シリアスとギャグは混合し、混沌となる。落差注意です
「僕の…勝ちだ、理不尽に抵抗する、それがぼ…………あっ」
「ぉ…………ご………」
「…えっと…ごめんなさい、つい、力が入りすぎて」
「……ふ……フフフッ、…これで…勝ったと思うなよ……マッシュ・バーンデ……ぁぅ…」
「リーダー!」
「先生、一度、こっちに…」
「う、うす」
マッシュは素早い動きでヒナとツルギの元に移動すると、そのまま二人が受けた傷を見る。
「……ツルギさん相変わらず、すごいですね」
「先生が、時間を…稼いでくれたおかげです……ただ少し、疲れてしまって…」
「無理はしないでくださいね」
「私よりも、空崎ヒナの方が危険です…キヴォトス人とはいえ、これは重症だ…」
「大丈夫よ…シュークリームを食べたら、治るわ」
「無理に決まってるだろう」
「シュークリームは…万能…」
「だったとしてもその傷を治すのはシュークリームでは無理だ」
ヒナとツルギを介抱しながらもアリウスの方を見るマッシュ。対して、素早い動きでサオリを治療するアツコと、涙を拭いているミサキ、そしてあたふたとしているヒヨリ。
「私は……負けていないぞ……」
「リーダー、諦めよう?」
「嫌だ…あんな負け方、納得できない…グスッ」
「ほ、ほら!サオリさんはあの先生相手に善戦できたんですし……ね?」
「まだやる、まだ戦うぞ私は……うぅ」
「……」スッ
「姫……それは、私を、舐めすぎだ……こんな傷、大した事では……ヒグッ」
これを尊厳破壊と言うのだろうか、サオリは帽子をギュッと被りながら、ミサキやヒヨリ、アツコなどに慰められている。
では、何故泣いているのか。それは単に、テニスラケットごときに負けたことに関する悔しさ、そしてシンプルに殴られた脳天があまりにも痛いというのもある……が、一番は
『来るといい…マッシュ・バーンデッド……ここが貴様の、墓場だ』
こんな決め台詞を吐いておきながら、誂えた秘密兵器すら簡単にぶっ壊され、当然のようにフルボッコにされたのが恥ずかしかったのである。
「さっきまでの……あの感じはどこにいったんだ?」
「あんな……やられ方するのは…想定外だったんでしょうね、同情は…するわ」
「え、えっと……な、なんか、ごめんなさい」
「謝るな……惨めになる」
「………とりあえず、このまま負けるのもなんかムカつくから――報復はしないとね」
「……いいよ、いくらでもあい――…あれっ…」フラッ
虫の息となったヒナとツルギを纏めて吹き飛ばすため、ミサキがロケットランチャーを構えた。同時に、招集されたユスティナ聖徒会のミメシスが周囲に集まり始める。
「先生…!?まさか、例の力が…!」
「……何だ、ちゃんと効いてたんだね―─神秘の毒」
「えへへ、効果がないと思って焦りましたけど…そうじゃなかったならよかったです。一次効果では急性神経毒として筋肉の麻痺や異常収縮を引き起こして、二次効果では出血毒として筋肉や内臓に損傷を引き起こすそうです……最後は多臓器不全や出血性ショックを引き起こして、命を奪うんですよね」
「そんな……先生、体が…!」
「うわぁ、まじか…紫色に変色しちゃってる…」
「動かない方がいいよ、動けばもっと広がる」
「……うーむ困った」
マッシュの右腕・横腹・顔…斬り付けられた箇所の傷、そこから溢れ出す血の色が、毒々しい青紫色に変色していた。加えて全身麻痺が加わり、マッシュはその場から動くことすら困難になっていた。
遅効性である毒が体の全体に回るまでには、本来であれば長い時間がかかる。故にマッシュは深く問題視せず、一定数の攻撃を受けることを織り込んで戦っていた……
サオリとの戦闘で激しい筋肉の収縮を伴う運動を行ったことで、戦闘時に斬り付けられた傷から浸透した毒は血液循環によって全身に拡散し、当初想定されていた効果以上のダメージをマッシュの肉体に与えていたのだ。
「……?……そう、わかった」
「ミサキ……誰からだ」
「別部隊からの連絡。今、ユスティナの使徒を使って万魔殿の部隊と交戦中っていう報告……チームⅡは着々と敵部隊を追い詰めていってる」
「…そうか」
「マコトさん、みんな――…ぅ」
「……散々やられてきたが…これで、戦況が変わったな。マッシュ・バーンデッド」
頭を押さえながらも、愛銃をマッシュに向けるサオリ。
「先生は…やらせん…!」
「先生を狙うなら、まずは私達が相手よ…!」
「無駄なことを……この弾をもってすれば、貴様らといえど撃ち殺すのは容易い。ここで殺してやってもいいが…いずれにせよ結局、その男は死ぬ」
「いや、死ぬつもりはないよ」
サオリはマッシュの額に銃口を押し付け、トリガーに指をかける。銃を押し付けられているマッシュは、依然として顔の表情を変えておらず、無表情を保っている。
「そんな体で……どう動くつもりだ?」
「そうだな、僕だけだと厳しいかも」
「そうだ……だからもう諦めて―」
「でも諦めないよ、最後まで」
「…………どうして諦めない」
「物事には諦めが重要、それはわかってる――でも、今回ばかりは絶対に違う……だからやるだけやってみる、その精神で今、頑張ってる」
「やるだけ……っ」
トリガーに力を込め、マッシュの命を刈り取ろうとした瞬間――─何処からかエンジン音が響き渡ってきた。
「リーダー!!」
「っ!」
「わぁ!?」
「…!」
『うぉぉぉどけぇぇぇぇぇ!!!』
そこに飛び込んだのは、一台の小型トラックだった。
