術戦略によって、強い個人を封殺する為の防衛機能が軍に備わっているという事であった。

 

 特に問題だったのは彼らが奪取した戦略級の呪紋兵器。

 

 グラングラの大槍というらしい兵器を筆頭にした呪紋を道具を用いて更に先鋭化させる兵装がありふれている事。

 

 戦場では呪紋を生身で撃つ者は観察の結果として多いが、同時に呪紋を何かしらの呪具で強化していたり、形や飛距離、威力を可変させる為の道具が随分と使われていた。

 

 呪具とも言えないような器となる武器ですらも呪紋によっては極めて危険性が上がるのだ。

 

 それは教会もやって来た事であったが、その度合いで行けば、極地にあるだろう鎧の呪具化、巨大化、同時に高性能化を果たしたヴァルハイルは正しく彼ら教会の先を行く技術を持っている。

 

(本来ならば、後方まで浸透した槍の穂先で相手を攪乱して出血を強要。こちらの情報収集を進める手筈だったのが、戦略兵器を何処も持っている様子で膠着。撃てば撃たれる。死なぬとしても此処を落とされるわけにもいかない。本隊の到着と展開が終わらぬ限りは―――)

 

『伝令!!』

 

 グラングラの大槍を置いた洞窟のほぼ直近に置かれた陣地に後方の洞窟から伝令兵が馬の嘶きと共にやってくる。

 

 内部は途中、呪紋で広く掘削した為、来るべき本隊の到着に備えられており、大人数が通り抜けるだけの幅を確保されていた。

 

 木製の扉を抜けて来たのは手に書簡を持った騎士。

 

 呪紋でのやり取りは便利だが、同時に情報流出の可能性がある為、多少不便でも昔ながらの伝令が此処では用いられていた。

 

 すぐにスクロールをひったくったエルタはさっと目を通し、呪紋で革製のスクロールの裏に指を当てて魔力で文字を焼き付け、逆巻きにして兵に戻した。

 

 何も言わずに騎士がすぐに馬の駆け足の音と共に消えていく。

 

(本隊の先行部隊が到着。サヴァンが緋隷王配下と戦闘し敗北。窮地を救われた、か。思っていた以上に神聖騎士でも厳しいか……)

 

 彼は夜闇の最中にも東部から発された巨大な気配に僅か振り返って、教会の切り札の一つが到着した事に僅か戦況を動かす手駒が揃い始めた事を喜び―――。

 

 襲撃者の黒い鎧に首を跳ねられた。

 

―――!!!

 

 ポーンと勢いよく跳ねられた首がギョロリと相手を見やる。

 

 少なからず音速の4倍近い速度で彼の首を刈ったのは黒い機械式の鎧らしきものを着込んだ首無しの騎士であった。

 

 その手の剣も含めて業物なのが彼にも分かる。

 

「まったく。もう少しサヴァンに剣でも習っておくべきだったか」

 

 彼は見た目通りに基本的な部分で武芸に優れない。

 

 呪紋が専門であり、不死者として戦う限り、首を落とされるという失態はそう何度も無かった。

 

 そもそもの話として周囲で警戒している彼の操獣や同僚である神聖騎士2人の目や耳、気配を感じる能力を擦り抜け、自分を捉えるとは思っていなかった。

 

「首無しの騎士。デュラハン? いや、それにしては……呪霊ではない。何かしら入った“肉入り”か……」

 

 首だけで喋る彼の血は一滴すらも出ない。

 

 今度は自分の頭を狙おうとしていた首無しの黒い騎士に向けて呪紋を放つ。

 

 そう、無詠唱どころではない。

 

 頭が無い体が詠唱無しで呪紋を多重連続起動した。

 

 21発の光弾が七色に染まって次々に相手の迎撃を擦り抜けるように分裂しながら全方位から波状に降り注ぐ。

 

(複合属性攻囲呪紋【マルカの万渦葬】)

 

 その呪紋の様子は正しく螺旋を描く陣のように敵を中央に置いた。

 

 首無し騎士の脚が動かないのは下半身が既に神速の反撃を喰らっており、金属塊のように変質した地面と接地面からくっ付いていたからだ。

 

 相手の動きを金属のように硬化させた地面で拘束。

 

 分析用の初弾を全て命中させる。

 

 それが彼のやり方だ。

 

 未知の敵と戦う為に神聖騎士の中でも呪紋を得意とする型の者達はまず何よりも解析能力に長けており、初手は基本的に相手に致命傷を負わせるものではない。

 

 だが、ギョロリと彼は何かから見られたような気配に自らの首を瞬時に呪紋で肉体の方へと加速させる。

 

(―――何だ?)

