そーろそろ恋愛系を書きたくなってきたわたしなのですが……本編のシリアスがそれを許してくれない!!くそぉ!!
と、言うわけで本編へ……どうぞ!
「えーと、エデンの件が色々とひと段落して、晴れてテスト期間が終了……その直後に新しい補習授業部が作られたと聞いたのだけれど……」
「あぅ……」
「ふふっ♡」
「ふむ……」
「うぅ……」
「なして?」
教卓に立ち、教室を見渡すマッシュ。目の前にいるのは以前と変わらない補習部メンバー……一度試練を乗り越えた者達である。
元々補習授業部は本当に洒落にならないほどの赤点を取り、進学ができないほどに成績が落ち、大ピンチとなっている生徒達を助けるために作られた場所。
これまではナギサによる政治的な手引きがあったものの、本来の補習授業部とは文字通り補習授業の場………そこに、またこのメンバーが揃っているということは――つまりは
「あ、あはは、それがその、えっと、し、試験日とペロロ様のコンサートが被ってしまって……」
「次の試験範囲はまだ習っていない」
「えっと……さ、三年生の試験を受けてみたんだけれど、全然解けなくて……」
「ひとりだけ放置プレイなんて、寂しいじゃないですか♡」
「うーんなるほど……―どうしよ」
各々が各々の理由で赤点を取り、どうやらこの場に戻って来た。ナギサ曰く、今回の活躍や勇気をみとって退学と停学は大きく免除してくれるそうだが……トリニティ生徒として赤点ばかりは流石にまずいので、ちゃんと勉強しなさい…ということらしい。
「ふふっ、またこの教室で…そう言いましたよね、先生」
「言いは、したけども」
「それにこの辺りで一度評判を下げておかないと、また勧誘が来てしまいそうですし」
「ワザとだと分かる時点で、成績に関しては意味がないんじゃない…?」
「評判というものは常日頃変動するものですよ♪」
「なんというか……うん、ハナコちゃんらしいね。そういうところも好きだけど」
「先生お願いですからいきなりそんなこと言わないでください」(真顔)
「うん、その真顔もいいね」
「……もうっ!」
(ハナコが遊ばれてる…)
「……久しぶりだな、これも」
「は、はい………あの、先生?」
「?」
「……そろそろツッコンだほうがよろしいですか?」
「……触れないで欲しかったけど…うん、お願い」
「…では」
ヒフミは大きく息を吸い込み、いつもよりも格段に大きく、懐かしさも感じながら、大声でツッコミを入れた。
「その赤く腫れているほっぺたはどうしたんですか!?」
「色んな人たちに怒られちゃいまして……」
「色んな人たちというと?」
「関わってきた生徒のほとんどです」
「わぁ…」
「見た夢のことやら、生徒達を頼らなかったことやらの件でその……色々と」
夢の件やマッシュの思いはアズサの口から直々に説明され、ハナコとコハルの顔が真顔になっていたのは一旦置いておくが。
マッシュが隠していたことがなんともまぁそこらじゅうに知れ渡り……アビドス、ゲヘナ、トリニティ、ミレニアム、なんなら百鬼夜行の生徒らや連邦生徒会の一部役員までもがマッシュの下へと駆け込み、見舞いや説教といった各々の理由で集まった。
「あと心臓の件もアババババババッ」
「な、何があったの!?」
「ワカモちゃんとイズナちゃんに、フウカちゃんとジュリちゃん、それにシュークリームクラブの皆からは大泣きされて、店長も卒倒したって聞かされたし……便利屋のみんなには真顔でめちゃくちゃ詰められたし、正実の皆にも小一時間は真顔でお説教されちゃって……」
「な、なるほど……」
「ゲーム開発部の皆も泣かせちゃって…
「人脈が……凄いですね」
ここまでは、まだマッシュは普通であり反省しまくっている様子だった――が次の言葉を発する瞬間、突如としてめちゃくちゃな怯えを滲ませて震え始めた。
「アリスちゃんは凄い顔してたし、真っ黒な目で見つめられた状態で病室の隅まで追い詰められて……セミナーの二人は、モモイちゃんやユズちゃんやコユキちゃんを泣かせたってこともあって難しい言葉で徹底的に扱かれて……ユウカちゃんには滅茶苦茶怒鳴られたし、ノアちゃんには冷たく淡々とすり潰されたし……い、一番やばかったのは…ホシノ…さんで」
「せ、先生?あの怪物と戦ってた時よりも震えていないか?それに、小鳥遊ホシノが何をしたんだ?」
「目が…本気で、笑ってなくて……仁王立ちで、腕を組んでて、声のトーンもいつもの反対すぎて……今思い出しても――怖い、怖い……震えるなこの足め…!」
「どれだけ恐ろしい人なんですか!!???」
「先生がここまで本気で怯える相手…?」
「で、ではそのほっぺたは?」
「さっき話したアリスちゃんって子に、腰の入ったいいストレートを喰らっちゃったんだ」
