「実技総合成績出ました!」
真っ暗な部屋でとともにモニターにNo.1からNO.10までのランク表が浮かび上がった。
「90点超えは久しぶりね、それに両方のポイントを高く会得できてる」
「
「そしてレスキューポイント0で二位...」
「仮想
「対照的にヴィランポイント0で八位...」
「大型仮想敵に立ち向かったのは今回の試験でもいたけど、一撃で完全破壊したのは久しく見てないね。力の化身だ」
「しかし、自身の衝撃で甚大な負傷、まるで個性を発現させたばかりの幼児だ」
壁にもたれかかって腕を組んでいた白いマフラーのような物を首に巻いた、髭を処理しておらず髪が少し長い小汚い男性が試験で目立ったものの会話を聞き、溜息を吐きながら部屋を後にするのだった。
一週間後、ポストに手紙が届いていた。
その手紙の中には黒い小さな円形の機械が入っており、それを机の上に置いたと同時にホログラムが投影された。
「すごいな、やっぱり近未来感がすごい」
そう呟きながらホログラムを見つめる。
『ネズミなのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は、校長さ!』
その言葉とともに映像に出てきたのは白い毛並みを持った目元に傷があるネズミのような姿をした人が現れた。
「異形型個性か。この個性社会では表面上では異形型への個性差別は限りなくなくなってきてるが歴史の観念で見ると裏には差別が隠れていて異形型個性では有名になりにくい。
だけどそれでも雄英高校の校長という役職に就けているってことはかなりすごいな」
『実技試験、敵ポイント51点。だけど、あの入試の加点対象はそれだけではないのさ。
人助け、正しいことをした人間が損をするヒーロー科なんて、あってたまるかって話なのさ。
レスキューポイント。私たち雄英が見ていたもう一つの基礎能力さ。
それを含めて雨宮蓮、合計94ポイント。そして、筆記合計128点。文句なしの合格さ!
おいで!ここが君のヒーローアカデミアさ!』
その言葉を最後にホログラムは消滅した。
合格の通知を聞き届け、屋根裏部屋のベッドに沈み込む。
(...まぁ、そうだな。
だけど俺は仮想敵を倒すことを最優先に考えて誰かを助けることはサブで考えてた。
…反省しないとな)
「はぁ」
溜息を吐きながらベッドに横になる。
(そういえば、俺は前歴あるけどそれはどう考えられてるんだろう...
傷害の前科があって、個性登録書が急に変わったのが確認されてる...めちゃくちゃ怪しいな
あ~、まぁ、
そんなことを考えながらベッドから起き上がり、夜の中で外に外出した。
理由は特にない。ただただその日は散歩がしたいだけだった。
「やっぱり2月は寒いな、コートを着ててよかった」
歩道を歩き、公園に入ってベンチに座った。
その公園には俺以外には誰もいない。そう思っていた。
「何勝手に座ってきてんだ」
座ったベンチの真横に蒼白い髪を持った瞼と唇に切り傷を持つ赤い瞳を持っている乾燥した肌のやせ細った男性がいた。
「あ~、すみません。夜だったもので気が付きませんでした。
しかし、最近寒いですね」
そうベンチに座りながら話しかける。
「…まぁそうだな」
蒼白い髪の男性はそっけなく返事をし、月を眺める。
(...話題が思いつかないな)
「ゲームとかってやりますか?」
「やってんな」
(...LoLはちょっと操作感がいいんだよな。…一回だけネットで組ませてもらったらめちゃくや暴言吐かれたけど)
「LoLとかってやってます?」
「LoL!?俺もやってる!...ソロだけど」
蒼白い髪の男性は急に子供のように食いつき、話を始めた。
少し絆が芽生えた気がする。
我、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我、「塔」の絆の生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、さらなる力とならん…
