ベアトリーチェの固有魔法に関しては私の勝手な妄想、捏造ですので、ご了承くださいませ。
特に後半はツッコミ所万歳ですが……マッシュルクオリティだと思って、受け入れてください。
とりあえず本編へ……どうぞ!
「クッッ……マッシュ、バーンデッド……!!」
「流石にこの程度じゃ、まだ倒れませんよね」
今度こそベアトリーチェの顔面を殴ったマッシュは、その拳を彼女に向けながらそう告げ、ゆっくりと近づいていく。その光景を見ていたミカは、居ても立っても居られないと言った様子でマッシュに駆け寄ろうと動き出す、が──
「マッシュ君、私も──『ミカさん、ここは、僕に任せてください』――……え?……え、ええっ!!?」
「先生、何を言ってるんだ!? 一人でなんて無茶だ!!せめて私も……!」
「何言ってんの、死ぬ気……!?」
「わ、私達だって戦えます…!それに、ここまでいろんな人が命懸けで私達を守って、ここまで導いてくれたのに……先生に全部お任せして、自分は戦わないなんて…そんなこと───」
「大丈夫だよヒヨリちゃん。サオリさんも、ミカさんも、アズサちゃんも、ミサキちゃんも……皆は、もうほんとによく頑張ったんだ。だからここからは……僕が一人で片付けるよ」
「先、生……」「先生……!」
マッシュは、ミカやサオリたちを制する。
今なら万全な状態なアズサもいるが……今のベアトリーチェには遠く及ばないだろう。
"だから、ここからは
「――余り、調子に乗らないことですよ……マッシュ・バーンデッド……!!!」
「あっ、起きた」
「貴様は――この私が……"崇高なる魔女"が……消して差し上げましょう」
「貴女が"崇高なる魔女"なら僕は――"勇敢なる戦士"、ですね」
「減らず口をォ……!!」
ベアトリーチェは激昂しながら立ち上がり、その右手に赤い靄のようなものを集積させて一本の杖を顕現させる。その杖は──ベアトリーチェの姿に似た色合いで、そして何より、魔法の杖と呼ぶにはあまりにも機械的で、異質な形状をしたモノだった。
「杖……やっぱりセイアさんの言う通り、
「彼の下で、私は数多の修業を行いました……そして今、貴方以上に魔法の知識を身につけています」
「魔法で僕を殺す気ですか」
「ええ勿論――しかし、ただの魔法では貴方を殺せない……貴方を相手に出し惜しみはしません…故に――」
「最初から本気で行かせてもらいましょう……!!」
ベアトリーチェが持っていた杖が紅の閃光を放ち、その形状を変化させる。入れ子式になっていたシャフトが展開され、長く伸びた杖の先端がベアトリーチェの目に酷似した単眼に変わる。
「サモンズ・偽の神…‼︎‼︎」
その瞬間、ベアトリーチェ自身の雰囲気と威圧感が並外れた物へと変貌し、バシリカを満たす気迫だけでも、彼女の出で立ちが変化したことが見て取れるほどの圧が生じた。
「な…に、あれっ……!」
「肌が…………っ!?」
「あ…あんな雰囲気のベアトリーチェ、見たことないです……!!」
「アレが、ベアトリーチェの本気だとでもいうのか……っ!」
「………セイアちゃんが言った通りだった―もうあの人、変わりすぎてる」
マッシュはサモンズの杖を初めて見るので、かなり驚いていたが……気を入れ直したマッシュは、いかなる攻撃にも対応できるように構えをとる。
「これがサモンズ……魔法が使える者の中でも、神に愛された者のみが扱える力であり、杖に宿っている神を呼び覚ます力。魔法が神に与えられた力であると言われる所以──つまり、杖に宿っている神の力を呼び覚ます事ができるのです」
「神って……そんなおとぎ話みたいな」
「彼の世界では、おとぎ話ではありません……それは先生、貴方自身がよくわかっているいるでしょう?」
マッシュの世界においての神は、人間の生活と表裏一体といえるほど身近に存在し、魔法という力も神から与えられたと言われている。故に、魔法界には神に愛された人間である神覚者が存在する。逆に魔法が使えないということは神に愛されていないということを意味し、魔法界の摂理に反する異端である、と解釈されてしまう。
それを知っていたベアトリーチェは、そんなマッシュに動揺を引き起こすためにあえて挑発を仕掛け、彼の精神を自らの魔法による制御の手中に収めようとした────のだが。
「いやわかりませんけど……にしても武器が変形するなんて……僕も12歳の頃、そんな設定考えてたっけな」
今のマッシュはそもそも筋肉にしか興味がなく、神の存在とかどうでもいいのである。加えて、無自覚に『考え出した小道具が子供っぽい』と煽っているようにも取れる発言のカウンターパンチ。
(つまり厨二病って言いたいの……?マッシュ君ってなんで人の地雷を踏みまくるの?)
