透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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ドレスサオリさんが美しいすぎるんじゃぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!

あ、本編へ、レッツゴー!


マッシュ・バーンデッドとデカグラマトン(今回の被害者)

 

 

 

 

「かっ…ぺっ!ぺっ!な…中に…砂が…」

 

「ここで放置するのもあれだから、街中まで引っ張って行こう」

 

「ん、縄はある」

 

「なんで持ってるの?」

 

「重!貴方食べ過ぎじゃない?」

 

「黙れ!人に対してそんな態度」

 

「なんか言いました?もう一発欲しいですか?」

 

「………何でもないです」

 

「じゃあしゅっぱ〜つ!」

 

「ま、待て!せめて担ぎ上げオボボボボッ⁉

 

 

 

 

 

マッシュが逆さ埋めの理事を掘り出して縄で縛った後、理事を引きずって帰ろうとした…その瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突如として周辺一帯が地鳴りとともに揺れ始めた……それも、地震のように大規模な揺れを伴っている。

 

 

 

 

「な、なに!?」

 

「カァーーーーーッ、ペッ、ペッ‼‼ ………⁉ ま……さか……()か?──―そ、そんなバカな!我々が何をしても現れなかったのに……いや、そうか‼ あの時の攻撃(パイルドライバー)で目を!」

 

「ちょっとあんた!これなんなの!?説明しなさいよ!!」

 

「終わり…だ、逃げられるわけがない…全て、全てが破壊されてしまう!」

 

『み、皆さん聞こえますか!?すぐにそこから撤退を!地中深くから…莫大なエネルギー反応を確認!こちらへ向かって、どんどん近づいてきますっ!』

 

「カイザー理事は僕が連れて行く」

 

「じゃあ退却!皆、離れるよ!」

 

 

 

 

 

マッシュ達はその場から走り去り、地中を()()()()()()()"何か"から全力で逃げる……そして次の瞬間、辺りに一段と大きな轟音が鳴り響き、その正体が地表に姿を表した。

 

 

 

 

 

ドゴォォォォン!!

 

 

 

 

 

彼らの前に、遂に"それ"が現れた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「… 神名十文字(デカグラマトン)、神の降臨を預言する者」

 

 

 

 

 闇に包まれた何処かで、黒服(腰に大判の湿布を貼っている)の囁きが響く。

 

 

 

 

 

「…昔々、神を作ろうとした者たちがいました」

 

「もし、神が実在するのなら。

 

神たる構造を理解し、分析し、解体し、再構築すれば、新たな神を造る事は可能なのではないか。存在証明が為されたのなら、神の創生は人の手で行えるのではないか」

 

 

「余りにも荒唐無稽かつ傲慢なその理論に興味を示し、支援した者たち」

 

 

「名をゲマトリア(GEMATRIA)……そう、私たちが借り受けた名の源流です」

 

 

「…莫大な資産と時間を費やされたであろうその研究が行われた場所は、今では水に沈んでいます。誰も人が訪れる事のなくなった、閉ざされしその場所で…遺された人工知能は高らかに宣言しました。"Q.E.D.(神は存在する)"、と」

 

「人ならざる智慧の持ち主たちは、その証明、思想、或いは希望に感化され、預言者になりました。アビドス砂漠の厄災も、その過程でもたらされた歴史のひとつ」

 

「違いを以ってその存在を痛感する静観の理解者。デカグラマトン、その3番目の預言者。地を這う白き大蛇を模した神体に冠された名は、理解(ビナー)

 

「…先生。些か時期尚早かと思いますが、見せてください……貴方の全力を、貴方の…その神秘を超えた肉体を…」

 

 

腰を抑えながらアビドス砂漠の映像を見つめて微笑を漏らす黒服。そこでは地面が激震し、今にも"何か"が現れそうになっていた。

 

 

 

 


 

 

 

 

「■■■■――――!!!」

 

 

 

 砂漠から一体の怪物が現れ、地盤を突き破る衝撃波に弾かれたマッシュと対策委員会は、市街のブロックごとに散らばってしまう。ホシノの近くにはセリカとノノミ、マッシュの近くにはカイザー理事とシロコが転がった。

 

 

 

「でっかい…蛇?あんなのが砂漠の中にいたんだ」

 