 

 彼が首を胴体に付けたと同時に彼の呪紋による攻撃が相手を捉えた。

 

 しかし、その大半が威力を発揮したが、鎧の防御を貫けていない。

 

 弾かれ、いなされ、流れて消えていく呪紋の大半でダメージが見て取れないのは彼にも分かった。

 

(堅いな……)

 

 炎は鎧を熱しても赤熱させられず、莫大な水圧を開放した水の爆破は衝撃を与えていたが、衝撃を与えられただけで相手は未だ動き、風の気圧偏差による真空の刃の発生で傷付かず、雷が直撃した鎧には何ら通用するものではない様子。

 

 無数の攻撃で動きも鈍らず、氷の礫による極低温が叩き込まれた鎧には霜が降りただけで凍り付かないとなれば、もう笑うしかない。

 

(複合呪紋が効いていないという事は殆どの威力が足りないという事か。これでも不死殺し用なのだがな……相手の鎧と中身の強度が異常なのか。あるいは……)

 

 黒い首無し鎧が剣を足元に突き立てた瞬間。

 

 カッと金属片内部が赤熱して、爆発した。

 

 猛烈な3m近い至近距離での金属のように変化させた地面の爆破による散弾が相手の鎧を打ち据えたが、それでも相手が動く様子にもう彼は内心で溜息を吐く。

 

(ダメか。鎧の強度が高過ぎる。中身に攻撃を変更するにしても前衛が必須か。急所を狙う呪紋も首以外の関節部で威力が確認出来ない以上は無理筋。だが、この状況……)

 

 エルタは見ていた。

 

 複数の操獣が彼の視界に戦闘中の他の2人を確認させる。

 

【鉄公爵ウラス】

 

 近接格闘を旨とする男は彼を襲った黒い騎士鎧と同じものに頭が付いた相手と交戦中であり、殴り飛ばした相手の堅さに目を細めていた。

 

【震える聖槍フォルク】

 

 そちらもまた同じ黒い騎士鎧の頭の無い相手をしていた。

 

 とにかく堅いのみならず。

 

 フォルクの聖槍の威力を知っているのか。

 

 剣を交えて防戦させながらとにかく致命傷ではなく足止めを狙うように持久戦、消耗戦を挑んでいる。

 

 しかも、その剣技が明らかに教会騎士と同じとなれば、組手染みた高速の戦闘を強要されて抜け出す機を逃し、常に最も威力を殺される至近での間合いで実力も出せていなかった。

 

(……我らの情報が洩れている? それにヴァルハイルの鎧に似ている。これはヴァルハイル側の攻撃か? いや、だが、これだけの能力を持っているのならば、何故今になって? それにあの2人の強者も来ていない。あちらの野営地には異常が無いように見えるのは隠蔽か?)

 

 何にしても彼らが襲われている以上、後方の連絡要員達が脇目も振らずに離脱中であった。

 

 時間を稼ぎながら相手の戦力を考察し、相手の目的を看破。

 

 逸早く相手を破壊する術を見付けなければならない。

 

 故に彼は更に複合呪紋を発動させる。

 

(呪霊属性攻囲呪紋【アルタールの捌き】)

 

 彼の周囲に青黒い茨のような植物にも見える魔力の鞭が渦巻きながら生えて、突撃してくる黒鎧のデュラハンを捉えた。

 

 相手の剣は茨を攻撃して切り払うが、茨はそれをいなして圧倒的な手数で相手を打ち据えながら絡み付こうと迫り、最終的には斬撃と茨のいなして絡み付く応酬にエルタそのものが巻き込まれる直前、黒鎧が捕獲された。

 

 雁字搦めで完全に身動きを止めた相手の鎧内部。

 

 茨の先端が蛇のように擡げて突入。

 

 内部を食い荒らして破壊しようとしたが、突っ込んだ茨が猛烈な勢いで魔力と霊力を吸収された様子で枯れていく。

 

(吸収された? いや、食われたのか? あの首の中を破壊せぬ限り、無駄か。呪紋で自分毎爆破しても抜けられる以上、継続的に拘束し、手札を揃えない限りは千日手。どちらも消耗戦か)

 