「――私は貴方の世界にある概念について説明したのみ、妄想ではないのです!!!!――あぁいけない、これを使うのであれば……優雅に、気品のある立ち振る舞いをしなければ」
「……そんな力を、アリウスのみんなに振るってたんですか」
「いいえ、生徒一人の教育にサモンズの力を使うのは、魔力の無駄使いです……使ってきたのは固有魔法の方ですよ……子供の理解の範疇を超えた魔力を使って彼女らを翻弄し、私の意のままに教育を施した時の顔は……なんとも愉悦なもので――」
ベアトリーチェがそこまで口に出したところで、マッシュの怒りは沸点に到達した。子供を痛めつけて支配するために人の身に余る強大な力を用いていた事実に対し、マッシュは覚えた怒りに身を任せ、ベアトリーチェに飛び掛かるとともに拳を振るう。
―――しかし
───スカッ!!
「……あれ」
「本当に、野蛮な男ですこと」
「!!!!!」ブンッ!
「直情的で、直線的にしか動けない――これこそ、子供と言うもの」
「……いつのまにあんなところに」
マッシュの攻撃は、ベアトリーチェに当たらなかった。厳密には、そもそも彼女はその場にはおらず……彼女はずっと、マッシュから少し離れた場所に立っていた。
「あ、あの幻影って…」
「さっき使ってた魔法……でも、赤いオーラが無い」
「
「先生……!」
「―─フッ」ビュン!
マッシュは今度こそベアトリーチェに攻撃を当てようと飛び蹴りを放つ。その蹴りに合わせ、ベアトリーチェは待っていたとばかりに杖を突き出し、赤いバリアを展開したが───
「キャッチ」ギュルルルッ
(───!?バリアが縄みたいに絡まって────)
「スロー」ブンッ
「うわっ」
そのバリアが突然、植物の蔓のように変形して幾条の捕縄へ変化するとともに、マッシュの足から体へと巻きついて拘束する。ベアトリーチェはその状態のマッシュを投げ縄のように振り回すと、拘束を解いて遥か遠くへ投げ飛ばした。
マッシュは空中で何度も回転しながらも、投げ飛ばされた先で姿勢を立て直して着地、砂埃を払ってベアトリーチェへと向き直る。
「回復の隙など与えませんよ」
「あっ、さっきのゴーレム…!」
「フンッ、フンッ……!!」
「いくらでも相手をしなさい」
ベアトリーチェの周りに出現した毒々しい魔法陣から、先ほどのゴーレム達が召喚されて顕現、一斉にマッシュへと襲い掛かる。マッシュは拳のラッシュでそれを蹴散らしていくが…
「これぐらいの敵じゃ、先生は止まらな──いや、あれは……!?」
「破壊されたゴーレム達が集まって、巨人に……!?」
「押し潰しなさい」
破壊されたゴーレムの破片は転がりながら一箇所に集まっていき、巨大な岩の巨人を形成する。巨人は足でマッシュを踏みつけるが、マッシュはそれを右腕で防ぎ───
「なんの……これしき」ブンッ!
