セミファイナル………嫌いだ、それでは本編へ……どうぞ!
「―――っ…ぐ……」
「……!」
「姫……ミサキ…ヒヨリ……」
「さ、サオリさんっ!? よかったですぅぅぅ!!!」
「リーダー、大丈夫?」
「あぁ……―っ、アズサ、アズサは、どこだ!」
「……逃げてきたんだよ、アズサから」
「なっ……何故だ!?」
「覚えてないの?――リーダー、負けたんだよ?」
「……………はっ」
アリウス自治区、回廊……そこで、アリウススクワッドの面々は居座り休息をとっていた。リーダーであるサオリはアズサに負けた……その事実を受け止めきれずにいる。
「……私が…アズサに……」
「…シャーレの先生からもらった攻撃が効いたってのもあるし、そう落ち込むことないよ」
「あ、あのままだと、本当に全滅の可能性があったので……煙を焚いて、その場から逃げ出してきたんです」
―――――――――――――――――――――――
『リーダー…っ!!』ピンッ!
『待って、みんな!!』
『………ごめんアズサ、もう少し…考えさせて』
『っ…!』
―――――――――――――――――――――――
「……」
「……―ははっ…そうか……負けたのか……私は……」
サオリは乾いた笑みを浮かべながら、スッと立ち上がる。思えば自分は正気じゃなかった、それも敗因だと理解し……そして
「………笑顔だったね…アズサ」
「は、初めて…じゃないですか?あそこまでいい笑顔って…」
「……」
スクワッドの面々の脳裏には、あのアズサの笑顔が浮かんでいた。満たされていた、幸せそうなその笑顔が……笑うことがなかったあのアズサが、笑っていたのだ。
「……先生のそばにいたから、あんな笑顔ができたんですかね」
「ヒヨリ、やめろ」
「先生が、アズサちゃんの……私達の境遇を知ってもなお、手を差し伸べてくれたから…あんな笑顔が作れたんですかね」
「やめろと、言っているだろう」
「もしかしたら、本当にもしかしたら……あの人なら、マダムを―」
「やめろ!!」
薄々、そんなことにはサオリも気づき始めている……しかし、それではダメなのだ。それは、今までの
今までの頑張りが、全て無駄になってしまうから。
「今更、頼れるわけがないだろう……ここまでやっておいて、奴が…あの男が手を差し出してくれると思っているのか!」
「で……でも、でも!!このままじゃ何も変わらないじゃないですか! ずっと、ずっと辛いままで……姫、姫ちゃんだって!」
「やめなって」
「なら、ならどうするというんだ? このまま助けてくれとでも言うのか? ――自分を殺しかけた相手がそんなことを言ってきて、『わかった、助ける』と言うとでも!!?」
「やめて…」
「――このまま、このまま何もできずに死ぬくらいなら……そっちの方が……!!」
「やめてって言ってるでしょ!?」
『!』
2人の言い争いを聞き続け、限界になったミサキが叫ぶ。自分の首元を強く握り込み、苛立ちを噴き出すように、震えた声で言葉を漏らし始めた。
「もう…うんざり、助かるとか、死ぬとか……もう、もうどうでもいい…!――今は、何も考えず…任務を遂行する…それで…いいじゃん」
「ミサキ…さん…でも」
「どうでもいい……どうでもいいから……もう…」
「………少し頭を冷やしてくる、しばらくは、ここで待機だ」
「…!」
「姫、すまない……少し、離れる」
サオリは頭を抑えながらその場を離れていく。ヒヨリは帽子を深く被りながら座り、ミサキは首と手首に触れながらしゃがみ込み、アツコは1人、その場で祈っていた。
(………先生)
自分を変えてくれた人のことを、想いながら。
――――――――――――――――――――――――
「――すみません、通してください!」
「はぁ、はぁ、はぁっ!」
「っ……!」
補習授業部はある部屋に向かって走っていた。アズサと
「先生…先生、先生……!」
一番前に走っていたヒフミはマッシュが運ばれたと言う病室に着くと、勢いよくその扉を開く
「先生っ!!」バンッ!!
