透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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妹先生、コロナの症状は治まりつつあり、熱も下がった。

弟先生、完治。

私、体温変わらず症状もそのまま


神様私何か悪いことしましたかねぇ〜⁉︎ 小説内でしか元気になれねぇ……とりあえず、本編へ、どうぞ‼︎(後半まで行く元気が無かったです)


マッシュ・バーンデッドと人生スゴロク・後編

 

 

 

 

 

「イズナ?違いますよ?これはただのゲーム……そうゲームです! だからそんな顔をしないでください!」

 

「………」(無言でマッシュの背中に隠れる)

 

「イズ……ナ―――ガクッ」

 

「あ、倒れた」

 

 

 

 

 

 絶望したまま倒れたワカモ。可愛い可愛い妹分に距離を置かれ、恐怖に萎縮して自分を敵同然に認識しているイズナを見てしまった……当然、純真なイズナから恐怖の対象と認識されてここまで距離を置かれれば、メンタルにも響く。

 

 

 

 

 

「――次はこのマコト様が行こう」

 

「マコト…正気?」

 

「あの話を聞いたら気になってしまうではないか、自分がこの先どうなるかを…な」

 

「……一理あるわね」

 

「さあ行くぞ……運命よ!このマコト様に味方するがいい!!」

 

 

 

 

 

 言い知れぬ小さな不安を感じつつも、マコトはこのゲームを恐ろしさを知るために、自らを犠牲にして駒を進める。出た目は67……そこに表示されたのは──

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ……キヴォトス全体の人気を自分一人に集めようと色々な機材や準備を進めるも失敗、500万を失う―――なんだぁぁぁぁこのすごろくはぁぁぁ!?―って私ぃぃぃぃ!!

 

 

 

 

 

 マスの上にいた駒から飛ぶように札束が消え、マコトの駒がやつれてしまった。

 

 

 

 

 

「500万って……宣伝にそこまでの財力を?」

 

「トリニティなら絶対にないね、ないない」 

 

「初っ端から……マイナススタート……だなんて…!」

 

「……まあ、迷っていても仕方ありませんね――次は、私が行きます」

 

 

 

 

 

 

 マコトとワカモが絶望に斃れた道に臆すること無く、今度はナギサがダイスを回す……未来を暗示する、それはつまり、言い換えれば「いいことも起きるかもしれない」ということにほかならない。エデン条約事件、マッシュとともに艱難辛苦を乗り越えたナギサは、その可能性にかけた。

 

 

 

 

 

 

「えいっ……!」

 

「ナギサさん、そんなに力まなくても大丈夫ですよ?」

 

「そういえばナギちゃんってこういうゲーム初めてだね、いっつもチェスとかしかやんないし」

 

「それしか娯楽がないのか?」

 

「正直それしか興味ないって子だもん」

 

「成程……勿体ないな」

 

「勝手に哀れまないでもらえますか? 負債額450万円のマコトさん?」

 

「なんだとぉ!?」

 

「私は貴女と違って、あんな間違いは犯しません……伊達に、長い間ホストをやっていないので!」

 

 

 

 

 

 ナギサは自信たっぷりに言ってみせた。対立関係から競争関係に至ったトリニティとゲヘナにおいて、対抗心を燃やす程度ならば問題はない。

 エデン条約事件前であれば、多少の煽りでも簡単にゲヘナ生が撃発して武器を取ることは当たり前だったが、今はいわゆるスポーツマンシップに乗っ取っている。

 

 

 そしてナギサはマコトと違い、財力の使い道を間違えることはない。確実に、きっと、いいことをしたのだろう……そう信じて、ナギサは自分の駒を動かす。

 

 

 

 

 

 

「23っと、さて……私の未来は…―――

 

 

 

 

 

 

友達の好きなものを侮辱して嫌われる、50マス戻る…言われた言葉は『ペロロ様はキモくありません、ナギサ様なんて、大っ嫌いです‼︎』―………って……ウッ」ガクッ

 

「ナギちゃん!!?」

 

「と、トリニティのホストさんが崩れ落ちました!!」

 

「ナギサ様!?」

 

 

 

 

