それでは本線へ……どうぞ!
第一次エデン条約防衛戦、翌日。
「……空崎ヒナ、無理に動かずとも良いのだぞ?黙って眠っていた方がいいんじゃないか?」
「足は動かせるから大丈夫よ、腕に力が入らないけど」
「それは大丈夫とは言わないだろう」
「いや、お前達二人とも動くなと言われたはずだろう」
「ツルギさん、それは貴方も同じですよ……」
「皆さん、あんな怪我を負ったはずなのに何故当たり前のように動けるのですか?」
「サクラコさん、ツッコんではいけませんよ」
ゲヘナからは空崎ヒナ・羽沼マコト・天雨アコが、トリニティからは桐藤ナギサ・歌住サクラコ・剣先ツルギが集まり、マッシュの病室へと向かっている。
「……今の先生は、普通じゃない……このままだと本当に壊れてしまう」
「だからこそ、私たちが止めないといけないの」
「……あそこか」
「ちゃんと安静にしていると良いのですが」
「せずに無茶をして、ヒナ委員長を泣かせようものならば……その時は、相手が先生だろうと許しません!首輪をつけて風紀委員会で飼ってでも……!!」
「アコ、やめて」
「こちらです―――これは……!?先生は……!?」
部屋の前についた一同は驚愕した、それもそのはず……マッシュのいる部屋の扉には穴が空いており、ボロボロだったからだ。ツルギが急いで扉を蹴破り、全員が中に入る。
「先生!ご無事で………………………え?」
「……………は?」
「これは………ん?」
「な、な、な、なっ…!?」
「―――――――――」
「………ほ、ほう…」
「えぇ…と……?」
ナギサ達の目に入ってきたのは、ベットの上で寝ているマッシュ―――
「ぐぅ…zzzzz」
「スゥ…スゥ……」
「んへへ〜〜ナギちゃんってば〜……zz」
「……なんだ、この、状況は」
「先生の背にミカさんが、前にアズサさんが……?」
「――お……起きて、起きてください!!」ガバッ!!
何を想像したのか、薄く赤面したアコが大慌てで掛け布団をひったくる。布団がさらわれて、体が冷える違和感を感じたミカが目を覚まし、目をこすりながら起き上がる。
「んもぅなに〜?せっかく気持ちよく寝てたのに……………あれ、なんでみんなこんなとこにいるの?」
「それはこっちのセリフです!!ミカさん、一体何をされているのですか!?」
「朝から大声出さないでよ〜、先生が起きちゃうじゃん……………――先生?」
「…ン……?あれ…もう、朝……?」
「ンン…先生…寒い…」
「え……ああ、ご…ごめ…ん?」
固まるミカ、戸惑いながらも自分の体でアズサを温めるマッシュ。
「聖園……ミカッ!!」ガシッ!
「わっ!?な、なに…!?」
「―――先生を……よろしく頼む」
「待って待って待って待って!?」
「何も言わなくていい……先生が選んだ相手なら、大丈夫だ……グスッ」
「待ってって言ってるよね!?」
何を勘違いしたのかは知らないが、泣きながらミカを応援するツルギ。肩を揺らしながらも涙を堪えているのが、見ていて何とも痛々しい。そのすぐ後、ツルギとミカに被さる形でナギサが問答に参戦する。
「ト……トリニティ内での不埒な行為は許しませんよ!?」
「不埒って何さ不埒って!そもそもそれっぽいのもやってないし!」
「あ……あのクソボケ鈍感な先生を落とし込むだなんて……流石はティーパーティーと言えるでしょうね」
「堕としてないから!!ちょっと風紀委員長ちゃん!なんとか言ってよ!」
「………………え、なに?なんのこと?」
「この短時間の記憶を消した!?」
「まさかお二人がそのような関係だったとは……いえ、思えばこの関係は必然といえますね」
「必然でもなんでもないってば!」
誤解が誤解を招き大変なことになりかけているのでミカは焦りながら弁論、しかしみんな聞く耳を持っていないのでマッシュになんとかしてもらうように懇願。
「先生、先生からもなんとか言って!」
「なんとかと言われても…」
「ン………先生…どうしたの?」