左拳で破壊、そして破壊した岩の塊をベアトリーチェに投げつける――のだが、ベアトリーチェに当たる寸前で巨岩は軒並み砕け、水に変わってしまった。
「今度は水…………って嘘だろ」
「ここがキヴォトスとあらば、銃くらいは使っておかなければ」カチャカチャ
「だからって限度がある」
そして今度は、その水が空中へと伸び上がりながら何種もの火器へと変わり、無数の
「一度使ってみたかったのですよ……これを」
「勘弁してくれないかな」
マッシュが凶弾を回避する中、水の一塊を掬い上げたベアトリーチェは、両手に握った水から新たな武器を錬成していく。彼女の掌に生み出されたのは、サツマイモ型の弾体に安定翼を持つ形状のロケット弾──携行型対戦車擲弾発射器・RPG-7の弾頭だった。
「盾」
(ゴーレムで防がれた…)
「近代兵器の後は――幻想的な力でも使いましょう……フッ!」ブンッ!
ベアトリーチェが杖を掲げて勢いよく振ると、暗いバシリカを赤橙色に煌々と照らす火球が複数現れ、それらがマッシュに向かって放たれる。マッシュは咄嗟にプロテウスをバットに作り変え、高温の火球を弾く。
「ならば…!」ブンッ!
「!」
今度は杖を下から上へと振り上げ、マッシュの足元から竜巻を発生させて彼を宙に吹き飛ばす。ベアトリーチェはそのままマッシュを竜巻の中で拘束し、風の渦に巻かれるマッシュに狙いを定める。杖の先端で見開かれた単眼が、一段と強い光を煌々と放った。
「仕上げです!」
マッシュを拘束した竜巻に向けてベアトリーチェが杖を掲げた直後、先端の単眼が禍々しく光るとともに、ドラゴンブレスを上回るような紅蓮の炎が吐き出された。
「―――今………何が……起きた」
「何アレ……なんなの、アレ!」
「ゴーレムだったり銃火器だったり、火や水…風も操って………本当に何が起こったんですか⁉︎」
「マッシュ君!!! ……!?」
煙が晴れ上がり、ベアトリーチェはマッシュを見る。
「シッテムの箱の恩恵は……まだありますか?」
「………成程、最初からそれが目的ですか」
『先生、ごめんな…さい!そろそろ、バリアが、限界です……!!』
「いや、もう大丈夫……ありがとうアロナちゃん」
『ゴホッゴホッ、ゲホッ……は―…―…い―せん―せ……!!』ブチッ
「アロナちゃん……?アロナちゃん……っ!───よくも、アロナちゃんを」
「どうやら先ほどの落雷で、OSがオーバーロードしたようですね……――さあ、マッシュ・バーンデッドよ」
アロナとの交信が途絶した直後、ベアトリーチェは杖を掲げたまま、自信満々に
「正々堂々……戦いしましょう」
継戦を告げた。
シッテムの箱が発揮する最大の恩恵・アロナバリアが完全に切れ、マッシュは次から生身で攻撃を受けなければいけなくなった。
マッシュはバリアで攻撃を受けることで、ベアトリーチェの能力について知ろうとしたが……人智を超えた超常的能力は、もはや人間が理解できる域にはない。
「気になりますか、私の能力が」
「そりゃあ勿論……なんなんですか、さっきの」
「これが、あちらの世界で身につけた私の固有魔法――名を、
「ファンタジム?」
「能力は――幻想を増幅して具現化する」
幻想を増幅して具現化する───その本質を聞き、後方にいたミカとアズサ、スクワッドは、その能力が持つ恐ろしさに気づく。
幻想とは、根拠のない空想。とりとめのない想像のことを指す……つまり、ベアトリーチェの固有魔法の力は、彼女自身が思い描いた技を発現できる。
「えーとつまり………シュークリームを無限に食べたいって思ったら、無限にシュークリームを出せるってこと?」
「……この崇高なる力に対して、例え方の俗物さがなんとも癪に障りますが……まあ、貴方が持ちうる理解力の範疇であれば、さして間違いではないでしょう」
「えぇ……ズルい」
「とはいえ、貴方がどう死ぬか、貴方の体がどうなるか……など、他者の肉体やその周囲の空間に強く干渉する幻想は具現化できません」
「できたら困る」
「そうですか、まぁそこまで出来なくとも、私には貴方を消すに足る力が元から備わっているも同然ですが――さて、無駄話はここまでにして……再開と行きましょう」