 

 友達の好きなもの。つまりヒフミが愛してやまないペロロを、ナギサはこの世界線で『気持ちの悪い鳥…』と言ってしまったのだろう。そのせいでヒフミに嫌われてしまった*1ナギサは、呼吸麻痺を起こしたように胸を押さえて膝から崩れ落ち、地面へと倒れ臥して痙攣し始めた。ナギサの駒も、絶望の表情を作りながら横倒しの状態になっている。

 

 

 

 

 

「な、ナギサ様!!しっかりしてください!!」

 

「ヒ、ヒフミさん……わ、私はそんなこと言いません、言いませんから……ね!!」

 

「なんで血を吐いてるんですか!?」

 

「ヒフミさんに嫌われてしまったら――私は生きていけません…!!」

 

「ナギサ様!?」

 

「流石ヒフミ、モテモテだな」

 

「これはモテモテと言っていいんですかね⁉︎」

 

「ナギちゃん(キモ)いよ…」

 

「……あの人、少し愛が重いのでは?」

 

「姉様がそれを言いますか?」

 

 

 

 

 

 

 マッシュも数々の生徒の脳を焼いて回っている天然誑しだが、ヒフミも劣らず人誑しであり、トリニティではその人柄が多くの生徒の心を掴んでいるという。

 

 

 

 

 

 

「―仕方ねえ、ここはあたしがひと肌脱いでやる」

 

「負けに行くモブキャラのセリフみたいですね」

 

「こういうのを負けフラグというのだな」

 

「遺書は書きましたか?」

 

「テメェら揃いも揃ってぶっ飛ばされてぇのか⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 「貴女もおんなじ目に遭えばいい」と言わんばかりの眼差しを仮面の中から向けるワカモと、「お前も苦しめ」という意味を込めた言葉を放つマコトと、「本当に痛い目に遭うから気をつけろ」と忠告をするナギサ。ナギサの前の二人には…「お前もこっちにこい」と言う意思がこもっていた。

 

 

 そんな3人に負けまいと、ネルは意に介さずダイスロールと開始する。自分はあの3人のようなやらかしはしないし、まだ常識人なのだから大丈夫だろうと……ネルはたかを括っていたのだが。

 

 

 

 

 

 

 

「7か、あいつらとは違って一桁なのは気になるが……まあ関係ねえ、こっから這い上がっていけばいい……んで、あたしの身には何が…………

 

 

 

 

 

 

 

――卒業しても、大人になっても自分の身長は変わらず今のまま、未来永劫チビとしての人生を歩む、何もなし、お疲れ様(笑)………………ぶっ壊す」スッ

 

「だ、ダメですチビメイド先輩‼︎」

 

「だれがチビメイド先輩だぁゴルァ‼︎」

 

「どうどうネルさん、どうどう」

 

「未来永劫チビだァ⁉︎ お疲れ様だぁ⁉︎ ぶっ壊すぞゴルァァァ‼︎‼︎」

 

「まあまあネルさん、まあまあ」

 

「あたしだってアスナぐらいになれるわぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 マス目にコンプレックスを煽られたネルが激憤し、愛銃を両手にゲーム盤を破壊しようとしたため、マッシュとアリスが後ろから羽交締めで止める。製作者の性格というものが出ているのか、それとも製作者が作ったAIの性格が極度に捻くれているだけなのかはわからないが……一同はこの惨状から、警戒心を高めた。

 

 

 

 

 

 

「……先に行く」

 

「い、いいのか剣先ツルギ!」

 

「また何か発見があるかも知れないしな――そ……それに……」

 

「それに?」

 

「せ、先生と何か……いい思い出が、あるのかも……知れない…し…」

 

「うへぇ、乙女だね〜ツルギちゃん」

 

「成程これがギャップ萌え…」

 

「っ、変なことを覚えなくていいぞサオリ!――と、とにかく……先に、行かせてもらいます…!」

 

「どうぞ、何がきてもいいように身構えておいてくださいね」

 

「はい…!」

 

 

 

 

 

 

 戦地へ向かう兵士の顔、少しの期待を持ちながらも淀んだ不安と戦っているツルギ。ダイスを軽く放り投げ、その目を確認する。

 

 

 

 

 

「20……――友達と一緒にスイーツを食べまくった結果、体重が……20キロ増えるだとぉぉぉぉぉ‼︎⁉︎

 

『な――なんて恐ろしい事を‼︎』

 

「キェェェァァァァァァ!!!?」ゴロゴロゴロッ!