「カイザー達が言ってた"お宝"って……もしかしてこれの事?」

 

「我々の、本来の仕事…アビドス砂漠を手中に収めて確保する予定だった対象……それは、奴。デカグラマトンの預言者…ビナー(BINAH)を掘り当てる事だった。そしてアレを鎮圧するために、対デカグラマトン用兵器まで用意していた──―しかしもうだめだ!つい先日、アレはもう退去させてしまった、今は手元にない!!」

 

 

 

 現れたのはビルよりも巨大な、蛇を思わせる機体。強固な岩盤を突き破って砂中から現れて尚、傷も汚れも何一つ見当たらない、白亜の如き鉄衣。

 

 

 アビドス砂漠に根差す厄災。正体不明の怪物

 

 

名を、ビナー(BINAH)

 

 

 

 その(あぎと)から、まるで嘶くような、あるいは汽笛のような、巨躯によって咆哮と聞き違うような重低音が響き──

 

 

 

 

『――‼』グワッ!

 

 

 

 

「こっちに走ってきた!」

 

「あ…ああ」

 

「しっかりして、立って‼―─っ‼」

 

「おわりだ―─ここで、私は…‼」

 

 

 

 

 カイザーを抱えて避けようとしたシロコ、しかし間に合わない……ここで動いたのはマッシュ。

 

 

 

 

ガシッ!

 

 

 

 

「シロコちゃん、理事の事をお願い――フッ!」

 

 

 

 シロコと理事を抱え、ホシノ達の方へと投げる。シロコはマッシュの突然の行動に思考が追いつかない。ホシノの眼前まで投げ飛ばされて道路を転がった二人は、起き上がりざまにマッシュの方を向く。シロコはマッシュに向けて震える声で叫び上げるが──

 

 

「先生っ、待って──!!」

 

「大丈夫―─すぐに帰ってくるから」

 

 

 

 マッシュは一言のみ言い残すと、シロコにグッドサインを向け、ビナーへと走っていった。

 

 

 投げた先で、ホシノがシロコを起き上がらせる。理事はそのまま地面に這いつくばったままだ。

 

 

 

 

 

 そしてビナーはマッシュに向かって突進を繰り出し、人二人を投げた直後で攻撃する余裕が無かったマッシュはそのまま両手を広げビナーの顔を掴んだ……しかし

 

 

 

 

「おも…い」

 

『■■■■―──‼‼』

 

「んぶっ」

 

 

 

 

ビナーの突進の重さに、マッシュはそのままビナーに押し込まれる形で、その巨大な頭もろとも岩盤の下へと潜り込んでしまう。

 

 

 

 

「せ、せんせぇーー!!?」

 

「力負けして沈んじゃったわよ!?本当にアレ大丈夫!?」

 

『敵…ええーと、ビナーでしたっけ…? 地面中を縦横無尽に動き回っています‼』

 

「………先生」

 

「大丈夫だよ〜シロコちゃん、あのマッシュ先生が、こんなところで終わるわけないでしょ?」

 

「…うん」

 

「―見て‼」

 

 

 

 

ドパァッ!!

 

 

 

 

 ビナーが地面から巨体をそそり立たせるように飛び出し、マッシュは跳ね上げられる形で空中に投げ出される。

 

 

 

 

 

「ぷはっ、死ぬかと思った……でも今度は、こっちの番」クルッ

 

 

 

 

 

 鍛え上げた体幹で急旋回するとともに空気を蹴って急降下したマッシュは、ビナーの顔に拳を叩き込む。

 

 

 

 

「フンッ‼」

 

『■■■■―‼⁉⁉』

 

「硬っっった」

 

『■■■■―‼』

 

「おっとと」ベキッ!

 

 

 

マッシュは装甲の強度に驚愕するが、突如として暴れ出すビナーから振り落とされないよう、足でしがみつく。

 

 

 

 

「フンフンフンフンフン‼」ガッ!!ゴッ!!