ベアトリーチェはまた杖を振るい、今度は鋭い槍の雨を降らせた。マッシュはそれを、プロテウスを加工した鉄の傘で塞いでいく。
「どうですか……アリウススクワッドにアズサ、そして聖園ミカ。この私の力を見てもまだ……貴女たちの先生が、この私に勝てると思うのですか?」
「一度……信じると決めたんだ、だから――勝つと、信じる」
「愚かなことを……この男が私に勝ったとしても、貴女達がこれから先、幸せになることなどありません――今まで私に言われるがまま、他者を傷付けてきた貴女達が今更幸せになれるとでも?」
「……っ」
アリウスは確かに、ベアトリーチェの言われるがまま、汚れ仕事に手を染め、多くのものを傷つけ、他学園に流血を強いた。
「罪を償えるチャンスはいくらでもある、なんなら僕が作り出します。……そもそもの原因は貴女じゃないですか」
傘で槍の雨を防ぎながら、マッシュはベアトリーチェの背後に回り込み、そのまま傘で殴りつける。彼女はその攻撃を、分厚いバリアで防ぐ。
「私は大人として当然の選択を取ったまでです。大人が子供を支配し、搾取し、統制し、自らを高次の存在に至しめることに何の間違いがあるのでしょう?――そして何より、貴方達の先行きの幸・不幸を決めるのは、貴方達自身のように未熟で乳臭い子供ではありません。私達のような大人が動かす社会、世間が決めるのです」
「なら、その世間の意見も変えてやります」
「先生がそう言ってくれたんです……だ、だからっ!!」
「……貴女達が幸せになるのを、私が赦すとでも?」
「僕が幸せにするので、黙っててくれませんか?―そもそも貴女の許可なんて必要ないだろ」
「ならば再度言いましょうか――口ではなんとでもなる……言い換えれば、貴方たちの力では如何とも出来ない。貴方達のような子供は、私達大人の下に生殺与奪が委ねられているものなのですよ!!」
ベアトリーチェは、展開したバリアをナイフのように変形させて杖に接続、薙刀のようにしてマッシュを攻撃する。流石は一時イノセント・ゼロの下についた大人といったところか、その動きは素人のものではなく、上中下段を的確に狙い分けた突きと薙ぎ払いが辻風のように重なり、マッシュの命を刈り取ろうとする。
「世界は、人の世は! そんなに甘くはありません! ただの子供である貴方が……皆を導く賢い
ベアトリーチェはマッシュの心臓を傷つけぬよう、首や脇腹、動静脈などの急所を的確に狙って攻撃を行う。これらを回避し、時折プロテウスで刃を弾くマッシュだったが、ベアトリーチェは杖に神秘を流すとともに、先端のエネルギーブレードを変形させて鎌の形に仕立て上げる。
そんな彼女に、マッシュは拳を握って刃の側面を弾くことで対処していく。
「幸せの形なんて、人それぞれだし……僕もまだ、何をしてあげたら喜んでくれるのか、全員分把握していない」
「それならば」
「でも、それは何もしない理由にはならない」
「先生、下だっ!!」
ベアトリーチェは姑息にも、マッシュの顎を狙って小型ナイフの形をしたバリアを挿し込んだのだ。マッシュにも勿論それを受けるつもりはなく、彼は左手でそれを阻止した後、逆にそれを彼女の太ももに突き立てた。
「ッ…!」
「サオリさん達はもう十分苦しんだ、だから……ここから幸せになっていくべきなんだ」
「そんなものはただの空想でしかありません……!!いいですか、マッシュ・バーンデッド!!」
ベアトリーチェは鎌を振り回し風を起こすと、それでマッシュを宙に浮かせる。
「幸せなど、彼女らに在り得ません!多くのものを傷つけ、苦しめ、果ては自分達さえ無事ならそれでもいいと考える者達────そのような者達が、幸せになる権利などありません………それが――この世界が決めた、決定事項なのです!」
熱線が一点に集中し、大径のレーザービームがマッシュに放たれる。彼はそれを正面から受けてしまい、爆発しながら地面へ真っ逆さまに落ちていく。
ベアトリーチェは落下していくマッシュをその眼で睨みつけるとともに、力任せに杖を振り乱し、今度は鋼のような茨を何百本も顕現させ、それらを嵐のように振り回して彼を激しく鞭打つ。