「あっ、アズサちゃんおはよう」
「……そういえば何故ここにアズサさんが?」
「それはですね―」
マッシュが説明をしようとした瞬間、眠たそうにしながらアズサが口を動かし、マッシュの胸に寄りかかりながら爆弾発言を繰り出した。
「………先生、昨日はなかなか眠らせてくれなかったね」
『んっ!!?』
「アズサちゃん?何言ってるの?」
「先生に激しく抱きしめられた時は、びっくりした……ファァッ…」(マッシュが泣いている時に強く抱きしめただけです)
「アズサちゃん!?」
「人肌を肌で感じたのは久々だったし……うん、気持ちよかった……」(抱きつきあっただけです)
『きも、ち!?』
「アズサちゃぁぁぁぁぁん!!?」
「…………カオスですな」
その後、しばらく誤解を解くためにミカが必死になっていたため、逆に怪しまれ『嘘をつかなくてもいいんですよ?』とまでいわれ、ミカは別の意味で泣いてしまいそうになるのであった…。
「……つまりなんだ、私達が死ぬことを恐れ、あんな無茶をしていたの?」
「うす…」
「自分が酷い目に遭えば、私達は無事でいられるから……と?」
「う、うす…」
「そんな考えでヒナ委員長を泣かせたと?」
「ぅぅ…」
「え、えっと……その件は一応、解決したので………無かったことに」
『できるかぁ!!』
「ですよね…」
地面に正座し目を逸らし続けてるマッシュ、マコト達もマッシュの気持ちは理解できる。理解はするがそれでマッシュがどうなってもいいなんて思うはずもなかった。
「せめて一言相談して欲しかったです」
「すみません」
「先生が消えていいだなんて思うわけがありませんよ」
「ほんとすみません」
「ヒナ委員長を泣かせたこと、どう責任をとるおつもりですか?」
「本当にごめんなさい」(綺麗な土下座)
罪悪感が一気に表に出てきたマッシュは本気の土下座をナギサ達に行う、ヒナは泣きツルギは震えながらマッシュをじっとみている。過去の自分が目の前にいたらぶん殴ってやりたいと本気で思ったマッシュ。
「……全か個、どちらを助けるか聞いた時…あなたは両方を取りました」
「…はい」
「その中に先生は入っていなかったのですか?」
「しょ、正直に…言いますと……」
「そうですか……――本気のビンタを御所望なのですね」
(ひえ、ナギちゃんの真顔だ…こわぁ)
「……先生」
少し落ち着いたのか、ヒナが正座をしているマッシュに近づき腰を下ろす。そしてマッシュの目線を合わせ、両頬を手で触れる。
「どう…?」
「……暖かい…です」
「そうでしょ?………先生、私は先生の前からいなくなったりしないわ。絶対に……冷たくもならない、これは絶対よ」
「絶対…」
「そう、絶対……先生は私たちを信じてくれるのよね?――なら信じて、私たちはそうならないって」
「―信じる………」
マッシュは過去に何度も生徒達に、君たちのことは信じると言った……それは生徒達も同じこと、自分達は死なない、マッシュのせいで死んだりなんてしないと胸を張って言い、さらにそんな自分達の言うことを信じてくれと言った。
「……そうですよね、僕の……僕の大好きなみんなが、そんな簡単に…いなくなるわけありませんよね」
「そうそう、先生ってば心配性なんだから〜⭐︎」
「何でもかんでも、自分一人で解決すればいいやってちょっと思っちゃってました……ごめんなさい」
「分かればいい、次から、私たちを信じて……相談をしてくれればな」
「私は、何があっても先生の味方です……これを変えるつもりはありません」
「……みんな、ありがとう―次からはちゃんと、人に頼ることを…約束します」
過去の自分を深く反省し、次からはちゃんと誰かに頼ること、それを約束し………早速
「早速、頼ってもいいですか?――結構難しいことかもしれませんが」
『――勿論』
マッシュは仲間に、頼ってみることにした。
ナギサ達にあるお願い事をしたマッシュは、そのまま周りの言うことに従い休むことに。ミカは元いた場所へ帰って行き、アズサも準備があると言って帰っていった。
