深く考えず、なんとなくで読むことをオススメします……頭が痛くなるので。
マッシュル本編のネタバレも注意です
それでは本編へ……レッツゴー!
あ、今回出てくる魔法は全てこの作品オリジナルなので、ご注意を
「……ふふっ、本当にすごいよ、君は。パラダイス機構と銘打って、ゲヘナとトリニティの連合部隊を作り上げてしまうとは――エデンよりも、はるかに光ある条約……本当に、尊敬するよ」
トリニティ総合学園を一望出来るテラス、そこは百合園セイアの夢の世界にある場所だった。クスリと笑いながら、机にあるティーカップを手に取り、ゆっくりと飲む。
「…こことも、しばらくはお別れか……長いような、短かったような――何故あの大量のシュークリームが残っているのかは不明……いや、先生のせいか……」
以前マッシュがここへやってきた時に、マッシュの夢とセイアの夢は繋がった……その時にマッシュが出したシュークリームがいまだに残っており、それは山の様に積まれている。見るだけで胸焼けする量に、手を付ける気も起きない。
「……しかし先生が見たと言う……あの夢、それとは……また違ったあの夢」
セイアはもう一つ、謎の声による解釈違いな夢も見ていた、しかしそれをあの時のマッシュにいうのは違う…そう思い、黙っていた。
「あの声は一体……ただの夢にしては…妙に、リアリティがあったような――」
セイアがマッシュが見た夢について色々と考えていた、次の瞬間……世界が暗転し、セイアの周りにあったものがほとんど消えた。
「―っ!?」
セイアは尻餅をつき、腰を痛める……そしてすぐさま自分の周りを見渡す――どこを見ても真っ暗で、何も見えない……いや、自分の姿だけははっきりと見えており、その他が見えていなかった。
突然の出来事に驚きと困惑を募らせている最中……セイアの背後から、ある足音と…声が聞こえてきた。足音的には人間の物――しかし
【―ご機嫌よう】
「っ……!?」
その気配と声は、おおよそ人間のそれでは無かった。
冷たい空気、冷たい声、力を差を明らかに感じる気配……覗き込めば吸い込まれ、触れれば永遠に取り込まれ、抜け出せない…それはまさに深淵。
【初めまして……夢見る素敵な、お嬢さん…】
(振り返っては、だめだ、飲み込まれる…!)
【そう怖がらなくてもいい……私は、君と…お話がしたい―ただそれだけなんだ】
(そこが見えない……体が、震えている……夢の、中なのに……!)
【さあ――顔を見せておくれ……眠りの…お姫様】スッ
しゃがみ込み、耳を下に下げ、自身の体をギュッと抱きしめていたセイアの背後に…その声の主は現れた――隠れていても無駄だ、そう思いセイアは、勇気を出し、振り返る。
「―ッッッ!!?」
【初めまして、私は……
「イノセント…ゼロ…?」
【君が先生と呼ぶ男、マッシュ・バーンデッド……彼がいた世界の住人さ】
振り返ってみると、そこにあったのは……耳も、鼻も、目も、髪もない…のっぺらぼうな顔をしている存在。
そのあまりの異質さに、セイアは恐怖を感じ、小刻みに震えていた……無理もない
【……ああ、すまない、少し意地悪をしてしまったよ……いい反応だったのでついな】コポコポコポッ
「……君は、何者だ……どうして、ここにいる…!」
【もう一度自己紹介が必要かな? 私はイノセント・ゼロ…マッシュ・バーンデッドがいる世界の住人にして──
――彼の父親さ】
「なん……だ……って?」
【さて、このままではろくに会話もできないだろう……紅茶は…好きかな?】
のっぺらぼうだった顔から銀髪の長髪、そして左目の下に時計の針のような線が二本ある顔への変わった彼の名は、イノセント・ゼロ…本名、シリル・マーカス。
マッシュの真の父親であり、マッシュが生きる
そんな強力すぎる存在が、唐突にセイアの前に現れ……ティーパーティーに誘い込んだ。