「――シュークリームクラブの…みんな?」
「あ、いた!まじでいた!!先生ーっ!!」
「ツルギさんにヒナさん、こちらへ!」
トラックのリアハッチが開き、そこからモブミ・モブコ・トリミ・ゲヘミが現れる。運転席にはモブエが座り、ハンドルとシフトレバーを握っている。
「お前達は―─放課後…シュークリーム、クラブ?」
「細かいことは中で説明するので、今はとにかくこっちに!」
「ほら、手を貸しますから!」
「うぅ、ひどい怪我…」
小型のトラックに乗ってやってきたのは、他ならぬ放課後シュークリームクラブと黒崎コユキだった。ツルギは体を張って、ヒナとマッシュをトラックの中へと押し込む。
「うしこれで…ってぎゃあ!?」
「逃すか…!」
「やべ、リーダー!早く出せ!」
「わ、わかってるって!え、えーとこれがこうで…」
モブエが慣れない手付きでシフトレバーを前後させながらクラッチペダルとアクセルを踏む中、アリウス生徒とユスティナ信徒がトラックを集中攻撃し始めた。
「―――ぁぁぁっ!!まァじで怖かったァァ!!」
「何で、みんな…ここに?」
「コハルって子から、トリコに連絡があったんです……『先生が危ない!』って」
「それでモモトークのグループメッセで共有して、コユキがセミナーとかヴェリタスってトコに頼んで、先生のスマホの現在地とか、イロイロ調べて貰ったんだ……んで、そっからはこのトラックをミレニアムから借りて、皆で飛んできたってわけっす」
「それから先生、マコト議長達のことは安心してください。今はあっちにゲヘナの救急医学部と、トリニティの救護騎士団の団長が助けに行ったみたいです」
「そっか…でも、トリニティの皆が──まだ、助けを待ってる人たちが」
「そっちも安心してくれ、先生の大事な……えーと、なんて言った?」
「忍者と……愛妻って言ってたな、その2人が向かってるって聞いた。ゲヘコがシャーレに連絡してた」
「……そっ…か」
マッシュは気が抜けたのか、力を抜きながら座る。コユキは最低限の応急処置をマッシュ・ヒナ・ツルギの三名に施しながら、色々と説明する。
「忍者さんと愛妻さんの方は、『先生が守っている生徒達の敵は自分たちの敵だから』って言ってて、救護騎士団の団長さんと救急医学部の方は、天雨アコさんと桐藤ナギサさんが救援を依頼したみたいです!」
「なら、少しは安心ね……特に…救護騎士団、団長の方は…とても強いから……愛妻っていうのは、よく分からないけど……」
「先生……愛妻とは、どういうことですか?」
「た、多分…向こうが言ってるだけ…かと……」
「と、とにかく!三人はこのままトリニティの救護騎士団本部の方へと運びます!そっちの方が早いので!」
「感謝する、シュークリームクラブ……――この恩は、必ず返す」
「全然気にしないでくださいよ、一緒にシュークリームを作った仲じゃないですか」
「その制服は…トリニティの生徒、よね?…いいの?私を助けて」
「トリニティとかゲヘナとかそんなの関係ありません!怪我人がいるのに
「そうそう。ほらツルギさん、包帯巻きますんで手ェ出してください」
「すまないな…ゲヘミ」
シュークリームクラブの車両は、マッシュ達を乗せて救護騎士団の野戦病院へと向かっていく、トリニティもゲヘナも、出身校や派閥も関係なく───命を助ける、ただそれだけのために。
「…………逃したか」
「──痛っっ……ホントに、何なのあいつら…」
「わ、わかりませんが……これから、どうします?」
「……一度身を隠すぞ、そのうち他の奴らも集まってくる…アズサは「サオリっ…!」……あとで、と言おうとしたが…今、会えたな」
「サオリ…どうしてこんな―――ん?」
「全てアリウスのため、全ては復讐のため……そこに何の理由も………何だ、何だその顔は」
「……頭の血は、どうしたんだ?…こう、何というか……銃弾ではないだろう?───もしかして、先生に殴られたのか?」
サオリ達の前に敵意マックスで現れたアズサ、しかしサオリの怪我具合を見てその敵意が削がれ、傷の多さを訝しむ。
「………違うぞアズサ」
「な、何が?」
「私は負けていない、負けてないったらない」
「……????」
「リーダー、何の説明もなしにそれは無理だよ」
「とにかくお前に会えてよかったぞ、アズサ……さあ、私達と一緒に―ウボァッ!」
「サオリさん!?」
「ほら、さっき無理して色々やったから……」
「―――ば、場所を、変える?」
「……」(無言で頷くアツコ)
ひとまず場所を変えることにしたアズサ達、そしてこれから行われるのは単なる話し合いや戦闘ではない……いわゆる、家族会議(物理)である。
クロコちゃんのメモロビを見て、私の涙腺は大破壊。もう感情がぐちゃぐちゃになっちゃいました……うぅ。
弟先生は天井まで回して臨戦ホシノさんを当てました、しかしメモロビはまだ見ていなくて、本篇を見た後見ると言っておりました、絶対にそうした方がいい。
ちなみに言っておくと、マッシュ先生の毒はそのうち治ります……何でって? ヒント・マッシュ君だから
あと言うか迷ったのですがいいます、妹先生は弟先生としばらく口を聞かないと言っておりまして……まぁその、熱中症の件で、命舐めんなクソ兄貴……と…怖い、めちゃくちゃ怖かったです。
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