 

「■■―⁉―■■‼‼』

 

「でも、攻撃は……入る、なら――殴りまくる」

 

 

 

 

強度によらず攻撃の効果が得られると知ったマッシュは、足で頭部にしがみつきながら激しいラッシュを繰り出す。

 激しい金属音と打撃音が響き渡り、頭部を覆う白い複合装甲が幾層にもわたってヒビ割れ、鱗のように剥がれて落ちていく。

 

 

「っ……まずい」

 

 

 ビナーの顔に張り付いていたマッシュは、掴んでいた足を離し顔を走り登ると、そのまま空中へとジャンプした。

 

 

ドドドドドドッ‼‼

 

 

 それを好機と見たか、ビナーは背部のVLS(垂直発射管)を次々と開放。まるで鉄柱のような大径のミサイルが、噴火の如き白煙を噴き上げて撃ち出され、空中にいるマッシュへむけて突き進む。

 しかしマッシュはそれらを蹴りでそのままパリィし、ビナーへと打ち返して行く

 

 

 

『■…■■■⁉ ■■■…‼‼』

 

 

 

 ミサイルを打ち返したマッシュは背中に飛び乗り、そのままミサイルが直撃した破孔に向けて容赦ない連打を繰り出す。

 

 

 

「フンフンフンフンフン‼︎」

 

 

 

ビキッ、ビキビキッ‼‼

 

 

 

『!―■■■■』

 

 

 

 

 亀裂の入った場所から徐々にヒビは広がっていき、ビナーは激痛を感じたように暴れ出す。その風圧で発生した砂嵐は砂塵を含んだ風をマッシュに吹き付け、遠巻きに見守っていた対策委員会と理事すらも吹き飛ばす。

 

 

 

 

「うおぉっ、でも流石は先生だね〜…このまま押し切っちゃいそう〜」

 

「けど先生がアレだけやっても、顔や背中にヒビが入るぐらいなんでしょ!?どれだけ鱗硬いのよあいつ!!」

 

「ん…見て、あの蛇が口を開き出した」

 

「ま、まずい‼あれはビナーの主砲(メインウェポン)、巨岩をも溶かす熱光線だ‼ いくら奴の肉体が並外れた強度をもっていようと…生身の生物である以上、アレを食らえば焼け死ぬぞ‼‼」

 

 

 

 

 ビナーは奥の手とばかりに口を開き、その喉奥に開かれたチャンバー内にエネルギーを収束し始める……それを見たマッシュは、経験則から大技を予期するとともにすぐに飛び上がり

 

 

 

「そんなのをここ(皆の場所)で撃っちゃ、ダメでしょ」グググッ

 

『――■?』

 

「フン‼‼」

 

 

 ビナーの上顎へ向けて雷光のような踵落としを繰り出す。反撃を予期していなかったためにソレをまともに喰らったビナーは、口腔内に膨大なエネルギーを充填したまま地面へと倒れ伏す。

 

 

 

『――■…』

 

 

 

 

 ビナーは巨体の鎌首を持ち上げようとするが……明らかに咆哮とは異なる不気味な軋みを上げつつ顔を引き上げた瞬間、マッシュが怒りながらその鼻先へ近づいてきていた。

 

 

 

 

「さっき、シロコちゃんを傷つけようとしたよね」

 

『――――』

 

「僕の生徒に手を出そうとしたんだ……スクラップになっても文句は言わせないよ

 

 

『―――‼‼』

 

 

 

 

その瞬間、ビナーは感じ取る。

 

 目の前に立つ人間……マッシュ・バーンデッドは、この世界に遍くいかなる存在を超えた、自らを含むデカグラマトンをも超越せし脅威である…と。

 
 神に近づくために生み出された存在たる自分には想像もつかなかった、あり得ない可能性として除外されていた、『自分を超える存在の出現』。(アドラ)に睨まれた蛇のように見を震え上がらせたビナーは、砂の中に潜り込んで一目散にその場から逃れようとする。

 

 

 

 

「逃がさない」グイィッ‼

 

『■■■■―‼⁉⁉』

 

 

 

 

 

 マッシュは地面へ潜りつつあったビナーの尻尾に掴み掛かると、そのまま地面から強引に引き抜く。ビナーの身動きを封じるとともに、マッシュは腕と足に力を溜めて飛び上がり── 

 

 

 

 

 

「――フンッッ‼‼」

 

『■■■〜〜!!!????』

 

「それ」

 

『■■‼』

 

「もう一度」

 

『■■―――!!』

 

「おまけにもう一発」

 

『■■■ーーーー‼‼‼』 

 

 

 

 

地面へ叩きつけまくる。

 

 

 

 

 

「フンフンフンフンフンフンフンフン」ビタンッ!!バゴォン!!