―――――――――――――――――――――――
突然現れたイノセント・ゼロは机と椅子を取り出し、セイアをそこに座らせると…自分も座り、紅茶を一つセイアに差し出した。
【何も入っていないから、安心して欲しい……この世界だと、毒などは作れない…それは君が一番よくわかっているだろう?】
「………何故、私の夢に?」
【私の魔法……正確には研究した魔法だが、その副産物さ……他の夢に干渉し、自分の思うような光景を見せる―禁忌魔法の一つ…名をナイトメア】
「魔法…?」
【…ん?―ああそうか、君達は知らないんだったな……魔法という素晴らしい物を】
「なんの話をしているんだ? そもそも…魔法とは一体どういうことだ……その禁忌の魔法であるナイトメアで、別世界にも干渉できるというのか?――君は、本当に、何が目的で!」
【質問が多いよ……百合園セイア】
「私の名まで…」
【ゆっくりと、わかりやすく説明しよう……まずは、私の世界についてだ】
イノセント・ゼロは一つ一つ丁寧に、自分の世界について説明を行っていった。
はるか昔、神によって人々は魔法を与えられた……それにより出来上がったのが、マッシュの世界である魔法界。
今回イノセント・ゼロがセイアの夢に干渉できたのも、その魔法のおかげだ。
【しかし何故、別の世界であるここと干渉できたのか……気になるだろう?】
「……ああ」
【これも答えは単純だ…これも、魔法のおかげだ】
「そんな……ものまで」
【ああ…しかし勘違いしないで欲しい……私がここまで干渉できたのは…ここ、キヴォトスと深くつながりのある―ある存在が、関係している】
「…それは?」
【……深くは言えない、言ってしまえば私自身も被害に遭うからね】
「……一体どこで、
【―─もう何十年も前、私が"完璧な生命"の獲得を目指そうと活動を始めた…その最中】
イノセントゼロが話し始めると、背景が暗闇から変わっていき、まるで無声映画が放映されるように彼の過去が映し出された。
「………君は随分と、親に可愛がられていたようだね」
【ああ、これでも……待て、なんの話かな?】
「背景、写すものを間違えていないかい?」
【………見なかったことにしてくれ】
「いいさ……続きを」
【…んんっ!――私はこの世にある、禁忌の魔法を数多く調べ上げていた……ありとあらゆる書物──もちろん、封印された魔導書や黒魔術・錬金術にまつわる禁書も集め、情報を記憶し、考察し…あらゆる知識を身につけてきた】
背景に映し出されていたのはイノセント・ゼロが禁忌について調べているシーン……その中では、イノセント・ゼロが人を殺めているシーンもあり、その時点でセイアはイノセント・ゼロへの好感度をゼロに決めた。
【そこで見つけたのが……次元干渉の魔法、名をディメンショナル・サーチ】
「……そんなものがある時点で…恐ろしいな、君の世界は」
【その魔法を見た瞬間震えたよ、
「……多くの犠牲を用いて…かい?」
【物事の成功のためには犠牲がつきものだろう? この世界で発達してきた科学を支えた多くの屍のように―─彼らは必要な犠牲だった……それだけさ】
悪びれもなくそう言うイノセント・ゼロ、彼にとって人殺しはなんともない、蚊をつぶす程度のことであり……悪行だとも思っていなかった。
多くの人間がその魔法の犠牲となり、イノセント・ゼロはその犠牲の上で魔法を使用し、この世界―─神秘と青春の学園都市・キヴォトスを知った。
【当初は観測精度が悪く、覗き見ることしかできなかったが……色々と知ることができたよ。神秘の力を操る少女たち、我々にとってのアザ──魔法が使える証に相当する、神秘の加護の証明となるヘイロー……魔法界には存在しない多種多様な銃砲類、戦車や装甲車両といった兵器……魔法が発達した魔法界では向こう数百年開発されないであろう技術体系、それらが生み出した兵器が、そこに遍くありとあらゆる存在が――私の心を奮い立たせてくれた】