(もうみんなを悲しませるのは…ナンセンスだな、反省……超反省……それで…)
手を縮めたり広げたりしてマッシュは自分の体が今どれくらい動くのかを確かめる、毒によって痺れていた体はもうすでにほとんど動けており、筋肉も治りつつある。
(痛み自体も取れたわけじゃないけど、弱くなってきてるし……すごいな僕の体……――本当になんなんだろう、僕の体)
自分の体に少しの疑問を抱きつつも、マッシュは休息を取るため仮眠を取ろうとベットに潜り込む……そんな時、扉を誰かがノックするのが聞こえた。
「…ん? どうぞー?」
「――失礼します、せんせ……………………ぁぁ…」
「リンさん? どうしてこんなところに…」
マッシュの元に現れたのは、現時点での連邦生徒会のトップにしてマッシュの実質的な上司でもある七神リン。その顔は青く、生気もなかった。
「先生……お怪我は……いえ、聞くまでも…ありませんね」
「色々と面倒なことになってまして……それで、どうしてここに?」
「……先生がそのような目にあったと聞いて、居ても立ってもいられず……ここに」
「わざわざありがとうございます」
「……気にしないで…ください――その傷は、アリウスに?」
「僕用に作り出した兵器…と言うか毒?が結構効いちゃいまして、まあでも治ってきてるので安心してください」
「……………」
リンは黙りながらマッシュに近づく、近づいていくたびに、マッシュの体がどれほど変わってるのか見えてしまい、顔を顰める。
「あの…?」
「…………先生。もう、アリウスと関わるのはやめましょう」
「……え?」
「それにエデン条約も、先生は関わらないでください……あとは全て、私が引き受けますから」
「リ、リンさん?なんで急にそんなことを」
「先生はいつも通り、いつも通り…シュークリームを食べていてください………そ…そうです、仕事に関しても、全て、私が……」
「リンさん、ちょっと、様子が変です。一度落ち着いて『――私のせいで…!』…?」
リンは詰まっていたものを吐き出したかのような、そんな表情と声でマッシュに自分の想いを伝える、それは常々リンがマッシュに対して思っていたこと。
「私が、全てをあなたに頼ってしまったから、依存してしまったから……こんな、ことに……」
「……リンさん、それは違いますよ。ここまでになったのは僕の」
「先生のせいではありません……私が、先生に……マッシュ君に、頼りすぎていたのが原因なんです」
「頼りすぎていたの?」
「………マッシュ君がくる前、連邦生徒会長が突如いなくなった時……
突然いなくなったトップ。学園都市の混沌を防ぐためにも、冷静になるためにも、リンは代理を任された者として努力し、なんとかことを納めていた。
それでも日々増え続ける仕事に各学園からの様々な要望や提案、その他諸々がリンを何度も追い詰めていっていた……そんな場所に、マッシュが現れた。
「マッシュ君が現れ、キヴォトスの治安は格段に改善されました……我々の負担も、大きく減りました―――だからこそ、頼ってしまった……いえ、頼りきってしまったと言った方が良いでしょう」
「………」
「マッシュ君は強いのだから任せても平気だ、どんな難事件も任せていれば解決する、先生という役職に就いたのだから頑張ってもらうのは当たり前…………なんて、考えを……私は少し持ってしまっていたのです」
「…それは仕方ないというか、そこまで気にしなくても」
「その結果が今この状況なのです…!――私はあなたに全てを背負わせた、貴方の
リンはマッシュに頼り切りになっていたことに対してひどく後悔をしていた、マッシュがあまりにも強すぎるので、その力を依存してしまっていた…そしていつしかマッシュが先生であることしか頭に無く、マッシュが自分と同じ子供であることを忘れていた……それを、リンは後悔していた。
「…ナギサさんから話は聞きました、先生が自己犠牲は当たり前…そんな精神状態で今を生きていると」
