透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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とりあえず『黒服お前やりやがったなぁ⁉︎』と言う感じです、そんなふうになっちゃいました。それでは本編へ……どうぞ


マッシュ・バーンデッドと次の作戦

 

 

「神倒しを行う前に、新しい部室を用意しなければなりませんね。モニターや電源の修理とかもありますし」

 

 

 

 

 デカグラマトンが去った部室、マッシュがモニターと電源を破壊したので、部屋自体の機能が完全停止してしまい、部屋を変えざるを得なくなった一同。

 

マッシュとモニターを破壊した時に現れた破片集めていっている彼とエイミが、ヒマリにそれぞれ自分の知りたいことを問いかける。

 

 

 

 

 

「それってどれくらいかかるの?」

 

「ふっふっふっ、よくぞ聞いてくれましたねエイミ……こんなこともあろうかと、前々から準備していた場所があります。明日の昼頃にでもなれば、すぐに用意できますよ」

 

「じゃあここの部屋はもう使わないんですか?」

 

「ええまあ……といっても、設備の点検を済み次第すぐに移動しますが」

 

「ならその準備が終わるまで、邪魔にならないように寝てますね」

 

「人が寄らないようにこの時間帯にお呼びしたのですが……そうですね、そろそろ睡眠をとったほうが良さそうです」

 

「ではでは」スッ

 

 

 

 

マッシュはしばらく使われないその部屋で、布団を敷いて寝始めた。一体何処から出したのか、そこら辺のツッコミは置いておいて。

 

 

 

 

「マイペース……マイペースすぎませんか?」

 

「凄いね、布団に入って3秒くらいで寝ちゃった」

 

「……ZZZZZZZ」

 

「鼻提灯とか初めて見たかも知れない……写真撮っとこう」

 

「先ほどのパワーを出した人とは思えない表情……」

 

「それじゃあ、私もそろそろ仮眠取ってくるね、部長も寝なよ?」

 

「分かっていますよ」

 

 

 

 

 

 

散らばった破片を袋に詰め、あくびをしながら扉へと手をかけるエイミ、そこで少し止まり、作業を行っているヒマリに一言。

 

 

 

 

 

「部長―――先生を盗撮したり、盗聴してたりしたこと、ちゃんと謝りなよ」

 

「………分かっていますよ、エイミ」

 

「それじゃ、おやすみ」

 

「ええ……おやすみなさい」

 

 

 

 

 

 エイミが退出して今度こそ静かになったその部屋で、ヒマリは睡眠を取っているマッシュを見ながら、車椅子に据え付けられたキーパッドを操作した。ホログラム表示された映像のファイルアーカイブを開き、これまでの記録を閲覧する。

 

 

 

 

『僕の生徒に手を出そうとしたんだ……スクラップになっても文句は言わせないよ』

 

 

 

『まあ……困ってる人は放って置けないんで』

 

 

 

『僕はここを助けって決めたんだし、最後までここに残って一緒に頑張るよ。シャーレとか関係なしに、僕が助けたいから君らを助けるんだ』

 

 

 

『助けを求める人を放っておいたり、助けて欲しい理由も聞かずに断るのは……なんかこう、酷いなーと思って』

 

 

 

 

 そして映ったのは、過去マッシュが働いていた時の映像。ゲーム部を私情で助け、ミレニアム最強の名を持つネルと戦闘を行い、その後も困っている生徒達を助けていった彼の姿。

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

(………責任を負う者として、働くあの子の姿)

 

 

 

 

マッシュがトリニティ、ゲヘナ、そしてアリウスを助けるべく、身の丈に合わないほどの背伸びを強いられ、大人として動いていた姿。痛々しくも勇ましい、そんな姿…。

 

 

 

 

(………一度折れても、すぐに立ち直り、強敵に立ち向かう……自分のためにも、他人のためにも一生懸命頑張れる――そんな)

 

 

 

 

車椅子に乗りながら拳を握り、歯を食いしばる。憎悪なのか嫌悪なのかどちらかはわからないが……

 

 

 

 

(そんな、素晴らしい心を持っている……この子に……貴女は、彼女を……友達を――

 

 

 

 

 

 

殺せと願うつもりなのですか……リオ‼︎)

 

 

 

 

 

確実に、憤怒の怒りを露わにしていた。ここにはいない名、ミレニアムの生徒会長・調月リオを心の中で力一杯叫び

 

 

 

 

(これ以上彼を追い詰めることは許しませんよ……たとえ貴女が、友であったとしても……!)

