今回ツッコミどころがありますが……まあマッシュくんだしな〜と思いながらご覧ください。それでは本編へ…どうぞ!
「はぁ、ハァ……う、ぐッ――」
「リーダー」
「さ、サオリさん……」
古聖堂地下――カタコンベの入り口となるその場所は、天然の鍾乳洞の様な形をしていた。肌寒く、薄暗い地下を歩くスクワッドの面々。サオリは青痣と血が滲む剥き出しの腹部を抑えながら、苦し気に息を吐き出した。
「リーダー、少し手当した方が良い、そのままだと……」
「大丈夫、だ……この程度――」
心配げに此方を覗き込む二人に向け、軽く首を横に振って見せる。時間も猶予もないそんな状況というのもあるが…サオリの脳には、ある一つの声がずっと響いていた。
そうです、その程度の傷、何ともありません……動きなさい、止まることは許しません……止まらず、その手で――あの男を抹殺するのです。……私の力を貴方に貸し与えましょう―──確実に、その男を殺しなさい。
「―はい……マダム」
「マダム…?」
「や、やっぱりサオリさん、マダムに何か…!」
「―見つけた!」
「……追って来たか、アズサ……!」
「私だけじゃない……!」
「どうも」
「―マッシュ…バーンデッド!」
「サオリさん――もうやめよう」
「黙れ……貴様の声は、もう…届かない!」
「サオリ…」
脳にずっと、マダムに声が響いているサオリ。その目はもうマッシュしか見えていなかった、殺意と憎悪がこもった目をしながら銃口を向ける。銃の中に入っているのは対先生用の弾薬……もちろん、例の毒も入っている。
そしてサオリはマダムに何かされたのか、力が上がっていた。
「マッシュ―バーンデッドォォ!!」
(様子がおかしすぎる、絶対に何か…ある)
「お前さえいなければ―お前さえ、光を見せなければぁぁ!!」
サオリはその身に叩き込まれた格闘術でマッシュへと攻撃していく、いずれもマッシュの体勢を崩そうとするものばかり、けれどマッシュはその攻撃を右腕左腕と次々に防いでいく。
「ハァッ!!」
「おわ」
「先生!」
「消えろ…マッシュ・バーンデッド!」
足払いでマッシュの体制を崩したサオリは、アリウス製アサルトライフルを至近距離から撃つ、これで目の前にいる男にダメージを……と思っていたが、ここで予想外の事態が起きる。
カンッ!
(弾かれ…た、だと!?)
「うわすご……本当に弾けるんだ」
『シッテムの箱が持つ最強の防衛システム…その名もアロナバリア! これがあれば先生は負けません……えっへん!』
(シッテムの箱――っ、今まで使ってこなかったら…忘れていた!)
「アロナちゃんに頼るのも大事だって気づいてよかった――フンッ」
「っ!」
アロナバリア、どんな仕組みかはわからないが、シッテムの箱が持つ最強の防衛システム。それは銃弾を弾くほどには強力であり、これでマッシュを守った。
今まで使ってこなかったのは、マッシュがアロナを"生徒の一人"と認識しており、先生として頼るわけにはいかない、と思っていたからである。
マッシュはサオリの武器に向かって拳を振るい、一撃で破壊。破壊した瞬間、弾薬が飛び出してくるがそれらも全てバリアで防いだ。
「くっ…!」
『先生、アロナバリアはそこまで長くは持ちません‼ ―と、というか、先生の体が強すぎてバリア自体がおかしくなっていて、えーと』
「大丈夫、さっきのを守ってくれただけでも大助かりだよ」
『―え…えへへ〜』
「あとは、僕が頑張るよ」
サオリは対先生用ナイフを使いマッシュを攻撃、確実に急所を狙ってへの攻撃を突き出す。しかし、あまりにもわかりやすすぎる攻撃の連続に、マッシュはサオリの戦闘方法が急に変わっていたことに気づく。