 彼が撤退を提案するより先に彼がおかしな点に気付く。

 

 それは敵が呪紋らしい呪紋を使って来ないという事であった。

 

(神聖属性防御呪紋【メンスルの水】)

 

 相手が接近し、自らに連続で剣技を叩き込み始めたのを冷静に分析しながら、それを防御用の呪紋を大量に重ねて斬撃の威力を多重減衰させる。

 

 1mmにも満たない水の膜が多重に展開され、間に挟まれた高圧の水蒸気が水が突破されると同時に風船が割れた時のように噴出して、敵の斬撃を減速する。

 

 これが2000枚近く重ねられた彼の姿は相手からは白く見えないはずだが、見えない壁に対しての攻撃は猛烈な勢いでエルタの1m先まで迫り、連撃を叩き込まれて、穴が開けられていく。

 

 周囲は水蒸気で視界も奪う為、目視に頼る敵ならば、攻撃目標を見失うし、その合間に体勢を立て直す事も可能だ。

 

 彼が高速で真後ろに跳び、次の呪紋を用意した時だった。

 

「ッ」

 

 気配を感じた彼がギョルンと首を120度程回転させて、自分達の陣地に設置してある戦略兵器。

 

 グラングラの大槍を見やる。

 

 その時、彼の瞳には姿を消して死角から近付いていた黒鎧のデュラハンが一体。

 

 大槍を起動させる為の魔力供給口に手を突っ込んだのを確認していた。

 

 咄嗟に相手に起動させてはならないと呪紋を無詠唱で放つ。

 

 衝撃で相手を吹き飛ばすものと拘束するものを二重に放ったが、時既に遅く。

 

 ボガンッという荒っぽい起動音と共に黒鎧の腕から注がれた大量の魔力が鎧の隙間から溢れ。

 

 グラングラの大槍が即時起動。

 

 全ての設定を無視して、弾体となる黄金の本流の起爆地点を最短0距離に再設定して放たれた。

 

『―――!!!!』

 

 爆風というのは少し誤謬があるだろう。

 

 グラングラの大槍はエルタが見る限り、物体を圧縮する呪紋の極大化版だ。

 

 物質を力に変換する呪紋は存在する。

 

 だが、その変換の効率は左程よろしくない。

 

 しかし、大槍の呪紋は巨大な機構の力を借りて金属塊や空気を魔力で強制的に限界以上に圧縮して力に変換し、打ち出して、弾体の圧縮を何処で解くか。

 

 そういう設定を弄って起爆させる代物だ。

 

 故にソレが放たれた時に生じる最初の弾体の攻撃は爆風ではなく。

 

 純粋なエネルギーの本流であり、その圧縮が解かれ、周囲に拡散し、拡散されたエネルギーが周囲の空気を伝って伝播して巨大な破壊領域を産む。

 

 このエネルギーの本流は殆どの防御を貫通するという仕様になっている。

 

 その衝撃が凄まじいのは内部で圧縮されたエネルギーに成り切れなかった大本の物質、グラングラの大槍内部に備えられた弾頭となる金属塊の滓が空気の代りに超高熱高圧高速で周辺の物質を吹き飛ばす壁のようなものを形成するからだ。

 

 言わば、球体状の薄い金属粒のプラズマが人には見えない速度で全てを推し潰すというよりは吹き飛ばす。

 

 故に威力本体の直撃を受けても生き残れるのは生物でも極一部。

 

 物理的な力を完全に無効化するか。

 

 もしくは半減させて減衰する術を持つ者である。

 

(神聖属性加護呪紋【イゼクスの燐光】)

 

 思考の領域において発動する無詠唱呪紋。

 

 それを極められるのは極一部。

 

 そして、その極一部にエルタは属していた。

 

 猛烈な威力半径の球体が現場でドーム状に広がって、彼ら3名を呑み込む寸前。

 

 間に合った呪紋の効果によって3名限定で起動した遠隔でも作用を及ぼす事前準備込みの加護呪紋。

 

 それはイゼクスの護りに使われる光の粒を対象の周囲に持ち出す。

 

 本来は教皇や一部の協会の最上位層の防備に使う代物だった。

 

(さすがにこの防御までは抜けないか。だが、抜けないだけで削られている……神に届き得る呪紋……伝説の“系神属性”に近いのか?)

