家族内での話し合いに関してですが、その……会話がデットヒートしてしまって、私と弟先生がこう殴り合いに発展してしまったのですが、一応解決はいたしました。
人生で初めてでしたね、兄弟と殴り合ったの……まだ顔が痛い、え?殴り合いに発展した会話?結構生々しいので書くのはやめておきます。
それでは本編へ……どうぞ!(曇らせ注意)
「すべては虚しいもの……そう私はお前に教え込んだはずだ。光を追い続けるのも無駄、何かを夢見ること願うこと、その全てが虚しいだけだと何度も教えたはずだ……なのになぜだ、何故そうまでして抗う」
「………」
「トリニティにも、シャーレにも、お前の居場所はない……もうわかっているんだろう?」
「………すまないサオリ」
「なんだ、まだ言い訳をする気か?」
「頭の傷と泣きそうになっている顔で言われても、内容が頭に入ってこない」
「………泣いてない」
「泣きそうになってる、と言っただけで……泣いてるとは言ってない」
「……レスバが強い子に育てた覚えはないぞ」
「レスバにもなってないよリーダー」
アリウススクワッド(とアズサ)はマッシュと戦闘を行った場所から少し離れた回廊、そこで家族会議(?)を行っていた。
ネガティブな事を言ってアズサを説得しようとするサオリだったが、泣きそうになっている顔でそれを言われても話が入ってこず、少しぐだぐだになっていた。
何なら言い負かされそうになってムッとしているサオリ、威厳はどこに消えたのだろうか。
「……とに…とにかく、奴の…マッシュ・バーンデッドの言う事を信用するな…あんな言葉、嘘偽りだ」
「みんなのハッピーエンド…」
「そうだ、そんなのこの世にあるわけがない……できるはずもない、奴なんぞに『何で』」
「何でそう強く言えるんだ? サオリはまだ先生と会った時間は少ないはず…なのにどうして、そこまで言えるんだ?」
「……」
「先生のことは、資料やマダムの話でしか聞いていない……実際に会ったのは、さっきが初めてのはずだ」
「…ああ、だから、あって分かった……あの男は危険だ、この世界の真実を隠し、事実を歪めて嘘を教える――悪い
世界の真実、すべては虚しく無駄なこと……そんな世界でハッピーエンドを、幸せを感じることなんてできない。そう確信を持っているからこそ、サオリは悪い先生だと断言した。
「―サオリ、先生は私達と同じ子供だ」
「……だからなんだ、責任を負う者には変わりない」
「責任を、負わされた者だ。ただ普通に暮らしていただけなのに、この世界の命運を握らされた……私達と同じ子供なんだ」
「…っ」
「先生は悪い人じゃない……むしろ、いい人だ」
「お前こそ、何故そう言い切れる」
「トリニティにいる間、ずっと、ずっっと先生を見てきた…聞いてきた、感じてきた……この身でしっかりと」
アズサは自分の腹や、胸に触れてそう噛み締めるように言う。
「空っぽだった私の体に、先生やみんなはいろんなものを埋めてくれた……お腹にはシュークリームを、肌には温もりを、胸には感動を……私は、満たされ続けているんだ」
「……ふざけたこと言わないでよ、忘れた? Vanitas vanitatum. et omnia vanitas…この世界で満たされることなんて」
「ある、絶対にある――現に」
アズサは少し笑顔を見せ、自信満々にスクワッド達に話す。目には一才曇りはなく、むしろ光り輝いていた……サオリは見たことがなかった、そんな笑顔を。
「私は今、満たされかけているんだから」
「――――やめろ…そんな顔をするな…思い出せ、お前を理解して受け入れられるのは、私達だけだ。お前の生きる場所は此処、陽の当らぬ場所がお前の居場所だ……お前はその真実から目を逸らし、甘い嘘に目が眩んだ」
「嘘……フフッ、嘘か……それはない、先生は嘘が下手だからな」
「……ユスティナ聖徒会、戒律の守護者にしてトリニティの伝説的な武力集団――正確にはその
「…?」
「トリニティとゲヘナによる
「ユスティナ聖徒会にとっては、戒律は絶対ですから、それを破る者には容赦しません、例え複製であっても……こ、心強いですね、へへっ」
「……つまり、何が言いたいんだ?」
「わからないか? 奴は負ける、何があっても……相手はいくらでも現れるのだから……だから、どんなことがあっても……勝てないんだ――そんな勝てない奴の、言うことなんて…!」
「勝てない……悪いけど、みんな」
アズサは銃とシュークリームを取り出し、まるでマッシュのような態度、表情で、シュークリームを食べながら
「先生は負けないよ、何もかも全部、先生のグーパンには勝てないんだ……あ、美味しい」
「何故だ……何故だ、何故だ何故だ何故だ!!何故、あの男の言葉を聞き入れる!信じている!!」
「決まってる―先生は、私の友達で……先生だから」
「……認めない、認めるものか…今、今ここで奴を認めてしまえば…私は―私達は…!」
