「……真打登場、かな⭐︎――助けに来たよ、先生……いや、マッシュ君」
「……ミカさん、どうしてここに?」
「言ったでしょ? 助けに来たって」
「でも、今出てきちゃダメなんじゃ」
「我が身よりも他を優先!――これ前のマッシュ君と同じね⭐︎」
「ウッ」
「こんな時に……最悪…」
マッシュ達の前に現れた1人の生徒、聖園ミカ。彼女は愛用の
「……ねぇサオリ、一応確認なんだけどさ――あなたが、マッシュ君を刺して、毒まみれの状態にしたんだよね?」
「…………そうだ」
「…ミカさん、その件は……いや、違うんですよね」
「そう…違うの、マッシュ君の中では終わってることかもしれないけど――
「……そ、それはそうですよね……当たり前ですよね……」
そう、ミカの中ではまだ、アリウスがマッシュに行った事に関して、何も終わっていない。ミカはアリウスと仲良くなりたいと考えていた――でもその前に騙され、大事な人は傷つけられ、散々な目にあっていた。
「私は被害者面する気は無いけどさ……マッシュ君は別でしょ?――誰がどう見ても、マッシュ君に非は無い……ただの被害者」
「…………」
「貴女達を助けたいってずっと言ってたし、そのために色々と調べたりもしてた……貴女達が送り込んだスパイであるアズサちゃんを、退学にさせまいと寝ずに頑張ってた」
「………っ」
「私のことを助けてくれた、救ってくれた……ナギちゃんも、セイアちゃんも、マッシュ君が救ってくれた。私にとっては大事な恩人なの――そんな恩人にさ……貴女達は何をしたの?」
「……」
「……そこは、今はどうしても許せそうにない」
「……お前は、なぜ、ここに?」
「……セイアちゃんに聞いたの、マッシュ君がアリウスを助けに行ったって」
「百合園セイアが?」
「彼を助けてって言われちゃってさぁ……そんなの、断るわけには行かないじゃんね」
セイアはミカに、電話でマッシュを助けて欲しいと頼み込んだ、友人の頼みを断れるわけもなくミカはそれを喜んで受諾し、今の状況へと至る。
「……私達を、攻撃しに来たんじゃ無いのか?……我々は、お前の……お前の全てを奪ったのと同じだ…」
「全ては奪われてないよ、残ってるものはたっくさんある」
「それでも……それでも、我々は……」
「―私って…バカだからさ、最初は自分のことを全否定してたの……私がこんなだから、アリウスに利用されて、大切な人を傷付けて、怪我させて、居場所まで失くして――これじゃあ、まるで―─魔女みたいだって」
魔女。今なおその仇名を吐き掛けられているミカは、その言葉が自分に相応しいと言わんはばかりに告げる……しかし
「マッシュ君は言ってくれた、私は魔女じゃないって……そんなわけないって思ったし、お世辞がうまいなぁって思ったけど――─その言葉に嘘とか、ゴマスリとか、一切感じなかったの」
「本心ですので」
「ほらね?」
「……お前は、確かに魔女ではない……魔女は、悪い魔女は…私―『そう!そこ!そこなの!』…そこ?」
「魔女ってね? 悪い役ばっかりじゃないんだよ? 御伽話には、いい魔女も沢山いるの……だから私は、魔女は魔女でも――いい魔女になっちゃおうって思ったの⭐︎」
「いい……魔女?」
「うん――大事な人を守ったり、困ってる人を助けちゃったりする、そんな魔女」
「……そんな存在になるために、私を…許すのか?」
「それは、ちょっと違うかな」
ミカは銃を下ろしながら、サオリに近づいていく。マッシュは殴りかかるのではないかと万が一の事態を予期しながらも、その様子を見守っていた……この問題は、自分が深く関らず、2人の間で解決すべきものだと理解しているからだ。
「先生を心身ともに深く傷つけたこと、トリニティをめちゃくちゃにして、友人も大変な目に合わせたこと……私は、それを全部簡単に許せるほど優しくない」
「………」
「――だから、私が心から貴女を許せると思うまで……生きててよ」
「…!」
「償い、そのチャンスを私は貰っている……貴女も、アリウスのみんなも、チャンスはある――だから、罪を償い切れるまで、生きて」
「聖園ミカ……」
「生きて――今度こそ、私と仲良くなろうよ。今度は嘘偽り、裏もなく、本当のお友達になりたいの」
「他のアリウスの生徒とも……和解の道を、選んでくれるのか」
「当たり前じゃん……もともと私は、ずっとそうしたかったんだし」