「っ、むごい…!!」
「血が…!?先生、先生っ!!」
「あってはならないのです……ならないのですよ!!」
地面に完全に落ちたマッシュに向かって、ベアトリーチェはまだ追い打ちとばかりに、今度は鉄の籠手で固めた拳でマッシュを殴りつける。奇しくもサオリ達がこれまで見てきた、身に受けてきた時と同じように───
「生徒が光を見出すなど……なりません…!生徒たちには憎悪を…呪いを纏わせなければいけません!!互いを騙し傷つけ合う地獄の中で、久遠の絶望と暗黒の中で、
「――やめろ、もう、やめろぉぉぉッ!!!!」
怒号を吐き、修羅のごとくマッシュを殴り殺そうとするベアトリーチェ。そんな暴挙に対し、サオリが血を吐くような叫びとともに飛び出してベアトリーチェに食って掛かろうとする───
「聖園ミカ、何故止める!?このままでは、先生と姫が!!」
「今はダメ、私達があそこに入って……どうにかなるワケ?」
「でも……せ、せめて援護くらいは…!」
「先生の攻撃を防げるバリアを張れるのに?その弾倉半分だけの弾薬でどうするつもり?」
「うっ、それは……」
「なら――ならどうしろっての!?このまま、あいつと姫が殺されるのを黙って見てろって!?」
スクワッドからしてみれば、今この瞬間、自分たちの家族を救おうとしている恩人を見殺しにしているばかりか、アツコすらも殺されるかもしれない状況……我慢できるはずもない――それは、ミカも同じ。
「――信じて、マッシュ君を」
だが、ミカは信じていた………「マッシュ君が、あんな魔女に負けるはずがない」と。
「ハァ……ハァ……思い、知りましたか……大人の、重みのある拳を…!!――待っていなさい……じきに、あの愚かな生徒達も…!!」
煙がマッシュの全身とバシリカの床を巻き、マッシュの姿はほとんど見えない……しかし殴りつけた手応えは見誤るものではなく、ベアトリーチェには自らの手でマッシュの肉体を潰した感覚を、確かに知覚していた。
「――黙れ……この、……外道が。僕がいる限りそんなことさせない…やらせない。させるチャンスすら与えない――キッチリぶっ飛ばしてやる」
「な……に……!?そんな、はずは───────!!?」
だがそれは決して、マッシュ・バーンデッドの死とイコールで結ばれることはない。
「……そうか、いくらベアトリーチェの魔法が強くとも、桁違いであっても――攻撃を続けるための体力には、限界がある」
「マッシュ君の防御力と耐久力、ベアトリーチェの体力……勝負は最初から決まってた」
「でも、ここからどうするの……物理攻撃を行なう隙すら与えてくれなかったのに」
「そこは……マッシュ君の腕の見せ所だよ⭐︎」
ベアトリーチェの
(体力を……回復をした後、奴を確実に仕留める……大丈夫です。私にはまだ切り札が………―─ん???)
その隙に、マッシュはプロテウスと、また別の"ある物"を懐から取り出し、新たな武器を作っていた。それは――鎖。
その鎖は、以前エンジニア部からプロテウスを受け取った時に、副産物としてもらった代物。マッシュは先にプロテウスを加工し、刺々しい球体を形作る。その後、鉄球に鎖を繋げ、もう一本の杖を
マッシュが作り出したそれを見た時、アリウススクワッドとアズサは想像もつかないような武器に絶句し、ミカは予想外の展開に大笑い、ベアトリーチェは返り血と怒りに赤く染まった顔面を一気に青ざめた……彼が作り出したのは
「「モーニングスター、だと……!?」」
鉄球の大きさはだいたい30cmほどであり、鎖の長さはだいたいマッシュの身長の半分。そんな強大な武器を、鉄の杖2本と、鎖一本で作り上げた……
「なっ、えっ、えぇぇぇっ!?」
「質量と体積が増えてる……と言うか……え、ほんとに何?」
「身の丈ほどの、モーニングスターが……出来上がった…だと?」
「――っ、だから、どうしたと言うのですか……その程度の武器で、私の魔法に勝てるとでも!?」
ベアトリーチェは杖を地面につけ、軽く振った後、植物の蔓を複数本出現させ、マッシュを攻撃した。マッシュは息を整え、モーニングスターを振り回す。
「フンッ」ゴシャァァッッ!!
