ワカモちゃんやイズナちゃんの尻尾に顔を埋めたい病気にかかっているので、ちょっと病院に行ってきます。
マッシュ君ならマイト・ガイ先生というキャラの技を真似ることができる気がして仕方ないです、ほんとに。
それでは本編へ……どうぞ!
マッシュ・バーンデッドと見習い忍び
「ワカモちゃんって18歳だったんだ……じゃあやっぱりワカモさんって呼んだ方がいい?」
「距離が離れている感じがして、他人行儀な耳触りなので嫌です」
「えー、でもじいちゃんに教わったんだ。目上の人には敬語を使うのが常識だ、って」
「さん付けで呼ばれた日には服の中に石を詰めて谷底に身投げ致します」
「ワカモちゃんちょうどお腹すいちゃったからシュークリーム食べようよ」
「はい!」
開幕からシリアス(?)で始まった一日。
「そういえば……今日は百鬼夜行連合学院へ向かうのですよね?」
マッシュが今回向かう学園は、百鬼夜行連合学院。
「うん、誰だったけな……河野シズゴ?」
「
「あ、そうそうその子。その子から百夜ノ春ノ桜花祭っていうお祭りにお呼ばれしてさ」
「百夜ノ春ノ桜花祭ですか…また懐かしい名ですね」
「ワカモちゃんはもともと百鬼夜行にいたんだよね?」
ワカモはシャーレへの編入前、七囚人に数えられてから1年以上の停学処分を受けていたものの、それ以前は百鬼夜行連合学院に所属していた生徒である。マッシュの問に対し、ワカモは難しそうな顔で答えた。
「……ええ、まあ…もう昔の話ですけれど」
「どんなお祭りなのか知らない?」
「どんな…そうですね。題目としては、老若男女集いて闇夜を提灯で照らし、桜の下に出店を並べて食と舞踊を朝まで楽しむ……まあ、催事としては一般的な物です」
「楽しそうだなぁ、何気に僕そういうの初めてだから。ワカモちゃんも来ない?」
「……今回はやめておきます」
「そう?じゃあまた今度行こうよ。二人で巡りたい」
「…ええ、ぜひ」
そう優しく微笑むワカモ、マッシュに何かを悟らせないよう、気を使わせないように振る舞った。マッシュは一人『お祭りか…』と、思いを馳せるようにぼやく。
「……楽しみだなぁ」
彼は既に、魔法界で山奥に二人暮らししていたマッシュにとって初となる「祭り」というものに、目を奪われていた。
もう一度、改めて説明しておこう。
百鬼夜行連合学院
グルメ・温泉・祭りを中心に成り立つ観光業が盛んな学園であり、それぞれ独自のルールを定めている部活や委員会が連合を組むことで学院として成り立っている。その来歴はトリニティ総合学園と似ているが、こちらは生徒会に相当する陰陽部が暫定的な中心組織になっているに過ぎず、ティーパーティーのように全体を統括する正式な生徒会が存在しない体制をとっている。
一見すれば長閑で平和にも見えるが、その来歴上この形に行き着くまで数多くの問題が生じたらしく、『戦国時代』とでも呼ぶべき激しい内紛の時代を経たとも言われている。これについても、奇しくも過去のトリニティや現在のゲヘナによく似ている。
(……お団子うま)
パンフレットでそんな情報を流し見たマッシュは、自治区に踏み入るなり通りの露店で発見したサクラ大福を山のように購入。皿の上にタワーを作る形で盛り上げ、片手で皿を支えながら祭りの舞台となる大通りを巡っていた。
(……雰囲気がいい、いるだけでもあったかいな)
熱気溢れる祭り独特の雰囲気、そしてそれを楽しむ人々の歓声が、マッシュを快くくすぐる。初めて立ち入った場所ながら、既にマッシュはここに魅入られつつあったようだ。
(…あ、確かシズコって子から『ご相談がありますので、百夜堂までお越しください!』って言われたんだった……百夜堂って何処だろ)
『百夜堂』なる喫茶店を探して周囲をキョロキョロ見渡したマッシュだったが、突如として祭りの声々を切り裂く叫びが前方から降り掛かった。
「あっ、あっ!危ないです───っっっ!?」
唐突に、マッシュへと一直線に突っ込んでくる少女の叫びが響く。見えた頃には既に目と鼻の先、マッシュは大福のタワーを高く持ち上げ、足を踏みとどまって受け止める姿勢に入る。
「んぎゅっ!?」
「うお」
衝突コースのまま走ってきた少女はマッシュの胸筋に激突して動きを止め、顔を押さえながらヘナヘナと座り込む。ワカモのような狐の耳と尻尾がゆらゆらと揺らめき、頭を抑えた少女の耳がぺたんと下がる。
ノースリーブのセーラー服の上から、片肌脱ぎに着た暖色の鮮やかな花柄の着物と赤いマフラー。太腿には忍者らしくクナイをセットしたレッグホルスターを装備している。
対して、そんな彼女に激突されたマッシュは多少なりとも衝撃を受けたものの、目立った影響もなく、サクラ大福タワーを支えながら彼女の前にかがみ込んだ。
「あぅ…今の、今の衝撃は一体…?ま、まるで鉄の壁にぶつかったような感触が……」
「あの」
「……はっ!?ああっ、すみません!!えっと、大丈夫ですか!?お怪我はありませんか!?」
「全然平気だよ、そっちこそ大丈夫?」
「イズナは平気です!これでも鍛えていますので!」
「なら良かった」
イズナと名乗った少女は嘘を言っているわけでも強がっているわけでもなく、本当に怪我を負っていなかった。そしてマッシュの筋肉の一つであるマイク(胸筋)が警告している。
「ところで、そんなに急いでどうしたの?」
「そ、それは…『あ、いた!!』ひゃぅっ!?」
「待てー!逃がさないんだから!」
「か、カエデちゃん、ちょっと待ってください……はあ、はあ……は、速すぎます……」
「あわわわわわ!もうあんなところにまで! えっと、ええっと! ど、どうすれば!?」
「……ふむ」
遠方の喧騒から見るに、どうやらイズナは追われているらしい。
「ちょっと失礼」
「え―きゃ!?」
「―よっと」ピョン!!