「ああそれで……………先生の顔を赤く腫れさせるほどのパンチ?」
「色々と訳ありな子だったから………あと、普通にほっぺたはまだ痛い」
右頬を押さえながらそう話すマッシュ……しかしその顔に陰りや疚しさはなく、寧ろ清々しい気分だった。非行や独断に走ったことがないために、面と向かって人に叱られたことがなかった彼にとっては、この経験はある意味新鮮でもある。
「――まあ、僕のことは一旦おいておいて……また、皆で面白可笑しく、楽しくお勉強しようか」
「は、はいっ!えっと、またよろしくお願いします――先生!」
「え、えっと、よ、宜しく先生……!」
「うん、次こそは百点を取って見せる」
「ふふっ、皆で頑張りましょうね♡」
ハナコも、コハルも、アズサも、同じように頷き、いつもと変わらない笑顔を見せた……マッシュもその明るさに微笑みながら、
「お勉強、始め」
トリニティ自治区――ティーパーティー、テラスにて。
「ふぅ、全くミカさんは――」
「あはは、ナギちゃんまだ完治って訳じゃないのに、めっちゃ元気じゃん!」
「ミカさんに執務を任せておけないだけです……次変なことを言えばシュークリームを突っ込みにいきますからね」
「わーいミカお仕事楽しい〜(棒)」
そう云ってミカは、ティーテーブルに並んだ書類を手に取って、素早く目を通した。まだテロを起こしかけたことに関しては裁判中となっているが、先生の心を助けたその行いが認められ、一時的に釈放……そしてナギサの仕事を手伝っていた。
「ナギちゃん、また皺が寄ってるよ?上手く行ったことばっかりだったのに」
「それはそうなのですが……他学園から、パラダイス機構に関しての説明を求められたり、あの議長が何かと無理をふっかけてきたり……先生のお陰で成功したと思った矢先、新たな問題が山積し……ぅ」
「あちゃー無理しちゃったねナギちゃん…」
「それでも、巨視的にはトリニティとゲヘナの両方において、そしてそれ以外の学園でも新たな道に向けての動きが起こりつつあることは事実です……だから、ここで私達は─―」
「――前を向いて進むしかない……だろう?」
ふと、声が響いた。
それは二人にとって聞き覚えのあるものであり、しかし絶対にあり得ない筈の声だった。2人の顔が陽光に照らされ、笑顔のままその声の方を向く
「セイアちゃ……ん!?」
「やぁ、ナギサ、ミカ。久方振りの集合だね………そして助けてくれ」
「2人とも、どうも」
「どうもじゃないよ先生! 何、その、何やってるの⁉」
「お世話です、はい、あーん」
「先生、わたしは赤ん坊じゃないんだ……だからこの体勢はやめてくむぐぅ」
向いた先にいたのは、まるで赤ん坊のようにセイアを抱き抱えているマッシュであり、左手にセイア、もう片方にシュークリームを持ちながら2人の前に現れた。
「長時間眠っていて体がうまく動かなくてね……誰かに助けてもらおうとした瞬間――扉をぶち破って先生が現れた」
「また我が校の壁が…!」
「セイアさんの目が覚めたと聞いて居ても立っても居られ無くなり、めちゃくちゃ急いできました」
「そ、そう言えば補習部のみんなにお勉強を教えてたんだったね…」
「先生……これでもわたしは君よりも年上なんだ、だからこう言うのはムグググッッ」
「ちゃんと食べないとダメです、病院食以外はまともに食べてませんよね?」
「だ、だとしても……美味しい…美味しいんだが」
「本当によかったです……本当に」
マッシュの表情が安堵の顔へと変わる、まるで娘を見守る父親のような、兄のような、そんな表情……そんな顔を見れば見るほど
(――信じられない)
「ちょーっとセイアちゃん⁉ 起きてばっかりだからってなんでもしていいワケじゃないからね‼ ずるい、わたしだってそれやりたい‼」
「ミカさん願望が滲み出ていますよ」
「……君の心臓は、強く、逞しく動いているね」
「内面も強靭なので」
(この拍動を……聴いているだけで、安心できる…これを……)
「…ねえセイアちゃん? なんかおかしくない?」
「―――なんでもないよ、ミカ……私達は皆、進まなければならないんだ、与えられた宿題をずっと背負いながら、それでもこの闇の中を、ただ、その先を目指して……先生、また、いつの日か…話したいことがある……その時は」
「勿論伺いますよ、どんとこいです」
セイアは一度自分の考えを放棄し、これから先のことについて色々と話をすることにする。それを理解したナギサはティーカップを持ちながらそう話し始め
「……私達は学んだ筈です、様々な事を、ですから――此処から始めましょう……もう一度、私達の青春を……私達の歩みを」
「応援します」
「ですので、先生……どうぞ――お座りください、今の私達には、先生が必要ですので」
