その日、キヴォトスは大混乱に陥っていた。原因はもちろんマッシュの乳児化……そして、シャーレからの脱走と行方不明によるものである。
『え、えっと、クロノススクールから速報です!今現在、乳児の姿になったシャーレ顧問、マッシュ・バーンデッド先生がD.U.内を逃走中!!連邦生徒会の七神行政官から、今回の緊急会見で全学園に向けて発表があるそうです!!中継を繋ぎます、現場のマイさーん!』
『連邦生徒会全役員から全学園にお願いします――――あの子を探して保護してください!!あの子は……あの子は、まだ一歳なんです!!』
『えーこちら『月刊キヴォトス』の記者の風巻マイです。端的に話しますと、七神代理が壊れました』
『@javgjvdvvttjijv!!!!』
『え、えーと!先生はハイハイで徘徊……ハイハイで徘徊!?だ、だそうなので、見つけ次第即保護のもと、連邦生徒会とシャーレへの連絡をお願いします!!……ちなみに今の行政官は何徹夜目ですか?』
『8徹夜目らしいです』
『わーおブラック』
徹夜明けで情緒がぶっ壊れてしまったリンが、キヴォトス中に緊急事態宣言を発令。ヘイローを持っていない赤子が現在逃走中……これだけでも一大事だが、その赤子がシャーレの先生ともあればその影響は計り知れない。
『――青春してる場合じゃない!』
『仕事してる場合じゃねぇ!』
『不良やってる場合じゃねえ!』
キヴォトスの住民たちが一丸となり、マッシュの捜索と保護を最優先に動き始めた。この騒動は後に『赤ん坊騒動』として、キヴォトスの歴史に残る大事件となるのであった。
「キャイキャイ、キャイキャイ」ビュン!!
「きゃぁ⁉︎ い、今の何⁉︎」
「あ、あれ先生だ‼︎ 間違いねえ!!」
「暴走列車か何かなの⁉︎」
好奇心の塊と化したチビマッシュは初めて見る景色全てに興奮し、無我夢中に走り回っていた。しかも道行く誰一人にも接触しないように、自分の腕や足を軸にして急カーブや回避行動を行いつつ進んでいく。
「キャイキャ………バブ?」
「フハハハハッ‼︎ 見つけたぞ先生‼︎ チームゲヘナ、総員構え!」
『はっ‼︎』
「よしっ、このまま盾にぶつけて無力化する‼︎ しかし油断はするな……相手はあの先生なのだからな!」
「赤ん坊のくせに早すぎんだろ……本当に赤ん坊?」
「戦車に見えてきました」
チビマッシュの前に現れたのは、羽沼マコト率いる、風紀委員会と万魔殿の混合チーム・チームゲヘナ。背後に立っているのはマコトと……ほんわかとしているヒナ。
「ああ、先生があんなにも可愛い」
「惚けるのは後にしてくれ空崎ヒナ、お前が最後の砦なのだからな」
「ふふっ、必死にハイハイして……可愛い」
「くそっ、使い物にならないか」
『マコト議長! ヒナ委員長に対して失礼ですよ!』
「事実だろうに、見てみろ……顔がもう蕩けている。風紀委員長の威厳はどこに行った」
「このまま先生を保護して、風紀委員会総出で育てればいいのね」
「頼むから正気に戻れ、あと子育てにゲヘナはあまりにも過酷が過ぎる」
マコトが真面目でヒナが狂っていると言う珍しい事例、赤ん坊が愛らしくてたまらないのは分かるが、その赤ん坊はただの赤ん坊では無く、下手したらキヴォトスの兵器がおもちゃになるレベルの赤ん坊であるため……気を引き締めてもらいたい。
「先生、来ます‼︎」
「――まあ流石に、この数を前にして突き破るなんてことは無いだろうけどな」
「イオリ、あの、そのセリフはまずいです」
「セリフ?」
そう、このセリフはいわばフラグ……このセリフを言ったときは、大抵マッシュが何が打開策を考え、それを実行すると言った流れになるもの。チビマッシュはそこまで何かを考える能力は無い……しかし本能が、彼を動かしていた。
「バッ……ブッ」ビュン!