 

 ドッと広がる金属原子の超高圧プラズマの壁に呑み込まれ、続いてやって来る熱量の本流と衝撃と空気を弾き出し真空内部に戻る逆戻しの爆縮染みた乱流が彼ら三名の周囲から音を置き去りにして炸裂する。

 

 山岳の一部分。

 

 北と東部を隔てる岸壁の実に8割を呑み込んだ巨大な爆心地周辺は再び戻って来た超高圧高熱の空気に焼かれるが、男達三名は無事だった。

 

 最初に逃がしていた伝令兵達も逃げ果せていた。

 

 が、落馬くらいはしているだろう。

 

 あまりの威力に防御呪紋が切れるより先に動く事も出来ず。

 

 位置指定で発動した防御陣の外を警戒した彼らは待つ事しか出来なかった。

 

(これで後は吹き飛んだモノを探して回収すればいい。まさか戦略兵器で自爆させに来るとは……いや、次発を喰らう可能性はあるが……緊急時には転移で二重の防御を敷いてある。このまま何も無ければ合流して立て直―――)

 

 彼はその時、エルタ・オルは確かに自分の準備を過信していた。

 

 ゾブリと“神力を用いる呪紋”が斬り割かれて、彼が背後から袈裟斬りに両断された瞬間に二撃目の蜘蛛脚の刃が抉り込むように肉体の中央に突き立つ。

 

「がッ、ゴ―――?!!」

 

 少年がヌラリと引き抜いた蜘蛛脚は罅割れていた。

 

 理由は単純だ。

 

 エルタ・オル。

 

 彼の肉体内部には大きな鋼の鎧染みて形成された鋼板が仕込まれていた。

 

 それもただの鋼板ではない。

 

 大量の呪紋と神の加護を用いて聖別した代物だ。

 

 神の呪紋……イゼクスの力を宿したソレは並の盾どころか。

 

 伝説級の武具を凌ぐだろうモノ。

 

 それを肉体に満遍なく埋め込んでいた男はしかし―――今はそれでも致命傷であった。

 

「き、さ、まは……我らが神のちから、を……ゴボッ、がァァあァ?!!」

 

 大量出血したエルタが肉体を再生させるより先に異変がその肉体を蝕んでいく。

 

 更に転移による緊急回避及び緊急退避が間に合わないというより発動しない。

 

 理由は単純に仕込んでいた呪紋が崩壊したからだ。

 

 それはつまり彼の魂と思考を乱して破壊する力がある証明に外ならない。

 

(こ、レ……魂を変よウさせ―――?!!)

 

 絶望。

 

 彼は自らが死なない事を知っている。

 

 だが、死なないとは存在が途切れない事ではない。

 

 魂に刻まれた術式が次々に途切れていく。

 

 それは個人が消滅しているからだ。

 

 魂という生地の上に乗った人生という具。

 

 彼というソース……人格が消し去られていく。

 

「そう、か。貴様が―――」

 

 ドスリと男の脳髄に容赦なく蜘蛛脚が突き立てられた。

 

 ギョロリと蜘蛛脚の根本の瞳の群れが僅かに細められて愉悦した様子に少年が内心で溜息を吐く。

 

「さすがに神聖騎士一堅い後衛と自負するだけはある。でも、この戦術がお前にも有効なら、今後も神聖騎士を狩り出していける」

 

「―――」

 

「お休み。エルタ・オル。お前に初めて勝利した今日を忘れない」

 

 少年はそう告げて剣を引き抜き。

 

 彼の腹の内部から猛烈な飛沫を上げて、人体内部の骨格に沿って埋め込まれた大量の鋼板が変形しながら、血肉を吸い上げつつ、男の脳髄付近から引き抜かれた大量の骨が全てを抱き込むようにして蜘蛛の形へと変貌していく。

 

 そんな悍ましい再誕に少年は目を細める。

 

―――【死んだと思いましたか? 甘い。数百年準備した我ら神聖騎士の力に高が常人の掛けられる時間で用意した剣技や呪紋程度がどれだけ通用するものか。死にながら理解するといい】

 

 脳裏へのフラッシュバック。

 

 仲間達と共に戦い抜いて敗北した記憶を振り払った少年が即座に現場から金属と骨で出来上がりつつある蜘蛛の骨格を掴んで共に転移で消える。

 

 しかし、エルタ・オルの消失と同時に呪紋の加護を失った残りの2人が自分が余熱で焼けるのも構わずに駆け出し、現場へと駆け付けて来る。

 

 巨大なキノコ雲の下。

 

