第二部「破滅を照らす者:賢者との出会い」   作:Jyoze628

3 / 8
第二部「破滅を照らす者:賢者との出会い」その3

目次

 

第8章「流星と幻影」

第9章「POWER IS POWER!」

流輝の『祝福』について

春喜の『祝福』について

あとがき

 

第8章「流星と幻影」

「さて…先ずは誰から『祝福』を確認する?」

「じゃ…じゃあ、俺からでもいいですか?」

「先ずは君か、皆はそれでいいか?」

「OKっす。」

「あぁ。」

「はい!」

まさか彼が自分から進み出るとは思わなかったが、自主的になっているのは良い事だ。

今思えばあの家...いや、『禁域』にあったキッチンでの会話から、彼は段々と前向きになっていった気がする。

「そういえば…大切なことを忘れていたな。」

「大切なことって…?」

「しっかりとした自己紹介をしていなかったということを思い出したんだ…私も君達もお互いのことを知らないままだ。」

「あっ…!」

「はっ!」

「あ~…」

「そっすね。」

「じゃ...じゃあ、とりあえず…自己紹介します…?」

「あぁ、よろしく頼む。」

「えーっと…それじゃあ話しますね…俺の名前は、『天野(あまの) 流輝(りゅうき)』です。日本人の高校三年生で…今は夏休み期間中です。特にすごいことができるわけでもないですし…根暗ですし…全体的に平均より下といいますか…とりあえず!よろしくお願いします!」

「あぁ、よろしく頼むよ。ところで流輝…君は、もう少し自分を誇ってもいいと思うぞ。」

「あ…そうですよね…自分でも分かってるつもりなんですけど直せなくって…」

「しかし、深く気にすることはない。」

「へ…?」

自尊心(じそんしん)が低いということは…調子にのらないということや、自分の短所と向き合っているということになる。つまり、そこが君の強みでもあると私は思っている。人生は長いのだから、自分自身の長所にはいずれ気づけるさ。」

「あ…ありがとうございます!」

やはり彼は良き人格者だったようだ。

世界が危機に瀕していても、彼は私達をただの駒として扱わず一人の人間として尊重してくれている。

「マーリンさんはとても良い人ですね!」

「いや、今のはただの老いぼれからのお節介にすぎない。」

「あんたはただの老いぼれじゃねえだろ…」

「それでは改めて…君が…そうだな、仮称だが…『祝福の間』で見た物は何だ?」

「えーっと...確か、白いダガーだった気がします!」

「おそらくそれは『魔武具』だろう。そのダガーのイメージを頭に浮かべながら手を広げて、『魔武具』の名前を呼んでみるといい。」

「は…はい!やってみます!」

「頑張って下さい!」

【彼はマーリンがやって見せたように、右腕を伸ばし、手を広げると、1つ深呼吸し、『魔武具』の名を呼んだ。】

「『彗星(Comet)』!」

【彼の手に夜空に輝く小さな星々の様な光が集まり、やがてその光は白い光を放つ短剣となった。】

 

 

【挿絵表示】

 

 

