次回、いよいよ……いよいよ前半クライマックスです。お楽しみに…
それでは本編へ、どうぞ!!
「今宵、全てが決まる」
トリニティ郊外・廃墟
一つの軍隊のように列を作り、それぞれの銃、装備を手にして並んでいる集団…アリウス分校
その前に立つはアリウス・スクワッド……そして言葉を告げているのはそのリーダー、錠前サオリ。
「ゲヘナ、トリニティ共に戦力は衰えておらず、むしろ今回の件で互いに力を上げたであろう……ゲヘナ風紀委員長も、正義実現委員会・委員長も健在だ――私への怒りを燃やしてな」
帽子を深く被り、そう言うサオリ。それを聞きアリウス生徒達は顔には出さないが不安になる、双方の最強戦力が健在なのだ……不安になるに決まっている。
「……しかしだ」
けれど彼女らは止まることを許されていない、最後まで足掻け……いや、働け、それが彼女の命令。
「シャーレの先生は毒に侵され、今頃瀕死になっているはずだ……肉体を破壊する、そんなものを食らって無事でいられるわけがない――つまり、使徒に対抗する手段は消えている。今の我々に負けはない」
スクワッド全員がそれぞれ武器を手に取り、アリウスの緊迫感は最高潮。
「どうせ捕まって仕舞えば、私達は終わりだ……あの先生に手を出した時点で……我々に命はない――ならばせめて……最後の最後まで…アリウスらしく生きよう」
前に、前に進み……戦列の後ろへと周り、銃を掲げ告げる。
「―忘れるな、Vanitas vanitatum, et omnia vanitas……」
『全ては……虚しい』
「……それでいい――アリウス分校…行くぞ」
その場にいる全員の思いが一致し、その言葉に同意するように声を出し、それぞれの部隊のリーダーについてゆく。
全てはアリウスのために、過去への決別のために。
―――――――――――――――――――――
「―アズサちゃんがいない?」
「そ、そうなの!なんなら、ヒフミもいないし…」
「アズサちゃん……まさか、一人で……」
同時刻、日が上りそうになっているその時間……アズサとヒフミが学園からいなくなっていた。置き手紙も何も無しで…である。
「……二人とも、ナギサさんとマコトさんに伝えておいて欲しいんだ―『お願いしたことは、予定通りに』って」
「先生はどこに行く気なの…?」
「二人を追いかけるよ……多分、行き先は調印式の会場だった場所だ」
「まさか―アリウスと?」
「な、なんでよ、なんでまた一人で…!」
「何か考えがあるんだろうけど……きっと、僕がみんなにお願いごとをした内容を知ったから…かなぁ」
「お願い…?」
「うん」
マッシュが二つの学園の重役達にお願いしたもの……それは、マッシュにとって一番大事であり一番重要なこと、そのためにここまで頑張ってきたこと……それは。
「ゲヘナ生とトリニティ生が協力してアリウス生を止める…そして止めた後のアリウス生達をシャーレで預かる…って言う約束」
『!?』
それは、あまりにも思い切りが良すぎて、あまりにも世間からの風当たりが台風な事が確定しているお願いごと……はっきり言おう、無茶がすぎる。
「あ、アリウスをシャーレで預かるって―正気!?」
「先生…それは、世間から見てみれば―『二つの学園を消そうとしたテロリストを匿い擁護する』と言った見方になってしまいますよ?」
「そのつもりだよ」
「罪人を匿うと言うことはつまり――先生自身も罪人になってしまうのですよ?」
「それでも構わないよ……僕はあの子達に普通の暮らしをさせてあげたいだけだから。あの子達にだって、罪を償えるチャンスぐらいはあっていいはずだ」
兵器として利用され、利用価値がなくなったら捨てられ、見捨てられる……まともな食事や生活もできず、感情を殺し道具になりつづける――そんな生活を誰が擁護できようか。
「それにほら、僕もうワカモさ―ちゃんをシャーレに引き込んでるし」
「ワカモって――災厄の狐の!?」
「いつのまに……あーいえ…確かに、先生の看病に何回も来てましたね…」
「リンさんにもお願いしてるから、なんとかなるよ。頭抱えてたけど」
「そりゃそうよ………あ、あのね、先生…」
「ん?」
コハルはマッシュの体を見ながら、あることを告げる。今回のお願いを聞いて改めてマッシュに聞いておきたい事があったからだ。
「アリウスは…先生に酷いことばっかり言って、殺そうとしてるって…聞いたの……そんな人たちに対して、何も思わないの?」
「……まあ、確かに命を狙われて、色々言われちゃってちょっとショックだったけど、慣れちゃってるからそこまで引きずらなかったな」
(……慣れている?)