「いつか一緒にやりませんか」
「そーだな」
「じゃあ、SNSでも交換しませんか?」
そうつぶやきスマホを取り出す。
蒼白い髪の男性はちょっと待てと言い少しの間スマホを弄り、スマホのSNSを交換した。
交換したメールの名前には「Gamu」と書かれている。
「じゃあ、またいつか」
「...ぁあ」
別れの挨拶をして家に帰り、屋根裏部屋のベッドに寝転がった。
それから時が流れ、現在は4月。
ベッドから起き上がり、歯磨きをして雄英高校の制服に着替える。
雄英高校の制服は二つボタンが付いたグレーのジャケットに襟と袖に緑の広狭ラインが2本、袖釦に2つ。肩に緑のエポレットと固定用の金ボタンが付いており、ズボンは緑無地のノータックズボンだ。
その上に赤いネクタイをきっちりと巻き、誰もいない家の玄関の扉を開けた。
雄英高ヒーロー科への入学倍率が毎年300を超える理由、推薦入学4名を除く、一般入試定員は37名。19人と18人でなんと2クラスしかないのだ。
「1-A...」
そう呟きながら広い雄英高校の廊下を歩き、教室を探す。
「あったけどでかいな」
見つけたのは赤色で1・Aと縦書きで書かれている5mはあるであろう巨大な扉だった。
そのドアを開けて教室に足を踏み入れる。
登校時間が早すぎたのだろう、まだ教室には3人ほどしかいなかった。
「あ、君は...おはよう!俺は私立聡明中学出身、
俺の存在に気づきそう喋りながら腕を振って近づいてくる眼鏡をかけた少年。
入試の説明会にて
「あ~、あの時の。俺は
「雨宮君、あの時はすまなかった。
君の言う通り、あの縮れ毛の少年は自分よりも他人を優先する、
「それを言うなら緑谷君に言えばいい。それに緑谷君のことを知る由がなかったから、あれは仕方がない」
「確かに、謝るなら緑谷君にだな」
「まあ、何はともあれだ。これからよろしく」
「ああ!」
我、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我、「皇帝」の絆の生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、破滅に抗うさらなる力とならん…
話を続けていたらドアが開けられ次々とクラスメートが教室に足を踏み入れる。
そのなかでもひときわ強くドアが勢いよくあけられた。
その少年は無言のまま教室に入り、席を確認していた。
金髪でツンツン頭、赤い瞳を持つ少年。その姿に対して俺は見覚えがあった。
「あ、確か君は」
疑問を投げつけようとした。
しかし金髪の少年は聞いていないといわんばかりに椅子に座り、足を机の上に置いた。
その行動に対し飯田君は指摘した。
「机に足をかけるな!
雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないのか?」
「思わねえよ!s
手前どこ中だよ、モブが」
「ぼ、俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」
「聡明~?
クソエリートじゃねえか、ぶっ殺しがいがありそうだな」
「なっ!ぶっ殺しがい...君酷いな、本当にヒーロー志望か?」
言葉に対し言い返そうとした金髪の少年の言葉は止まりドアの方を見つめた。
また、飯田君もドアの方に視線を向け、言葉をつぶやく。
「ん?君は...」
飯田のその言葉に集まっていた生徒たちの視界が一斉にドアに向いた。
そこにいたのは緑色の天パでネクタイを異様に短く巻いている少年、緑谷出久だった。
「わっ!えっと...」
視線が急にこっちに向いたことで驚き、目をきょろきょろとさせる緑谷君に飯田君が近づく。
「おはよう!俺は私立聡明中学の——」
「聞いてたよ!