 

 

 

 

 

 ツルギは奇声を上げながら転げ回り、最終的にゲーム盤に背を向けて部屋の隅に移動すると、泣きながら体育座りで座り込んでしまった。それを見た他生徒達やマッシュがそれを宥める。駒の方は、若干太っているように見える。

 

 

 

 

 

「あくまでIF未来だから、気にしなくてもいいわ」

 

「友達と青春を楽しむのはいい事じゃないか」

 

「そうそう、気にしちゃだめだよ〜」

 

「うぅぅぅぅ…!」

 

「体重が増えることは…そんなに悲しいことなのか?」

 

「我々にはよくわからないが……」

 

「体重とかあんまり気にしたこともなかったね」

 

「元アリウスの皆は知らないんですね……女の子からしてみれば、体重が増える=死にたくなる物なんですよ」

 

『そんなに⁉︎』

 

「そんなに……なんです」

 

「ツルギさん、もしそうなっても、僕と一緒にトレーニングしましょう」

 

「うぅ…」

 

 

 

 

 

 

 変な未来とならなくても、こういう女の子にとっての爆弾が存在している……またまた警戒心を強めた一同、しかしそんな中で一人――警戒も何もしていない者がいた。

 

 

 

 

 

「次は私か」

 

「さ……サオリ……気をつけろ」

 

「本当に警戒しておいた方がいいですよ?」

 

「心配してくれるのはありがたいが……私なら大丈夫だ」

 

「何故そう言い切れる?」

 

「私は、未来になんの希望もなかった、この先の未来や人生なんて、頭の片隅にも入れていなかった――しかし今は、その未来が楽しみで仕方がないんだ」

 

 

 

 

 

 アリウス生として生きていた時は、もう未来なんて考えている余裕も、考える必要もなかった。しかし今は違う……今は、どんな人生を歩めるのか、どんな未来が待っているのか、それをサオリは楽しみにしていた。――無論、家族がどうなっているのかも楽しみだった。

 

 

 

 

 

「どんな未来が来ても受け入れよう、重い未来が待っているのなら、そうならないように立ち回ろう。もう未来に絶望しない……そう決めたのだからな」

 

『―おお〜』

 

「サオリさん……成長しましたね――僕泣きそう」

 

「リーダー…!」

 

「ニーナ、安心しろ……皆のリーダーとして、姉として――この運命に戦う‼︎」

 

 

 

 

 

 サオリはダイスを強く振い、出た目を確認。数字は34、自分の駒を動かし。そのマスに現れた文字をよーく見る。どんな未来が来ても動揺せず受け入れると……サオリは心に決めていたが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――愛しき妹達が、唐突に配偶者を連れてきて……スタートに……戻る―だ…と――グァァァァァァッ!!!!!!!ドゴォォォォン!!

 

『サオリィィィィィぃ⁉︎』

 

「配偶者って…荷物を運んできてくれる?」

 

「それは配達者!…えっと、配偶者っていうのはつまり……結婚相手ということです」

 

「わぁ」

 

「アッハハ! すごい飛び方したね! まるでご主人様のパンチを食らった時みたい〜」

 

「言ってる場合か‼︎ あいつ背中から吹っ飛んでいったぞ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 サオリは妹達、つまりニーナやアツコなどのアリウス生徒達が、結婚相手を連れてくると言ったIF未来を叩きつけられた。サオリは突然後方に向かって弾かれたように吹き飛ぶと、壁へと激突して壁面へ減り込む。

 

 

 

 

 

「り、リーダー!?」

 

「サオリ……姉さん!!大丈夫!?」

 

「VanitasVa…ni…tas…Vanitas…VanitasVaVaVaVa…」

 

「ダメだバグってる」

 

「バイブレーションってぐらい震えてる……」

 