「リーダー…?(…‥何か、変…)」
「否定してやる、あの男のすべて……なにも、かもを!!」
「さ、サオリさん!?」
サオリは今までない怒りを噴き出し、愛銃を構えながらアズサへと走る。アズサは食べていたシュークリームを飲み込むと、じっとサオリを見て
「――初めての、姉妹喧嘩だね…サオリ」
「アズサァァァァ!!!」
サオリへと正面切って駆け出していった。
「ッ、奴ら、奴らのせいで…――このままではトリニティが瓦解してしまう……!」
調印式が外部公開されていないとはいえども、調印式会場へと飛来するミサイルを目撃した者は少なくなかった。それらの目標が調印式会場であったことも、エデン条約の調印式が何らかの攻撃にさらされていることも、容易に察せられることだった。
「仕掛けて来たのはゲヘナでしょう!?一体他に誰がこんな真似をするというのですか!!?」
「そうです!そもそも正義実現委員会も、総括本部も一体何をしているのですか!!?敵の攻撃は既に始まっているというのに……!!」
「銃を向けるべき敵はゲヘナ!あの角の生えた者共に天誅を!!」
「だから!あの攻撃は別の場所から来たものなんだってば!」
「お願いだから、今はじっとしてて!もうすぐ『――これは何の騒ぎですか、みなさん』…あっ、ナ、ナギサ様…に、羽沼マコト議長!!?」
先ほどまで戦闘を行っていた生徒達が、本部へと一時帰還を始めていた。パテル派が喧騒を広げる本部に通されたのは、万魔殿議長の羽沼マコト。
「マコトさん、あともう少しです」
「キキッ……ティーパーティーめ…手を貸せなどと、言ったつもりはないんだがな」
「そのような傷で『手を貸すな』と言われたとしても、そのままにするのはどう考えても無理でしょう……急いで駆けつけて正解でした…さあ、早く中へ」
「―─なっ、何を勝手に!?お待ち下さいナギサ様!!何をされているのですか!?汚らしいゲヘナの者を、この神聖な古聖堂に立ち入らせるなど───」
「口を慎みなさい。それがホストたる桐藤ナギサ様に対する物言いですか?意味もなく楯突く暇があるなら負傷者の搬入を手伝ったらどうです?」
「──ッ!?だ、誰ですか貴女は!?」
「引っ込むべきは貴女方のほうでしょう、喧しく囀るのも大概にしなさい。──一つ申し上げますが、私は部外者などではありません。"愛する殿方"から"友人たち"の庇護を託された……通りすがりの狐です。さぁ退きなさい、邪魔です」
負傷した生徒を数名抱え上げたワカモが、仮面越しに赤い眼光を放って圧を放ち、パテル分派の雑音を黙らせて押し退けていく。
『──…─…、マコト議長!やっと繋がった!』
「……ああなんだ、アコ行政官か…なんだ、職務放棄か?」
『してませんよ! ─―ッ、いや、今はそんなことどうでも良いですね……先ず報告を…例の使徒との戦闘は無事に勝利。正義実現委員会、シスターフッド、そして別働隊と交戦を行なっていた我が風紀委員は、その場で救護騎士団と救急医学部の治療を受けています』
「アコさん、皆さんに伝達を…『ティーパーティーホスト・桐藤ナギサの名において、学籍問わずゲヘナ・トリニティ両学園の生徒の入校を許可する』と。戦闘で疲弊している方々には、私達で居場所を作っておきますので」
『…助かります』
「あ、え、えーと……マコトさ…殿!」
「あぁ、お前は……確か、シャーレで先生に仕えている…忍者、だったか」
「はい!マコト殿も休まれてはいかがですか?お仲間を守って深傷を受けてしまったようですし…」
「フッ…キキキッ、深傷だと?こんな傷、深傷にはなら―――イッッッッ…ハァー…
「刃が腕を貫通したのです、少なくとも軽傷な
マコトは撤退戦に際して、使徒の攻撃から部下を守り負傷していた。痛々しい刃傷は左腕に深く残っており、どこからどう見ても重傷者の姿だ。
「所で…先生や空崎ヒナは、それに剣先ツルギはどうした?」
『それが、連絡がついていないままで……』
「何も心配は要りません。あの方が…先生が、この程度で負けるはずも、怪我を負うはずも――」
ワカモがそう言い切る瞬間、トラックのクラクションが辺りに響いてきた。
「おい、アレはどこの所属だ!?」
「悪いが通してくれ!!一大事なんだよ!!」
「誰か、誰かーっ!!誰か手を貸してくださーいっ!!」
「騎士団でも医学部でも何でもいい!ひ、ヒナさんとツルギさんが重傷で、ヤベェんだよ!!」
「――――何だと…?」
「なっ…!?」
トラックからゲヘミとトリミに背負われてきたのは、重傷を負って涙目になった空崎ヒナと、体力の消耗が激しいあまり今にも倒れそうになっている剣先ツルギだった。引き摺られるように下車した二人からは、足を地面に擦る度に血の痕が残り、ヒナに至っては目が開いているのかすらも分からない状態だった。
『──―ひ、ひな…いいん、ちょう?』
「つ、ツルギさんまで…そんな…!?」