 彼らが見たのは焼け付いて行く大量の血痕だった。

 

「どうなってやがる!? エルタの野郎は―――!?」

 

「ッ―――やられた!? 我らを護った隙をッ!!? クソォ!!?」

 

 フォルクとウラスが同時に焼け付いて行く血溜まりと肉片を前に叫ぶ。

 

 だが、それだけではない。

 

 彼らは呪紋が敵の攻撃の威力本体を受け切った後、残余せず消えた事で完全に仲間が消滅した事を確信していた。

 

「魂魄の崩壊すら感知されていない。完全に我らが神や【聖櫃】との同調すらも切れる場所にいるか。消滅したか。どちらにしても血肉が此処に残っている時点でもはや復元も再生もされていないと考えるべきだ」

 

 ウラスが拳を地面に叩き付ける。

 

 彼らの肉体は今も滞留する高熱に焼き付いていたが、焼き付く端から再生していた。

 

「また、ご同輩が減るとか。平和な大陸なんて標語が寒々しいじゃねぇか。クソが……不死殺しッ、オレ達の秘密を知って無きゃ無理な事をこうも連続でッ!?」

 

 フォルクが槍を持つ手に力を籠める。

 

「ヤツの事は個人的に好かん。だが、神聖騎士で三本の指に入る防御力を要するヤツが死んだとなれば、敵は……」

 

「どうする? 戻るか?」

 

 険しい顔のフォルクの言葉にウラスが首を横に振る。

 

「いや、我らの任務は既に失敗している。戦略呪紋兵器無き今、此処を守護する意味は無い」

 

「なら、このまま?」

 

「ああ、ヴァルハイルとの戦闘に向かうぞ。あの黒鎧共はヴァルハイルのものだ。次に同じ攻撃を受けても対処は出来る。至近距離ならば、使い捨てに出来ない兵隊……あの2人毎爆破はされんだろう。サヴァンも恐らくやってくる」

 

 ウラスが立ち上がる。

 

 その背中には怒気と呼ぶにはあまりにも滾ったものが籠っていた。

 

「それならそれでいいが、襲撃者の情報が無いのはマズいぞ。一度、先生のところまで―――」

 

「このままではあの呪紋兵器が乱打される可能性がある。この余波に紛れて浸透する。消耗戦で構わん。後続の為にも戦略兵器類を周囲から全て排除する」

 

「……了解した。確かに……この状況で戦略兵器をこっちへ大量に向けられても護り切れねぇか」

 

 2人の男は同時にヴァルハイルの戦略兵器が置かれていると思われる陣地に向けて行軍を開始した……その瞳には怒りよりも狂気よりも長年共に戦った同輩の消滅による悲哀があった。

 

 彼らは狂人で宗教狂いで亞人虐殺思想が沁み付いた聖人ではあったが、同時に兵隊で信仰者で仲間の弔いくらいは己の流儀でする人間でもあった。

 

 こうして教会への襲撃者によってヴァルハイルと教会は本格的な戦争へと突入し、最激戦区は阿鼻叫喚の地獄絵図と化すが、それはまだ来ない明日の話。

 

 *

 

 アマンザ。

 

 2人の弟妹の姉にして今やニアステラの英雄の家を護る宿屋兼酒場の主。

 

 彼女の仕事は今までもそれなりに多かったが今や毎日毎日疲れている暇もない程に増えていた。

 

 アルマーニアの姫であるヒオネを預かってからというもの侍従達が来てくれたとはいえ、それでも野営地の内政人材は不足気味だ。

 

 ドラグレのリテリウムと妹達の世話。

 

 酒場の主として蜘蛛達を雇い入れて経営。

 

 肉体を治す霊薬の管理。

 

 幼女達へ配る小麦御菓子の製造。

 

 野営地全体に配る弁当や食事の昼夜無い製造。

 

 普段着のお針子として衣服を新調したり、繕ったり。

 

 何でもかんでも陣頭指揮を執る事が求められた。

 

 彼女とて若いのだが、今や野営地の女達のトップは事実上彼女だ。

 

 ヒオネの侍従のアルマーニアの女性達も加わる事で男達の世話の大半は部下を使う立場になってはいたが、彼女もその中で働いている為、結果的に仕事は増えるばかりである。

 

 前は魚を釣って、爆華の果汁や酒を管理していれば良かったのも今は昔。

 

