ミカさんといい勝負をするマッシュ君がおかしいのか、マッシュ君とバトれてるミカさんがおかしいのか……どっちだろう。
とりあえず硬いものと硬いものがぶつかり合ったら、両方壊れるってことを覚えておいてくださいませ。
それでは本編へ……どうぞ!
(――ああ神様、私は夢でも見ているのでしょうか。)
(――ああ神様、世界は広いと言うことは知っています……けれどこれをどう信じろって言うんですか?)
(――ああ神様……せめて……せめて――)
「あはは〜…――先生って本当強いね!ちょっと拳が痛くなって来ちゃった!」
「奇遇ですね…僕も、ほんの少し、痛くなって来ました」
「…ああごめん!ちょっと嘘ついちゃった、ほんとはそんなに痛くないかな〜? 30%ぐらい痛いね⭐︎」
「なら僕は20%」
「だったら10%!」
「5%」
「2%!」
「1.5」
「1.2!……フーン! ならもう痛くないもん!」
「そんなこと言うのなら僕だって、痛くありませんよーだ」
(この子供の喧嘩みたいな会話をしている癖に、某奇妙な漫画のラッシュの速さ比べをしているこの2人を、人間だと証明してください)
「ひ、ヒフミ…下がらないと、危険だ…‼」
「なんで離れた所で殴り合ってるのに、こっちにまで衝撃が来るの⁉ てか、このままで体育館がもつワケ⁉」
「そ、それほどのぶつかり合いといった、ところですね…」
「体育館全体が揺れるほどの拳のぶつかり合いってなんですかぁ⁉」
ミカとマッシュは互いに連続パンチを繰り出し、拳と拳のぶつかり合いに雪崩込んでいた。もはや人間の動体視力すら超えるラッシュ、金属同士がぶつかっているかのような轟音……そして、衝撃波に揺れる体育館。
「み、見えない……なんだ、あの2人のあのラッシュは」
「拳が分身しているようにも見える……貴様らの先輩と、先生はどうなっているのだ?」
「こっちが聞きたいくらいよ!!――てか、何普通に話しかけて来てるの!?」
「……すまない、あまりにも暇すぎてな」
「テロリストと大差ないアンタ達が『暇すぎる』とか言っちゃダメでしょ!?」
「なら何か?ここで我々と戦うのか?――あの2人の戦闘に巻き込まれながら?死ぬぞ」
「うぐっ……」
アリウス生徒も、補習授業部生徒も、迂闊に動けずにいた。動いて戦闘する手もあるが、それをすると…最悪あの2人の戦闘に巻き込まれかねない。するとどうなるか?
大怪我程度では済まなくなるのだ。
「そろそろこれも飽きて来たか…な!」
「!」パシッ!
「あ、掴まれちゃった⭐︎」
ミカは止めとばかりにマッシュの顔に向けて一撃を放つ──が、マッシュはその拳を左手で受け止め、勢いをつけてミカを左側へと投げる。
「わーととと…!」
投げ飛ばされたミカは身を捩って着地し、対してマッシュは着地直後のミカ目掛けて飛び出しながら、右拳を構える。ミカは体勢を立て直し、それを受け止めようとするが
「っ⁉(ヒールが割れてる地面に…!)」
「まずは……一本」ブン!
回避の瞬間、マッシュがヒビを入れた体育館の地面に、ミカのハイヒールのトップリフトが刺さった。ミカは体勢を崩し、そこを逃さずマッシュは拳を放つ。
のだが
「―フンヌ!」ベキッ!
「――痛っ」
「からの……それっ!」
ミカはマッシュの拳を額で受け止めると、そのまま挟まっているヒールを軸にして鋭く回転し、回し蹴りをマッシュに叩き込んだのだ。
直前でマッシュは左腕で防ぐも、蹴り抜きの威力が高いために軽く吹き飛ばされて壁に激突する。壁が破壊され、マッシュは崩れた瓦礫に埋もれた。
「………」ガラガラガラッ
「………」スボッ!