マッシュはサクラ大福タワーを左手に持ちながら、イズナを右肩に担ぎ上げ、そのまま付近の長屋の軒上へ飛び上がった。
「わわわわっ!?」
「とりあえず……うん、あっちだ」
飛び上がったマッシュは屋根の上を飛び移り、可能な限り追跡者から距離を取る。速度を考えればありえないほどの安定性によってサクラ大福は一つも転がり落ちることはなく、マッシュの頭にしがみついて右肩に腰掛けるイズナもほとんど揺れを感じていなかった。
飛脚もかくやと思われる俊足に、二人は一瞬でその場から姿を消してしまった。
「ね、ねぇ気のせいだったらいいんだけどさ……屋根の上をとんでもないスピードで走ってる人いなかった!?」
「いた、ような気もします…が」
「とにかく逃げられちゃったねぇ……ふぁ……眠い……」
「ここでねちゃダメだからね!?―兎にも角にも…次こそは絶対に捕まえてやるんだから!」
追跡者達はイズナの捕捉を諦め、その場から一時撤退した。
追跡者達から逃げ切ったマッシュは、通りへと飛び降りてイズナを下ろすと、栄養補給のためにサクラ大福を早食いしていく。
(い……いつの間にか、移動し終えていました……それに…あのスピード、さらにはあのバランス力……あれだけの速さで動いているのにも関わらず、あのタワーは崩れていなかった――間違いありません…この方……この方こそ!!)
「やっぱり栄養補給に甘いものは基本だね……あ、ごめん。まだ名前聞いてなかったよね、僕―」
そう自分の名前を名乗ろうとした瞬間、イズナがマッシュの目の前に滑るように移動して片膝をつく。
まるで主君に仕える従者のように跪く姿に、マッシュは意図を把握しかねて固まる。イズナは目を輝かせてマッシュに自らの名を名乗った。
「イズナは、
「え、あ、うん。どういたしまして」
「あ、貴方のお名前をお聞きしたいのですが…!」
「……マッシュ・バーンデッドだよ。シャーレの先生をやってるんだ」
「……シャーレの、先生…!イズナ、聞いたことあります!」
「ここまで僕の名が……やっぱり有名になったな僕」
「シャーレには、キヴォトスの色々な事件を全て、己の肉体のみで解決してくれる、どんなに強大な武具や戦略も通用せず…無敗、無敵を誇る最強の人がいると!」
「過大評価しすぎじゃない?」
「やはり、やはり貴方こそが――マッシュ・バーンデッド殿!!」
「は、はい」
イズナは立ち上がると、マッシュの両手を握る。そしてキラキラと目を輝かせて満面の笑みでマッシュに言う。
「この久田イズナを、貴方の弟子にしてください!」
「へ?」
「あなた……いえ!主殿のあの身体能力、バランス力…あれはまさしく究極の忍びのみができる芸当!」
「………??」
「どうか……どうかこのイズナに―忍の極意をご伝授頂きたいのです!!」
「――えっと」
「あ、もちろんただでとは言いません!こちらからちゃんと謝礼はお渡しいたしますし、学んだことはしっかりとお役に立てて―」
「盛り上がってるところ悪いんだけど」
「はい!」
「シノビって……なに?」
「…………あるぇ!?」
さあさあお立ち会い
ご用とお急ぎでない方はゆっくりと見ておいで。
そうでない方もどうぞお目を通しておくれ。
これから話す物語、それは華々しい青春の物語であり、愉快な喜劇の始まりでもある。
これは夢に向かって走り抜ける忍びと
祭りを守るため奮闘する
それらを悪から守る、筋肉
ブルアカコソコソ噂話。
実はイズナ、という名前を聞いた瞬間。某忍者漫画の最強の忍びの弟の名前が浮かんでしまったのです。許して。
『……兄者、気のせいかな?このキキョウって子とカズサっていう子……湿度高くて、距離感バグってない?』
『みんなそう思ってる』
キキョウさんに関しては……なんというか、本当に湿度高すぎない?って思っちゃいました。そして本当にカズサちゃんは距離が近い……ショートのあの距離感何?夫婦じゃねえか……。
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