予告、次回、ナギサ様の脳回復のお話です。
そしてちょっとしたお知らせです、イベントのお話に関してですが、かなりオリジナルに近い物になりそうです。面白くは絶対にしますので、どうかお楽しみに。
イベントでなんの障害もなく、みんなと楽しく青春を楽しむヒナさんが見たい。
「――まったく、君には本当に驚かされたよ」
『……貴方は…』
「会合は…確かこれで2回目だな」
『……もしかして、貴方が』
「そう、私が……ティーパーティー最後のメンバー、百合―」
『
「百合園流星拳をご所望かな、先生」
『あ、間違えた。百合百合セイアさんだ』
「違う。
おそらくは夢の中──意識を失っていたマッシュは、ティーパーティー最後のメンバー・百合園セイアと二度目の会合を果たしていた。
場所はティーパーティーのテラスではなく、地平線の先まで広がるような、一面の花畑に埋め尽くされた場所だった。
『……あれ、僕の夢の中ってこんなんだったけ』
「君と夢をリンクした瞬間にこうなった…といえば信じるかい?」
『まじか、脳内お花畑ってことかな』
「言い方が悪い…と言うか、すぐ信じるんだね」
『生徒の言う事は信じないと』
「……ああ、そうだったな。君はそういうやつだ」
花畑の中で、マッシュとセイアは向き合って座った。セイアが真っ先に口にしたのは、親友でもあるミカについての内容だった。
「……ミカに勝ってしまうとは」
『大変でしたけどね――って、なんで知ってるんですか?』
「ふふ、秘密だ」
『えぇ…』
「……しかし、まさかそっちの未来になるとはね」
『そっち?』
「私が見た未来は……複数あったんだ…普段は一つだけなんだがね」
『未来……え、セイアさんって未来予知できたんですか?』
「まあね」ドヤッ
セイアが地面に座りながら、いくつかの花を摘み、マッシュへと見せる。
「これが黄色いカサブランカ、花言葉は"裏切り"。これがタンジー、花言葉は"あなたとの戦いを宣言する"。そしてこっちがマリーゴールド、花言葉は"悲しみ"。これはシオン、花言葉は"君を忘れない"。
これはユリ、花言葉は…"死"だ」
『全部ネガティブだ……色合いが綺麗なのに、なんか悲しいですね』
「…そう、私に視えた未来の一つ、その中でもこれまで最も長く見ていた
『悲しい…結末?』
マッシュに見せた花を摘み集めながら、セイアは自分の予知夢が見せた未来について語り始めた。それこそ、セイアがこれまで姿を表さなかった最大の理由にして、マッシュの命すら脅かされた結末だった。
「まず、ミカによるトリニティ現生徒会並びに各分派に対する裏切りによって、君がミカのクーデターと発言に憤慨し……ミカと戦闘を繰り広げる」
『…ふむ』
「しかし途中、不運なことに君はミカに負けてしまう」
『あれま』
「理由は様々だ。補習授業に付き合ったことで、既に疲弊して動けなくなっていた。あるいは、感情に身を任せすぎるあまり、本来のように戦えなかった…などな……」
『…そのあとは?』
「ミカに敗北した君の体は、言いようもなく悲惨なことになる。補習授業部の皆が君の躯に駆け寄り……狂ったように喚き、君の名を呼んで君の死を必死で拒む―──ミカも君を殺す気は無かったらしく、これは完全なる事故とも言える」
『……』
「君の体はすでに限界であり……そのまま死亡する」
『…僕、死んじゃうんだ』
「……そしてここからが、最悪の未来だ」
『まだあるんですか…?』
「当然だ。シャーレの先生ともあろう者が死んで、それではい終わり……ではない」
セイアは集めた花を手に、それを見つめながらその後の動静について語る。
「君が死に、補習授業部が悲しみに暮れる中……そこへシスターフッドと、剣先ツルギが駆けつける。生憎、彼女たちは間に合わなかったが――そして君の死体を見たツルギは憤怒、暴走し…ミカに襲いかかる。それを示すのが、この紫色の芍薬。花言葉は、"憤怒"だ」
『………』
「しかし両者の戦いは夜明けまで終わらず、双方共に動けなくなり一時休戦…アリウスの生徒達は、シスターフッドに連行されていった」
『…そのあとは』
「君の死が、連邦生徒会とクロノススクールによって正式に発表され、他校に広まる……君と知り合った者達は悲しみに暮れる――そして、この黒いユリの花言葉のように…"憎悪"の感情が溢れ出す」
「それって―」
「ゲヘナ、ミレニアム、アビドス、連邦生徒会までもが…現在君が関わってきた学園や生徒達が……トリニティに、ミカに……制裁あるいは聖戦を名目に、復讐を決めた」
『……まじか』