「――お前じゃない……幸せに…幸福に…光に当てられ続けるのは―お前じゃないんだ!」
「光はいらないって、言ってませんでしたか?」
「闇に、ずっと暗闇に、苦しみに生きてきた私達こそ―私達こそ!!」
「闇にいようが光にいようが、生きる価値も、幸せになる価値もある――よっぽどの極悪人じゃない限りね」
「そんな子供のような意見が、罷り通るとでも思っているのか!!」
「子供の意見だよ、僕は君たちと同じ子供だ――だからこそ」
マッシュはサオリの腹に蹴りを入れ、前のめりになったところにすかさず拳を顔面に叩き込む、本気で止めるため、本気で目を覚まさせるため、容赦はできない。
「ガハッ…―…っ…」
「だからこそ向き合わないとダメなんだ、君達と」
「愛されたことしかない……お前に…どう向き合えというのだ………怒られたことしかない…私達が………マダムは絶対なんだ……間違ったことは…言っていない――どんなことをしても…正しいんだ……」
「…じいちゃんは僕が間違っている時は怒ってくれる、僕もじいちゃんが間違ったことをしたら怒る、そうやってお互い――『わからないさ』…」
「……何もしなくても、血が繋がっていなくとも、周りに……愛されてきた…お前に……無条件で愛されてきたお前には、わからない!!」ダッ!
サオリはナイフをマッシュの心臓へ向け、足が壊れてもおかしくない勢いで走り出し、距離を一気に詰める。サオリは避けられて反撃されても構わないつもりだった。文字通りの特攻だ。
グサッ!!
「――――――ぇ?」
「せ―先生!?」
「あいつ、何して…心臓……なんだよ? その位置!」
「避けもせず、防ごうともせず、受ける…なんて?!」
「マッシュ‼ な、なにを…‼?」
「…………」
マッシュはサオリのナイフをモロに受けた、避けもせず、防ぐこともせず、むしろ受け入れるかのように、心臓へのナイフを喰らった。
しかしナイフは心臓へは届いておらず、寸前で止まっていた……マッシュの胸筋が硬すぎて、刺さっているのもナイフの半分くらいだ。
本来であれば、この程度のナマクラな刀身がマッシュの筋肉に刺さることはない──だが、サオリの渾身の力──"マダム"とやらが何か細工したのかはわからないが──、その謎の力と足の勢いにより、刺さってしまった。
「やっぱり変な力が流れてる……原因はそれか」
「お…まえは……なにを…したのか…わかっているのか、心臓だぞ――心臓だ! ほんの小さな穴でも空いて仕舞えば死ぬ!そんな…そんな場所だぞ?!」
「だね」
「なぜ、なぜうけた、避けなかった!―死ぬんだぞ、毒が、心臓に、まわれば!!」
「あ、その点はご安心を……筋力で毒は止めれるので」
(そんなわけなくない…?)
「だと、しても…!」
死ぬかもしれないのに、マッシュはサオリの攻撃を受けた、何の意図があるかとわからずただただ困惑していた…その時、またもやサオリの脳に声が流れる。
―よくやりましたねサオリ!―さあ、そのままそのナイフを押し込むのです、その男の心臓を…!!!!
「ぁ…ぅ…」
―何を躊躇っているのです……相手は悪人、貴女達を苦しめるだけの存在、肉体以外に価値などないのです…さあ……さあ…!……さあ!!
「ぅ…ぃ…!」
サオリの手に力が入り始める、頭に激痛が走りながらも、サオリはその手を動かす……まるで中から締め付けられているような、頭蓋骨に直接ダメージを与えられているような、そんな痛みがどんどん増していく。
―役に立ちなさい、貴女はそのためだけに生まれてきたのです…貴女にそれ以上の価値はもうない―さあ、さあ!!今こそ、恩を返す時…!――サオリ、さあ……さあ早く!!