「これが...俺の...!あっ!ちょ...おっおぉっ!?ちょっ!」

【彼は光り輝く短剣に見とれて短剣を掴み損ねて危うく落としかけたが、慌てて持ち手を掴んだ。】

「あ…危なかった...けど、これが俺の…!俺の武器なんですよね…?」

「あぁ、そうだ。それは誰でもない君だけの、唯一無二の『魔武具』だ。」

「お...俺にも...出来ました!」

「かっこいいっすね。」

「おめでとうございます!流輝さん!」

「そんで...そいつの能力は?」

「『魔力を消費して自由に光を出したり』、『魔力を消費すると直接触らなくても動かせたり』、『魔力が完全に無くても取り出せる』…らしいです…」

「らしいって…お前の武器だろ…」

「って言われても!そのぉ…知識はあっても理解出来てないみたいな感じなんですよ!」

「実は…私も似たような状況です。まるで…説明書の内容を全て記憶していますが、その内容を完全に理解した訳では無い様な感覚です...」

「言われてみれば…俺もだな…」

「僕もっすね。」

「それも無理は無い。本来は魔力を持つ者が時を重ねて己を理解し、ようやく使える様になるのが『祝福』であって、神から直接贈られるのは珍しいケースだ。」

「つまり…私達は理解する段階を無視して、強制的に『祝福』を手に入れた…という事でしょうか?」

「そうだ。」

「なるほどな…じゃあ『祝福』を使いまくって慣れるしかねぇってわけだな。」

「流輝君の能力はこれだけっすか。」

「あともうひとつありました!」

「教えて頂けますか?」

「えーっと…『魔力を消費すると少しの間だけ、俺の事を見ている生物に認識されなくなる』?って…どういうことぉ…?」

「それは恐らく『異能』だ。それを使ってみてくれないか?」

「えっと…使い方は?」

「それは自分に作用するタイプだろう…これも名前を呼ぶだけだ。」

「い…いきますね…『幻影(Phantom)』!」

「なっ…消えやがった!」

「先程までそこに…!」

今のはまるで…映像が一瞬にして途切れたかの様に彼の姿が…!

いや、恐らくそれだけでは無い…

彼の声さえも聞こえない!

認識されなくなる…つまり、今の私達には…

「どうやら、私達は彼の声や姿を認識…つまり、見聞きすることが出来ないらしいな。」

「はい!私も同意見です!」

これは…例えるならジャミングだ。

私達の目と耳をカメラとして例えるなら、彼の異能…

幻影(Phantom)』は、そのカメラとしての機能を停止させているのだ。

つまり彼の体が透明になったり、声を出さなくなった訳では無く、私達の目と耳が彼を捕捉出来なくなったのだ。

「なるほどな…おい!聞いてんだろ?」

【星次は流輝が立っていた場所に向かって声をかけた。】

「だったらそこで跳んだり床を蹴ってみろ!」

【彼がそう言い終わると、ダンッ!という音が聞こえた。】

「…よく認識阻害の弱点を理解出来たものだ。」

「さっきから小っせぇ音が聞こえてただけだ。」

「なるほど…床に加わった衝撃によって出る音は、流輝さんの発した音ではないので聞こえるのですね!」

「多分な。」

「いや、2人ともほぼ正解だ。素晴らしいよ。」

「僕は何もわかんなかったっすね。」

【彼等が話をしていると、突然声が聞こえた。】

「じゃあめっちゃ便利じゃないですか!ちょっと学校のこと思い出して悲しいけど…」

「見えたし聞こえたっすね。」

「フッ…ククッ…」

「ちょっ…星次さん!?陰キャの辛い経験を笑わないで下さいよ!」

「いや…悪かったな…ふっ…!」

「早速ダガーの切れ味試しますよ!自分で!!」

「ふふふっ!それだけ元気だと体に害は無さそうですね…良かったです!」

「効果持続時間は約10秒、弱点は意思疎通が困難になり、足音や衣擦れの音などは聞こえる…といったところか。しかし、そこにさえ気をつけていれば完全な隠密行動が可能という大きなメリットがある。」

「ちなみに俺の能力はこれだけみたいです…」

「細かいところは後で皆と確認してまとめよう。」

「はい!」

「さて、次は誰が試す?」

 

第9章「POWER IS POWER!」

「じゃあ僕で良いっすか。」

「あぁ、OKだ。」

「はい!大丈夫です!」

次は彼か…彼は力強さが特徴だが…

『祝福』も力に関係する何かになるのだろうか?

「では、自己紹介を頼めるかな?」

「OKっす。僕の名前は『西村(にしむら) 春喜(はるき)』で42歳の日本人っすね。頭は良くないっすけど力仕事はできるっすよ。よろしくっす。」

「あぁ、よろしく頼む。それにしても君は本当に体格が良いな。」

「趣味でずっと筋トレばっかりしてるんで。」

「なるほど…これなら『深き者ども』を倒せたのも頷けるな。君は十分強い。」

「なんか嬉しいっすね。」

「それでは始めよう…確か君も『魔武具』を持っていたな?」

「多分そっすね。」

「それでは流輝君と同じ様に『魔武具』の名前を呼んでみたまえ。」

「それじゃやってみるっすね。『先立つ者(Predecessor)』。」

「た…ためらいが無い!」

【彼が『魔武具』の名を呼ぶと彼の手に青い粒子の様な物が集まり、棍棒の様な形の武器となった。】

 