「フンフンフンフンフンフンフンフンッ―…?あれ、ヒフミちゃんだ」
「何やってるんですか!?」
「スクワット」
マッシュは体を包帯を巻きながら、めちゃくちゃスクワットを行っていた。両手には血が入った点滴が付いていたが、その状態でスクワットを行っているのでおかしい!!とヒフミはツッコミ入れていた。
「先生っ!勝手にしんじ……何やってるの!?」
「マッシュ先生、えっと…重傷……なんですよね?」
「うん、らしいね」
「らしいねって、らしいねって何!?」
「両手に違和感がある程度で、他は大丈夫なんだ」
「えぇ………」
聞いていた話と違う……と、補習授業部達は困惑、重傷を負い死にかけ、もしくは寝たきりだと聞いていたのに……当の本人はこれである。
「毒みたいなのが回ってたんだけど、それを全部筋肉で圧迫して止めたんだ」
「……腕に力を入れ、それで中にある血液ごと毒を止めていた…と?」
「うん」
「…………いやどゆこと!?」
「ただ力みすぎて血が飛び出してたみたいなんだ、そのせいで今貧血」
「貧血の状態でスクワットとか!おバカなんですか!?」
「そこまで言わなくても…」
『そこまでの!こと!』
ヒフミ達に詰められ、あぅ、と声を漏らすマッシュ。『はーいおねんねしましょうねー?』と真顔のハナコに言われてしまったので、マッシュは大人しくベットで横になることに。
「にしても、本当に包帯が多いわね……本当に大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫」
「肌があまり見えていませんが、そこまでのお怪我を?」
「大袈裟に巻かれているだけだと思うから、大丈夫」
「………先生、何か…隠していませんか?」
「…そんなことないよ」
「――だったら、どうして…汗をかいているんですか」
ヒフミの指摘にマッシュは反応してしまう。マッシュの額には一滴の汗が見えており、これはマッシュが嘘をついている時に出てしまう物だった。それをヒフミは知っていたため、嘘を見抜いてマッシュを問い詰めた。
「――――ごめんねみんな、せっかく来てもらった所悪いんだけど……1人にしてほしいんだ」
「や、やっぱり大丈夫じゃないじゃん!!」
「先生……教えてください、先生の身に何が」
「お願い……今は、1人にしてほしいんだ」
「先生……」
「色々あって、休みたいんだ……ごめん」
「……………」
マッシュはそうヒフミ達に言うと、起き上がり一礼をした。普段、人と話すことが好きなマッシュが、あのマッシュが休ませてくれ、1人にしてくれと頼み込んでいる……1人が嫌いなはずのマッシュがだ。
「―――今日は一度、帰りましょう」
「ハナコちゃん…」
「で、でも!」
「先生の頼みです……きっと、何か、訳ありなのでしょう……ですのでまた、また後日伺うとしましょう」
ハナコはそう言ってヒフミとコハルの手を取りながら立ち上がり、扉の方へと向かっていく。扉の前に立つと、ハナコは振り返り
「――お大事に」
そう言って外へと、ヒフミ達を連れて消えた……扉の外からヒフミとコハルの声が聞こえてくるが、マッシュはそれに反応してはいけないと思い、聞こえなくなるのを待っていた。
「………変色した部分の治りは遅いから、少しの間は元に戻らない…か」
マッシュは体に巻かれている包帯をゆっくりと解いていく、見えるのは痛々しい傷と、色が紫色に変わっている皮膚。
「流石に見せれないよなぁこれは……まあこれで済んでるだけいい方だって言ってたけど」
体を軽く動かした後、マッシュは自分の腕を見ながら、小さく
「――痛いなぁ」
そう呟いた。誰にも聞こえないように、悟られないように……1人で。
「ふーん……誰にも頼らず1人で何もかも解決しようとしている、怪我をしても気にしないでの一点張り、自己犠牲が当たり前のようになっている…ねぇ」
「……はい、なんとか…説得を、してくれませんか?」
「説得……ううん、違うよナギちゃん、今先生にすべきなのは説得じゃなくて――お説教」
「お説教…ですか」カチッ
「うん、だってあの頑固な先生だよ? 説得でどうにかなるわけないじゃん⭐︎」
トリニティ総合学園・隔離塔地下内部。そこに囚われていた姫が、ホストであるナギサの力により、一時的に自由の身となっていた。
「人には誰かに頼れとか、貴方を一人にさせないとか言っておいて……それは、笑えるよ――うん、ちょっとイラっとしちゃった⭐︎」
「穏便にすませてくださいね? 暴力はいけませんよ?」
「そこは安心して? 軽くビンタだけですませるから」
「軽くじゃないでしょ、貴方の場合は…」
その姫は体をん〜〜と伸ばし、笑顔を作りながら、ビンタの練習をしながら、ナギサに連れられて歩いてくる。
「さ〜てマッシュ君?――今度は、こっちの番だよ⭐︎」ゴリゴリッ
マッシュに救われた存在、聖園ミカが今……解き放たれた。
次回・マッシュ君にお説教物語り
お楽しみに……次回は多分、長いと思います
そしてミカさんだけじゃなくてアズサちゃんもお説教に参加します……ついでに後一人も。
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