透き通る世界に拳を一つ   作:六科

198 / 363

お待たせいたしました……三連休くらい休ませてもらいたいんですけどなぁほんと!!!恨みますよ、あんな会社に入った過去の自分!!

休日って何だっけ。


まあ私のことは置いておいて、本編を……どぞ‼︎ それとアンケートの方、よろしくお願いします。


マッシュ・バーンデッドと音速タックル

 

 

 

 

『マッシュ・バーンデッド――マッシュ……バーンデッドォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

『―っ、みなさん退避を!!』

 

「総員、退―───っ!?」

 

 

 

 

 割れたビナーの装甲が内側から弾けるように爆発し、サオリ達はその爆圧に吹き飛ばされる。マッシュはたった一人その場で仁王立ちを決め込み、全ての装甲が剥がれたビナーをじっと見る。

 

 

 

 

『―――あれ…は…?』

 

『―─新たな体が形成されていく……間違いない、ベアトリーチェが使ってた回復と同じ。これも、魔法による…力』

 

「やっぱ魔法って碌なことがないや」

 

 

 

 

 破損した装甲を一度パージし、また新たなパーツを再構築していくビナー……そして、じっとマッシュを方を見つめると――次の瞬間

 

 

 

 

『――コロス』クワッ!

 

「殺意たっか」

 

 

 

 

 裂けるほどに開かれた口腔内に莫大な魔力を蓄積し、目を焼くような赤い熱線をマッシュに放つ。マッシュは射線の側方へ走り出して熱線を回避すると、その勢いを保ってビナーの頭へ拳を打ち込む。

 

 

 

 

『―!』

 

「まあ何となくわかったけど、バリア復活してるのは……うん、なんか解せない」

 

『――コロス…!!!』

 

「あと殺意がすご――わっ」

 

『コロスゥゥゥ!!!!!!!』

 

 

 

 男とも女ともつかない異質な声で殺意を叫びながら、ビナーは頭突きでマッシュを吹き飛ばす。マッシュは数十メートルの高さで宙に舞い、その瞬間を狙ったビナーが再び口を開き、チャンバーにエネルギーを溜め始める。

 

 

 

 

(また――ん?)

 

『─―!!!』

 

(何で空―――嘘だろマジか)

 

『空から無数のレーザーが…!?』

 

 

 

 

 今度のビナーは熱線を空へと発射した。するとそのエネルギーは空に向かって大樹(セフィロト)を描くように枝分かれし、千を超えるレーザーが枝垂れた柳のようにマッシュの元へと降り注がれた。マッシュは懐から取り出した鉄の杖で光の雨を弾きながら、回避運動に徹する。

 

 

 

 

「多い多い多い」ガガガガッッ!!

 

『――っ…!先生、無事か!?』

 

「サオリさん。絶賛レーザーに襲われてます……あっ、あとバリアが普通に復活してました」

 

『やはり…か。先ほど、明星ヒマリから連絡が入った――あと数十分でエネルギーが溜まるそうだ』

 

「あれ、意外と早かった」

 

『撃ち終わった後、ほぼ休まずすぐに発電を再開していたらしい……特にイズナは、発電ホイールの回転が速すぎて逆に遅く見えるそうだ』

 

「イズナちゃんも進化したな〜」

 

 

 

 

 

 感心している暇も無く、ビナーは魔力を帯びたその体で突進。マッシュはそれを見て瞬時に鉄の杖をバットに変形させ、完璧なフォームでビナーの頭部で向かってフルスイング。

 

 

 

 

『―ッ――……イレ…ギュラー……!!!』

 

「……待って、今更だけど喋ってない?」

 

『オマエハ、フヒツヨウ……ハイジョ!!!!』

 

「そんなこと機械が決めることじゃないんだよ、ばーか」

 

 

 

 

 

 連撃に次ぐ連撃、先程とは違った威力の物理攻撃を喰らわせてくるビナー。怒りで我を失っているのが目に見えるが……それを抜きにしても、強い。

 

 

 

 

 

『―オマエサエ、オマエサエ…イナケレバ!!』

 

「…一つ答えてよ。君は一体何者?ビナー?それとも…ベアトリーチェ?」

 

『――我ハ、デカグラマトンの預言者・ビナーでアリ、崇高ノ支配者・ベアトリーチェの純粋ナル憎悪。貴様ヲ憎む、フタツノ存在ガ融合シタ存在…スナワチ、我ハ崇高でアリ、復讐者でアリ、神ノ裁キデアル…』

 

「わあ、ややこしい」

 