「……」
「そんな、そんな考えをしてしまったのも、私が、私が…!!」
「それは…絶対に違いますよ。今回の件は、僕の勝手な思い込みと……おバカな行動のせいです」
「貴方をそうさせたのは私なのです………だから、だからマッシュ君…お願いです……どうか、どうかもうこんな目に遭わないでください…アリウスとの戦いからも…手も引いてください……――
私の前からいなくならないでください……もう、もう、知人が消えるのは……いや、なんです……」
尊敬していた、交友関係にあった連邦生徒会長が突然失踪した……その事実は今でも、リンの心に癒えぬ傷を残していた。自分を生徒だと、友達だと言ってくれたマッシュという知人がいなくなる……大切な人がいなくなること。リンは泣きながら、その場でそれを拒んでいた。
「だから、だから先生……どうか、どうか…!」
「――ごめんなさいリンさん、手を引くことは…できません」
「…みんなのハッピーエンドのためですか?」
「はい」
「全てのハッピーエンド……なら――ならば、何故!!その中に貴方が入っていないのですか!!」
「僕の幸せは、みんなの笑顔です」
「っ…そのためならば、貴方は…!」
「犠牲になってもいい……そう、少し前までは思ってました」
「………少し前まで…は?」
「ええ――バカだなーって、今なら思います」
マッシュは泣いているリンのメガネを取り、手で、その涙を拭う。そして優しく、囁くようにリンに伝える。
「僕は元の世界で、優しくて頼れる大人っていうのを…じいちゃん以外知りませんでした。…だから、少し前に別世界に行った時は結構驚いて、これが本当の大人なんだ……っと思って、そんな大人になろうと僕はしていた」
「貴方は…」
「そう、子供です……子供だったんです。僕は大人になろうとした…でもそれは、間違いでした」
マッシュは自分の手を見せながら呟く、それはマッシュがここで先生をやっていくと決めた時に決めた…ある事だった。
「他の大人達とは違う、生徒達と同じ目線に立っている子供としての先生……それでやっていくってことを、僕は忘れていた」
「同じ……視点」
「頼れる
「…マッシュ……君」
「自己犠牲………その考えは、もうやめです」
マッシュは明るく、元気に……いつものような顔と態度で、改めて誓った。その時のマッシュは先生では無く、一人の子供として、人間として誓っていた。
「自己犠牲が正しいことだ、なんてもう思いません。僕がひどい目にあう……それもやめです、酷い目にあわないように抵抗しまくって、元気な姿をみんなに見せる…これこそ、僕の誓いです」
「…………っ」
「そしてどんなに強い相手が来ようと、どんなに厳しい状況になろうと……僕のこの、筋肉で全て解決する――これも誓いです」
「筋肉…ふ、ふふっ、そう…ですね――マッシュ君の筋肉は…すごいですものね………今回が特別なだけであって……普通なら、負けるわけが…ありませんね」
「そうですそうです、だから……リンさん、もう自分を責めないでください。リンさんはリンさんらしく、いつのもように
ファイティングポーズをとりながらそういうマッシュ、そんないつもの感じのマッシュにリンは安堵し、笑みと涙をこぼす。
少しした後、リンはいつものようにメガネをつけ……いつものように、マッシュに指示を出す。
「マッシュ…先生、皆にハッピーエンドを見せてあげてください……どうか、お願いします」
「合点承知、シュークリーム&筋肉パワー、見せてやりましょう」フンス
いつもの調子を、ギャグ寄りな自分を取り戻したマッシュ………自分らしく、子供らしくマッシュは、何がなんでもみんなを助ける――そう、新たに誓ったのであった。
マッシュの本音騒動、リンの本音騒動、これらが終えた日の翌日、ゲヘナとトリニティが色々と立て込み、重役達が今後について会議をしている中
ガツガツガツモグモグモグモグモグモグッ!!