 あまりにも忙しくて体を壊しそうだからと秘薬を毎日摂って肉体能力を底上げしておくようにエルガムに言われた彼女は遠征隊以外で唯一ゲキマズの秘薬の原液を口にするようになった。

 

 結果として近頃ずっと帰って来ない少年が知らない合間に立て直された酒場兼家の主と化している。

 

 彼女はいつの間にか野営地のウートに次ぐ内政の重要人物にまで上り詰めていたのである。

 

「あ、アマンザねーさん。うぃーっす」

 

「守備隊の連中、非番のヤツは帰った帰った。酒場は仕事してる連中だけだよ。外の席使いな」

 

「ツレナイなぁ。それにしてもお腹大きくなってきましたね。で、誰の子なんです?」

 

「死にたくなかったら、とっとと酒飲んでツマミ食って家に帰って寝な。アタシは忙しいんだよ。はぁ」

 

「はーい。じゃ、お疲れ様~~」

 

 オーダム配下の元海賊的船乗り達の一部。

 

 守備隊の非番者達がゾロゾロと昼間から野外の席で酒とツマミを齧り始めるのを横目にお腹の大きくなったアマンザはいきなり出来た子供という事で秘匿されている存在をチラリと自分の腹部に見た。

 

 その後、酒場の内部にある執務机の大陸なら貴族様でも使っていそうな大きく柔らかな綿が詰められたクッションで全面を覆われた木製の椅子にゆったり座る。

 

「はぁ、ホントどうしてこうなったんだろうねぇ……」

 

 彼女とて自分が妊娠しましたとか言われて顔が引き攣るくらいにはまだ付き合っている男はいない。

 

 しかし、彼女のお腹は膨れている。

 

 それは数日前。

 

 野営地で精霊と呪霊達が一つに纏められた時まで遡る事件だ。

 

 彼女が寝ていると家に妹であるレザリアが慌ててやって来て、一生のお願いとやらで連れて来られた砂浜でその存在を腹部で育てる事になったのだ。

 

 リケイ曰く。

 

『いやぁ、生命として再誕する際には女性から生まれるのが良いのですが、遠征隊はいつ戦闘に出るか分からない為、成熟した身内の女性の胎が必須でして』

 

 彼女が目にしたのは砂浜に立ち昇る光の柱。

 

 その中に浮かぶ小さな球体状の半透明の物体。

 

 どうやら新しい妖精を創造した遠征隊だが、その母体となれる女性がいない事に今更気付いて慌てて彼女に頼った云々。

 

 いきなりの話ではあったが、妹が物凄く複雑そうながらもお願いと頭を下げ、他の者達も全員が全員そうした時点で彼女に否は無かった。

 

 結果として彼女はフィーゼからも物凄く感謝され、呪霊から生まれ変わったエルミにも感謝され、何も知らない人々からは誰の子を孕んだの?と言われるようになったわけである。

 

 野営地の女性陣は元々エルミの商船の者達だが、野営地の防衛や機密に触れる事は無く内政に従事していた為、彼女しか頼める相手はいなかったのだ。

 

「アマンザさん。お元気かしら?」

 

「エルミかい? 遠征隊の訓練はどうしたんだい?」

 

 お腹を優しく撫でながら訊ねて来た少女に応対した彼女がお茶を入れに行こうとすると周囲で立ち働いていていた蜘蛛達が自分達がやるからと制止して、イソイソと麦を焦がして入れたお茶を入れに台所へと向かった。

 

 近頃はエルガムから薬の他にも“貴重な肉や乳”とやらの煎じ薬も貰って霊薬と一緒に呑むよう言われたおかげか。

 

 彼女は健康そのものであった。

 

 これも遠征隊用の薬のおかげであるのは間違いないだろう。

 

 だが、それ故に大変な仕事というのも欠かさずやらねばならない。

 

 酒場内の様々な会計や出入りする物の管理業務を請け負っているアマンザの机の横には数名のスピィリア達や文官のペカトゥミア達が事務机の上でシュババババッと指先にインクを付けて不可糸で造った布を板に張り付けた木版の上に数字を計上して計算している。

 

 彼女一人の手に余る程に仕事の内容は膨れ上がっていたのだ。

 

「今日の連携訓練は切り上げて来たのですわ。東部に教会の追加部隊が到着。本隊が間もなくやって来るとの事は聞き及んでいるかと思いますが、それ関連で会議を行うからとか」

 

「で? アンタは抜けて来たと」

 

