『それでは屋内対人戦闘訓練第11戦、スタート!!!』
そのオールマイトの宣言とともに屋内対人戦闘訓練スタートの合図であるブザーが鳴った。
「では行くとするか」
そう呟き、正面入り口からビルに突入する。
今回の屋内対人戦闘訓練で使用するビルは、ほかのビルよりも大きく、通常5階と屋上までとは違い、10階建てに広範囲のエリアという贅沢な戦闘場所だ。
そのため核を探し出すのに時間がかかる。だから制限時間が15分から20分へと変更となった。
足音を殺しながら壁に隠れ、奥を確認してから先に進む。しかし、その行進は二階の少し広い廊下で止まった。
「私がアルセーヌと別行動し核を探すと読んで核がある部屋に固まっているか、蛙吹が索敵し常闇が防衛に回ると思ったが...その読みは間違ったか」
俺はそう呟いた。なぜなら、今目の前に常闇君がいるからであった。
俺はプラスチックナイフをポケットから取り出し、アルセーヌを顕現させる。
「ダークシャドウ!」
「アイヨ」
常闇君はそう叫び、ダークシャドウをへそから召喚する。
ダークシャドウは召喚された勢いのまま、俺に突撃して攻めに出た。
その突撃を回避し、常闇君に向けてアルセーヌの斬撃を蹴りとして放つ。
「《パワースラッシュ》」
ガラスを砕くような音を響かせアルセーヌの足から金色の斬撃が放たれた。
金色の斬撃を纏った蹴りによってダークシャドウの肉体にすこしだけだが傷がついた。だが、ダークシャドウは傷にかまわず腕を振りかぶる。
その反撃を咄嗟にアルセーヌの右腕で受け止め、防御した。
「《ダブルシュート》」
そしてアルセーヌの左腕でダーくシャドウの体を掴み二発の銃弾を放とうとした。しかし体を掴まれたことで何かを察したのか、常闇君はすぐにダークシャドウを引っ込めた。そのため二発の弾丸は空を掠めて地面を貫通する。
(《ダブルシュート》はエアガンなどで狙いを定めなければ
ペルソナとはもう一つの自分、魂ともいえるもので困難に立ち向かうための人格の鎧を具現化した存在。そのためペルソナが受けたダメージは俺のダメージにもなるのだ。ペルソナが受けたダメージは俺に還元され、俺が受けたダメージもペルソナに還元される。もしペルソナが破壊でもされたら俺は死の一歩手前まで行ってしまうだろう。
戦闘方法を見ている限り、接近戦に持ち込めればペルソナを使わずとも倒せる。だが俺の些細な動きに注意を向け続けていて、なにか動きを見せればすぐにダークシャドウを動かしそれに対応する。常闇君自体の判断の判断能力も優れているな)
ガラスを砕くような音とともにナイフを金色に光らせ、地面を踏み込んで常闇君に向かって跳躍する。
「ダークシャドウ!掴んで叩きつけろ!」
「イワレナクトモ」
ダークシャドウは俺の足を掴もうとした。
「《ダブルシュート》」
アルセーヌを動かし、ダークシャドウを掴んで銃弾を撃ち込む。それによってダークシャドウは数舜怯み、隙ができた。
飛んでいる勢いのまま常闇君に向かい、斬撃を放とうとする。
「ッ!」
だが、どこからか伸びてきたピンク色のカエルのような舌により俺の足は掴まれ地面にたたき落された。金色を纏ったナイフは色を失い、元の色へと戻る。
(蛙吹さんの舌を伸ばすカエルの個性。常闇君主体で隙ができたところに蛙吹さんが仕掛けてさらに大きな隙を作る作戦か、蛙吹さんから潰そうと思ってもどこから一本道の横に複数の廊下があるタイプの廊下なためどこから舌を伸ばしたのかわからない)
俺が地面にたたきつけられたその隙に、常闇君とダークシャドウは二人がかりで攻めに転じた。しかし、その攻めも俺の言葉で隙が生まれた。
「アルセーヌを忘れてないか?」
その言葉にハッとした常闇君は背後を振り向いた。この廊下は回り込める廊下。しかし、背後には何もいない。
「ブラフ!」
だが、気づいた時点でもう遅かった。俺はペルソナを再顕現し、エアガンを取り出して銃口を常闇君に突きつける。
「《ミックスレイド》」
俺の全身を碧いエネルギーが包み込んだ。その瞬間、ガラスが砕けるような音が二重に重なりエアガンの銃口に暗闇がまとわりつく。
