シュークリームパーティーはって?……すみません、それは後半に回します。
今回はシリアスとギャグのごっちゃです、でもどっちかと言うとシリアスよりです。
それでは本編へ……どうぞ!
『――どこだ!?探せ!!』
『なんとしてでも見つけ出せ!!』
―――もぅ…なに?…うるさいなぁ……私今ものすごく疲れてるんだけど?……あれ、体…動かない……なんで?……なんで体動かないの?――金縛り?―──あと……何、あの人達…?
――あ、わかった、これ夢だね!だって目が覚めたらこうなってたんだし!
『何処だ…何処にいる!!』
……何か探してる…?松明やら杖やら、斧に槍に農具まで持っちゃって……
『なんとしてでも奴を───マッシュ・バーンデッドを見つけ出せ!!』
―――は?…え、…それ…先生のこと?……そもそも、なんで先生を探して―
『魔力を持たない、魔法が使えない人間なんて前代未聞だ!!』
『何か厄災が到来する凶兆に違いない!!―神が、この世の理が、あのような存在を許すはずがない!!』
『神々がお怒りになる前に、我々に災禍が降りかかる前に……なんとしてでも排除せねばならん!必ずや、奴を殺せ!!』
―─魔法って何…一体何の話をしてるの!?……魔法だかなんだか知らないけど、それが使えないから先生を殺すの?―─それだけで、先生を殺すの!?マジで意味わかんない!!ふざけないでよ!!
『汚れた血を持つ者がいれば、我々にも影響が及ぶ!その前に排除しなければ、我々も厄災に飲み込まれるぞ!!』
『魔法が使えないやつなんて…どうせ劣等だ、何かを成す権利も、生きる価値もない!!』
『奴は悪だ!存在そのものが神に逆らいし大逆の罪!――─極刑に処すべきだ!』
『殺せ!殺せ!!あの男を殺せ!』
『殺せ!』
『殺せ!!』
『殺せぇぇぇ!!!!』
なに…これ………気持ち悪い、なんなの……?なんで…なんで先生がこんなこと言われてるの!?先生、悪いことなんて何もしてないじゃん…!ただ、先生として…私達の先生として、筋トレと人助けをしながら生きてるだけなのに、なんで…?なんで――――――
…………あれ?私も──人のこと……言えなくない…?
私も…ただ、普通に生きてるだけの、ゲヘナの、生徒に…八つ当たりして……先生は、ゲヘナにも友達を作ってるのに……――いや、違う違う!!私は、私はこの人達みたいな…!
【―─いいや、同じだ……お前も、俺達と同じだ】
【そうだ、君も同じだ。「違う」などと虫の良いことは言わせない】
【そうよ、聖園ミカ。 貴女も、あの者共と同じ。マッシュ・バーンデッドの命を奪おうとした、暴虐と蒙昧の徒の一人──許されざる、罪人】
【同じだ……同じだ……貴様も同じだぁぁぁ!!!】
「――───ああああぁぁぁぁッッッ!!!??」
飛び起きた時、ミカの視界に映ったのは薄暗い天井だった。ひどく息を切らしたミカは、竦む両肩震わせながら周りをとっさに見渡して、これまでの独房の壁を確認した。
「────……夢…だよね………――もう…最悪…」
以前ミカが使っていた専用寮とは異なる、冷たく暗い独房が前夜から変わらず、そこに広がっている。腕と足に湿布薬を貼った彼女は、マッシュの拳を受けた箇所を揉みほぐすことで、傷の痛みと夢の恐怖を誤魔化した。
トリニティ自治区、隔離塔地下にあるこの場所は、ティーパーティー管理下の行政室及び部活動統括本部の置かれた本校舎裏手に存在し、厳重な警戒と監視下に在る。
つまり今、ミカは幽閉状態にある。
「……ただの夢…夢だよね…あれ」
多くの人間が大小の杖や棍棒、多くの武器や農具を手に、松明で暗闇を照らしながら────彼女たちの先生を……マッシュを血眼になって探し、憎み、狂い、そして彼を殺そうとしていた。
「魔法使えない奴は死んでいい、って……何さ―─『ゲヘナはどうなってもいい』って思ってた、私への当てつけ?――だとしたら、意地悪だね……趣味悪いよ、ホントにさ」
自分が親友を殺したと思い込み、勝手に暴走し、癇癪をゲヘナにぶつけるような理由で戦争を起こそうとしていた―─自分への当てつけ。
「………私も、先生が止めてくれなきゃあんな感じだったのかな」
そう思うと、自然と自分に対して憎悪の怒りが湧いてくる。
「先生だって……目が覚めたかどうか、わからないし………もうやだ……もう、こわい──」