「サオリさんってブラコンだったんですね」

 

「どっちかというと…シスコン?」

 

「どっちにしろ、これは受け入れる受け入れないの前に、とんでもない衝撃だよね……」

 

「――相手が…先生なら…まだ、許す……」

 

「僕ならいいんだ……いやそもそも結婚とか、あんまり考えたこともないんだけども」

 

 

 

 

 

 

 血を吐きながらぐったりをしていたサオリを介抱するアズサとニーナ。自分の愛する家族が唐突に結婚相手を連れて来たとなれば、受ける精神的な衝撃は計り知れない。

 

 

 

 

 

「うへぇ、サオリちゃんも大変だね〜……まあおじさんは、どうせ大した未来にはならないだろうし。気楽に振っちゃおう〜(……アビドスが復興する……とかなら嬉しいな――その後なら、幸せを夢見ても)」

 

 

 

 

 

 

内心ちょっと重い事を考えていたホシノ…その結果は

 

 

 

 

 

「え〜となになにー? 可愛い後輩達が唐突に配偶者を連れてくウワァァァァァッッ!!!!?

 

「セリフの途中で吹っ飛んだ!?」

 

「またかよ!」

 

「ホシノさんも同じ未来が……あ、でもアビドスは無事みたいですよ。配偶者と共にアビドスで暮らしていくって」

 

「その配偶者が先生ならいいよ⁉――でもそれ以外は認めないッ‼︎‼︎」

 

「ん、先輩そんな本気の目にならないで」

 

「うぅやだよぉぉぉ…‼︎私はさておき、みんながどこの馬ともわからない奴と付き合うなんてやだよぉぉぉ‼︎‼︎」

 

「ん…ん…!ホシノ先輩、痛い、しまってる、首しまってる…‼︎」

 

 

 

 

 ホシノも同じような未来を目の当たりにして理性が崩壊し、委員長の立場など関係なしに震えながら泣き喚き、シロコを強く抱きしめ…否、締め上げる。

 

 そして最後は…マッシュ。

 

 

 

「次は僕か、えいっ」

 

「先生気をつけてね……本当にろくなのないから」

 

「お気をつけてくださいあなた様…‼︎」

 

「まあ……先生に限って、そんなひどい未来はこないと思いますが…」

 

 

 

 

 

 

 キヴォトスの善人代表・マッシュに対しては、このキヴォトスにおいて酷な未来が来るとは思っていない一同。マッシュ自身は『死刑とか来るかも』などと考えていたのだが……

 

 

 

 

 

「4マスで――卵アレルギーになり、二度とシュークリームを食べられない……10回休み」

 

『死よりも……恐ろしいことが‼︎』

 

「カヒュ…」バタッ

 

「あっ、先生が倒れた‼︎」

 

「AEDー‼︎‼︎」

 

「あなた様ぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 マッシュにとって、一生に渡ってシュークリームが食べられないことは、まさに死よりも恐ろしいことである。アレルギーの恐ろしさを想像したマッシュは簡単に倒れ込んでしまった。

 

これにてチーム保護者がほとんど壊滅……残すは、チームお友達のみ。

 

 

 

 

「―――生き残りましょう‼︎」

 

『お〜〜‼︎』

 

 

 

 

彼女らは勝ち負けよりも、(眼前に差し迫るゲームという脅威から)生き残ることを最優先に、勝負を進めていくのであった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

「えー…色々あったけど……続きを行なっていこうと、思います」

 

お〜…

 

「全然そんな雰囲気ではないのですが⁉︎」

 

「完全にメンタルが折れた時の顔だぞ?」

 

「まあ無理もないよね〜」

 

 

 

 

 

 

 ワカモは妹分に怖がられ、マコトは多額の負債を背負い、ナギサは友達に嫌われた精神的ショックで瀕死、ネルは未来永劫チビと断じられ、ツルギは女性にとって爆弾のような未来を課せられ、サオリとホシノは可愛がっている後輩と家族が恋人を連れてくると言われ……マッシュはシュークリームを食べられないと言われ、チーム保護者のメンタルはボロ切れ同然に痛めつけられていた。