「――飛んだ⁉︎」
「赤ん坊が跳躍を…⁉︎」
「5メートルは飛んだぞあれ!」
盾を構えマッシュを止めようとした部隊の上を、チビマッシュは軽々とジャンプで乗り越え、イオリの方へと落ちていった。止めなければならない、そう思いイオリは気合を入れ手を伸ばす……が。
「んべっ…‼︎」
「あ、踏まれた」
チビマッシュはイオリの顔を踏んづけ、そのまままたジャンプし、地面に着地。再び走り出した。
「やはり一筋縄では行かないか……空崎ヒナ‼︎」
「……心苦しいけど仕方ない、先に行くわ」
惚けていたヒナも動き出し、チビマッシュを止めようと手を出す。勿論チビマッシュはそんなの容易く避けるのだが、ヒナも伊達にゲヘナ最強と言われていない。
(早い……けど、捉えられないほどじゃ無い、確かにかなり弱体化している…それでも、強い)
「ヒナ委員長の手を避けに、避けている‼︎」
「流石ですね……しかし、おかしく無いですか?」
「赤ん坊が何でゲヘナ最強の攻撃を避け続けられているんだ」
「やっぱおかしいよあの先生」
チビマッシュはヒナの手を掻い潜っていくが、流石に赤ん坊なのがいけないのか、ヒナが圧倒的に優勢。そしてチビマッシュの力が少し緩んだスキを狙い、彼女は一気に手を伸ばす。
「先生、チェックメイ……」
「……………」(つぶらな瞳)
「――――――…むり!」
「はっ、空崎ヒナ、貴様‼︎」
「ごめんなさい無理、こんな子を、力強く捉えるなんて……無理‼︎」
チビマッシュはズル賢かった、つぶらな瞳をヒナに見せ力を完全に緩くさせ、そのスキを狙いダッシュ。残るはマコトのみ。
「――フッ、フハハ…‼︎ 私もゲヘナのトップだ……ここで負けるわけには行かん。それにお前にはかなり世話になっているんだ……ここで恩を返さなければいつ返す‼︎」
(いつでも返せるでしょ)
『ま、マコト議長! 無謀です! 先生に単騎で挑むなどと!』
「無謀か……それがどうした――無謀であろうと何だろうと、戦わなければいけない時がある……それは、お前が一番よくわかっているんじゃ無いか?――お前は、あの時代を生き抜いた者なのだから」
『っ…それは』
「…キキッ、私は空崎ヒナを超える……そんな私が――ここで引くわけには行かん‼︎」
男気というのだろうか、マコトは雄叫びを上げながらマッシュに向けてまっすぐ突っ込む。無謀なのはわかっている……しかし無謀だからこそ、やらなければならない。
「うぉぉぉぉぉ‼︎‼︎」
まっすぐ、小細工なしで突っ込むマコト、その姿勢を見て少しマコトに対し好感を持ったチームゲヘナの面々……しかし現実は非情。
ガンッ!!!
『―ぎ―議長ぉぉぉぉぉ‼︎‼︎』
「トラックにでも引かれたのかってぐらいの音だったんだけど」
「綺麗に飛んでいきましたね」
『あーもうだから無謀だって言ったんですよ‼︎』
「………一応、他学園に連絡しておくわ。ついでに先生のつぶらな瞳を向けられたって自慢しちゃうわ」
「こっちもこっちだし」
マコトが瀕死になったため、事実上チームゲヘナは敗北することとなってしまった。
「キャイキャイ」
そしてゲヘナに勝利したその数分後のチビマッシュが、現在走り回っているのはトリニティ総合学園。そこでも案の定暴れていた。
「………ナギサは先生の心配のあまり気絶、ミカは暴走しトリニティ中を走り回っている。ハナコは『先生を安全に保護します』と言い残し先生を追跡中、ツルギは奇声を発しながら先生を捜索………これを一人で全部纏めろと?」
「心中お察しします」
「全くあの先生は、……何故こうも厄介ごとに巻き込まれる?」
一人でトリニティ中の混乱を鎮めていたセイア。しかしツルギとミカが働いていると聞き安堵していたが……
「セイア様‼︎ 先ほど正義実現委員会と、自警団の報告があり、赤ん坊と化した先生を止められず重傷を負ったそうです‼︎」
「セイア様‼︎ 先ほどミカさんとツルギさんが先生のつぶらな瞳を前に撃沈したとの報告が!」
「何をしているんだあの二人は…‼――いやそうなると、残っているのは補習部のハナコだけだが……」
「セイア様‼︎ 先ほど補習部の阿慈谷ヒフミさんからご連絡があり、『明らかに普通ではなかったので、一度落ち着かせ、無力化しました』との事です!」
「何をする気だったんだ…‼︎」
完全に嵐であるチビマッシュは、トリニティ内を走りに走り回り、迫り来る生徒達を次々に無力化。必殺のつぶらな瞳を前に、ミカとツルギというトリニティの最高戦力すら使い物にならなくなる……この時点でもうトリニティの敗北は決定。これ以上の被害はまあ無いだろう……と、思っていたのだが。
「――セイア様、大変です。トリニティ上空にミレニアム製のドローンが多数出現、アビドス高等学校の生徒らもトリニティ内に現れたとの情報が!」
「…………………」CPU使用率100%
『セイア様ぁぁぁぁ!!!!?』