ベットの上でうずくまり、枕を力一杯ぎゅっと抱きしめる。その時に枕が裂けて綿が飛び出した。
「………会いたいなぁ……会いに来て…くれないかなぁ……」
そう、願った時だった。
コンコンッ……
「……誰?」
『―ミカさん』
「…………え」
『ミカさん大丈夫ですか?──―僕です、シャーレの先生、マッシュ・バーンデッドです』
「─―先、生…!?」
神はまだミカを見捨てていなかったのか、ミカの願った通りにマッシュがやってきた。―そうだ、会って話をしよう、そうすれば―――
(……いや…ダメだよね)
マッシュは、ミカを許した。しかしミカは未だ、自分のこれまでの行いを、幼馴染に指摘されてなお変わらない馬鹿らしさを、許していない
「……あは。先生……じゃん。何でこんな場末に来たのかな、お仕事どうしたの」
『ナギサさんとお話をしてて、ミカさんが今どうしているのか聞きまして。お見舞いに来ました』
「………心配してくれてありがと、でも大丈夫。骨とか、もう繋がってるし……何も問題ないよ」
『それは良かった』
「……先生は?先生はどうなの?」
『右腕と、右足にギプスを巻いてて、頭に包帯を巻いてる程度ですよ』
「……そっ…か」
ああダメだ、やっぱり会ってはいけない、話してもいけない……追い返そう―キツく、ひどい言葉を使っても。
「で、何の用?特に私から話すことないんだけど」
『いやぁ、せっかく両方とも起き上がれたんだし、シュークリームでも一緒に作ろうかと』
「……生憎、あんなことしておいてお菓子作りにかまけてられるほど、私達って気楽じゃないんだよね……そんなことする気ないから、帰って」
『ええ〜…そう言わずにやりましょうよ、結構楽しいですよ』
「…いいから――もう、会いにこないで」
『でもこの前…「またね⭐︎」って言ってましたよね。また会える機会があると思って』
「心変わりってあるじゃん?――だから、帰って」
ワタが溢れている枕を抱きしめながら、声を張る。嫌われてもいい……このまま、自分のことを忘れてもらってもいい……だから
『ミカさん、僕は』
「……あーもうッ! しつこいなぁッ! もうどうだっていいんだってば!!」
『………』
「帰ってよ!!―私、なんて―放っておいて!!」
『すみませんでした……………ちょっと乱暴にいきます』
またしばらくの沈黙……足音が聞こえ、マッシュが離れていったのを確認すると同時に――心が痛くなる。
「―や…っぱり……待って………せんせ―」
ガチャガチャ………
『――ミ〜カさ〜ん』
(か、帰ってきた………もういいや、また追い返せば)
バァン!!!!!!
「!!?」
「シュークリーム作ろ〜う♪(棒)」
「最初からこうするつもりだったでしょ!!」
マッシュは片手でミカがいる部屋のドアを破壊して、中へと松葉杖をつきながらやってきた。
「正解〜(棒)」
「歌わなくていいから!!」
「意外と脆かったですね」
「いやこの扉、ちゃんとした耐久力がある……ってそんなことどうでもよくて!!」
色々とツッコミの声をあげて疲れたミカはゼェゼェ…と息を吐きながらマッシュに言う。
「こんなことして…いいと思ってるの?警報とか……あれ、なんで鳴らないの?」
「許可はちゃんと貰いましたので」
「……よく、ティーパーティーの皆がOKしてくれたね」
「ナギサさんが二つ返事で許してくれました」
「恨むよナギちゃん……」
「――さ、シュークリーム作りをしましょう……そこで、少しお話ししましょうよ」
「……何言っても、帰ってくれないの?」
「帰って欲しい人の声と顔してないですよ──―助けて欲しそうな顔をしてますし」
ミカは、改めて確信した。この人は、この子は根っからの善人、根っからのお人好し。
自分には、勝てない……と。
「――――もう……ほんと……先生ってずるい…」
「えっへん」
「………松葉杖辛いでしょ?運んであげる」
「お、マジですか?やったー」
「………とりあえず、聴いててもいい?」
「?」
マッシュをお姫様抱っこのような形で持ち上げ、問いかける。それがわかりきっているようなことだとしても。
「どうして、私とお話をしようって思ったの?」
「ただ単にミカさんとお話がしたいって言うのもあるんですけど……一番は、ほっとけなかったんです。――きっとまだ、自分を追い詰めているんだろうなって思ったので」
「―」
「そう考えると動かずにはいられなかったんです」