「―ゴクンッ、久々のシュークリームは格別ですな」
「何故……何故、毒に侵されているはずなのに…そこまでの食欲が?」
「そもそも傷跡がほとんどなくなっていて……右腕にしか傷が無いのは……どうして……?」
「長年ここに勤め、多くの患者を見てきましたが……先生のような驚異的な回復能力を持っている方はツルギさん以来です」
「少し……いえ、かなり興味がありますね……少し調べさせてもらっても?」(メスを持ちながら)
「ごめん、そもそも刃が通らないから調べられないと思う」
「そうですか…………刃が通らない?」
マッシュは病室で100個ぐらいのシュークリームを食べまくっていた、毒によって体が動かず、さらに前の件(マッシュメンタル問題)のせいで食欲が無かったため、しばらくシュークリームは食べていなかった……その反動が今、現れている。
そんなマッシュに対し医療班の大半はドン引き、マッシュの容態を聞き『救護!』と走ってきた救護騎士団団長・
「まあ僕ってギャグ世界の住人だし」
「先生メタいです」
「シュークリームと筋トレをしたら、傷なんてすぐに塞がりますよ…美味しい」
「そんな何処ぞの異常筋肉囚人*1みたいな……」
「そもそも胃袋もおかしくないですか?」
「お腹がぷっくら膨れても、そのうち元に戻りますよ。ゴムみたいに」
「今度は某海賊船の船長*2みたいな……って、なんかギャグが渋滞していませんか?」
「いつもの僕が帰ってきた証拠ですよ、モグモグ……美味」
ネタの渋滞、これぞマッシュの天然ボケ……やっと、本来のマッシュが帰ってきたのだ。これぞ王道、これぞ元のマッシュだ。
「ごちそうさまでした………よしっ」(早着替えを行いトレーニー姿になる)
「よしじゃありませんが!?」
「今どうやって着替えました!?」
「あの!点滴は取れてもまだ安静にしていないとダメなはずなのですが!?」
「いやぁ、我慢できなくて……大丈夫です、すぐに戻ってきますから」
「行かせませんよ?」
「治りたての体で筋トレなんてさせません!何がなんでも止めさせてもらいます!」(盾と銃を構えながら)
そういいミネとセナがベット上でトレーニーに着替え、立とうとしているマッシュを止めようと動く。マッシュは少し待った後
「―フンッ」ピョン!
「―んなっ」
「す、座っている状態で跳躍を*3!?」
「セイッ――行ってきます」
「そのまま天井に握力だけで捕まり、外へ!?」
(――あれが、ミカさんやツルギさんとも渡り合った実力者………侮れませんね)
「……ここの部屋ってかなりの高さがありますよね?」
「多分、着地音が聞こえたので無事かと……」
その後、見舞いにやってきたハナコが怒っていたのは、また別のお話である。
(――久々のランニングは気持ちよかったな、プロテインも美味しい……いつの間にかトリニティ学園を50周ぐらいしちゃってたし、やっぱり筋トレは楽しいや………ここに来るのも久々だ)
病室から抜け出し、久々のランニングを楽しみ、いつの間にかトリニティの学園を軽く50周していたマッシュ。気づけば体育館の方へと足を運んでいて、少し懐かしさを感じていた。
(ミカさんと戦って、体育館を壊しまくったっけ………あの後の工事は大変だったな、力加減をミスってミカさんが釘ごと木材を壊した時は本当に悩んだ)
ミカとの本気バトルで壊してしまった体育館、今はもうほとんど直っているが、当初は廃墟レベルにボロボロだった……そんな状態から数時間で元に戻したマッシュとミカは、やはり異常である。
(……思えばあの出来事から、あんな考えが強まったんだっけ……)
マッシュはミカの本音を聞かされた日のことを思い出しながら、体育館の方へと近づいてゆく……すると中から何やら騒がしい音が聞こえ、気になってこっそりと覗く……
「はいおまち、どんどん食べな!」
「ありがとうございます!」
「甘味が……甘味が染みる……」
「………子供っぽいとか言ったこと、今でも後悔していますわ」
「美味い……美味い!!」
「甘い!」
「………おお」
中で見たのは、ゲヘナとトリニティの生徒達、それもいわゆるモブ生徒達が、仲良くシュークリームを食べている、そんな光景が広がっていた。よく見たらシュークリームクラブの面々と、シュークリームクラブの雇い主であるロボ店長が働いていた。
「にしても……すごいですね店長、まさか無償でみんなにシュークリームを配るだなんて」