あ…っと僕、緑谷。よろしく飯田君」
緑谷君の挨拶を聞き飯田君は姿勢を正し、腰を曲げた。
「緑谷君、あの時はすまなかった。
君を見誤っていたよ。君の方が上手だった。それに——」
「そ、そんなに謝らないで!僕も言葉に出過ぎてたし...」
飯田君の謝罪を遮り自身も謝罪を始めたその時、
「あっ!そのもさもさ頭は!地味目の!」
その言葉とともに緑谷君の後ろから声をかけたのは雄英の校門で緑谷君がこけた際に緑谷君を浮かして助けていた茶髪の少女だった。
「プレゼント・マイクの言ってた通りに受かったんだね!そりゃそうだ!パンチすごかったもん!」
腕を振りながら元気に緑谷君に喋りかける。それに対し緑谷君は顔を真っ赤にし片手で目を隠し、もう片方の手で髪を掻きながら返事を返す。
「いや、あの。ほんと...あっ、あなたの直談判のおかげ僕はその」
「えっ、何で知ってるの?」
「あっ...そ、それはっ」
焦ったように弁解しようとするが口に出すのを渋って焦り続ける。
(多分なんかが起きて助けてもらったんだろうな)
「おはよう、緑谷君。受かってよかったね」
滅茶苦茶顔を赤くしているため助けるかと思い話しかけた。
「あっ、雨宮君。おっ、おはよう!」
覚えていてくれたことをうれしく思いながら緑谷君たちに近づき会話に混じる。
「今日って式とかガイダンスだけかな?」
「担任の先生は誰なんだろうな?」
「お友達ごっこしたいならよそへ行け」
男性の声が聞こえた。しかし、その声が聞こえた先にあるものは...
黄色い寝袋に包まれた髭の処理をしていない男性だった。
「ここはヒーロー科だぞ」
その言葉とともに懐からゼリー飲料を取り出し、それを握りつぶして飲み干した。
(((な、なんかいる!?)))
「はい、静かになるまで8秒かかりました。
時間は有限、君たち合理性に欠くね」
校長先生がよく言うような定型文を告げながら立ち上がり、黄色い寝袋のチャックを下ろし姿を現した。
その男性は首に白いマフラーのような物を巻いており、髪は長く、髭の処理をしていない。それに加えて腕の袖口は少しボロボロと小汚い姿をしていた。
「担任の
よろしくね」
その場にいた全生徒たちの驚きが教室を包み込んだ。がしかしそんなものは意に介さずに相澤先生は指示を始める。
「早速だが、これ着てグラウンドに出ろ」
そう呟きながら寝袋から取り出したのは紺色の生地に首周りを白い枠線で覆われ、胸から下はAとも見えるような白い線、そして袖には赤い枠線で覆われた白い線のジャージだった。
(...なんで寝袋から?)
「「「個性把握テスト!?」」」
グラウンドに21人の驚愕の声が響き渡った。
「入学式は?ガイダンスは?」
疑問に思った生徒が相澤先生に問いを投げつける。
「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事出る時間ないよ。
雄英は自由な校風が売り文句。そして、それは先生側もまたしかり」
生徒たちにどよめきが走る。
「お前たちも中学のころからやってるだろ?」
スマホを取り出し、体力テストの項目を見せながらそう問いかける。
「国はいまだ画一的な記録を取って平均を作り続けてる、合理的じゃない。
まぁ文部科学省の怠慢だな。
実技入試成績のトップは雨宮だったな…中学の時ソフトボール投げ何mだった?」
相澤先生はそう俺に問いかけ体を向ける。
「52mです」
「じゃあ個性を使ってやってみろ」
そうボールを渡され、白い円のライン上に立たされた。
「円から出なきゃ何してもいい。はいよ、思い切りな」
「わかりました」
そう告げるとともに俺は蒼炎に包まれ雄英高校の制服は
(((なんで服が変わるの?)))
「アルセーヌ!」
白いドミノマスクが蒼炎とかし、ガラスの砕け散るような音を出して
顕現したアルセーヌにボールを持たせ、俺は指示した。
「そのまま遠くまで飛べ」
アルセーヌはその命令に従い、全速力で飛び始める。
「おい雨宮、お前はこれをいつまで飛ばせる?」
「気力が尽きない限り永遠ですね」
回答を聞いた相澤先生は携帯を弄り、携帯を見せつける。
そこには測定不能と書いていた。
「まずは自分の最大限を知る。
それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
歓声が上がった。
「測定不能ってまじかよ」「何これ面白そう!」「個性思いっきり使えんだ。さすがヒーロー科!」
生徒たちの声を聴いた相澤先生は少し表情が変わり、呟いた。
「『面白そう』...か。
ヒーローになるための三年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?