『――ビナーは、預言者トシテノ尊厳ヲ……貴様ニ奪ワレタ』

 

「いやそんなこと言われても」

 

 

 

 

 

 尻尾から展開された超巨大ブレードが、横薙ぎに振るわれる。巨龍を思わせる巨体は、赤く焼けた刃を鞭のように振り抜くが、マッシュはそれをバットで上から打ちつけるかのように食い止めてみせた。

 

 

 

 

 

『ベアトリーチェ……は…オ前ニ、全てヲ…奪ワレタ』

 

「……はい?」

 

『手ニシタ能力(チカラ)も、富モ、名誉モ、長キニカケテ手駒トシタ者共(アリウス)も、理想モ野望モ、未来モ―――崇高ナル大人トシテノ、全テヲ踏ミ躙ラレタ!!!

 

 

 

 

 

 ビナーが後退し、尻尾の刃にさらなるエネルギーを加える。一層強い熱と魔力を帯びたブレードが牛刀のような形状へと変化し、ビナーはそのブレードでマッシュに回転斬りを仕掛ける。

 

 

 

 

 

『オマエガ憎イ!!!コノ身ヲ焦ガス憎悪ヲ以テ、貴様ニ恐怖ト絶望ヲ味合ワセテクレル……!!!!次ハ、貴様ガ全テヲ失ウ番ダ!!!!!』

 

 

 

 

 さらに体を大きく動かし、アクロバティックな動きで刃をマッシュに放ち続ける。

 その原動力たる憤怒と憎悪は、『マッシュに尊厳と威厳を全て破壊されたことへと怒り』と『何もかもを奪われたことへの怒り』の混濁により倍加し、おおよそ人間の精神では耐えられないほどの闘争心が魔力と共鳴した。
その魔力がビナーの奥底から、マッシュへの殺意とともに湧き上がる。

 

 

 

 

『貴様ガ!!貴様ノセイデ!!イレギュラーの分際デ――神カラ愛サレナカッタ劣等ノ分際デ!!!』

 

 

 

 

 

ドォォォォォォン!!!!!!

 

 

 

 

 

『ッ‼︎』

 

「うるさいよ、さっきから」

 

 

 

 

 その瞬間、ビナーの頭部にクラスター弾が襲いかかった。ミステリーバリアに防がれたが、ビナーの動きを止めるには十分な攻撃。直撃したのは、ミサキの武器・セイントプレデターのミサイルだった。

 ミサキの近くには、砂だらけとなったサオリ達が並んでいる。マッシュは隙をつき、彼女らの元へと駆け戻る。

 

 

 

 

「さっきからさ……ベラベラと……あの性格の悪すぎる女の影響でもあるだろうけど」

 

『ッ…戒野、ミサキ…!!』

 

「結局アンタのそれは怒りなんかじゃない、妬みだよ――そらそうだよね、神から見放された相手に、フルボッコにされたんだからさ、二人揃って…!」

 

『ッッッ…‼︎』

 

「お前が憎い? それはこっちのセリフだ。我々アリウスは……お前が、心の底から憎いんだ…ベアトリーチェ」

 

「恨みってなかなか消えないよね、わかる」

 

『……嫌いな人は、最後まで嫌いです‼︎』

 

『同……感だ』

 

「……しかし今は、貴様への恨みなんてどうでもいい」

 

 

 

 

そんな言葉を聞かされたビナーの精神が、ベアトリーチェの憎しみによって徐々に支配されていく。預言者としての誇りを汚された――それすらも些事に思えるほどの怒りが、込み上げてくる。

 

 

 

 

 

『――何故……ソコマデ、ソノ人間二コダワル。何故、ソノ男ニ希望ヲ抱ク、何故ソノ男ノ為ニ闘ウ‼︎ 』

 

「……そんなもの決まっている」

 

 

 

 

 

それぞれの武器を持ち、まっすぐとした目で、それぞれの理由を叫んだ。

 

 

 

 

『先生と、美味しいご飯のために!!!』

 

 

「私が私であるために」

 

 

「先生のお姫様であるために」

 

 

『名をくれた人に、恩を返すために』

 

 

『主殿のために!』

 

 

「先生という……我が愛するお人のために」

 

 

「お前を……倒す」

 

「生徒を守って、厄介ごとを全部終わらせるために――闘うんだ」

 

 

 

 

 

 マッシュは鉄の杖を持ちながら、ビナーの前に立つ。堂々と胸を張ったマッシュは、毅然としてビナーを睨み、

 

 

 

 

 

「貴方達の恨みと、僕らの思い……どっちが強いか勝負しましょうか」

 

『――コロス―─排除!!!』

 

 

 

今後こそ全てを終わらせるため――最終戦(ファイナルラウンド)へと雪崩込んだ。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「ニーナちゃん達、後もう一発ぐらい稼げそう?」

 

『逆に言えば、後もう一発が……限界…だぁ…!!』

 

『もう少し待っててくださいね主殿!――ちょっとイズナ本気になります!!』

 

『本気って―――っっておい!?なに上脱いでるんだ!?