 

 

 

 

彼に見せていない闇を、独り抱えていた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 翌日、きちんと睡眠をとったマッシュはいつも通りそこら辺をランニングし、身近にある物で筋トレを行い、ちょうど昼頃になった所で。広場で待っていたエイミと共にヒマリが待つ新たな部室へと足を踏み入れていた。

 

 

 

 

「前の場所よりも…科学っぽさが増したね」

 

「部長相当気合れてたみたいだね……って、寝てる」

 

「あらほんとだ」

 

「……落書きしちゃう?」

 

「流石にダメだよ……ヒマリさんって表情豊かだけど、寝てると涎が出てきちゃうんだね」

 

「いつものことだよ、涎はたまにするくらいだけど」

 

「まあリンさんも眠る時は表情がライオンから猫になるしね」

 

 

 

 

 なんでそんなことを知っているのかと言う疑問は置いておいて、そろそろ起こさないとずっと眠っていてしまうため、エイミはヒマリを起こす。

 

 

 

 

「部長、部長起きて、そろそろ時間だよ」

 

「んン………えいみ……朝ごはんはまだですか…?、目玉焼きがいいです」

 

「部長もうお昼だよ、あと目玉焼きは昨日も食べたでしょ?」

 

「会話がおばあちゃんと孫」

 

 

 

 

 

 車椅子&大人っぽい感じのせいか、どうしてもおばあちゃんを連想してしまったマッシュ。しばらく彼女を見続けていると、ヒマリがマッシュを視野に入れたのか、ハッとし出す。

 

 

 

 

「……ハッ…!―――先生、おはようございます」キリッ

 

「いや無理ですよ、アレ見た後にそれされても」

 

「ここが、新たに我々が活動を行う場所です」

 

「話は続けるんですね」

 

「こちらをご覧ください」

 

 

 

 

 

 キリッとした状態で、これからのことを説明し始めるヒマリ。天才美少女ハッカーとしての威厳なのか全知としての威厳なのかは知らないが、さっきの会話を聞いて切り替える事は普通にできないマッシュ。

 

そしてモニターに映ったのは、生命の樹と言われる謎の紋章、それぞれの名前があり、それぞれに個性があるように見えた。

 

 

 

 

 

「この生命の樹には、全部で10個のセフィラと呼ばれるものが存在します」

 

「セフィラ?」

 

「セフィラの言うのは「数える」を意味する言葉です、デカグラマトンの預言者達は、そのセフィラの名を冠しているのです……ビナー(BINAH)ケセド(CHESED)ホド(HOD)……これらの他に、後7つ、私達が手に入れていない預言者達の情報があるのです」

 

「それらを全部突き止めるのが、今の目標ですか?」

 

「突き止めなければいけないのは確かです……が、今はそちらよりも、先ほど話したビナーについて話をしなければなりません」

 

「あのでっかい蛇ですか」

 

「ええ……今は、これが最優先事項です」

 

 

 

 

 

 モニターの映像が切り替わり、ビナーについてのあれこれが書かれた物へと変わる。しかしその書いている内容というのがまた面白く

 

 

 

 

 

「……なんか絵本見たいな感じですね」

 

「こちらの方がわかりやすくていいかと」

 

「この白いふにゃふにゃしたものがビナーなのはわかるけど……こっちのよくわからない黒くてムキムキな物は何?」

 

「何を言っているのですかエイミ、 先生ですよ、先生」

 

「えっ」

 

「フフフ、よく描けているでしょう?」

 

 

 

 

 

 絵心センスの無さ、もはや壊滅的と言っていいほどにヒマリは絵心が全くなかった。マッシュも人のことは言えないレベルなのだが、ヒマリはそれ以上……多分この場にモモイがいたのなら、腹を抱えて笑っていたであろう。

 

ヒマリが書いた絵が紙芝居のように流れ始め、彼女が調べあげた情報がどんどんそれに合わせて伝えられていく。

 