 

 

 

 

 

「恋人は……獣人だろうと、ロボットだろうと、異性じゃなかったとしても……いい――しかしそれが、この前話をしてくれたロボットの店長や、先生のような善人でなければ許さん‼︎」

 

「同じく――カイザーみたいな大人だったら撃っちゃうかもね〜」

 

(ん、ホシノ先輩がまた本気の目をしてる)

 

「まあ……一番ダメージ負ってんのは」チラッ

 

「――――――――」

 

「あっちだろうよ」

 

 

 

 

 

 現状、このゲームで最大のダメージを負ったのはマッシュである。一時的に気を取り直してはいるものの、あまりのショックの大きさに未だ影響を引き摺っており、時折虚空を見つめていた。

 

 

 

 

 

「せ、先生、ほら、ゲームの中での世界でって話だから! …ね?」

 

「今まで、嫌な未来を力尽くで塗り替えて来たのだろう? ほら、気を持ち直せ」

 

「そう言われても………」

 

「後でこのマコト様がシュークリームを好きなだけ買ってやろう」

 

「わーいやったー」

 

(…………私はお前が心配になって来たぞ、マッシュ・バーンデッド)

 

 

 

 

 

 

 実際、近頃のマッシュは精神攻撃によってメンタルに甚大なダメージを受けたり精神が不安定化しても、シュークリームを食べれば平常心を取り戻すことが出来る程には精神が強化されていた。そもそもエデン条約事件においてミカとアズサが彼に寄り添ったこともあり、彼のメンタルはこれまで以上に飛躍的な強化を経ていた。

 

 

 

 

 

「――次、私が行くわ」

 

「人気が地に落ちますように、人気が地に落ちますように。あわよくばこのマコト様が上に立っていますように」

 

「私怨が凄まじいな」

 

「マコトさんってヒナさんが絡んだら急にドポンコツになりますね」

 

「ほんと、エデンの時のカリスマはどこにいったのやら」

 

「言葉を選べ貴様らぁ‼︎‼︎」

 

 

 

 

 

 

 癇癪玉となったマコトを無視し、ヒナはダイスを振う。ヒナの脳に浮かんだのは、疲労で倒れる自分や過労で倒れる自分、といった未来……最悪『先生に嫌われる』可能性も脳裏に浮かんだが反射的に感じた恐怖と不安感からその予想を振り払った。その時、ダイスロールの結果に伴ってヒナの駒が進む───

 

 

 

 

 

「40………仕事が増えに増え、3日眠れずに仕事を続ける、激務に追われているため5回休む……まあいつも通りね」

 

「3日眠れないのが普通?」

 

「ん、絶対おかしい」

 

 

 

 

 アズサが口にした疑問に、シロコが即答する形で否定する。それに続いて、他の生徒らも次々にヒナの異常さに異議を唱え始めた。

 

 

 

 

「人は一日眠らなければ死んでしまうと、この前本で学びました!」

 

「ねぇ風紀委員長ちゃん? それ絶対おかしいよね? なんで受け入れてるの?」

 

「……? 3日ぐらい寝なくても大丈夫でしょ? なんなら先生がくる前は寝れるのが奇跡だったくらいだし……そもそもあの頃は万魔殿からの嫌がらせとかあったから仕事に手がつかなくて……―あ、でも安心して? 最近はちゃんと5時間は眠れているから」

 

 

 

 

 

 そんなヒナの発言に固まった一同は、一斉にチラッとマコトを見る。彼女はあからさまに口笛を吹きながら顔を反らし、その場から何食わぬ顔で立ち去ろうとしていた。

 

 

 

 

 

「サオリさん、確保」

 

「もうしてある」

 

「い、いつのまに…⁉︎」

 

「ビンタ行っとく?」ケッカンピキピキ

 

「待て‼︎ 貴様のビンタはまずい‼︎」

 

「先生の拳骨かミカさんのビンタ、それともあそこで腕を回しているホシノさんの全力パンチ、どれがいいですか?」

 

「スーパーノヴァも追加で‼︎」

 

「まてぇぇぇぇ‼︎」

 