「あの子達は知らないんだ、幸せを、幸福を…生きる意味を――そんなの放って置けない」
「…凄いわね…先生は――私は、きっと無理……私って弱いし……おバカだし」
「おバカなのは僕もだよ、それにコハルちゃんは弱くないよ」
「え……でも」
「力っていうのは、戦闘能力だけってことじゃないんだ。人にはそれぞれ、いろんな力があるからね」
「いろんな力…」
マッシュは腕を出し力を入れて力瘤を作る、それをコハルに見せながら言葉を発していく(エッチなのはダメ!死刑!と言おうとしたが流石に我慢した)。
「僕の代表的な強さはこの肉体、ハナコちゃんは頭脳と優しさ、あ、あと面倒見の良さとカウンセリング力の高さと『先生、一度、一度やめましょう…!』
あ、ごめんごめん……アズサちゃんはトラップを仕掛けたり作戦を練ったりする器用さ、ヒフミちゃんは言わずもがな行動力と王道精神……それで、コハルちゃんはその正義感と努力、それから…僕を止めてくれた思い」
「!」
「ね?いっぱいあるでしょ、だからコハルちゃんはコハルちゃんの強さに自信を持っていいんだ。手を差し伸ばす時も……下手な理由なんていらない、ただ助けたいから助ける―それでいいんだ」
「助けたいから…助ける」
「僕の場合はほら、考えるよりも先に体が動いちゃう脳筋タイプだし、僕の感性が他の人と比べて明らかに違うのは…うん、仕方ない」
そう言ってマッシュは準備を始める、プロテウスも忘れずに服の中に入れ、念のためシュークリームも入れ、すぐに準備は終わった。
「それじゃあ、行ってくるよ」
「……先生…私はどうすれば…良いのでしょうか。友達は助けたいです……しかし…それはアリウスを助けることになってしまいます――貴方を傷つけ殺害しようとしている…アリウスを」
「それは……個人の自由だよ、どっちに行っても僕は責めないから」
「…………」
「―2人とも安心して、僕はもう二度とああはならないし、自己犠牲もしないから……それでは」
早速と、その場を去っていくマッシュ。ポツンと取り残されたコハルとハナコはいろんな感情が芽生え複雑そうな顔を浮かべていた。
「……かないませんね…マッシュ君には」
「…………………っ」
―――――――――――――――――――――
「―離してくれ、ヒフミ……ここからは危険だ」
「いやです、離したら…離したらアズサちゃんが危ない目に遭うんです!」
「危ない目に遭うのはみんな一緒だ……だから、そうなる前に…」
「ですからせめて、協力者を」
「これは…アリウスにいた私の問題でもあるんだ……だから、お願い」
「アズサちゃん…」
調印式の会場へと続く道、そこでアズサとヒフミが言い争っていた。アズサはマッシュのお願いを聞いた後、準備を整え調印式の会場へと足を運ぼうとしていた、理由は単純……マッシュがお願いした内容を皆に伝え、戦闘が行われないようにするためだ。
しかし今のアリウスがアズサの話を聞くかと言われると、難しいし危険……なのでヒフミは、全力で止めていた。
「やっと手に入れた楽しい場所…友達……もうみんなに傷ついてほしくないんだ」
「……」
「先生にはああ言ったけど……やっぱり私が、こうしないとダメなんだ――ありがとうヒフミ、海や、ペロロ様……楽しいことをいっぱい教えてくれて…本当に、ありがとう」
マッシュに自己犠牲はしないでくれと言ったものの、アズサ自身アリウスを止めたいと思う気持ちは止まらなくなっており、スクワッド達の罪も背負おうとしている………それを
ヒフミは認めない。
「………か」
「…?」
「アズサちゃんの―――バカっ!!!」(強めのタックル)
「ウベゥ!?」
アズサはヒフミのタックルを喰らい後ろに倒れる、ヒフミはそんなアズサの上に座るような体勢になり必死に訴える。