「――ぁ………ぃ………すべ…ては……マダムの―」
マダム……ベアトリーチェの声が響き、サオリが苦しそうにしていたその時――
「…ぁ………ぇ…?」
「落ち着いて、ゆっくり、深呼吸」
マッシュがサオリを抱きしめた、心臓にナイフが刺さっているその状態で、顔色を変えず……優しく、優しく、自分の手をサオリの首に回して、ハグをする。
「な……ン…デ?」
「……そんな状態の君を放って置けるわけないよ」
「――ハナセ…そう、そウ、シナなければ…オ前は!!」
―何しているのですかサオリ!! 誰が手を止めていいと言いましたか?! 止めてはなりません!! 貴女は私のいうことを、ただただ聞いている兵器であれば――
「おい」
―っ!?
「ちょっと…黙ってろ、何を言ってるのかはわからないけど……さっきからお前が何か言っているのは分かる」
―こいつ…まさか、見抜いて…!?
「この声があなたに聞こえているかはわからないし、聞いているのかどうかは知らないけど……言わせてもらう」
マッシュはサオリの後頭部を右手で押さえ、はっきりと、怒りを込めた声でつげる。
「サオリさんの体はサオリさんの物だ……お前なんかが細工していいものじゃ無い……出て行け、サオリの体から」
「……まっ…しゅ……」
――私のパーツの分際で…!……仕方ありません……今回は…引きましょう……次はありませんよ―贄めが!
サオリの体から赤い光のようなものが現れ、それらが分散、サオリは力が抜けたようで、完全にマッシュへと体を委ねる。
「サオリさん」
「…はっ…ぁ……ぃ…ぁ…」
「リーダー!」
「サオリさん!」
「サオリ、マッシュ!」
一連の流れを見ていたアズサ達はマッシュとサオリの元へと駆け寄る、マッシュはサオリを自分の肉体で支えながら、呼びかける。
「サオリさん」
「……殺そうとした相手にも敬語…なのか」
「もう戦ってないじゃ無いですか、戦い以外なら、僕は敬語を使いますよ」
「リーダー、リーダーしっかり!」
「うわぁぁぁぁぁん!しんじゃ!いやですうまぅぅ!!!」
「っ物騒なこと言わないで、この!」
「うわぁぁ!!ミサキさんに叩かれましたぁぁ!」
「こ…ら……喧嘩するんじゃ…無い……」
「……サオリ、もう、わかってるんじゃ無いのか?」
「………私は」
「――もうやめよう、サオリ」
『――っ!?』
「…アツコちゃんが…喋った…?」
スッと現れたのはボロボロ状態のアツコ、サオリによって隠されていたが、今、その姿を表した……その顔と、声を出して。
「ッ、姫!?」
「ひ、姫ちゃん……!?」
「だ、駄目だ、姫! 喋ると、彼女が――ッ!」
「大丈夫…もう、全部終わりだから」
「……終わり? 姫、それは、どういう――」
「どちらにせよ、彼女は私を生かしておくつもりは無いと思う、だから……もう良いの…もう、やめようサオリ」
「……やめる、って」
「もう戦うのは――苦しむのはやめよう……先生を、頼ろうよ」
「……………でも…」
それは、主人からの命令に背く行為。他ならぬ彼女からそんな言葉が出て来るとは思っていなかったサオリは、アツコの言葉に表情を歪めながら問いかける。
「やめて、どうする? アリウスに帰還するとでも云うのか……?」
「こ、こんな状況で帰還しても、きっと……」
「殺されるだろうね、私達は……まぁ、別にそれで良いけれど」
サオリの言葉に同調するミサキ、そしてヒヨリ。彼女達は知っている、任務を果たせなかった者の末路……つまりは、惨たらしい死が待っているということを。
「だから、皆で逃げよう……一緒に」
「………」
「え……?」
「に、げる――?」
「……逃げるって――一体、何処に?」
「何処でも、アリウスじゃない、何処かに」
「……私達だけで?」
「うん、私達四人で」
「物資も、伝手も無いのに?」
「うん、でもきっと何とかなるよ、そういう生活には子どもの頃から慣れているでしょう?」
「それは……」
「ウチにおいでよ、みんな……暖かく迎えるからさ」
マッシュはサオリを支えながら、アリウススクワッドにそう言う……もう嘘では無いと、戯言では無いと皆はわかっている――だけど受け入れるのは難しい。