「無論、学園間の全面戦争を誘発するこの暴挙に反発し、最後まで思いとどまるように呼びかけた者も少なくなかった。しかし、各学園の生徒会や委員会をはじめとするトップが、それに耳を傾けなかった。勿論……トリニティだけで他校の猛攻に耐えられるはずもなく…この学園は壊滅した」
何を見たのか、セイアが花の茎を握る手に力を込めた。苦い表情が晴れることはなく、そのまま彼女の語る内容は続く。
「その後は何もない……というわけには行かず、アリウス分校がキヴォトス全土の制圧を目的に進軍を開始した。しかし、ゲヘナ、ミレニアム、アビドスや連邦生徒会の連合軍に勝てるわけもなく…壊滅、これで終わりかと思った……けれどまだ終わらなかった」
『まだ、まだあるんですか?』
「君がいなくなり、キヴォトス全体の治安が悪化し……力が弱くなった我々を支配するだけの力を持った大人達が現れる」
『…』
「侵略、と言った方がいいね――しかしだ、そんな大人達も…とある存在が突如として襲来したことで、滅亡と消失の一途を辿った」
『…とある存在?それって』
「…その存在については私もわからない……はっきりと見えず、干渉もできなかった―――けれどもその存在によってキヴォトスは」
セイアは、睡蓮を前に出し…話す。
「―滅亡した」
『……………』
「君の死一つで……こうなってしまった、勘違いしないでほしいが───君のせいで、とは言っていない」
『でも…僕が死んだだけで…そんなことになったんですか?』
「それだけの影響力が、今の君にはあるんだよ……君と関わった全ての存在が、君を失って狂い果ててしまったんだ」
『……』
「――けれど、それは結局別の世界線。言うなればifの話に過ぎなかった。君が生き残り、補習授業部を守り抜いた未来も多く存在する……まぁ、今回のような展開にはならなかったが」
『つまり僕は…その数多くある未来でも、一番いい未来にできたってことですか?』
「――その通りだ」
『……変な、汗かいてきちゃったな』
いわゆる冷や汗、それをマッシュは夢の中で流していた。よかった、ミカを止められて、みんなをなんとか助けられて……そう心の底から安堵した。
『……セイアさんはずっと、その未来を見続けていたんですか?』
「まあね」
『……辛かったんじゃ、ありませんか?』
「――ああ、私の未来予知は…いわゆる予知夢でね……寝るたびに、さっき話した未来が……ずっと流れていた」
『そんな…』
「………だからこそ、君が今の未来に変えてくれて、本当に良かったと思うよ」
セイアは安堵の声を漏らし、花を地面に落とす。マッシュは数あるみたい予知夢の中でも、一番良かった未来に変えた、その拳一つで。
『…?そっちの未来ってさっき言ってましたけど、もう一つの未来って?』
「ん?…ああそれか、もう一つの未来では…君がミカを叩きのめし、アリウス生徒達もその場で叩きのめし、補習授業部を合格させてハッピーエンド、さ」
『全然ハッピーエンドじゃなくないですか?どっちかというと…トゥルーエンドみたいな』
「そうだね」
『……本当に選択肢ちゃんとしててよかった』
「……君のハッピーエンドは、ミカも、ナギサも、補修授業部も、アリウスも…皆が笑顔になる…そんなエンドなんだね」
『勿論――その中にセイアさんも入ってますからね』
「…フフッ、わかっているとも――先生」
セイアは座っているマッシュのそばに座ると、マッシュ自身の体に触れる。
「私は君が羨ましいよ……私にも、これだけ強い体があれば…少しは誰かの役に立てるというのにね」
『セイアさんだって、誰かの役に立ってますよ?』
「…そうかい?」
『そうです、そもそもティーパーティーの一員ってだけで十分活躍してます』
「そう言ってくれて、少し嬉しいよ」
『―あ、そうだ…ちょっと待っててくださいね』
そう言ってマッシュは立ち上がり、夢の中だというのにすごい勢いで動き、走りながら手を動かし何かをしていた。
『お待たせしました』
「いや、5秒くらいしか待っていないんだが」
『これ、よかったらどうぞ――お詫び、みたいな感じです』
「…これは……冠?」
マッシュが作り上げたのは花の冠、この短時間で?というツッコミは野暮というもの、そう思いセイアは黙っていた。
『知らなかったとはいえ、セイアさんを守れなかった……ことへの謝罪、ってことで』
「君が気にする必要はないと言うのに…」
『そう言うことも気にしにちゃうのが僕なので……よっと』
マッシュはセイアの頭に花の冠を乗せようとするが
『……入らない』
「―ミミデカセイアですまない」
『あーいやその…あ、そうだ、耳、耳につけましょう…ほら入った』
セイアの大きなケモ耳によって冠を乗せられず、仕方なく耳にかけることにした。具体的には耳を囲うようにしていれる。
『今度、お見舞いに行きます』