「ま、待ってみんな、最近は本当になんでもないから、貴方達の攻撃は流石のマコトも無事じゃいられないから‼︎」

 

 

 

 

 

 エデン条約事件を乗り越えた者達にとって、今のヒナはれっきとした親友の一人。そんな友達が嫌がらせを受けていたと聞けば、首謀者が吊るし上げられるのは当然である。マコトを袋叩きにして潰れた空き缶に仕上げてからゲームを再開するつもりだった一同だったが、最近の万魔殿の態度が(マッシュの尽力によって)多少改善されたことを理由にヒナが彼女たちを諌めたことで、その場は丸く収まった。

 

 

 

 

 

「じゃあ気を取り直して……マッシュ君のお姫様、聖園ミカがいっきま〜す⭐︎」

 

「貴女のような鳥が、我が良人の姫になれるとでも?」

 

「あはっ⭐︎ 折るよ?

 

「喧嘩しちゃダメですよ」

 

「んじゃいっきまーす……あっ‼︎ 『先生と付き合う』とかなったらごめんね〜?」

 

『寝言は寝て言って(言え)(言いなさい)(言うべき)』

 

「なんでそこ揃うの?」

 

 

 

 

 

 恐れを知らないミカは、高らかな宣戦布告とともにダイスを回す。ここで少しミカは一種のイカサマを企んだ……マッシュやバルバラとの戦闘で神秘の扱い方を学んだ彼女は、なんとダイスに神秘を少し込めていた……これにより、豪運を引き寄せようとした───のだが。

 

 

 

 

 

「わあすごい! 7だよ7‼︎」

 

(今なんか光ってたな)

 

「さーて、私の運命は〜〜

 

  

 

 

 

 

 

―――先生への愛が暴走し、自分の部屋に閉じ込めてしまう。20回休む…って……なんでぇぇぇ‼︎⁉︎」

 

 

 

 

 

 しかし、幸運の女神とゲームマスターは彼女に微笑まなかった。ゲームの公平性を損なう者に対しては、神とAIは容赦しない。ミカの駒は突如マス上に出現したホログラムの鉄檻に投獄され、それを見たワカモがミカに肩を置く。

 

 

 

 

 

 

「先生を投獄とか、許しませんが?」

 

「そっちだって妹分のこと監禁してるじゃん‼︎」

 

「それとこれとは訳が違います‼︎」

 

「うへ……流石のおじさんも先生を閉じ込めるってことはしないかなぁ――てかそもそも無理でしょ、先生だよ?」

 

「先生は牢屋とか力尽くでこじ開けるタイプだからな」

 

「そもそもヤンデレとかメンヘラとかに勝つ人ですからね…」

 

「ヒフミ、『やんでれ』と『めんへら』とはなんだ?」

 

「し、知らない方がいいですよ! アズサちゃんはどうか純粋なままでいてください!」

 

 

 

 

 

 

 偏愛者の部屋に閉じ込められるという展開はこの世にも存在するが、マッシュの場合は閉じ込められても無理矢理突破するし、『貴方を殺して私も死ぬ‼︎』という心中も通用しないのである。

 

 それはさておき、マッシュより年上である3年生のターンは終了した。ここからは彼と同い年、もしくは年下の生徒のターンである。

 

 

 

 

 

 

「ん、私の番……!」

 

「気をつけてね〜シロコちゃん、これ結構な強敵だから」

 

「ホシノ先輩程じゃないから、大丈夫」

 

「うへ……どう言うこと?」

 

「それと、いい加減離れて。暑苦しい」

 

「いいじゃんいいじゃん〜……離れたらどっかいっちゃいそうだし

 

「ホシノ先輩、重い。二重の意味で」

 

 

 

 

 

 

 抱きしめているホシノを引き剥がしたシロコは、ダイスを軽く振る。何が来てもいいようにだけ身構えているが、若干の楽しみもあった。

 

 

 

 

 

「ん、18………身長は165cm、胸も大きくなって、体格も一気に急成長するみたい――ふふんっ✨」

 

「シロコちゃーん?なんでこっち向いたのかなー?」

 

「ホシノ先輩に勝てたから」

 