「っ……!!?」
振り回したモーニングスターの鉄球が蔓に当たり、蔓は引き裂かれ蹴散らされる。
「フンフンフンフンフンフンフンッ」ブンブンブンブンブンブンッ!!
「ああダメです!?モーニングスターの威力が強すぎて、ゴーレムも鉄の雨も意味なく蹴散らされてますっ!!」
「何故…あの大きさの重量物をあんな勢いで回せるんだ……?」
「リーダー、もうツッコむのはやめよう……頭が痛くなる」
「流石は、流石は先生だ✨」
「やっちゃえ〜ッ!!かっこいいぞマッシュく〜ん!!」
「こ、この…クソガキがぁっ……大人を舐めるなぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」
ベアトリーチェは額とコメカミに青筋を浮かび上がらせながら、バルバラが使っていたものと同じガトリング砲を複数顕現させて射撃を行う……が、モーニングスターの先端・鎖・柄に弾丸が弾かれ、攻撃がまるで当たらない。
ほぼヌンチャクのように振り回されるモーニングスター、火球を放つもかき消され、風で宙に浮かせようにもモーニングスターが重すぎて浮かない。雷を撃つ暇も、バシリカ内の空間では落雷を引き起こす前に間合いを詰められる。
どれだけ幻想を具現化させても、どれだけ理不尽な攻撃を行っても……目の前の、本物の理不尽な暴力の前では無力なのである。
(やむ追えまい…!一度下がって、そこから――)
「どこ行くんですか――勝負はまだ終わってませんよね?」
(こいつ、いつの間に!?)
「みんなの痛み……食らってください」
マッシュはモーニングスターを持ちながらベアトリーチェの近づくと、そのまま鎖を振るい、鉄球を彼女の顔へ向けて放つ。勿論ベアトリーチェは、一段と分厚いバリアを張った……しかし、それも薄い。マッシュの鉄球を防ぐには、あまりにも薄い。
「ゴアッッ!!!?」
あまりにも薄すぎた。マッシュは何の躊躇いもなく、鉄球をベアトリーチェにぶつけまくる。散々鞭打ちを喰らった仕返しである。
「フンフンフンフンフンフンフンフンフンフンッ」
「ガッ――ゴッ!…ングッ!――カハッ!――ヌァァァァァッ!!!??!?」
1トンを超える重さの鉄球で全身を殴られる……そんな光景を見てスクワットは血の気が引くとともに茫然自失、アズサは純真無垢にも目を輝かせ、ミカはいよいよ乾いた苦笑しか出せなくなっていた。しかし彼女たちは皆一様に共通して────
(――頼む、先生……どうか……!!)(絶対に勝って、先生……!!)
──次第に、その勝利が現実味を帯びていく様を感じ取っていた。殴られ続けている当のベアトリーチェは何の思考も働かず、ただ痛みだけが脳を支配した。
「天……誅!!!」
ラスト一発、力一杯に振るった鉄球はベアトリーチェの体に減り込み、彼女を壁へと吹き飛ばした。真の勝負は、まだまだここからだ。
満々満足、ではないです…‥まだ足りない。
次回はもっと、もっっっとスッキリ回に仕上げます‼︎
そしていよいよ……マッシュ君の本気が出ます。
百花繚乱後に見たい話
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まだ交流がない生徒との話
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アイデェア箱から選んだお話
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ラビット2章
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愛が重い生徒との話