「『
そして、俺は引き金を引いた。その瞬間、暗闇をまとった金色の弾丸が放たれる。その弾丸は圧倒的なる深淵をまとい、常闇君へと向かう。
しかし、その弾丸はダークシャドウによって防がれた。その結果、事態は想定外へと急転する。
「ア゛」
ダークシャドウはその弾丸を受けた瞬間、悲鳴ともいえない声を上げた。
瞬間、膨張した。常闇君の体を飲み込み、ダークシャドウは金色の瞳を赤色の瞳へと変化させてビルの天井をぶち抜き、破壊する。
「ア゛ア゛ア゛ァ゛ア゛ア゛」
ダークシャドウは雄たけびを上げ、俺に向かって攻撃を始めた。
右拳を振り上げ、それを俺に向かって振り下ろす。
「ッグ」
その拳を壁を蹴って回避しようとするが、少し遅れたようでまともに受けてしまった。
「《パワースラッシュ》!」
ガラスを砕くような音を響かせ、ナイフを使って切りかかる。だが、予想通りダメージを受けているような様子は見せない。
ダークシャドウが破壊した天井を利用し、上の階へ跳躍して逃げ込む。
(俺の疑似《ミックスレイド》の『閻魔弾』は理論上、呪怨属性と銃撃属性の両方の性質を併せ持つ必殺技だ。常闇君のダークシャドウが呪怨属性の耐性に無効以上の耐性がある場合を考え、俺は呪怨属性の耐性がどれなのか確認するためと、攻撃にもなるように銃撃属性が混じった『閻魔弾』を使った。だが、結果として常闇君のダークシャドウを暴走させただけで、逆に不利どころか常闇君も危険な状態にしてしまっている。
失敗だ。まず、この世界でペルソナを持ち出しすぎた。”ペルソナ”が使えるとはいえ、それは「個性」。ペルソナどおりのものではない。現に俺はアルセーヌが覚えないはずのスキルを俺は大量に覚えている。
そして、常闇君の”個性”であるダークシャドウは俺のペルソナと似てるから、耐性はHPを回復する『吸収』、攻撃を反射させる『反射』、『無効』の三つしかないと思い込んでしまった。ダークシャドウは俺の予想通り、呪怨属性に対して『吸収』の耐性があった。だが吸収するといってもそれは回復ではなく、攻撃力へと加算してしまう。俺の放った『閻魔弾』は出久との特訓で使った際は失敗に終わるか外してしまい、正確な威力はまだ確かめていない。だが疑似的とはいえ《ミックスレイド》、高い威力を出すはずだ。もとがエイガという呪怨属性の中ダメージとダブルシュートという銃撃属性の小ダメージを二発を掛け合わせたもの。呪怨と銃撃属性の大ダメージぐらいにはなるはず。それに加えアルセーヌには呪怨ブースタがついている。高威力なのは間違いがない。
それが裏目に出たか)
思考をしながら一階の廊下を走る。スピードなら並べるようで、目測しているダークシャドウとの距離は一定の間隔をあけれている。
しかし、互角ということは一度でもコケたり、廊下の道筋を間違えたら距離が縮まってしまうということ。
アルセーヌの顕現を解除し、走ることに集中する。
ペルソナを召喚し続けるのは戦闘という面においては利便性があるのだが、ペルソナを動かす感覚はもう一つの自分の体を無重力状態で動かしているような感覚のため、ペルソナを動かしながらスキルの発動と生身での戦闘を行うには集中力がいる。そのため15分ほどしか常に出すことはできない。
今回の場合は戦闘開始からそれ程たっておらず数分だが、今は逃げることに集中するためにペルソナを解除した。
足音を響かせながら廊下を走り、偶に背後を見て距離を確認してチェイスを始める。
(ダークシャドウ...吸収の耐性が攻撃力へと加算される。なら、祝福属性なら弱体化できるか?いや、この世界は「個性」なんだ。それに祝福属性は使えない。
常闇君は闇の中を好んでいたな。もしかして個性の影響なんじゃないか?闇の中で攻撃力が上昇する?なら俺の呪怨属性を纏った『閻魔弾』は深淵と言えるほどの闇を纏ってダークシャドウを攻撃した。辻褄が合うな。だが、そうだとしたら夜が来るたびに暴走することになるし、永遠に暴走したままだ。
弱体化する何かがある。それはなんだ?闇の反対は光。光で弱体化するか?