「いつから、覗いていた?」
【数十年前、数回……そう、たった数回だけ覗いたのだよ………それ以降は、諦めたが】
「…どうしてだい?」
【……ここへどう侵攻し、どう扱ってやろうかと考えていた時だ――それは現れた】
背景が突然ぼやけ出し、はっきりとは見えなくなってしまう……しかし声や、異質さは伝わってきており、セイアはイノセント・ゼロの顔色が少し変わっているの確認した。
【……強大すぎる力、取り入れようとするも拒まれ、むしろ私が取り込まれそうな勢いだった――アレは、そういう概念……まさに触れてはいけない禁忌そのもの】
「……それを恐れ、君はここへの干渉を諦めたんだね」
【戦略的撤退と言って欲しいな――アレは、魔法や神秘でどうにかできる代物ではない。ある意味では時間災害と言ってもいいが、いずれにしろ触れてはならない……本物の禁忌だ】
「……干渉を諦めたのなら、どうして……いま、私の元に?」
【―─奴…マッシュ・バーンデッドがこの世界に現れたからさ……どういうわけか、奴がここにいる間は……アレは動かない…だから私は今、こうして君と話をしている】
紅茶を飲みながら、セイアを見るイノセント・ゼロ……彼が手に入れた次元干渉の魔法と、ナイトメア……それを組み合わせることにより、他人の
だがここでセイアには気になることがある、それは…そんな魔法があるのなら、どうしてマッシュに干渉しないのか……そもそもどうしてここに来ないのか…だ。
「君のいうアレが動いていない今、ここへ来るチャンスではないのか?」
【嘆かわしいことに、私の次元干渉は未完成でね、この先上達する予定もないが……私の次元干渉魔法は、あくまで世界線の向こう側を覗き見ること…それだけしかできない】
「どうして、先生に干渉しない?」
【したところで無駄だからだ――奴の心を折ろうと何度干渉を繰り返しても、むしろ反撃を繰り返されてまるで効果がないのだよ………実に遺憾だがな】
「夢の世界まで……先生は強いのか……」
【―─だが私からしてみれば、マッシュ・バーンデッドが生きていた……それだけの情報で十分だ。死んでいたと思っていた息子が生きていたのだからな】
「……その話も聞かせてもらおう――君は本当に、あの先生の父親なのか?」
【…ああ、その通りさ】
ニヤ…と笑うイノセント・ゼロ、背景がまた変わり、赤ん坊の頃のマッシュと――同じ身長の、赤ん坊達が映し出される。
【私の息子達は六つ子でね、皆が皆…最上級の強さを持っている――彼らはわたしの大事な大事な…宝だ】
「……その割には面倒を見ていないようだが?」
【その辺は召使達に任せればいいだろう? 子供なんぞ、勝手に育つ】
「……君のような存在が何故、子供が必要だったのか気になるな、自分が一番大事だと思っている人間が……何故、子供なんて欲しがるだ?」
【彼らはちゃーんと大事な存在だぞ?――私のためにね……私が、完璧な生命となるために…ね?】
「完璧な生命…?」
【――造体禁忌魔法、同じ血を持つ者の心臓を6つ集め、一つの心臓へと作り変える……不老不死の心臓へとね】
それだけ聞いて、セイアは勘づいてしまった……目の前にいる男は、自分が不老不死になるため…そのためだけに子供生み出し、成長したその子供の心臓を利用する……という、計画を。
「――完璧な生命……そのためだけに、先生を?」
【最初は、魔法も使えない出来損ないができてしまったと落胆した……しかし、奴には素晴らしい肉体が存在していてね―─それを手に入れられる可能性に気付いた瞬間、笑みが溢れたよ】
「君の……君のその夢のために――先生を殺すと、そう言っているのか?」