「……………それって先生として?」
「いえ、一人の男として」
「…ふ……アハハハッ!!―そんなセリフ、よく吐けちゃうね」
「単に事実を言ってるつもりなんですけど、よく皆にも言われます」
「……私さ、お料理とかよく分からないから……失敗しちゃうよ?」
「それでいいんです、失敗の無い人生とかありませんし――その失敗を反省し、次に活かせば……上々です」
そんな言葉に、自然と腕に力が入ってしまう。『アイテテテ』と言う声が聞こえ、少し力を緩める、けれど完全に弱めたりはしない……したら、泣いてしまうから。
泣いて、先生を悲しませたくないから。
「――それじゃあ行っちゃおうか!⭐︎」
「ですね」
「レッツ、ゴー!」
「ゴー」
こうしてミカは笑顔になりながら、マッシュを連れて、トリニティ本校の調理場へと向かったのであった。
―――ねえ先生。もし世界が先生の敵になっても……私は──―私は絶対に…先生を守るからね⭐︎
「―─あ、作ったシュークリーム、アリウスのみんなにもあげちゃいませんか?」
「先生…………いいね!!」
「───了解した。全員、現時刻を以て第二次偵察活動は終了、作戦は次段階へと移行する。撤収準備は良いな?」
「は、はい、必要なものは纏めましたので……!」
「………」
トリニティ自治区、外郭。既に放棄されて久しい廃墟の一角、アリウス・スクワッドはその一棟にて撤収作業を行っていた。
「……アズサだけではなく、潜入部隊も裏切るとは…な」
「あいつらはただ諦めただけでしょ……どうせ、あっちでもマトモじゃいられない」
「それもそうか……いずれにせよ、自治区に帰還後は計画の始動を待つだけになる。一応覚悟だけはしておけ」
サオリはそう言って、少ない私物の入った背嚢を背負う。撤収を終えた部屋の中はこざっぱりとし、微かに人の居た痕跡を感じられる程度になっていた。
「あ、あぁっ、つ、遂に始まるんですね……!? よ、漸くこの時が……でも苦しいんですよね? 辛いんですよね?」
「……うん、でも大丈夫、苦しいのは生きている証拠」
「………」
黒く、特徴的なマスクで顔を覆った彼女は、言葉を発する事が禁じられていた。手話で何かを伝えようとしているアツコに気付き、ヒヨリは彼女の手元を覗き込む。
「ひ、姫ちゃんが手話で何かを言っていますけれど……えっと?」
「あの子はどうなった、って……気になるの、姫?」
「………」
「……どうでも良くない? 結局は、早いか遅いかだけの問題だし」
「………」
「その辺にしておけ、そろそろ移動するぞ――それにアズサのことは心配するな」
戻る事が出来るのならば、陽の当たる場所に行けるのならば、もっと早く、何も知らぬ無垢な頃に、自分達は喜んで飛び出したであろう。
けれどそうはならなかった、アリウスに生まれ、アリウスとして生き、アリウスとして死ぬ……それが定め、それが運命――それが使命。
vanitas vanitatum. et omnia vanitas.
――すべては虚しい、どこまで行こうとも、すべてはただ虚しいものだ。
それが全ての真理、光なんて……アリウス生にとっては害でしかなく、苦しみそのもの。
「どれだけ足掻こうと、お前は
お前を取り戻す……あの男の元から…絶対に」
サオリはそう言って、任務のために渡されていたマッシュの写真を
パァン!!
撃ち抜いた。
ひどい目(シュークリームを食べまくって)にあって、泣いて(美味しすぎて)泣いてますね〜〜。
ちなみにマッシュ君はミカさんに教えながら、自分も少し手伝ってシュークリームを作ってます。片手で。
今日は時間ができたので、妹先生と弟先生と共にカラオケに行きました。
『何歌う〜?』
『君だけを守りたい』
『古く無い?』
『弟お兄はなんなのさ』
『海の声』
『懐かしー!お兄は?』
『Myビクトリーと召喚最強v』
『懐かしいけど選曲!!』
『他に歌えないの?』
『これしか歌えぬ』
歌苦手なんだから仕方ないじゃーんだ、弟先生の最高得点は95、妹先生は97、私は86……なんでや!!!
次回はちょっとした小話を投稿します、そのあとは水着イベントです。オリジナルは少し強めになりますが、水着は水着です。
百花繚乱後に見たい話
-
まだ交流がない生徒との話
-
アイデェア箱から選んだお話
-
ラビット2章
-
愛が重い生徒との話