「何があった………空崎ヒナ、剣先ツルギ!!お前達ともあろう者が、一体何があったんだ!!?」
少しして、救護騎士団の鷲見セリナが、数人の団員を連れてやってきた。救護騎士団団長からの命令で、万が一のための後方待機を頼まれていた者達らしい。
「お待たせいたしました!――っ、ひどい怪我…」
「ツルギさんも、早く!」
「私は、私は……いい、それよりも…それよりも…!」
「ヒナ委員長は我々が何があっても助けます、なのでどうか「違う!!」」
「もう一人、もう一人の方を早く見てくれ!」
「もう一人…?───まさか」
「空崎ヒナ…!」
マコトはナギサの腕から離れると、ストレッチャーに乗せられたヒナの元へと近づき、状況について問う。
「何があったんだ、空崎ヒナ!お前や剣先ツルギほどの実力者が、此処まで負傷するなど……」
「――ぃ…」
「いや、今はいい……とにかく、今はその傷を」
その時、ヒナの手がマコトの右腕を強く掴んだ。ヒナは、傷の痛みも顧みずに上体をストレッチャーから跳ね上げると、半開きだった目を大きく開いて、泣きながら必死に訴えかける。出血が悪化するにも関わらず、血を吐くように叫び続ける。
「お願いっ…!!先生が…先生がっ!!!」
「……………先生が、なんだ?」
「先生が…まさか、あのお方がどうされたと言うのですか!?」
その直後のことだった。
涙混じりとなったコユキの声が空気を震わせ、皆が一同が再びトラックのハッチへと目をやった……そこにいたのは、全身が
「そんな、そんな体で動くなんて無理ですよ…!お願いだから、もう……!」
「ありがとう…コユキ、ちゃん……でも、大丈夫……僕は、自分の足で……」
「あ、あれって…シャーレの先生、よね?」
「な、何で……あんな、姿に……?」
毒々しいその姿で、その場に現れたマッシュ……そんな姿に周りは顔を青くさせ、ワカモは絶望し切った顔でマッシュに駆け寄る。
「あなた様―──あなた様!あ、あぁ、そんな…!」
「…ワカモちゃん…か、…ごめん…ね、こうなる前に……呼べって…言われてたのに…」
「そ、そんな……!あなた様が謝罪をする必要なんて……!」
「そもそも……僕が…言ったんだ、待っててって……巻き込みたく…無い…から…って──ゴホッゴホッ」
「それでも、それでも…!」
「あと…さっきから、体が…痺れててさ…うまく、話せないんだ…ごめ…ん」
筋肉の破壊は次第に緩慢になっているものの、毒による麻痺は全身に周り、徐々にマッシュを追い込んでいっていた。顔を青くしていたイズナもすぐに動き、マッシュを手を肩に回す。
「主殿っ!ダメ、ダメですよ!?しんじゃ、いやですよ!!?!??」
「死なないよ……死ねないんだ……しんじゃ、だめなんだ……最後まで、みんなのハッピーエンドを…迎えるまで…止まっちゃ…ダメなんだ」
「今回ばかりは、どうか思い留まってください……このままではあなた様が…」
「ダメだよ―─だって……僕は…先生、なんだ「先生だから、何だと言うのですか!!?」…!」
死に瀕する傷を負ってなお動こうとするマッシュに、今まで黙っていたナギサが怒鳴った。それはティーパーティーホストとしてではなく、一人の生徒としての一喝だった。
「先生だから無理をして動く!?先生だから負傷して毒を受けても働く!?馬鹿げた冗談も休み休み言いなさいっ!!!!」
「ナギサ…さん」
「ワカモさん、イズナさん、先生を早く中へ……例え意識を刈り取ってでも、必ず休ませてください。このままでは危険です」
「勿論です」
「は、はい!」
「ま、待って、まだ僕は」
「黙りなさいっ!!!いい加減にしないと、あなたの顔面にありとあらゆる茶菓子を詰め込みますよ!!??」
「ひぇ」
「さあ、早くっ!!」
ナギサのこれまでにない威圧──予想もできない一面に、マッシュは完全に圧倒され、諦めて休むことにした。
「…………あ」
「…………空崎ヒナ、剣先ツルギ。先生は桐藤ナギサに任せたほうが良さそうだ。お前たちは…とりあえず、中で休息だ」
「……えぇ、そう…ね」
パテル分派もナギサの圧に押された余り、黙って散り散りに消えていき、シュークリームクラブはマッシュを心配して付き添うこととなった。アコはヒナが心配なあまり仕事を全て中断、大至急トリニティへと向かうのであった。
すみません……あと、あと数話、数話待ってください!!その先に救済はあるので!!
こんなとこで言うのもあれなのですが、まじで家族とは話し合いが大事だなぁ‥と思いました、今回の件も弟先生が我が家の電気代と負担を思ってのことだったので……まあそれで死んだら元も子もないだろバカ!!ってなりましたけど……三人しかいない家族なんだからさぁ!?って妹先生は叫んでました。
みなさんもどうか命を最優先に、お考えくださいませ………顔と腹がまだ痛いです。
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