「勿論……それでは、失礼します」
マッシュと共に、会話を始めた。その時のティーパーティーホスト達の顔は活気にあふれており、いつもの、また楽しくも忙しい日々が戻ってきたのだと喜んでいた。
「………ひっさしぶりに帰ってきたな…」
夜遅くまで各学園の部署へ挨拶をして回ったマッシュは、久しく留守にしていたシャーレへと帰ってきた。エデン条約調印式の期間はトリニティの一室に寝泊まりし、負傷後は救護騎士団の保健室で寝込んでいたこともあり、そもそも部室に帰ってくることができなかったのだ。
「マコトさんもナギサさんも、これからうまくやっていけそうだし、ヒナさんやツルギさんもいつも以上に元気だったし……ゲヘナとトリニティの仲も、ちょっと良くなってたし――うん、ちゃんとやれたな、僕」
自分を自分で褒め、シャーレ内へと入るマッシュ。ワカモとイズナは別室にて並んで寝ており、静かにマッシュは布団を掛け直して部屋を出ると、いつも自分が仕事をしているオフィスへと向かう……そして扉を開くと
「―ん…お帰りなさい、先生」
「……えっと、ただいま…シロコちゃん」
中にはシロコが居て、優しくマッシュを迎えた。なんでいるのかとか、どうやって入ってきたのか……を聞く前に、"お帰り"という言葉に力が抜けたのか、マッシュはさっそくシロコを頼る。
「ごめんシロコちゃん……なんか力抜けちゃって……肩を貸していただけると」
「ん、どうぞ」
「………え、膝枕?」
「ホシノ先輩が、人が疲れている時はこうしてあげた方がいいって言ってたから……カモン、先生」
「じゃ、じゃあ……失礼…するね」
ソワァに座っているシロコの膝の上に、マッシュは自分の頭を乗せる、負荷を加えないようにしようとしていたが、シロコに力一杯頭を抑え込まれ強制的に頭を乗せられる。
「……どう?」
「変な感じ……あったまるような、落ち着くような…………」
「ん……わたしも変な気分、…胸が締め付けられるような……キュンキュンする」
「胸に何か病気が…?」
「――ウン、タブン」
「なぜカタコトに………いや…今は…いいや」
膝枕をされながら、マッシュは様々なことを思い出す……まだ全てが解決したわけではない――しかし、マッシュは頑張った……そう言ってもらえた。
「…シロコちゃん、僕って……頑張った…よね?」
「勿論……私達と同じ子供なのに……大人以上のことを、しっかりと頑張ってくれたよ……今も、そう」
「先生だからって……変な風に思ってたりしたな」
「先生は先生である前に……私達と同じ子供で、わたしのお友達……そうでしょ?」
「……そうで―そうだね…シロコちゃん」
「…ふふっ」
次第にマッシュは眠くなっていき意識も遠のいていく、そんなマッシュの頭を優しく撫でると、シロコは呟く。
「……先生はいっぱい頑張ってるし、いっぱい人を助けてる。先生みたいな人がいて…来てくれて、本当によかった」
「……照れちゃうな」
「だから先生? 今は、ゆっくり眠って……休んで?」
「……………じゃあ、お言葉に甘えて……グゥゥ……」zzzz
「………ん、ロマンスというか、雰囲気がない……にぶちん」
マッシュは眠ってと言われてすぐに眠った、雰囲気とはロマンスとかまったく無いのは少し残念に思ったが……シロコは微笑みながら、マッシュを撫で続ける。
「我慢できずに飛び出して来ちゃったけど……来てよかった――こんなの、きっとわたしが始めてだろうし」
「スピーーーー……」zzzz
「……先生は、わたしと同じように…人に拾われた……拾ってくれた人も、優しくて……すごい人だった――なんだか似てるね、私達」
マッシュの頭を何度も撫でながら、シロコは優しく語りかける……そして、シロコは勇気を出し……心の中で葛藤しながら
「―――んっ…………やっちゃった」
マッシュの頬に、優しくキスを落とした。シロコは恥ずかしそうにしながらも満足、改めて微笑みながら
「――お疲れ様、マッシュ」
オフィスで一人、最大の功労者を
やっちまったぜ、え?ピュアすぎるって?本番はまた今度ということで。
お久しぶりの妹、弟先生の反応コーナー
イズナちゃん初登場のイベントにて、ニャン天丸に対して2人は
弟『忍者はなぁロマンなんだよぉぉ!!ロマンがわからねぇ奴は馬に蹴られてふっとべぇ!!』
妹『その毛皮むしり取ってやろうか』
怖い、特に妹先生が怖い………最近何事にも過保護度が増してるんですよね…誰のせい? 弟先生のせいですあんにゃろうめ。
次回からはエデン四章に続いて行きます……この作品のエデンのラストを、どうかお見届けくださいませ
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