よし、8種目トータル成績最下位のものは見込みなしと判断し、除籍処分としよう」
相澤先生はニヒルな笑みを浮かべながら宣言した。
「「「はぁああ!?」」」
グラウンドを大きな驚愕の声が包み込んだ。
「生徒の移管は俺たちの自由。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」
相澤先生は髪をかき上げながらそう告げた。
「最下位除籍って、入学初日ですよ!?いや、初日じゃなくとも理不尽すぎる!」
相澤先生の宣言にクラスメートたちは抗議の声をあげた。
その抗議の声に対し、相澤先生は答える。
「自然災害、大事故、そして身勝手な
そういうピンチを覆していくのがヒーロー。放課後マックで談笑したかったのならおあいにく、これから3年間雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける…さらに向こうへ、『Puls Ultra』さ。
全力で乗り越えてこい...!」
クラスメートたちに納得の表情が浮かび上がった。
(洗礼としては厳しすぎるな、だけど
「さて。デモンストレーションは終わり、こっからが本番だ」
その宣言と共に体力測定が始まった。
《第1種目:50m走》
50mの白線が敷かれており、ゴール付近にはレンズのついた三脚のロボットが置かれている。
「位置について...」
その言葉とともにクラチングスタートの構えをとった。
「よーい...どん」
開始の合図とともに地面を踏みこみ走り始める。
「3秒89」
(アルセーヌの速のステータスは現状確認方法がないけど、おそらく20以上だ。んで、
体力テストを観察していた相澤先生は思考する
(個性を最大限使い、各記録の伸びしろを見れば、何ができて、何ができないかが浮き彫りになる。
それは己を生かす創意工夫となる)
生徒達の各々の個性に対する反省や分析を聞きながら緑谷に視線を向けた。
緑谷は個性を使わず7秒05という記録を出したようだ。
「第2種目:握力」
「アルセーヌ」
ガラスが砕け散るような音とともにアルセーヌを顕現させた。
そして、アルセーヌに指令を出し握らせた。
ピッと電子音が鳴った。握力計に映し出された数字は314㎏だった。
(
《第3種目:立ち幅跳び》
「《ダブルシュート》」
地面を踏みこみ、跳躍をすると同時にアルセーヌが地面に手のひらを向け銃声が二発なった。
地面には二つの弾痕ができ、その衝撃で吹き飛んだ。
記録は20.16mだった。
《第4種目:横幅飛び》
アルセーヌを使っても何の意味もないため今回に関しては通常通りに飛ぶ。
記録は112回だった。
《第5種目:ボール投げ》
俺はもう投げたため観察だ。
緑谷君を助けていた茶髪の少女の番になった。
「せい!」
投げた。
…1分後、まだ落ちない。
…2分後、まだ落ちない。
…3分後、まだ落ちない。
どうやら星になったようだ。
相澤先生は携帯を弄り、それを見せつける。
その携帯には——
「「「無限!?」」」
無限と書かれていた。
「すっげえ!無限が出たぞ!」
無限というとんでもない記録に感嘆や驚愕の声が上がった。
次は緑谷君の番のようだ。
緑谷君は暗い表情をしながらうつむいている。
(緑谷君はまだ大きな記録を出していない...緑谷君の個性は茶髪の少女の発言からして増強型。ならなぜ今の今までの個性を使わなかったのか...なにか代償があって使った後は使えなくなる?いや、それなら入試試験で合格できない。
あの大型仮想敵とかを一撃で破壊して受験生たちを助けたとかか?でもあの試験は事前にレスキューポイントに関して説明されてない...