崩れた壁の瓦礫に埋もれていたマッシュは腕を回しながら這い出し、ミカに近づく。ミカは地面に挟まっていたヒールを引き抜き、マッシュへ近づく。
「………」
「………」
(――2人とも攻撃を喰らったはずなのに…微動だにしていない…)
(ほ、ほんとにいい勝負してる……)
(あれがマッシュ・バーンデッドと聖園ミカ……彼女が、警戒している相手の実力か)
2人は互いの目を真剣な表情で見続ける、そんな2人を見ている。これが強者、これが上の世界なんだと知り、アリウス生徒と補習授業部は緊張感を肌で感じる。
2人に焦りはなく、ただ冷静に、じっと相手を見ているのみ……しかし次の瞬間。
『……』スッ
ミカは額に手を置き、マッシュはミカの額を殴った方の手を抑え出す……そして
「いっっっっっっった!!」
「いっっっっっっった……」
『めっちゃダメージ食らってるぅぅ‼⁉⁉』
互いにめちゃくちゃ痛がり始めた。よく見ると、ミカの額も、マッシュの拳も、互いに赤くなっている。
「いっっったい…‼ なに、なんなの⁉ 先生の拳って何で出来てるの⁉ どんな筋肉と骨があったらこんなになるの⁉」
「ミカさんだって……どんな、頭の硬さしてるんですか。戦車を殴った時よりも数倍痛いんですけど……ミカさんの頭って鉄とかで出来てます?」
「それは
「いや普通に
そんな会話をしているが……2人とも、相手の力量がこれで大体わかった。お互い、一応は力一杯に戦った……それでも相手は倒れておらず、痛がっているだけ……つまり。
―――ここからが、本番
「―ミカさん、一つ聞かせてください」
「なに?」
「セイアさんって人を襲撃したのも、あなたの指示だったんですか?」
「うん? セイアちゃん? あぁ……あはは、そうだよ? あれも私の指示、だってセイアちゃんってば、いっつもへんな事ばっかりいって、楽園だの何だの……難しい事ばっかり並べ立てて、私のこと馬鹿にしてくるからさぁ」
「……なら『…けど勘違いしないでね?』」
「――でも、ヘイローを破壊しろとはいっていないの。私は、人殺しなんか指示していない」
「……」
「ただ卒業するまで檻の中に閉じ込めて、ちょっとだけ窮屈な思いをさせてやろうって、そう思っただけなんだよ? でも……何でか、あぁなっちゃった」
「……」
顔を上げ、引き攣った笑みを浮かべたミカはアズサを見た。
「それ以上は当事者に聞いた方が早いんじゃないかなぁ? ねぇ――白洲アズサ」
「ッ……!」
「何だか一部誤解があるみたいだし、私の代わりに説明してくれない?」
「………」
「セイアちゃんがさぁ、あんな事になっちゃったのが、ここまで事が大きくなった原因なんだよ?――あの時からもう、色々な事がどうしようもなくなっちゃたわけだし……その辺、どう思う?」
アズサは言葉に詰まり、視線を伏せて銃を握り締める。その指先が、震える。その震える手を持つのは…他ならぬ親友のヒフミ。
「ひ、ヒフミ…」
「大丈夫、大丈夫です……信じるって、決めましたから」
「………」
「――いいなぁアズサちゃんは……私と同じ裏切り者なのに……いいなぁ」
「ミカさん、今からでも遅くはない―引き返してください」
マッシュが、痛めた手を振りながらミカにそう言う。けれどミカは……聖園ミカは、止まる気は無い。
「それは無理な相談かな…先生」
「どうしても…ですか」
「そりゃそうじゃん――友達を裏切って、挙げ句殺しちゃって……自分について来てくれた人たちや、信頼してくれていた人を裏切って…今更、どうやって――
今更どんな顔して戻ればいいのさ!!!??!???」
「……」