「……お前が…羨ましかったんだ」
「…サオリ」
「光に当てられて、笑顔になったお前が………同時に…嫉妬したんだ……そこに私達がいたならばと」
「………」
「……私では教えられなかったことを、さまざまなことを…お前はアズサに教えた…笑顔をさせた――それが…堪らなく…悔しかった」
「…うん」
「家族であるはずの私が出来ないことを、お前はやってのけた――アズサが、私の元から離れて行ったのだと思うと…思うと…!」
サオリは片腕で自分の目を押さえながら、涙を流した……マッシュが見る、サオリの初めての涙。
「家族を取られたのだと思うと、嫌だった、悲しかった…受け入れたくなかった!!――アズサは私の、私の家族なんだ! それを何処の馬の骨ともから無い奴に……取られるのは……嫌だった…!」
「サオリ…姐…」
「それが、アズサにとっての幸せなのはわかっている! でも認められるわけがない……私達が間違っていて、そちらが正しいなんて…思いたく無かったんだ…!」
「………」
「アズサは…お前にも……トリニティにも愛されていた……私達だって……私だって……ただ…本当に――誰かに愛されたかったんだ!」
涙目でそう訴えるサオリ……サオリは愛されたかった、自分だけじゃなくみんなも、他に愛されて欲しかった……しかし全ては虚しいと思い込まなければ苦しみが増えていく……なので、その思いを、必死に堪えていた。
でももう限界だった………サオリは、もう、何もかもが嫌になっていた。
「……こんなことを言ってもお前には、関係のないことだった…な………敵同士…なのだから…」
「…サオリさん」
「……同情か…それとも、私を哀れんでいるのか…?」
「僕のじいちゃんは、間違っている時は間違ってるって教えてくれた、それと同時に許してもくれた……だから、はい」
マッシュはサオリの手を優しく握り、もう片方の手で目の涙を拭う、そして、過去に自分が祖父にやられた時のような優しい声と、態度で
「仲直り……それから、今までよく、頑張ったね」
「――あた……たかいなぁ……お前の…腕は………ぅ……ぅぅぅぅぅ…!」
「リーダーが……泣いてる…」
「……最近は見てなかったので、新鮮ですね…」
「………アズサ」
「…姫、どうしたの?」
「先生……凄いね」
「…そうだろう?―先生は、マッシュは、私の―」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!!
『!?』
それは、余りにも……最悪のタイミングに現れた。
――――――――――――――――――――――――
「素晴らしい――」
古聖堂地下、カタコンベ出入口。暗闇の中に潜む彼……マエストロは虚空を見上げながら呟く。カタカタと木々が軋むような音が辺りに響き、その声は歓喜に溢れていた。
「子供であるはずなのに…大人としての知性と品格、先生としての礼儀と信念、人間として培ってきた経験と知恵――そして、何より…自身の全てを賭して尚、決して揺らがぬその在り方……!」
マエストロは何かを操作しながら、舞うようにそこらを歩き回る。生徒はまだまだ未完成……マッシュもまだ、完璧には出来上がっていない……しかしそれが完成したら?――それを、自分の手で完成させたら?
そう思うと、彼は歓喜と称賛以外を口に出来なかった。
「強靭すぎる肉体を持ちながらも……悪に染まらず、純粋無垢なその姿であり続けるその姿勢! 自分が世界から愛されなくとも、他を愛し続けた、その意思!! 嗚呼、やはり、そなたならば――私の【崇高】を、理解してくれるに違いない……ッ!」
その瞬間現れたのは、赤い聖布、頭上に輝く黄金の
アリウスに用意された戦術兵器、マダムが用意した奥の手の一つ。その強さは……あのデカグラマトンにも匹敵するほど。
「嗚呼、見せてくれ先生……! そなたの創り上げた作品を!――その生命不滅の輝きをッ! 私の作品と繰り広げる戦いで……悪戦苦闘し、輝く様を―!!」
ドゴォォォォォォォォォォォン!!!