 

『■■■■■■■■■■■■ーーーーー!!!!!?!!??!??』

 

 

 

 

 

下手をすれば数千トンに迫ろうかという質量の巨体を地面へと連続で叩き付けまくる。

 その人智を超えたパワーの前に、ビナーの口からは咆哮とは異なる苦悶の絶叫が溢れ出し、割れた外殻と装甲板が軋みや悲鳴を上げ、装甲のほとんどが剥落していく……

 

ビナーの咆哮はもはや断末魔のようにも聞こえ、アビドスメンバー達は少しばかりビナーを不憫だと思った。

 

なお、長くに渡ってビナーの攻略に頭を悩ませていた理事はその光景に絶句し、マッシュ・バーンデッドという人間の潜在能力に恐怖を通り越して嫌厭すら覚えていた。

 

 

 

「これで―─ラスト…‼」

 

 

 

 マッシュは(とど)めとばかりにビナーを遠くへと放り投げ、巨体に見合わない飛距離を飛んだビナーはノイズ混じりの絶叫を上げながら放物線を描き、砂漠に叩きつけられるとともに崩れ落ちた。

 

 

 

 

『■■■■■■……』

 

「え、まだ動けるんだ」

 

『■■■■■■…‼‼‼』

 

「……あれ、なんかまずい気がする」

 

 

 

 

 

 ビナーは「たかが人間風情が…侮るな‼」と言わんばかりに咆哮を繰り出し、口をまた大きく開く。チャンバー内に収束されたエネルギーはプラズマを生じて赤熱し、その異様な光景に危機感を覚えたマッシュが走り出した瞬間──

 

 

 

 

 

ドドドォォォォォォン‼‼‼

 

 

 

 

 

 

『■■■‼⁉』

 

「砲撃……⁉ 一体、どこから⁉」

 

 

 

 

 

『―先生‼ ご無事ですか⁉』

 

「その声は…シューちゃん?」

 

『は、はい…シューちゃん、ですっ‼』

 

『ヒフミさん!?ど、どうしてここに!?』

 

『今の私は、シュークリームカップルのシューちゃんです‼トリニティ生徒の阿慈谷ヒフミとは関係ありません‼』

 

『えぇ……』

 

「本当にどうしてここに?」

 

『元々はカイザーコーポレーションに攻撃をしようと考えてたんですが……支援攻撃をする前に先生が片付けてしまって、撤収するかどうか迷ってたんです……そしたら、砂漠からあんなのが出てきて、「皆さんを助けなきゃ!」と思って…!』

 

「そっか、ありがとうシューちゃん、今度またシュークリームカップルをやろう」

 

『それは勘弁してくださいっ‼‼』

 

 

 

 

 トリニティ砲兵部隊からの支援攻撃によってビナーの攻撃が中断され、ビナーは蓄積されたダメージによって挙動が緩慢かつ不安定になり始める。ここからは、マッシュのターンだ。

 

 

「みんなありがとう……今、すぐに」

 

 

 

ダッ‼‼‼‼‼‼‼

 

 

 

 

「終わらせる」

 

 

 

 

マッシュはビナーへ向け、全身の力を込めた必殺の連撃を叩き込む。

 

 

 

 

 

 

 

『フル・マスクルズ魔法・ハリケーンラッシュ!』

 

 

 

 

 

 

 

 第一撃のパンチを食らったビナーの体は大きく浮き上がり、仰け反るように斜め上へと飛んでいく。マッシュは瞬間的な加速でビナーが持ち上がった方向へと先回りしつつ、筋肉の各部位をフルに使った追い打ちを開始した。

 

 

 

 

 

『グリューツ! ──フォラーム! ──クアドリセップス!』Weak 150000

 

 

 

 

 

 臀筋(Gruteal)前腕筋(Forearm)大腿四頭筋(Quadriceps)の名を冠した三連撃を喰らったビナーは、その打撃に軽々と持ち上げられて宙を舞っていく。