「―ぁ…ご、ごめん、こんなこと、先生に言うことじゃないよね―─―うん、八つ当たりは、良くない」
マッシュは確信した。ミカはもう、自分を止められない。 彼女は引き際を完全に見失ってしまったのだと確信し、ミカに対して自分ができることを考えた。
――自分で止められないのなら、僕が止めればいい。
「……さーて先生、そろそろ続きやろっか⭐︎」
「──―うす」
「そしてここからはね………―本気だよ」
「…!」
突如として、掴み所のなかったミカの気配が変わり、別の雰囲気が彼女から漂う。マッシュは即座に迎撃体制に入り、ミカの目に視線を合わせた。
「ハイヒールは……もういいや⭐︎」ポイッ
(ハイヒールを捨てた……動きづらそうだったし当然かな)
ミカはハイヒールを投げ捨てると、トン、トンッと軽くジャンプを行う。先ほどよりも動きが軽くなり、上機嫌になっているミカ。
「――ふふ、私を本気にさせちゃうだなんて…先生ってほんと」
ミカは両手の小指を顔の横でクロスさせ
「ギルティ⭐︎」
そう笑顔で言う。
「はっ……はわわわわわわわわ、小指でバツ作ってる…」
「実はさ、あのハイヒールって走る時とか動き回る時とか……動きが制限されててさ、死ぬほど邪魔なんだよね〜」
「ただハイヒールを脱いだだけで、先生に勝てるわけは―」
「それがさ〜…そうとも限らないんだよ……」
アズサがマッシュの勝利を信じた、その刹那…異変はすぐに起きた。
『ね?』
「―!」
ミカはマッシュの真横に、一瞬で移動した。そのことに周りが驚いていたのも束の間、ミカはマッシュの顔…ではなく耳に向かって
「―フー」
「っっっ〜〜〜」ゾワゾワゾワゾワゾワ
息を吹きかけた、案の定マッシュは全身の力が抜けその場に倒れ伏す。
「あふん…」
「アハハッ⭐︎」
『いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?』
「なんであんたが叫んでのよ⁉」
「そのポジションは私だけと思ってたのにぃぃ‼‼」
「なんのポジションですか⁉」
「先生は耳が弱いのか……意外な弱点が判明したな……いや、それよりも!」
マッシュが反応しきれなかったほどの速度で、ミカは移動し耳に息を吹きかけた……つまり、マッシュとほぼ同じような速度で動いたと言うこと。
「今の私は体が羽のように軽いけど、力はそのまま…つまりどう言うことかわかる?―今の私はね」
「もう十分です」ビュッ!
マッシュは倒れ込んだ状態からすぐに移動し、ミカにアッパーを仕掛けに行った
「……あれ、外した」
「き、消えた!?」
「――こっちだよ」
声のする方に顔を向けると、ミカは余裕の笑みを浮かべながら、体育館のステージ上に座っていた。
「…あんなところに」
「言ったでしょ?…今の私は――無敵だって」ビュン!
「!」
ミカが舞台から飛び出しマッシュへと飛び蹴りを放つ、その蹴りを相殺するため、マッシュも蹴りを出すが
「えいっ!」
「!」
「そりゃりゃ!」
「っ…フン」
「は〜〜ず…れ!!」
「アテッ」
「この技を名付けるなら…そうだなぁ――スーパーソニックミカラッシュ…とか!」
ミカはマッシュに攻撃を当てたと同時に移動し、また別の角度から切り込む形で攻撃を仕掛ける。さらに攻撃を当てるたびに、威力とスピードを指数関数的に跳ね上げていき……
「アッハハハハ!! 先生どうしたの〜?――反撃、全く出来てないじゃん!!」
マッシュをどんどん追い込んでいった、瞬間移動に等しい移動速度と攻撃速度で蹴りと殴りを組み合わせるミカに、マッシュは遂に反撃を封殺され、防御とダメージコントロールに手一杯となる。
ゴキッ!! グキッ!! ベキキッ!!