「――――――は?」
『―いい雰囲気が台無しだ…責任取れ、この野郎』
だがその作品は、もう間も無く……ただのガラクタへと変わる。
――――――――――――――――――――――
「空気読めない奴って僕以上にいたんだ、びっくりしたよ」
「――今、何をした?」
「……リーダーをアズサに預けた後、とんでもない速度で移動して……そのまま、アレを蹴り飛ばした」
「地下から現れた瞬間……あの、ちょっと動いた瞬間に……もう蹴ってましたね」
「ふざけんなこのやろー、だよ…本当にさ」
ヒエロニムスが顕現したその瞬間、いい雰囲気だったのに邪魔をされた事に腹を立てていたマッシュがとんでもない速度で移動し、ヒエロニスの体へ向かって蹴りを叩き込んだ。
ヒエロニムスは後方へと飛んでいき、壁へと激突した……がしかし、これもまた例に漏れずマエストロの作品。すぐに回復し体制を立て直した。
「…逃げろ……先生、奴は…奴はマダムが用意したもう一つの戦術兵器だ…
「ほうほう」
「時間は稼ぐ…だから、だからアズサとみんなを」
「試したい
「……先生?」
「いい感じだったのに…尊い空間になりそうだったのに―――全部壊しよってからに」
「ちょ、あんた、どうしたの…」
「誰が用意したとか作ったとかもうどうでもいい――ちょっと溜め込んでるもの、吐かせてもらおうかな」
「ヒィ‼? なんか目が怖いです‼‼‼」
「…やりましょうか――解体作業」
マッシュは胸に刺さったままのナイフを引き抜き捨てると、トン…トン…と軽くジャンプする。そして足にと手に力を込め、ヒエロニムスをじっと見る。
「――フッ!」
『―‼‼‼』
マッシュはヒエロニムスに向かって走り出す。ヒエロニムスは二本の手に掴んだ儀杖を輝かせ、全力で足元を打突する。瞬間、マッシュの足元に黄金色の光が弾け突貫する。
「ほい、ほい、ほいほい」
『……!』
「ラグがあるなら避けやすい」
しかしマッシュは光が発してから爆発するまでもの数秒のうちに移動し、攻撃を次々に避けていく。轟音と光が永遠と続いている中、マッシュは一気に飛び上がり、ヒエロニムスの胴体へ向かって飛び蹴りを放つ。
『―‼‼』
(硬い)
『……―‼‼』
(大技…離れないと)
ヒエロニムスの足元に黄金の紋章が浮かび上がる。地面が罅割れ、そこから幾条もの光が漏れ出ていた。そして組んである腕の後ろから、杖を持っている腕を二本ともに掲げ、ある一つの光芒をマッシュに放った。
だが、マッシュが黙ってそれを喰らうわけがなく……マッシュはその光弾を
「セイヤッ」カキンッ!