 しかしデカグラマトンとしての意地を張ったか、負けまいとばかりに口を開いたビナーは、遂に不発続きだった熱線を放出した。

 

 

 

 

『ペクトアル!』Weak 300000

 

 

 

 

しかし胸筋(Pectoral)の名を冠した打撃によって熱線の軌道が逸れ──

 

 

 

 

『イリオソアス‼‼‼』Weak 99999

 

 

 

 

 腸腰筋(Iliopsoas)の名が与えられた全力キックを喰らい、再び跳ね上がる。この時点でその巨体の9割は機能不全に陥ったも同然だが、さらに追い打ちを狙うマッシュは、ビナーをホールドしてバックドロップの準備体制に固め込み……

 

 

 

 

 

 

『エリクトリア…スパイン!!』Weak 100000

 

 

 

 

 

 脊柱起立筋(Erector Spinae)の名を冠する確殺の詠唱と共に、ヘル・フォールのようなドロップで地面に叩きつけた。

 直後、叩きつけられたビナーの頭部から尻尾にかけて激しい放電が生じ、その巨体が崩壊する轟音とともに一体に砂埃が立ち込め、その場の全員から完全に視界を奪った。

 

 

 

 

『―───っ……せ、先生は…⁉』

 

「…あっ、いました、あそこ…!先生〜〜っ!!!」

 

「全く……心配かけさせて…‼」

 

「…ね? 言ったでしょシロコちゃん、先生はこんなところで終わらないって」

 

「……ん!」

 

 

 

 

 ビナーを撃退したマッシュは少し息をつき、何事もなかったように服の砂埃を払うと、その懐から取り出したプロテインシェイカーに口をつける。

 巨体を横たえたビナーは、黒紫色の油を血のように溢れさせながら砂上に倒れ伏し、程なくして死に体となった機体を地盤の奥深くに沈めて逃げおおせていった。

 

 

 

 

「……もう上がってこないのかな…なんだったんだろう、あれ」

 

 

 

『マッシュ先生ーーーーーっ!!!!!』

 

「あ、みん―─んぶっ

 

「よかったです先生〜〜っ!」

 

「の…ノノミちゃん、苦しい」

 

「ノノミ先輩!先生が!先生が潰れちゃう!」

 

「うへぇ〜〜…お疲れ様だよ先生、にしても一人でよく倒したね〜あんなの」

 

「全然、余裕」

 

『ほ、本当に……心配したんですよ……?』

 

「……死んだら、本当にどうしようかと……よかった、ほんとに」

 

「心配かけさせちゃってごめんね。けど……もう大丈夫だから」

 

 

 

 涙目のノノミがマッシュに飛びつき、豊かな体型が生む柔らかい衝撃がマッシュの頭を包みこんだ。続々と他のメンバーも集まり、マッシュの体を擦って怪我の有無を確かめる。

 不安で目を潤わせた生徒たちに対し、マッシュはどこか自慢気にサムズアップし、自信満々に勝利を報せた。しばらくその光景を見ていたカイザー理事が、口を開く。

 

 

 

「……なぜ…あの時、私を投げた…なぜ、曲がりなりにも私を助けた」

 

「?」

 

「あのまま放っておけば、私はアレに潰されるなり焼かれるなり、いずれにしろ死んでいた…お前たちにとって、私はただの敵だ。私が死んだところで、お前たちには損などない。私などどうでもいいはずだろう…だが、先生…お前はなぜ」

 

「いや……死なれたら、後味悪いんで

 

「─―!」

 

「あなたのことは、これから先も、何があっても許せないと思います……けど、死んで罪を償わせるなんてやり方、僕大嫌いなんです」 

 

「……甘い……お人好しだな、お前は」

 

「よく言われます」

 

 

 

 

マッシュは理事に自らの考えを告げてから、対策委員会の一同を連れ、

 

 

 

 

『帰ろう、皆の学校へ』

 

 

 

 

彼女たちの帰るべき母校へと向かうのだった。





ビナー『オソトコワイ、ソトノニンゲンコワイ、モウヤダ』

黒服『……………神を、素手で?』

ってなってると思ってください、ビナー君怖かった?けどその体じゃもう何もできないね!破壊するのは可哀想だったので生かしてあげました、死にかけだけど。


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