【勿論さ……魔法も使えず、まともに生きていけない…ただ力だけしか取り柄がない――そんな生命が私のために役立てるんだ……光栄だろう?】
「――ふざけるなっ!」
ガシャン!―とセイアは机を叩きながら立ち上がると、獰猛な狐のように鋭い視線でイノセント・ゼロを睨みつける。
「そんなことのために先生を……あの、優しい
【私にとって一番大事なのは私だ……それ以外の
「彼は君の子供であるはずだ―情はないのか、愛情は、ないのか!」
【愛など不要、不死には必要のないことだ……そんなものになんの価値がある?―わたしは奴に興味はない…あるのは、奴の心臓……ただそれだけだ……他の息子達も同様にな】
「っ――外道……君は、正真正銘の外道だ!」
【最高の褒め言葉をありがとう……百合園セイア、数多くの命を搾取し続けた私に…相応しい名だ】
イノセント・ゼロは笑いながら立ち上がると、背景を変える……老若男女問わず、彼の手で全て殺められている…そんな光景、何かの実験によって殺された人間の残骸や、見るも無惨な姿で死んでいく者も多々いた。
そんな光景を目に、イノセント・ゼロは真顔を決め込んでいた――『こんな奴もいたな、あんなこともあったな……』と、まるで懐かしむように呟くような顔で…。
「……人でなし、それが…それが君への評価だ!」
【私は誰よりも人間さ、欲がとても深い……この欲に際限はない――いま、君と話をすると言った欲も……満たされた】
「―何故、私の前に現れた!?」
【
「なに?」
【私がこの世界に干渉したように……彼女も、
「…彼女?」
【神秘による奇跡、それにより……たった一度だけ、私の目の前に現れたのだよ――ベアトリーチェ…彼女がね……ふふっ、すぐに帰らせたが】
「―っ!?」
それだけいい、イノセント・ゼロは少し笑うと、両手を出し、満面の笑みで語りだす。
「まさか、彼女も、魔法を…!?」
【わたしが奪った杖をくれてやった、魔力は彼女に存在しない……しかし、神秘は別だ。あの力があれば杖を用いることは容易い】
「―君の……目的は、なんなんだ!」
【さあ……なんだろうねぇ】
「っ…!」
【一つ誤解を解いておこう……わたしは、キヴォトスに現れるつもりもなければ、深く干渉する予定もない……だが、嫌がらせを止める気も、ない】
「君は……どこまでも!」
【私が一度ここへ干渉した時点で、魔法界との繋がりは消えない……繋がりが絶たれない限り、私は奴を追い込む――何度でもね】
暗闇が、晴れていく……イノセント・ゼロの顔も、姿も、次第にどんどん見えなくなっていく。セイアは一発ぶん殴ってやろうと手を伸ばすが、不発に終わる。
【忠告はしたぞ〜?百合園セイア……この先…どう動くかは、君次第だ】
「待て…!」
【奴がこの先、このキヴォトスを破滅に導くのか……それとも、新たな世界の創世を導く
「―彼は負けない、破滅も回避する。私達が彼を守る、君のような存在には決して渡さない…! 彼は、マッシュは、私達の……仲間なのだから!」
闇が晴れていき、光がどんどん強くなる……マッシュの父の存在を知り、運命を知り、それでもなお彼を人として見たセイア……彼女は誓う。
自分に対してどんな不幸が降り掛かろうと、自分は……マッシュを支える―と。
そしてセイアは…長い、長すぎる夢から…覚めるのであった
え?嫌がらせのレベル違いすぎるし、ベアトリーチェとの会話も気になる?
前半はイノゼロお父さんはこんなことをする‥と思っていただき、後半はまた後に、ということで。
Q、レグロおじいちゃん危なくない?
A、弱い魔法使いに興味なんてないし、人質の価値もないと思っているのでガン無視してます。なんならそれなしでも勝てると思っています。
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