「殿方がすればいい話ですから。わたくしはこの子の様子を見に来たんですの♪」

 

 そう言って、エルミがやってくるとじ~~っとアマンザの大きくなったお腹やら最近更に大きくなった胸部を見やる。

 

「何だい? お乳でも恋しいのかい?」

 

 フフッと微笑んでかなり大きくなった胸部を見せつけるようにアマンザが笑う。

 

「ふ、ふん!! まだわたくしは育ちざかりですわ!! 何れそれくらい……」

 

「はいよ。で、分かるのかい? この子の様子とか」

 

「え? ええ、呪霊は元より色々と見えるようになりましたから。わたくしも今では野営地の呪霊の主として精霊の主であるフィーゼと一緒にそういう方面の問題が無いかと見て回っているのです」

 

「そうかい。好きなだけ見て行けってのも何かおかしな話だけど、この子がいつ生まれて来るのかくらいは教えて欲しいもんだね」

 

「ふふ、その気があれば、御教えしますわ。まぁ、少なくともまだでしょう」

 

「はぁ、しばらくは誰の子だって聞かれ続ける運命かい……」

 

「強いて言うならば野営地の子、ニアステラの子、でしょうか。フィーゼが育てた精霊とわたくしの元に集った呪霊。また生きたいと願った二つの存在達が一つとなった子ですもの」

 

「ニアステラの子、か……そういや、女達の中にゃ妊娠してるのもいるそうだよ。元教会騎士のあんちゃんとの間に出来ちゃったとか」

 

「まぁ、野営地にも遂に赤ちゃんが?」

 

「この子もだけれど、産まれてくる時は普通の赤子じゃないんだろう?」

 

「ええ、リケイ殿はそう言われていましたが……」

 

「ま、いいさ。これで言い寄って来る男共がすっかり消えたからね」

 

「そう言えば、案外言い寄られていましたわね。アマンザさんは……」

 

「案外は余計だよ。ま、昔よりはマシさ。その頃は女扱いはされても人扱いはされなかった。あの子達も此処じゃちゃんと一人の男女として扱われる。それだけで随分と嬉しいもんさ」

 

「……ふふ、アマンザさんはお強いのですね」

 

 大抵の事を理解出来る賢いでは済まない少女はそう強い目の前の女性に敬意を持って微笑む。

 

「アンタらやレザリアには負けるよ?」

 

「ええ、だから、その強さはどうかこの家に住まう幼い子達の為に使って上げて下さいな」

 

「そうさせてもらってる。ま、そのせいで気が強く育っちまったらごめんよ? 生憎と育ちが悪くてね。こういうのは死んでも治らないらしい」

 

 ウィンク一つ。

 

 冗談まで言ってくれるアマンザにエルミは苦笑して頷いた。

 

「そういや、ほらアンタはどうなんだい?」

 

「何がですの?」

 

「アルティエとの事だよ」

 

「はい?」

 

「フィーゼ嬢ちゃんやレザリアもだけど、肉体持ってるんだろ? 此処が安定したら子供は儲けるのかい?」

 

「は!? な、わたくしの騎士との事は今はいいんですわよ!?」

 

「良くないだろうに。あの子は優秀だから、女の子には困らないだろう? だから、少しくらいは先に手を出しておくのが良いよ。子供作るのは後でいいにしてもさ」

 

「ちょ、ちょっと過激過ぎません!? アマンザさん!?」

 

「そうかい? でも、リリムも何だか兄兼男として意識してるようだし、案外競争率高いんじゃないかい?」

 

「そ、そんな事は解ってますわ!? ただでさえ、あっちでも色々いるのに!!」

 

「ほうほう? ウチのアルティエもお盛んだね♪ いや、あの侍従だって連れて来た子達もご主人様って感じで夜まで仕える気みたいだし、将来は愛人も一杯そうだ」

 

 頬を赤らめたエルミがちょっと頬を人差し指で掻く。

 

「も、もぉ……そ、そういうのは……色々と戦いが終わった後にしますわ」

 

「後、か。後が有ればいいんだけれどね。アタシには戦いの事は分からない。でも、後悔だけはするんじゃないよ……好きな男一人消えるのに世の中、一秒だって要らないんだから」

 

「……アマンザさん」

 

「ふふ、いやね? これでも恋する乙女だった頃だってあったのさ。今じゃそんな気持ちになる事は無いけれど……だから、後悔だけはさせたくないんだ。レザリアにもアンタにもフィーゼ嬢ちゃんにも……あの頑張り過ぎなくらいに頑張って隊長なんてやってるあの子にもね」