「表出ようか」

 

「やめんか!」

 

「こ、こう言うのもあるんだ〜、へ〜……ならなんで私達の時だけあんなんなの⁉︎」

 

「これが運命ってやつですかね」

 

「そんな運命嫌だ‼︎」

 

 

 

 

 

 今まで散々な結果だったこの人生ゲームに、一つの光が見えた。シロコのような『いい未来』も待っている……それが存在していると知ったのなら、話は変わる。

 

 

 

 

「次……私、行きます‼︎」

 

「ヒフミ、ファイトだ!」

 

「気をつけるんだぞ?」

 

「アズサちゃん、ニーナちゃん、応援ありがとうございます…! ちょ、ちょっと怖いですけど…」

 

「大丈夫です、ヒフミさんに悪い未来なんて来るはずがありません」

 

「そう言って、マッシュ・バーンデッドはとんでもないことになったがな」

 

「お黙りなさいゲヘナバカマコト」

 

「誰がバカマコトだ‼︎」

 

「……行きます!」

 

 

 

 

 

 ダイスを振い、いい結果が出るように祈る。ヒフミは平凡な女学生……しかし、しかしながら…好きなものが絡むと感性が狂う。

 

 

 

 

 

「47――幻のペロロ様グッズが三つも手に入る代わりに、所持金の半分を失う…ですか……まあ背に腹は変えられませんね‼︎」

 

「――待て、所持金の半分だぞ?」

 

「…?ペロロ様のためなら、これぐらいなんともありませんよ?」

 

「……………アズサ、こんなことを言いたくはないのだが――お前の友は狂ってるのか?」

 

「サオリ、ヒフミは狂ってなんていない。自分の好きなもののためにお金を使うのは当たり前のことだ」

 

「限度があるだろう⁉︎」

 

 

 

 

 

 サオリがそう突っ込んだ通り、推しのためにお金を使うにしても限度というものがある。身を持ち崩すような財の使い方はもはや浪費に等しい。先輩としてナギサは、流石に注意をする。

 

 

 

 

 

「使うにしても、ほどほどにしておかなければなりませんよ? 勉学に励み、健康を維持し、その上で趣味を楽しむのが正しい嗜み方ですから」

 

「――えっ、あ、はい!……えへへ」

 

「それでも足りない時は私に仰ってください、いくらでもお渡ししますから」

 

「ナギちゃんほんとにやめてね?」

 

「ティーパーティーが一般生徒にポケットマネーを渡してるとか、大問題どころの騒ぎじゃなくなるのでやめてください」

 

 

 

 

 

 いくら注意しても、友人には死ぬほど甘いのがナギサである。ヒフミの出番が終わった……ということで、次はアズサやニーナの番。

 

 

 

 

 

 

 

「42――友人達と共にまた海へ出かけ、青春を満喫する……そうか―また海に行けるのか。次は砂で何を作ろうか」

 

 

 

 

 

アズサの方は、彼女の駒の周りに多くの友人達が集まり、共に海ではしゃいでいる光景が広がる。

 

 

 

 

「27………青春を共に楽しむ友が増え、山や雪原など、様々な場所に遊びに行く――それは…楽しみだな」

 

 

 

 

 ニーナの方も数多くの駒に囲まれ、楽しそうに、幸せそうな時間を過ごしている様子が描かれていた。そんな二人の未来に安堵したのかサオリは無言の涙。しかしその勢いは滝と同じ。

 

 

 

 

 

「12………あっ、主殿‼︎ 忍者修行が成功して本物の忍者になれて、その祝い金としてお金もたくさんもらいました‼︎」

 

「よかったねイズナちゃん」

 

 

 

 

 イズナは忍者修業が大成功したようで、駒が数々の忍術を成功させている様子が現れていた。

 

 

 

 

 

「よかったですねイズナ、姉としても鼻が高いです」

 

「はい!」

 

「ですので少しだけ、ほんの少しだけでいいので近寄ってください」

 

「――それは、もう少し考えます‼︎」

 

「イズナァ…!」

 

「次はアリスですね‼︎」

 

 

 

 

 