セイアは情報量の飽和攻撃の前にキャパオーバーを起こしその場で撃沈。今度こそ、トリニティチームは完全敗北した。事実上チビマッシュは、ゲヘナとトリニティに二大勢力に勝ったとも言える。
「わ、我々はどうすれば…!」
「ひとまずはセイアさんを救護騎士団へ! 念のため、アビドスとミレニアムからは目を離さないよう‼︎」
『りょ、了解‼︎』
「後ついでに先生の写真も撮っておいてください‼︎」
『御意‼︎』
――――――――――――――――――――――
「トリニティの勢力がほとんど無力化されて、最高戦力の二人も撃沈……うへぇ、流石は先生だね〜」
『赤ん坊でも十分すぎるくらい強いのは、もはや何かのバグとしか思えないな』
「弱体化してるって聞いたけど……本当に?」
「ん、弱体化はしてるはず。元の先生の力ならトリニティやゲヘナを壊滅させることなんて、もっと早くに終わってる」
「壊滅は言い過ぎだと思いますけど……まあ確かに、弱くなっているのは確実だと思います」
『それにしてもホシノ先輩……何故その格好に?』
「何かあったら行けないでしょ?」
『それはそうですが……―‼︎ 前方から反応あり……っ、先生です‼︎』
「ん、絶対捕まえる」
「何で虫取り網なのよ…」
空には50を超えるであろう捕獲用ドローンが飛び、地上にはフル装備のホシノ含むアビドスの生徒達。前方にはウッキウキで走っているチビマッシュ。
タイミングを見計らい、ウタハがドローン達を動かしチビマッシュを捕らえようと動く。しかし……やはりマッシュはマッシュ。
「頭突きで一撃……どんだけ頑丈なの⁉︎」
「ん……! 危ない……ドローン投げてきた。後で人に物を投げちゃダメって教えないと」
「こら〜先生!」
シロコ達がチビマッシュを囲うようにして動き、手を伸ばし捕らえようとするが、勿論チビマッシュはそれを軽々と避ける。チビマッシュには避ける動きすら目新しい遊びのように思えていた。
「っ抜けられた――ホシノ先輩‼︎」
「うへっ、任せて……最終兵器を持ってきたから」
「最終兵器って――そのガラガラとシュークリーム?」
「それと母性も持って来たよ!」
「母性って持って来れる物だったっけ?」
「さあおいでマッシュ君! ママの元へ!」
『母親になりきって先生を確保する作戦か……ふむ、賢いな』
「冷静に分析してんじゃないわよ‼︎ 側から見たら母親を名乗る不審者だから‼︎」
チビマッシュはホシノの母性……ではなくシュークリームに惹かれ、一生懸命走っていく。目を光らせ一直線、周りなんて一切気にせず直進していき、ホシノは勝利を確信したの……だが。
「―――‼︎」キキッー!!
「え、あれ、マッシュ君?」
「…バブブ」ビュン!
「待ってよマッシュ君‼︎ なんで冷や汗をかきながらどこかへいくの⁉︎ ねえってば‼︎」
「ん…いっちゃった」
「ホシノ先輩に近づいたと思ったら、突然急ブレーキをかけ、その別方向へ逃走していきましたね」
『な、何があったんでしょうか?』
『……彼女を先生が怖がった、という可能性がある――動物が危機を感じ逃走するのと同様に、先生は本能で彼女が危険だと思い……逃げた、私はそう考えている』
「――――――」
「ん、ホシノ先輩固まっちゃった」
チビマッシュは感じ取った。ホシノの強さを、心の内に秘める闇を、強者が持つ特有の鋭さを。ヒナの時とは違ったまた別の気配……それを肌で感じ取ったチビマッシュは逃走に転じた。
「……というかそもそも、先生ってレグロさんに育てられたのよね? なら母性とかそもそもわからないんじゃ…」
「ん、私とノノミなら母性を感じさせれるかも」
「シロコちゃん? どこ見て言ってるの?」
「私は大人、ホシノ先輩は子供」
「シロコちゃん表に出ようか」
「ここ表」
「あーもう喧嘩しないの!……でもここからどうする?」
『引き続き探索を続けるしか無いだろうね、シャーレには私から連絡しておくよ』
アビドス並びミレニアム、エンジニア部・敗北。チビマッシュはまたもやどこかへと姿を消した。
「――見つけたぞシャーレの先生……」
「積年の恨み」
「はらさでおくべきか‼︎」
――――――――――――――――――――――
キヴォトス中を走り回ったチビマッシュ、流石に疲れたのは、動きを止めて休憩。走り回ったことで空腹となり、その場から動けなくなっていた。
「……………?」
そんな時、美味しそうなクリームの匂いがチビマッシュの鼻に入り込んだ。お腹が空いているチビマッシュは、それに釣られ頑張って歩いていく。
「キャイキャイキャイキャイ✨」
少し開けた道のど真ん中に、焼きたてのシュークリームが置かれている皿をチビマッシュは発見した。発見してしまったのなら食べるしかチビマッシュには選択肢が無かったので、チビマッシュはシュークリームを手に取ろうと近づく―――そしてこれはもちろん罠。
『――いまだ‼︎』ガシャン!!