『―‼?』
「鉄の杖が…バットに…!?」
「そのまま、あの大技を打ち返した……」
鉄の杖・プロテウスをバットに変形させ、光弾を打ち返した。打ち返された巨弾はヒエロニムスの顔に
「フンッフンッフンッフンッフンッ‼‼」
力一杯、遠慮なく連撃を叩き込むマッシュ。それに焦ったかあるいは苛立ったか、ヒエロニムスは組んでいた手を離し、マッシュを掴んで捕らえる。あとは握り潰すだけ……なのだが
『―‼?‼‼?』
「フンヌッ」
マッシュの体が硬すぎて、握り潰すことができなかった。さらにマッシュはそのまま、ヒエロニムスの腕を引き剥がして脱出すると、後方へバク転で移動。
「……」グググッ
マッシュはクラウチングスタートの構えを取り、力一杯踏み込む……そしてヒエロニムスが杖を振り上げた瞬間
「ハムストリングス魔法・ミーティア…レッグ!」
マッシュはビックバンダッシュの勢いで飛び出し、そのスピードのままヒエロニムスの腕に向かって回し蹴りを繰り出した。
『!―!!!?』
「ヒエロニムスの腕が……"斬り落とされ"た……?」
「嘘でしょ……あいつ、回し蹴りで…腕を…」
「―まだまだ」
根本から切り落とされたヒエロニムスに追い打ちをかけるため、地面へ落ちた瞬間にまたビックバンダッシュの構えを取り、再度飛び出すとともにミーティア・レッグを繰り出す。
これによりヒエロニムスはもう片方の腕を削ぎ落とされた。残るは祈りを捧げる二本の腕のみ。痺れを切らし、何かの制御が取れたのか、ヒエロニムスは叫ぶ。
「……よし、あとは……叩くだけ」スッ
そんな中マッシュは鉄のバットをまた加工し始め、とある凶器を作り出す……一般的には工事用に使われる道具、しかし殺傷能力はかなり高い……その名も
『――ハンマー!?』
「こ……工作用でしか見たことがないが―───大きくないか?」
「なんで体積増えてるの……おかしい…おかしいでしょ!」
「先生ならあれぐらいできるぞ」
「嘘はよくありませんよアズサちゃん!」
ヒエロニムスの圧倒的弱点……それは、図体の大きさに起因する機動力の低さ、そして近接戦闘能力の圧倒的な不足。つまり、距離を詰められてしまってはどうしようもないということだった。マエストロはその欠点をユスティナの使徒による護衛で補うつもりだったが、戒律が失われ使徒の総数が減った今となってはそれも期待できない。
それも、近距離戦を仕掛けてくるのは――あの
「―──モグラ叩きって、知ってる?」
『―――』(無言で首を振りまくる)
「なら教えてあげるよ―その身を以て」
『―‼⁉‼⁉‼』
「――フンッ!!」
マッシュは手に持っているハンマーを振るい、ヒエロニムスの脳天に一撃を叩き込む……その一撃でヒエロニムスは瓦解するように頭部が破壊され、残るは胴体と腕のみ──
「フンフンフンフンフンフンフンフンフンッ!」
「……うわぁ」
「ひ、ヒエロニムスが……マダムの兵器が…」
「まるで…まるでおもちゃのように」
「壊れていく……」
「破壊されすぎて小さくもなっていってるな」
建物を解体し、コンクリート塊を砕くかのように、ハンマーを振るいまくるマッシュ……ストレスの解消を兼ねて、そのためにも結構な力で叩きつけていたので
『―…―……―…』
ヒエロニムスはもうほとんど原型を留めていなかった……残るはおそらく
「――
それを破壊した……
ヒエロニムス・活動時間……起動よりわずか……2分半
「怪物だろうが、兵器だろうが関係ない――全部壊してやりますよ……この筋肉で」
(――――そうか………マダムがこの男を欲している前に、恐れていたのは…ただ純粋な力だけじゃない――この男の……マッシュの、この精神を…恐れていたんだ)
サオリは、そしてアリウススクワッドは、マッシュのその筋肉に、その力に、その背に――確かな光と、希望を感じ取った。
最近、妹弟先生がある事に気づいたのです……それは
弟妹先生『自分達がみんなの親になればいいのでは?』
と…………助けてください、もう二人共疲れすぎて頭がおかしくなっているのです…。
励みになりますのでコメント評価、どうぞよろしくお願いします………い、一応、妹弟先生への質問も、ある程度ならお答えいたします…
百花繚乱後に見たい話
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まだ交流がない生徒との話
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アイデェア箱から選んだお話
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ラビット2章
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愛が重い生徒との話