ここまできたらアリスも、何かいい未来が待っているであろう……と、思っていたが。

 

 

 

 

 

「えーと、43………同じゲーム開発部のメンバー達はちゃんと育っているのに、自分だけ身長も体重も変わらず、チビのまま…⁉︎――そんなぁぁ…‼︎」

 

「―君はそのままの方が可愛いよ……って、おい、あたしの時と違うだろ言葉が」

 

 

 

 

 

ネルの時は『お疲れ様(笑)』だったのに対し、アリスには『君はそのままの方が可愛いよ』と言うマス目……確実に人を選んでいるようにしか見えない。

 

 

 

 

「アッハハハ〜! みんな面白いね!―じゃあ次は、私!いっきまーす!」

 

「気をつけろよ、今までの傾向だと三年が全体的にやべぇ結果になってんだから」

 

「……やっぱりこの人生ゲームさ、人選んでるよね?」

 

「エンジニア部の性格の悪さ――いや違うな、AIの性格の悪さが滲み出てるような気がする……くそっ、だんだん腹が立ってきやがった‼︎」

 

「まあまあ〜リーダーもそう怒らないでー……よーし、えいっ」

 

 

 

 

 

 ラストはアスナが、ダイスを回す。これで一応一周はしたのだが、すでに満身創痍なチーム保護者……しかし彼女らにも意地がある、ここで何かしらのハプニングが起き、自分達がのし上がれると―思ったのだが。

 

 

 

 

 

「77――宝くじ一等を引き当てる、だって〜」

 

『えっ⁉︎』

 

「7億円ゲット〜」

 

「ま、待て待て待て‼︎ いきなりがすぎる!」

 

「しかも77って、そんなピンポイントで当てる⁉︎」

 

「アスナ……お前まさか、勘でダイスを振ったか?」

 

「うん、なんとなく、こう降ればその目が出るよね〜、みたいな感じで!」

 

「そんなことできたんですね……あれ待てよ…」

 

 

 

 

 

 現在、七億の賞金を当て手に入れたアスナ…これで、参加者の中で資産数はトップに躍り出たこととなる。これはつまり、このままゲームを進めれば、確実にアスナが勝利してしまう。つまりはチームお友達の大勝利となる。

 

 

 

 

「――うへ、このまま負けちゃうのは……なんか嫌だね」

 

「勿論だ……このままおめおめと負けていられるか‼︎」

 

「一度はとんでもない目に遭いましたが――二度はないでしょう‼︎」

 

「チーム保護者――いくぞ‼︎」

 

「……だったら、チームお友達――このままいくわよ」

 

 

 

 

 

 負けたくない――そんな決死の思いで、ゲームを続けることに決めた彼女達であったが…ゲームは全くと言っていいほど空気を読まない。

 

 

 妹達に嫌われたり、慕っていた人に見限られたり、財産が消えたり尊厳が失われたり……好きなことができなくなったりと、様々な事を彼女らに見せた結果。

 

 

 

 

「―――――なして…?」

 

「えーと……チームお友達の…大勝利〜…ですかね?」

 

「……この人生ゲーム――ほんとに人を選んでやがる‼︎」

 

「年下贔屓か?それとも好みの問題⁉︎」

 

「先生なんて、ほら…! 筋トレしたら死ぬ魔法みたいなものがかけられるなんて未来を見させられたから、ショックで気絶してるし‼︎」

 

「なんにせよ……とりあえず……

 

 

 

 

 

 

――これを作ったエンジニア部には抗議とクレームよ

 

『賛成‼︎‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒナによる決定の後、あまりにもAIの設定プログラムやゲーム性が不評だったので、エンジニア部は大幅な設定変更を余儀なくされ……以前よりかは、マシになった―――

 

 

 

 

 

「――太ももの太さが二倍になるって……なんですかこのゲーム‼︎」

 

 

 

 

……はずである。

*1
ただし当ゲームの上に限る





流石に死刑とかやるとシリアスに戻るので、一旦やめました……それだけです。

やっぱり私はギャグとコメディしか書かないのやも知れません……。

百花繚乱後に見たい話

  • まだ交流がない生徒との話
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