 

【挿絵表示】

 

 

「それはメイスだ、コンパクトだが中々の重量があり、鎧を砕くのに最適で、扱い方もただ全力で振り下ろすだけのシンプルな武器だ。力持ちな君にはピッタリだろう。」

「うわっ…めっちゃ重そう…」

「丁度良いっすよ。」

【彼はそう言いながら重さを確かめるように軽く持ち上げたり、振ったりしていた。】

「春喜さんの『魔武具』の能力を教えて頂けますか?」

「『魔力使うと防御を無視して攻撃できて、ついでに相手をぶっ飛ばす』っぽいっすね。」

「え…?なんかこう…いや!別に馬鹿にしてるんじゃ無くて…パワフルで良いんじゃないかな〜って俺は思います!」

「なんつーか…マジで脳筋だな。」

「単純明快ですね!」

「防御無視とノックバック…これはかなり強いな。通常攻撃と混ぜて使えば相手が混乱するだろう。ところで、他の『祝福』は何かな?」

「たぶん今使ったらヤバいっすね。『たくさん魔力使ってめっちゃ力を溜めて身体能力を一瞬だけ5倍くらいにする』らしいっすね。溜めてる時は動けない代わりに攻撃があんまり痛くなくなるみたいっすね。」

「ふむ…瞬間的な身体能力の爆発的な強化とダメージの軽減…しかし、デメリットは発動後の大きな隙か…」

「これは…少々、使い所が難しいかも知れませんが、適切なタイミングで使用するなら…あるいは、私達が相手を追い込めば決め手となるかも知れませんね。」

「まぁその時はその時っすね。僕はもうこれだけっすね。」

「それでは…次は誰にする?」

 

 

Profile:流輝の『祝福(Gift)』について

 

 

【挿絵表示】

 

 

Gift Type:魔武具

Weapon Type:ダガーナイフ

Name:『彗星(Comet)

 

Skill

 

煌星(Infinite Stars)

通常の魔武具と違い、魔力を一切消費せずに顕現(取り出すこと)が可能。

また、顕現と退去(顕現の解除)のスピードが通常の魔武具よりも早いため、顕現と退去を命じてからのラグが無に等しい。

 

星影(Starlight)

ダガーを光源として光を放つ。

光の強さは消費する魔力の量によって変化し、消費量が多ければ多いほど光は強くなる。

ダガーがどれだけ離れていても発動できる。

 

霊操(Poltergeist)

魔力を微量に消費し続け、ダガーを触れることなく流輝のイメージ通りに動かす事を可能にする。

浮遊させることも可能。

 

 

Gift Type:異能

Name:『幻影(Phantom)

 

第三者視点

 

【挿絵表示】

 

 

発動時

 

【挿絵表示】

 

 

発動すると魔力を消費して生物に認識されなくなる。

効果持続中、第三者の目には初めから存在しなかったかの様に彼の姿が映らなくなり、彼の声を聞くことが出来なくなる。

しかし、足音や衣擦れ音等を防ぐ事はできない。

消費した魔力量が多ければ多いほど効果時間が延びる。

基本的に約10秒間の持続時間がある。

 

 

春喜の『祝福』について

 

 

【挿絵表示】

 

 

Gift Type:魔武具

Weapon Type:メイス

Name:『先立つ者(Predecessor)

 

Skill

 

土崩瓦解(Disorganized)

魔力を消費して強力な打撃を行う。

対象の防御力を無視して直接的にダメージと衝撃を与え、打撃した方向に吹き飛ばす。

 

Gift Type:異能

Name:『自己犠牲(Self Sacrifice)

 

 

【挿絵表示】

 

 

発動すると、その場で数秒間のチャージを行い、次の行動の際に身体能力を5倍に強化する。

チャージ中はその場から動くことができないが、物理攻撃の被ダメージを抑える。

身体にとてつもない負荷がかかるため、連続しての発動は自殺行為である。

 

 

あとがき

ここまで読んで頂き誠にありがとうございました!

『祝福』については、余裕があるときにまとめ的なものを出そうと思っています。

 

次回は、残り二人の『祝福』を紹介する予定です!

 

感想・コメントもお待ちしております!

それでは次回もお楽しみに!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。