「バブ?」
チビマッシュは銀属性の檻に捕えられてしまった。檻を持ち上げられ、目に映ったのは二人のロボットと、一匹の猫獣人。
「……やったぁ、は……ハハハッ! ついにやったぞ‼︎」
「まさか本当に捕まるとは……相変わらず、頭の悪い子供だ」
「しかしそのおかげで易々と捕まえられた……感謝しますよ、カイザーオクトパスバンク社長――いや、元と言った方がいいですかな?」
「黙れ司教………マサムニェ、こいつはどうする」
「ひとまず場所を移動するぞ……おい、運び出せ」
複数のオートマタ兵士が、チビマッシュが入った檻を運んでいく。それを指揮している3人の大人……一人は元カイザーオクトパスバンクの社長、一人はエデン条約反対派の生徒を騙し、一つの暴力団体を作り上げた司教、もう一人は、マッシュの地雷をとことん踏みまくった獣人、ニャテ・マサムニェ。
彼は過去、マッシュによって人生をめちゃくちゃにされた、悪い大人達である。
「貴様のせいで職に就けず苦労をしていてな……ああ、本当にどうしてくれようか…!」
「ひとまずは痛い目に合わせませんか?……大人を舐めたことを後悔させてやらねば」
「まあ待て、今のこいつは生徒達をうまく使うための鍵だ、下手に傷つけるわけにはいかん――こいつを使って、奴らにも苦しんでもらわなければな」
八つ当たり、清々しいほどの八つ当たり。彼は赤ん坊と化したマッシュを利用し、生徒らを苦しめようとしている……一歳の子供を人質に取る悪行は、キヴォトスの常識に照らしても人道に反している。
「…………」
チビマッシュは、悪い大人達が何を言っているのか理解していない。赤ん坊なのだから当然である。
しかし……何故か、本能で、この大人達は、何か悪いことをしようとしていると理解できた……それも、自分を安全に保護しようとしていた生徒らを苦しめようと画策していた。
チビマッシュからしてみれば、生徒達は遊びを邪魔してくる人達………だが自分を心配し、守ってくれると言う確信もあった――それは、自分の祖父レグロと同じ、自分を思ってくれてのこと。
そんな優しい人達を傷つけようとしている――チビマッシュは、それが、無性に腹が立ち…嫌だった。
「………」ガタガタガタガタッ
「……ん? おい、今こいつ……動かなかったか?」
「気にするな、動いたところでそいつには何もできん………ふっ、赤ん坊になった時と聞いて驚いたが――今は、実にいい気分だ」
「あの超人といえど赤ん坊になってしまえば、それはただのノミ」
「大人を甘く見るなよ、小僧……というわけだ」
雇われている傭兵のオートマタ達がその会話を聞き、ため息をついた……その瞬間。
ドゴォォ!!