「あんなことがあった後だもんな……きっとみんな、暗ーい顔をしてんじゃないかと思ってな、思い切ってみた」
「最初はあーだこーだ言ってた奴らが、今は一緒にシュークリームを食べながらだべっている……すげぇなほんとに」
「同じ正実のみんなも、ゲヘナの風紀委員会や万魔殿のみんなと仲良くシュークリームを食べてますし……あのお嬢様気質な人たちも、ゲヘナのみんなと普通に楽しんでいますね!」
「シュークリームってすげぇ……」
「暗い気持ちになっていたところを、店長が現れてこれを配っていったんだ……見返りもないただの善意でだ、こうなるのは必然だな」
「こんな光景滅多にみられない……というか、この先絶対に見られないと思っていたから、信じられないっすね」
「だな〜」
調印式の一件で、ゲヘナとトリニティの生徒達の気分が落ち込み、互いにピリピリしていた所に突如として現れたロボ店長。店長はあんな事があって大変だっただろう?今はゆっくり休みなさい……の意味も込めて、なんとシュークリームを無料配布していた。
そしてそのシュークリームが好評だったのか、鬱屈とした場の雰囲気はどこかへ吹き飛んでいた……ある意味、本来の意味でのエデン条約は既に締結されていたのかもしれない。
マッシュはこっそり侵入し、店長達の声が聞こえるまでの距離まで近づく。
「でも店長、どうしてまたこんなことを?」
「……そうだなぁ、俺は見ての通りロボットだ、みんなみたいなヘイローもなければ、あの先生みたいなとんでもない力も持っていない……言ってしまえば役立たずって奴だ」
「店長、役立たずってことは…」
「けどな、そんな役立たずの俺でもやれる事はある……こうやって、みんなに食い物を届けるとかな…―それにさ…あの先生…マッシュ先生は、まだ子供だ……その子供があそこまで頑張ってるのに、大人である俺が黙ってることなんてできないからな」
(…………店長)
「この世界の大人はまあはっきり言って腐ってる……だからせめて、俺ぐらいはちゃんとしてねえと! そう思ったらさ…ハハっ、体が勝手に動いちまった」
(…………………)
店長はそう軽く笑いながら、手を動かし、どんどんシュークリームを作っていく。そして大声で
「おーーい!まだたくさんあるから、食べたかったらおいで!」
『ありがとうございまぁぁぁぁす!!』
「――やっぱこれだな、俺の給料は…おーしみんな!ガンガン作ってくぞー?」
『おおー!!!』
マッシュはこっそりと体育館から離れると、隠し持っていたシュークリームを取り出し食べながら、空を見た。
「…思えば柴大将も頼れる大人だったし、店長も頼れるいい人だった……見えてなかったなぁ僕」
悪い大人ばかりではない、マッシュは生徒達を信じるとずっと前に誓っていたが、それだけでは足りないなと思い始めていた。
「大人も子供も、両方信じますか」
マッシュはそう決め、元いた場所へと向かって走り出したのであった。
「先生……少し、お時間いただけますか?」
「ヒェッ」
その後、ハナコに怒られたのは…内緒である。
はい本編がマッシュル風味になりつつあるので、ここでふざけます。
アスナさんのメモロビを見せた、妹先生と弟先生の反応は
弟『俺が、俺が、俺が守らねば!!』
妹『………‥おっきいわんちゃん?』
でした、二人とも新鮮な表情を見せてくれるので超嬉しいです、近いうちに他生徒達のメモロビも見せていくのですが、誰がいいですかね? 未所持な生徒達を見たいって言っているので、私の端末で見せます。
さあそろそろいつものギャグに戻って行きますよー?後半からはまたちょっとシリアスに戻りますが、スカッと成分多めで行きます。これからもどうぞよろしくお願いします。
最後に!!遅れて!!申し訳ありませんでした!!
百花繚乱後に見たい話
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まだ交流がない生徒との話
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アイデェア箱から選んだお話
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ラビット2章
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愛が重い生徒との話