 

 

 

 

 

「ビナーの目撃情報は全て、アビドス砂漠から出てきています。そしてここ最近は、あのカイザーコーポレーションが動き出し、調査を行っている様子でした」

 

「……まだ諦めてなかったんですね」

 

「負けっぱなしと言うのが気に食わなかったのでしょう、彼らは対デカグラマトン用兵器と呼ばれてる物で、ビナーの撃破を行おうとしていました……あわよくば内部の情報を抜き出し、新たな兵器として利用しようとしていたのでしょう――しかし」

 

「返り討ちにあった……そうだよね?」

 

「その通り、ビナー討伐に向かった部隊のほとんどが全滅、それもたったの5分程度で……そして調べていくうちに…とある事実にたどり着いたのです」

 

「事実」

 

「ビナーは……以前、先生と戦った時よりも、何倍も強く成長しています」

 

「……そんな気はしてました」

 

 

 

 

次に写ったのが、赤黒く染まったビナーの画像。砂一つない白亜のボディが深紅に染まり、炎にも似た不気味なピンク色のオーラを放出しながら砂漠を移動している。羽のようなパーツが頭部を覆うように生え、四つしかなかったはずの眼が赤い複眼となったその姿は、まるで――

 

 

 

 

「――ベアトリーチェ…?」

 

「何があったのかは知りませんが……ビナーはあの姿のまま、カイザー達を襲撃、戦車や戦闘機、モビルアーマーなるものも全て破壊し尽くし、周囲を全て焼け野原に変えてしまいました――それも、破壊活動を楽しむように」

 

「ビナーに明確な人格が芽生えたって考えた方が良さそうだね……ううん、おそらくは感情みたいなのをはっきりと手に入れたのかも」

 

「……なんでまた、あの人が」

 

「これはあくまでも仮説ですが、彼女……ベアトリーチェは先生によって倒された後、何者かが生きたまま回収……殺害した後、その体を利用し、ビナーを強化したのではないか……と」

 

 

 

 

 

 その言葉を聞き、わかりやすく顔を歪ませるマッシュ。自分が吹き飛ばした彼女が、巨悪である彼女が別の誰かに利用された……なんとも言えない、後味の悪さ。

 

 

 

 

「……僕はあの人が嫌いです、今後一切許す気のない極悪人………でも、それでも――殺された後にその体を利用するのは、後味が悪いんですよね」

 

(……この子は、本当に)

 

「あの人を憐れむって感じじゃないですけど、故人に対しての冒涜は流石に許せませんね…人として」

 

「それは同感、死んじゃった人の体を使うだなんて、人道に反しすぎてる」

 

「そしてこの力をビナーはまるで我が物のように利用し、本能と快楽の赴くままに破壊を繰り返している……アレはいずれ、キヴォトスを脅かす厄災になりかねません――ですので先生」

 

 

 

 

 

ヒマリはモニターに、これから行われる作戦の名を大きく表示した。

 

 

 

 

 

「かの敵を暫定的にビナー(BINAH)ヴェンデッタ(VENDETTA)と呼称します。今回、アレを完全に停止させる作戦……ビナー・ヴェンデッタ討伐作戦オペレーション(Operation)アヴェンジャー(AVENGER)を行いたいと思っております。…先生、どうか――貴方のお力をお貸し頂けませんか」

 

 

 

 

 マッシュを排除しようとする……その時点でもう、預言者とデカグラマトンはキヴォトスの敵となった。そうなってしまった、破壊、もしくは無力化する以外の手は無い。

 

ビナーの情報はあらかた集まっていたようで、それの行動パターンや対処方法は分かっている……なので、ここからは

 

 

 

 

 

「任せてください……こういうのは得意ですから」

 

 

 

 

いつものように、暴力の時間である。





と言うことで、めちゃくちゃ早いですが、次回・ビナー戦です。

シャーレ在住メンバー達の新たな武器や、連携技、絆技などに、どうぞご注目くださいませ……そして 

ツッコミどころ満載ですので、ご了承くださいませ。



励みになりますのでコメントと評価、どうぞよろしくお願いします。コメント=モチベなので。

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