「――檻が……檻が⁉︎」
「―バブ」
「アゲッ!?」
「こ、この、大人しギャァ!?」
チビマッシュは頭突きで檻を破壊し、周りにいた複数のオートマタ兵士に向かって蹴りやビンタをして無力化。そして地面に降りると……二本足で立ち、悪い大人三人衆の方を向く。
「バ……バカな、奴は…赤ん坊だぞ⁉︎」
「ど、どうすれば…‼︎」
「狼狽えるな‼︎――少し力が強いからなんだ、奴は赤ん坊……そう赤ん坊だ、我々が力を合わせれば、やつなんて怖く無い‼︎」
マサムニェが味方を鼓舞してチビマッシュを睨みつける。チビマッシュは軽くジャンプを行い、その後指を上にかかげ、勢いよく下に下げる。
「バブバブブ、バブバブバ」*1
(――なんて言っているかわからないが……死刑宣告をされた⁉︎)
「っやれ、やれぇぇ‼︎」
雇った傭兵達に命令しチビマッシュを無力化しようと武器や道具を使う……のだが。チビマッシュはそれを華麗に回避、ではなく拳で破壊。射程距離が圧倒的に短い分、詰めて、一気に叩く、それが今のマッシュの戦い方であった。
「ま、まずい、まずいまずい‼︎」
「――くそっ! だから、だからこんな戦い無謀って言ったんだ!」
「なっ、お前が一番乗り気だったじゃありませんか‼︎」
「うるさぁい‼︎ ワシはロボットのお前達とは違うんだ! い、今は傭兵どもが奴の相手をしているうちに……あれ?」
「バブ」
逃げようとする悪党三人衆、それを許すわけがないチビマッシュ。赤ん坊の姿とはかけ離れた気迫を出しながら、3人の前に立つ。
3人は何とか言いくるめようと必死に抗議する……しかし今のマッシュは赤ん坊、道理に外れた大人の理屈を並べ立てた所で無意味である。
「―バブ、バブ………バブバブバブバブバブバブバブバブバブバブバブバブバブッ」
『おっ―‼︎ ゴッ…‼︎―げぇぇぇぇっ⁉︎』
チビマッシュは3人仲良く往復ビンタを喰らわせる。力が弱まっているとはいえ、鉄を破壊できる力は健在……なので結構痛い。
「ぐっ……赤ん坊の、分際で…‼︎」
「もう、容赦はせん…‼︎」
「大人の本気を見せてや『先生‼︎』『あなた様‼︎』『主殿⁉︎』………………あっ」
「…!」
次の一撃をお見舞いしようとしたチビマッシュであったが、自分を追いかけてきていたシャーレ在住の生徒らが自分の元へと到着――なのでチビマッシュは
「ばぶ〜〜」
「先生…‼︎ 怖かっただろう…? もう大丈夫だ‼︎」
「あなた様‼︎ 少しでも、少しでもあなた様から目を離した私をお許しください…‼︎」
泣きつくことにした。勿論、本当に泣いているわけではなく嘘泣きだが、サオリの胸元へと飛び込み泣いているふりをして見せる……それを見た悪い大人三人衆は滝のように冷や汗を流しながら、こっそり逃げようとする
「どこへ行く…貴様ら」
「何? 普通に帰れると思ってる?」
「猫って加熱したら食べれるらしいですよ…?」
「先生を泣かせたんだ――貴方達も泣かないと割に合わないよね? イズナ、先生をお願い」
「は、はい!」
「こんなに可愛い子を………―――許しません」
「ま、待て!待て待て待て待て!!!」
「安心なさい殺しはしません………ただ――明日の朝日を拝めるものと思わない事ですねぇぇ!!」
『イイィィィヤァァァァァ‼︎⁉︎』
その後、原型を失ったロボット二人と、前が見えねぇ状態の猫がヴァルキューレの拘置所へとぶち込まれた。そして収容を担当した生徒は、オイルや血で顔や服が汚れているシャーレ在住の生徒らに軽く恐怖を感じたらしい。
「…帰ろう、先生……って、ふふっ、寝ているのか」
そして、一通り遊び終えたチビマッシュは眠りにつき、その状態のままシャーレへと戻されていった。さらにその後、玄龍門に尻を叩かれた錬丹術研究会の昼夜突貫工事によって解毒剤が完成したことで*2、今度こそチビマッシュは元の姿に戻った。
多くの人を巻き込んだ赤ん坊騒動……これにて終了――
ではなく。
「先生‼︎ 先生一度話を聞いてくれ‼︎」
「あなた様、お、お気を確かに‼︎」
「色々やっちゃった分、仕事も修理代も多くなっちゃったね」
「………………………消えたい、泡になって消えたい」
チビマッシュだった頃の記憶が完全に残っていたマッシュは後日、普通に死にたくなってしまったらしく、薬が軽いトラウマになったのだった……めでたしめでたし。
「めでたくないんだけど」
明日と明後日は活動報告通り、お休みをいただきます。お許しくださいませ。
昨日の我が家
弟『兄者!!!!!!幼稚園姿の生徒があるって本当⁉︎』
私『妹先生、やっちまってください』
妹『歯を食いしばれ』
目が本気でした……流石に幼児はいかんでしょ、幼児ではないけど
百花繚乱後に見たい話
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まだ交流がない生徒との話
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アイデェア箱から選んだお話
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ラビット2章
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愛が重い生徒との話