「私はまだ起きれないぞ?」
『夢の中でずっと1人って言うのは、流石に寂しいと思うので……せめて、現実では一緒にいてあげたいな〜って』
「―――ほんとに…君は…そう言うセリフを何故吐けるのか」
『?』
「……君、いつか人たらしとして名を馳せると思うよ」
『それって予知夢ですか?』
「どっちかというと勘さ」
『……予知できる人の勘ってめちゃくちゃ怖いんですけど』
「ハハっ、そうだね」
夢の中だったとしても、2人は今こうして話している。それだけで十分だと、セイアは思っていた。
「……そろそろ時間のようだ」
『ありゃりゃ』
「色々と、話せてよかった……それに、ミカを救ってくれてありがとう……その、できればナギサも」
『勿論ナギサさんも助けます……ハナコちゃんがなんかやらかしちゃったみたいなので』
「本当に頼む……意外とメンタルが弱いんだあの子は」
『任せてください』
世界が、白く光っていく。セイアの姿が徐々に見えなくなる…けれど声ははっきりと聞こえてくる。
「先生―まだ、試練はたくさん残っている…しかし君は、必ずそれらを乗り越えるだろう……そう私は、信頼している」
『試練か………険しかろうが、難しかろうが―どんとこい、ですね』
「……本当に、心強いな」
やがて完全にセイアが見えなくなり、マッシュはとにかく声を上げる。
『セイアさん、絶対にみんなを笑顔にします―セイアさんも一緒に』
「………ありがとう、先生――また、いつか」
世界が完全に白くなり、マッシュの視界もぼやけてくる。思わずマッシュは目の前に手を伸ばす――そして
「…………あれ」
マッシュは夢から覚めた。
「……ここって、病室?」
マッシュが目覚ますと、そこは見覚えのない病室だった。擦り切れて血塗れだったはずの制服は、几帳面に巻き付けられた包帯に取り替えられ、骨折した部位を含めた各所が固定されている。
上半身は全体に渡って包帯に覆われており、頭や顔にも複数のガーゼが貼り付けられている。患者衣のパンツを除き服らしい服が全て取り払われている点には驚いたが、治療のためなら仕方ない、とマッシュは一人納得した。
彼が最も気になったのは、自分の右腕と左足を固定するように巻き付けられた硬質の物体だった。
「……なんだこれ」
「それはギプスです。骨折や靭帯損傷などの治療において、患部が動かないよう外から固定と保護を行い、安静を保つ為に用いられるものです」
「足の奴も?」
「ええ……むしろそれで済んでるのが奇跡なんですよ?」
「そんなに酷い怪我だったんだ――って……あれ、ハナコちゃん?」
「はい……そうですよ―――おはようございます、先生」
「えーと……おはよう」
「―――――っ!!」バッ
「うおっ」
目に涙を溜めながら、ハナコはマッシュに抱きついた。恥じらいも、我慢も、彼女がこれまで弱みを見せまいと続けてきた強がりも捨て去り、ハナコは純真な思いのままに、マッシュに力強く抱きついた。
「は、ハナコちゃん?」
「――ぐすっ…ぅぅ…ほん…とに…しんぱい…したんですよ?」
「……どれくらい、寝てた?」
「かれこれ、三日…は」
「……………まじで?」
「―──だから…本当に…先生が目覚めて、よかった…!」
肩が濡れ、体温を感じ、色んな感触が伝わってくる。マッシュは色んな感情が出てきたが……とりあえず
「――……シュークリーム食べたいな」
そう思ったのであった。
セイアさんの予知夢に関しては、私の妄想解釈も入っていますのでご了承ください。
ミカさん裏切り後の妹先生と弟先生です。
『うぉぉぉぉぉぉぅぅぅ!!!』
『待って待って待って待って!!!』
『やめとけ!まじでやめとけ!』
『離せぇぇ!!うちの子達を殺す?ざけんなぁぁ!?』
『わかる!わかる!けどさぁ!?ほら!ミカもそこまでやるつもりもなかったとおもうし!ね!?』
『だとしても消す発言はないやろがい!!』
『気持ちはわかる、わかるけどそのスマホぶん投げようとするのやめよう?』
『……あとシンプルにうちの子達って言った?』
妹先生のお怒りもわかる、わかるんですが……うーむ。なんといったらいいのやら。ミカさんを嫌ってはいません、けどその発言は許せんぞ!!って感じですね、妹先生は。
弟先生はもうなんか、脳破壊されてました。
そして2人とも…あはは、のシーンでハナコちゃんにドン引きしてました。『やりすぎぃ!』っと。
励みになりますのでコメントと評価(あともう少しで200になる!)をどうぞよろしくお願いいたします。お話のリクエストも、活動報告でお待ちしております。
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