「私だって、誰にも傷ついてほしくありません!―だから、だから止めてるんです、アズサちゃんを!!」
「ヒフミ……」
「……この件が終わって、アズサちゃんがアリウスの生徒として、周りから冷たい目で見られても…私はアズサちゃんの親友です!大好きな人なんです!」
「――ッ」
「だから、いくなら、私も連れて行ってください……証明します―貴方は、1人じゃないって!」
「でも……でも、それでも…2人じゃ…」
アズサが泣きそうになりながらそう言った時
『話は聞かせてもらったぜ、お二人さん!!』
「……この声は…」
一つの声がした、ちょうど2人が争っていた所よりも少し前方……そこに
「2人の身柄は……私らが守ってやる!」(大泣き)
「ギャン泣きしてる…!?」
「気にするな、全員花粉症なだけだ」(大泣き)
「友情まじ尊い…」(大泣き)
「命張る理由ができました」(大泣き)
「グスッ――フハハハ!2人とももう安心だ……何故って? 我々が来たからだ!!」
武器とシュークリームの仮面(シュークリームカップル団の仮面)を手にしたままドーーン!と現れた放課後シュークリームクラブ、2人の会話を聞いて泣いていたのは秘密。
「ど、どうしてみんなまで」
「決まってんだろ、私らと2人が……――シュー友だからだ!」ドンッ!
『……シュー友?』
「そう!同じシュークリームを食べた友達……それでシュー友!――私らが作ったシュークリームを食べてくれた、それだけで私らはもう繋がってんだ……気持ち悪いかもしれないけどよ」
「トリニティも、ゲヘナも、関係ありません……アズサちゃんがアリウスの出身であろうとも!」
「と、友達をしているのにそんなの…関係ない!」
「友達のピンチに駆けつけない奴は、いないだろ?」
「だから、2人は何がなんでも守ってやるっす――シュークリームカップル団の一員としても!」
『そうそう!!』
「みんな……ん?」
「皆さん…………あれ……あの、シュークリームカップル団って…」
『…………あっ』
何故かキヴォトスで有名になっていたシュークリームカップル団、それの一員だと…今、いい話の中で明かしてしまったシュークリームクラブ。
「や、やば、ど、どうする!?」
「ど、どうするって言っても……」
「―――皆さん」
「わ、悪いヒフミ!今回の件は無かったこと………っ!その仮面は!?」
「ヒフミ…?その、変なシュークリームの仮面はなんだ?」
「……手を貸してください、皆さん……―いえ、シュークリームカップル団の皆さん!」カポッ!
「シューちゃん仮面、しかもそのリボンの柄は………間違いない…そうか、そうか!貴方こそ、先生から聞いていた!」
『副リーダーの、シューちゃん!!』
「え、な、なんのことだ?」
「そうです!」
「ヒフミ!?」
「――アリウスの皆さんに見せてやりましょう、シュークリームと…友情の、力を!!」
『おおー!!!』
「お、おー…?」
困惑しながらも、仲間や友達に囲まれて嬉しいアズサ……本当に困惑しているが。怖い気持ちや不安な気持ちは今……もうない。
アズサ達は調印式の会場へと、向かって行ったのであった。
虚しい思い、悲しい結末、燃え盛る怒りに晴れることのない暗い気持ち………そんなもの、そんな負のエネルギーなんて
力づくで、ひっくり返す。
「アロナちゃん……力を貸して欲しいんだ…僕がまたああならないために」
『お任せください…! このアロナ、先生のために一肌脱ぎます!』
次回、いよいよ例の宣言が現れます……来ちゃいましたねここまで。
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