アリウスとの和解、それが当初の目的だったミカ。一度はアリウスの裏切りによりそれは無へと消えてしまったが……今度こそは、本当にその目的をゼロから成し遂げようとしていた。
「そのためにはさ、アリウスみんなが救われないといけないの――家族が、ピンチなんでしょ? ここに来る途中、他のアリウスの子達から色々聞いてたからわかるよ」
「ああ……! ……姫が、アツコが…!」
「私も協力するから……助けよう、その姫ちゃんを」
「み、ミカさんが味方になってくれるんですか⁉︎」
「とてつもない援軍が……来たね」
「――サオリ」
ミカはサオリの手を握り、優しく微笑み、そのまま彼女に抱きつく。かつて自分にマッシュがしてくれたように……安心させてくれたように、今度はミカが、それをサオリに行う。
「もう大丈夫……どうしてって?――私が来たから」
「聖園…ミカ」
「終わったらみんなでお茶しよ? 女の子らしく……お化粧もいいよね――何なら、お買い物もしに行こう!」
「…楽しみに…している」
「――仲直り、ですね」
「一応は……ね?」
「ミカさんが味方になってくれたら千人……いや、万人力ですね」
「流石に言い過ぎじゃないかな、てか万力みたいに言わないでよ…」
ミカはサオリから離れ、マッシュ達の前に立つと、威勢良く腕を振り上げて高らかに宣言して見せる。
「よぉ〜〜し! 姫ちゃんも助けて、アリウスのみんなも助けて、ラスボスも倒して……みんなでシュークリームパーティーをやるぞ〜〜!!」
「おーー」
『お、オー!!』
マッシュ一行にミカが加わり、戦力はいきなり増加した。心強い仲間と共に、マッシュたちは
「あ、所で……マッシュ君が狙われてるって言ったけど、具体的に何か狙われてるの?……やっぱりそれって命?」
「僕の体らしいです」
「は???」
「なんなら心臓らしいです」
「……………は???」
―――――――――――――――――――――
(………私はどうすれば良いのですか…?)
マッシュ達がアリウス自治区へと向かっている頃。マッシュに「邪魔しないで」と言われたワカモは、サオリを狙撃した場所で一人、未だに座り込んでいた。
尻尾も耳も雨に濡れた状態だが、ワカモは未だにその場から動けなかった。鉛のように重くのしかかる悲愴と不安、そして拒絶されたことへの恐怖、この場に残された孤独が、綯い交ぜとなってワカモの心を苛んでいる。
(私はただ……あなた…様を……愛して……)
愛していた、だから守りたかった――ただそれだけだったが、それが余計なお世話になってしまった………拒否されてしまった、愛していた彼を……悲しませてしまった。
(愛妻や付き人を名乗る資格も――彼の方のおそばにいる価値も……ありません…ね)
結果として、愛する者を独り善がりで悲しませた自分が、彼の隣に立つ権利などなく――彼のために働く事など、許されない……ワカモは、一人そう考えていた。
先生を理不尽に苦しめたアリウスが憎い。しかしアリウスを傷つけるのは、愛する人が許さず、逆に彼を悲しませ、傷つけてしまう。
「……もうこのまま……、あの方と会わなければ…‼︎」
そうワカモが強く言ったその時、背後から声が聞こえた。その声は幼さがありながらも、しっかりとした声もある。
「うーん、それはちょっと危ない考えだと思うなー」
「あ……あなたは……?」
「ん〜、通りすがりのおじさんだよ〜」
「お…おじさん?」
「そう、おじさんはおじさん(17歳)で……――君と同じ、先生が大切で大切でたまらない生徒の一人だよ」
「………貴女、まさか」
「うへっ、ちょっと歩きながら話そうよ。狐坂ワカモちゃん?」
ワカモの側に現れたのは、かつて風の噂で耳にした『暁のホルス』こと、アビドス廃校対策委員会の委員長───小鳥遊ホシノだった。
お久しぶりの妹、弟先生コーナー。
温泉チナツちゃんのメモロビ編。
弟『これ、これ、アウト、アウトだろぉぅこれ!』
妹『教師と生徒のいけない関係!?……あっ、でも私女だからいっか』
『教師と生徒ってとこがまずいと思うよ、詳しくないけど』
あれほぼ混浴……いやほぼじゃなくて絶対でしたね。初見時はもうマジでっ!!?って驚きましたね……流石はヨースター様だ。
いつか温泉回もやりたい、そんな作者でした。
そして次回……いよいよ、マッシュ君とベアトリーチェがご対面……です! 直接じゃなくて、映像越しにですが。
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