それしかない。最大出力で物理属性の攻撃をしようにも恐らく効かないのに加え体力を使う。いま体力を消耗したら追い付かれる。
確証は薄い、だがこれ以外の勝ち筋はない)
「ガァ゛ア゛ァ゛ァ゛」
ダークシャドウがスピードを上げた。距離が少しずつ縮まっていく。
「フフフ」
危機的状況。それなのになぜか笑いがこみ上げてきた。
「フハハ!フハハハハ!《コンセントレイト》!」
高笑いを上げ、ニヒルな笑みを浮かべながら《コンセントレイト》を発動さえ走る。そして、行き止まりに追い詰められた。
「オラアァアァ!!!」
ダークシャドウが声を上げながら俺に拳を振りかぶった。
「《パワースラッシュ》!!!」
アルセーヌを顕現させながらそう叫び、ガラスを砕くような音を二重に響かせた、
金色のナイフと金色の斬撃を纏ったアルセーヌの蹴りを同時に叩き込む。
「痛イゾ、三下ァアア!!!!!」
振りかぶった拳を弾き返し、傷をつけた。
だが、傷をつけただけではダークシャドウは止まらず突撃した。
「《ミックスレイド》」
俺は再度ミックスレイドを発動させようとし、アルセーヌを俺の背後に移動させた。
俺とアルセーヌの全身から碧いエネルギーが噴き出し、俺とアルセーヌの体を包み込む。
「ブッ飛バス!!!」
「『
俺は《パワースラッシュ》と《マハエイガ》を合わせ、《コンセントレイト》により威力を二倍にする。
俺が今出せる最大威力の技であり、広範囲攻撃の飛ぶ斬撃。その斬撃をビルに向かって放つ。
深淵の斬撃は、空中を舞ってビルを切断した。
その影響で深淵に包まれたビルは空の明かりが入り込んだ。
「ひゃん」
ダークシャドウはかよわい乙女のような悲鳴を上げ、常闇君より一回り小さいほどのサイズに縮小した。
「ハアッ...ハアッ...」
この戦闘で、かなりの精神力と体力を消耗した。
それに加えて《ミックスレイド》を時間が少しあいたとはいえ、二回も使用した。集中力ももう限界に等しい。《ミックスレイド》はもう使えない。
「お互い...同じ状況だな」
常闇君がそう呟いた。
どうやら常闇君も限界に近いようだ。顔には汗がにじんでいて息切れを起こしている。
「だが 」
俺はアルセーヌを顕現させ、スキルを使用しようとする。しかし、俺の体に長細い白い布のような物が巻かれた。この布には見覚えがある。
「確保テープ...!」
背後を振り向き、巻いた人物を確認する。その人物は蛙吹さんだった。
「忘れていた、蛙吹の存在を」
「梅雨ちゃんと呼んで」
『ヴィランチーム、WIN!』
「まさか、俺が常闇君を暴走させると読んで...ここに誘い出したか?」
「そのとおりね、最初は私が雨宮ちゃんを探して常闇ちゃんが守るってことにしてたんだけど」
「俺が裏をかこうといったんだ。お前ができることを考えお前の立場になって俺たちの行動を予測する。ダークシャドウが暴走する可能も作戦に含めた」
「”完全に読まれていた”か、完敗だ。ただ、少しでも作戦から外れたら私たち全員が危険な状態になったぞ」
「そうだな。だが俺は雨宮、お前の力とアルセーヌを信じた」
常闇君との絆が生まれた気がする…
我、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我、「刑死者」の絆の生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、さらなる力とならん…
「それじゃあ、オールマイト先生の元に行こう」
怪盗服への変身を解除し、常闇たちと一緒にモニタールームへと向かう。
「いつも思っていたんだが、先ほどのマジシャンのような服は何なんだ?」
「あ~、俺の『反逆者』のイメージがこういう姿だったから戦う意思を持った時にこの反逆者のイメージが俺の服に反映されてペルソナの力で変化してるんだと思う」
「なるほどな、己の思う
「反逆者がマジシャンみたいなのね」
常闇踏陰—『刑死者』:コープランク1
コープアビリティ
・無し
梅雨ちゃんが全然でなかったし、常闇君が中二病じゃなくなっとるがな...
キャラの口調書くのってムズイな。