「緑谷君、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「えっ、な、なに!?」
「君の個性って何?」
「…あ、えっと、ええっと、僕の個性は、ちょ、超パワー。だよ」
(超パワー...
「もしかして体が個性に追い付いてない?」
その言葉を聞いた緑谷君の表情は図星を付かれたかのような表情になり言い始める。
「そう、そうなんだよ。僕の個性に僕の体が追い付いて無く——」
緑谷君の言葉を聞こうとした時だった。
「おい、いつまで喋ってるんだ?さっさとやれ」
相澤先生によって遮られた。相澤先生の表情が俺には自分で導き出すまでアドバイスをするなと思っているように感じた。
「すみません。それじゃ、緑谷君、頑張って」
そう言って緑谷君から離れた。
そして、緑谷君が腕を振りかぶった、その時。
相澤先生が目を見開き、その目は赤色に光った。
「だぁ!」
その声とともにボールを投げた。だが、そのボールはそこまで飛ばず、76mという記録だった。
「なっ、今使おうって...」
焦った表情をし、暗い表情で独り言のようにつぶやく。
「個性を消した」
相澤先生が緑谷君の独り言にそう答える。
相澤先生のマフラーのような物が宙に浮き、ふわふわと滞空し始める。
「つくづくあの入試は合理性に欠くよ。
お前のような奴も入学できてしまう...」
「個性を消した?
はっ!あのゴーグル…そうか!見ただけで人の個性を抹消する個性、抹消ヒーロー・イレイザーヘッド!」
緑谷君のその言葉にクラスメートたちは疑問符を浮かべる。
「イレイザー?おれ知らない」「聞いたことあるわ、アングラ系ヒーローよ」
「見たとこ個性が制御できないんだろ?また行動不能になって誰かに助けてもらうつもりだったのか?」
「そ、そんなつもりじゃ...ッグ」
緑谷君が弁明の言葉を出そうとするが、相澤先生はマフラーのような物がそれを遮り、緑谷君を巻き付け引き寄せた。
「どういうつもりでも、周りはそうせざるを得なくなるって話だ。
昔、
同じ蛮勇でも、お前のは一人助けて木偶の棒になるだけ。
緑谷出久。お前の力じゃヒーローになれないよ」
相澤先生はそう言いつけ、マフラーのような物による拘束を解いた。
「お前の個性は戻した。
ボール投げは2回だとっとと済ませな」
そう言い。相澤先生は緑谷君から離れた。
緑谷君はどっちだ?とブツブツとつぶやく。
(個性を使い全力で行くと相澤先生に消され、その逆に個性を使わなかったとしても最下位除籍...アドバイスを言おうにも俺は相澤先生に釘を刺されている...
どうするんだ?)
緑谷君は決意の表情を浮かべ、ボールを投げる姿勢に入った。
その人差し指の指先に圧倒的なる力のエネルギーが収束される。
エネルギーによる投擲は暴風を巻き起こし、ボールを吹き飛ばした。
結果は705mだ。
その指先は赤黒くはれ上がっていや。
相澤先生は目を見開きニヒルな笑みを浮かべた。
「700mを超えた!?」「やっとヒーローらしい記録が出たよ!」「指がはれ上がっているぞ、入試の件といいおかしな個性だ」「スマートじゃないね...」
クラスメートたちが感嘆の声を漏らす中、一人だけ疑問と驚愕の表情を浮かべたものがいた。
そのものは緑谷君が助けた金髪の少年であった。
「どういうことだ?