 

「……今はそういうのはまだ無理かもしれませんわ。でも、何れ……気持ちくらいは伝えようと思っています……その先も出来れば……」

 

「ならいいさ。近頃はマルクスの旦那も新しく遠征隊に入ったクーラ、あの子と出来てるって話だし、ガシンはあの反則おっぱいと同棲してるし、来年にはみんなお腹おっきくなってるかもね」

 

「反則って……アラミヤさんの胸は確かに何か近頃更にアレですけど」

 

「おや? なら、ガシンも隅に置けないね。もう父親なのかも?」

 

「え、えぇ……ど、どうでしょうか? 確かにあからさま過ぎて夜の事なんて聞く事は無いですけれど」

 

 『え、そうなの?』という顔で考え込むエルミにアマンザがチョイチョイと指を曲げて呼ぶ。

 

「?」

 

 ゴソゴソとデスク内部から不可糸を白くして編まれたかなり大きな袋が取り出され、押し付けられた。

 

 重量は左程無いが、中身は柔らかくそれなりに詰め込まれている様子で布地である事が伺える。

 

「何ですの? これ」

 

「実はね。野営地の女性陣で御針子しててね。普段着用の麻布の衣服を変えようって話になってるんだ」

 

「つまり、新しい服ですの?」

 

「軍事物資に布地を充足させ終わったら、不可糸や北部から持ち込まれた綿花と絹みたいな不可糸を染めて、衣服をって話しでアルマーニア側と軍用以外の消耗品として服を製作する予定でね」

 

「つまり、新しい服ですの?」

 

「そりゃ、戦う連中には今も麻布以外の衣服があるけれど、普段着じゃないだろう?」

 

「ええ、まぁ、そうですわね。今は不可糸で織りあげた布を知っている衣服に似せて作ってから染色していますし」

 

「でも、アルマーニアを筆頭にしてスピィリア以外の肉体を持ってる蜘蛛達も麻布の服じゃ満足出来ない連中もいてね。取り敢えず、寝間着と普段着と下着を造り始めたのさ」

 

「そうなんですの? それはちょっと心躍るような……」

 

「今、染色工房と機織り工房を野営地の端に作ってて。そこから上がって来たもんを野営地の御針子達で縫い上げたばかりなのさ」

 

「へぇ~~み、見てもいいんですの?」

 

「ああ、まだ下着だけだけれどね。それはレザリアやフィーゼ嬢ちゃん、ヒオネちゃん、あの侍従の子達と一緒に着なよ。リリムにはもうやってるからね」

 

 エルミが袋の内部から取り出したのは下着だった。

 

 だが、すぐにその口が思わず吹き出す。

 

「ちょ、ちょ、これぇ!?」

 

「くくく、いいだろう? 夜用だよ? これなら男共も真っ青か真っ赤になって相手してくれるさ。ね?」

 

「あ、あ、こ、こんなの着れませんわ!?」

 

 思わず袋にすぐ下着が戻された。

 

「ま、時間がある時にアルティエが戻って来たら、使えばいいさ……相手がいるんだ。若い内に楽しんどくんだよ? そういうのが出来る場所と時間があるのは幸せな事なんだからね?」

 

「う、うぅぅ~~~」

 

 エルミが恥ずかしそうにしながらも僅かに袋の中にその下着を見て、人数分×数日ローテーション出来る量を前にして、小さくコクリと頷くのだった。

 

「………」

 

 そんな様子を見て、彼女は疼くような胸を摩る。

 

(立派におなりよ。アルティエ……その分、こっちはやっとくからね……)

 

 野営地の御付き合いないし結婚を前提に付き合っている女性達に出回った下着が野営地の出生率に二役三役買うようになるのはまだ先の話。

 

 ただ、その下着を見たヒオネや彼女の周囲が女性陣でも顔を真っ赤にして付けるべきか量産するべきかと悩む事になるのは当日の夜の事であった。

 

 少年の侍従として必要な知識と実戦を学ぶアルマーニアの兄妹達は『ヒトって進んでる!!?』という顔で顔を真っ赤にし、クーラは思わず卒倒しそうになり、エネミネは『ほう……?』という顔になり、女性陣の多くは結局ソレを使う事を良しとしてイソイソと自分の部屋に仕舞い込む事になるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。