その体からは、人間の肉体からは鳴ってはいけない音────骨格を、関節を、急所を、臓物を破壊し、容赦なく命を削る音が、絶えず響いていた。
「い、一撃一撃の音が違う……あれでは、先生は……!」
「先生!」
「見えない……見えないけど、先生が大変な目にあっているのは…わかってしまいます!」
「っ……先生」
スーパーソニックミカラッシュを食い続けるマッシュは、防御を貫通するほどに威力を増した連撃の前に、腰、脇腹、鳩尾、肋、頭を打たれ、深刻なダメージを負っていく。
常人で例えるなら、重機の出力で振り下ろされる金属バットや大金槌のような鈍器で全身を殴打され、更に骨折した箇所を的確に突くように蹴りを叩き込まれている状態だ。命の灯火を掻き消すような攻撃を、マッシュはひたすらに耐え凌ぐ。
(――ものすごく痛い。防いだ腕とか、足とか痺れて来たし……神経が傷付いたのかな……やっぱり強いな、ミカさんは)
「このままじゃ、何も出来ないまま負けちゃうよ?―ほら‼‼」
(―やべ)
「―これで…おし…まい!」
ミカは構えた脚に溢れんばかりの力と神秘と溜め、マッシュの肋へ向かって蹴りを放った。
マッシュは両手でそれを防ごうとするものの、ミカの攻撃はほんの数秒ほど、マッシュの防御より早かった。構えた両手をかすめた爪先がマッシュの胸部を捉え、心臓まで響く衝撃を伴った渾身の一撃が突き刺さる。
「―――ゲホッ…ゴホッ…(──―骨、何本か逝っちゃったなこれ)」
攻撃を喰らったマッシュは、地面にぶつかりながら吹き飛び、壁へ激突した。キヴォトス入りからここに至るまで、無傷無敗を貫いてきたマッシュが初めて受けた致命傷。それは、もはや人間の筋力では防ぎきれない神秘の力によって、確実にマッシュの命を抉ろうとしていた。
「ふふっ、結構な数、骨をへし折った感触がしたね……しかも複数箇所⭐︎――あーあ、殴ったり蹴ったりしたところがいったいな〜?」
余裕そうに自分の足や手を見ながら、砂埃を払うミカ。ミカ自身に外傷はほとんど見えておらず…額が少し赤くなっている程度。
「そんな……先生が…ま、まけ『負けてない!!』」
「ま、まだ負けてないもん! 野暮なこと言わないで!!」
「そうです、先生が負ける……そんなことは天地がひっくり返るくらいありえません」
「……随分と先生のことを信頼してるんだね、でも現実見ようよ」
「っ」
「多分肋骨と…腕、それと足の骨にも深くヒビが入ってるはずだよね――例え骨が無事でも、筋肉だけで防げる攻撃じゃない。血管も神経もズタズタだよ? そんな状態で、まともに人が動けると思う?」
勝利を宣言するようなミカの問いかけに、ハナコは少し顔を歪ませた。確かに普通の人間なら、肋や四肢の骨が折れた状態で戦闘を続けることは不可能………そう、
普通の人ならばの話だ。ハナコは、歪ませた顔が自然と和らぐとともに、その表情を笑顔に変えた。
「……何、笑ってるの?」
「ミカさん…う・し・ろ♡」
「………うし―⁉」
ミカが後ろを向くと、目の前にあったのは足の甲。
「っっ!!」
「バンっ!」と炸裂音のような衝突音が響くとともに、ミカが右方向へと吹き飛ぶと、壁を貫通して外へと飛び出した。
「――………なんで?」
「なんで、と言われましても」
頭を押さながら瓦礫から飛び出し、体育館内へとすぐに戻って来たミカはマッシュに問いかける。マッシュは頭や腕から血を流していたが、傷を意に介さず、まるで何事もなかったかのような涼しい顔で立っている。
「…骨折ったよね?」
「折られましたね」
「ならなんで立ってるの? 攻撃できたの?」
「それが僕なんで…あ、あと、僕の骨を折ったって言ってましたけど…そっちは大丈夫ですか?」
「……なんのこと?」
「気づいていないんですか?―手と、足、違和感ありません?」
「……?――んっ!?」
突然くる、痛み。
「何…これ……」
震える手と足。
「…………まさか」
突然、足や腕から流れる血
「硬いものと硬いものがぶつかった時って……両方壊れるらしいですよ」
折れていたのは、マッシュの骨だけではない。マッシュを本気で殴ったミカの足や腕も
「……折れてる…嘘でしょ?神秘ってやつで、結構強化したと思ってるんだけど…」
骨折していた。……つまり、受けたダメージはほぼ同じ。完全に平等な条件から、再スタートだ。
「さあミカさん、楽しい第二ラウンドといきましょう」
「…っ」
「今度は――僕の番だ」
血を流しながらも、マッシュは平然とそう言ってのけた。そして補習授業部はこの時確信した――
「マッシュは負けない」、と
ミカさんの強さおかしくないかって?ここのミカさんはこれぐらい強いんだよ〜と思ってくださいませ。
強すぎる同士、無傷なのはなんかこう面白くないので……怪我をしてもらいました。まあこれからもっと増えるんですがな。
励みになりますのでコメントと評価、何卒よらしくお願いします!
おまけ
『我が世の春がキタァァァァ!!』
『なにあれ』
『水着セリカちゃんが当たったらしいよ』
『何で出たの?』
『チケット』
『◯してくる』
『同行しよう』
弟先生が当てやがりました……許せねぇよなぁ!?チケット?なんでだぁ!?
百花繚乱後に見たい話
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