こら!」
叫びながら走り始め、手のひらから小規模な爆発を起こしながら緑谷君に近づく。
「訳を言え!デクてめえ!」
緑谷君をデクと呼ぶ金髪の少年が緑谷君の眼前に迫る──しかし、相澤先生が身に着けたマフラーのようなものが金髪の少年を捕縛した。
「ぐっ...んだ、この布、硬え」
「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ捕縛武器だ。
ったく、何度も何度も個性使わすなよ。俺はドライアイなんだ!」
「「「個性すごいのにもったいない」」」
「時間が持ったいない、次準備しろ」
相澤先生の言葉とともに捕縛衣の拘束が解かれた。
「緑谷君、指大丈夫?」
「あっ、うん!」
緑谷君はそう返事をするが赤黒く腫れている指は見たところ骨折しているようだった。
(指先だけで705mになるほどの超パワー...強すぎる。あの力がノーリスクで使えるようになったら
なぜ制御できないんだ?個性は体に馴染む。だからどんな個性でも長年持っていれば少しは扱いやすくなったり、制御できるようになる。
なのに、一切制御できず指先のみとかに絞ったりしないと骨折して赤黒く腫れる...
俺みたいに条件が付いていて発動ができないから個性に体がなじまなかったのか?
わからない)
そんなことを考えていると次の種目の時間になったようだ。
残り全種目が終了した。
「んじゃ、パパっと結果発表。
トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明するのは時間の無駄なんで、一括開示する」
その言葉とともにスマホをタップし、ホログラムが投影された。
1位:八百万 百 11位:麗日 お茶子
2位:轟 焦凍 12位:口田 甲司
3位:雨宮 蓮 13位:砂藤 力動
4位:爆豪 勝己 14位:蛙吹 梅雨
5位:飯田 天哉 15位:青山 優雅
6位:常闇 踏陰 16位:瀬呂 範太
7位:障子 目蔵 17位:上鳴 電気
8位:尾白 猿夫 18位:耳郎 響香
9位:切島 鋭次郎 19位:葉隠 透
10位:芦戸 三奈 20位:峰田 実
21位:緑谷 出久
最下位だったのは、緑谷君だった。
(さぁ、どうやって説と——)
「あ、ちなみに除籍は嘘な」
「は?」
「君らの個性を最大限引き出す合理的虚偽」
「「「はああぁああ!?」」」
「あんなの嘘に決まってるじゃない、ちょっと考えれば分かりますわ」
(...いや、感覚で分かる。あれは
緑谷君に可能性を見出したのか?)
「これにておわりだ。教室にカリキュラムなどの書類があるから戻ったら目通しとけ」
相澤先生がそう言い終わるとともに緑谷君に近づく。
「緑谷、保健室で婆さんに直してもらえ。
明日からもっと過酷な試験のめじろ押しだ。覚悟しとけ」
相澤先生はそう告げ、去っていこうとした。
「相澤先生、待ってください」
「なんだ?雨宮」
「あれ、嘘じゃなかったですよね?」
俺の問いかけに相澤先生の表情がピクっと少しだけ動く。
「緑谷君に、あのクラスの中で一番といっていいほどトップヒーローになる可能性を見出したんじゃないんですか?」
「可能性が0ではなかった。それだけだ、見込みがなかった場合いつでも切り捨てる」
「いや、あなたは絶対にそうはしない。現に一切制御のできず、指先のみなどの部分的発動しかできない緑谷君を除籍処分にしなかった」
「…」
我、ここに新たなる契りを得たり
契は即ち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我、「法王」の絆の生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、破滅に抗うさらなる力とならん…
「半端に夢を追わせることほど、残酷なものはない」
そう呟き、相澤先生は去っていった。
なんかとんでもない文字数になった。
Gamu—『塔』:コープランク1
コープアビリティ
・■■■■
飯田天哉—『皇帝』:コープランク1
コープアビリティ
・無し
相澤消太—『法王』:コープランク1
コープアビリティ
・無し
あ、今更なんだけど蓮の受験番号はP5に関する小ネタが入ってるから当ててみてね。
あとお気に入りが100人突破ありがとうございます。
皇帝コープちょっと無理やり付けました。すんません。
Gamuの名前は本名の名字と名前の二文字目から一文字ずつ取ってるよ。