 

『サラシを巻いているのでご安心を!!』

 

『できるかぁ!!』

 

 

 

 

 

 通信の先でイズナがセーラー服を脱ぎ、無線越しにニーナたちアリウス生が騒ぎ出す声が聞こえて来る。『わぁイズナちゃんったら積極的』と思っていたマッシュだが、さらに続けて発電機が悲鳴を上げるような回転音が聞こえ、ウタハが慌てて無線に声を吹き込む。

 

 

 

 

『え…エネルギー充填率、90%……すごい、コレなら』

 

『まだです!!――まだまだ、限界を超えます!!!』

 

『――いいね、乗ったよ……みんな、もう一仕事だ!!』

 

『エネルギー100超えの限界突破……面白い! 』

 

『先生! 次が最後になるので……ラスト一発、とてつもない一撃をお願いします!』

 

「OK、実はさっきからずっとビナーの戦い方を見て、いい技を思い付いてたんだ……でもそれを出すには、体力が足りない」

 

「なら私の出番。みんな、少しだけ時間を稼いでて」

 

「わかった。援護してくれ、ワカモ」

 

「あら、貴方が私の援護をするのではなくて?」

 

「二人とも先に行って、私が援護するから――来るよ」

 

 

 

 

 ビナーが咆哮し、叩き潰すように尻尾をマッシュ達に振り下ろすが、それをさせないとばかりにミサキとワカモがアグネヤストラを発射。

 

 尻尾はそのまま連続した爆発に押し返され、ビナーは体制を崩して砂上へと体を打ちつける。その隙を逃さずサオリがワイヤーを撃ち込み、ビナーの背を飛ぶように移動しながらアグネヤストラを発射する。

 

 

 

 

「先ほどは、随分とまぁ先生のことを好き勝手言ってくれましたね………この私の前で!」

 

 

 

 

 ワカモはビナーの目へ向けて銃弾を発射、効かずとも視界の妨げにはなるので、攻撃を続ける――半分ストレスの発散であるが。

 

 

 

 

 

「先生、腕出して」

 

「いいけど……待って何その武器」

 

「注射銃」

 

「注射銃」

 

「薬品を相手の体内に送り込むための武器」

 

「なるほど……」

 

「あ、大丈夫だよ。ちゃんと先生の皮膚を通る針だから」

 

「余計に大丈夫じゃなくなった気がする」

 

「はいチクッとな」ドスッッ!!

 

「いきなり刺すのはやめようね」

 

 

 

 

 

アツコ専用武器・注射銃(インジェクション・ガン)『ナイチンゲール』。

 

 端的に言えばサブマシンガンと同程度のサイズを持った銃型の注射器であり、特に目立った要素があるわけではない。しかしその針の強度はマッシュの腕に軽く刺さり、マッシュの心拍が生む血圧にも負けることなく薬剤を注入できる液圧を発揮できる。

 おそらくただの刺突武器としても扱えるであろうそれを、アツコは何食わぬ顔でマッシュの上腕に突き刺し、トリガーを引き絞って内容液を送り込む。

 

 

 

 

 

「………!」

 

「効果出て来た?」

 

「――疲労感が一気になくなった…でもなんか、肝臓辺りにとてつもない違和感が……アツコちゃんコレ何?」

 

「超絶強化したクレアチン」

 

「超絶強化したクレアチンって何」

 

「薬子サヤが先生にお詫びの品として渡して来たものを使ったの。クレアチンを中心に、疲労回復効果のある成分やビタミンを混ぜたものらしくて、効果はもう検証済みだって」

 

「安心できるようなできないような……まいっか――この状態ならあれができる」

 

 

 

 

 

 

 マッシュは両手に付いている腕輪を外してゆっくりと地面に置き、アンリミデットフィジカルモードを発動した。その状態のマッシュにエイミは息を飲み、ヒマリはどこか苦い顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

「そろそろビナーが動き出すぞ!」

 

『エネルギー充填開始――緊急弁全閉鎖、リミッター解除……っ…!100…110―120…!!皆さん、着弾時に相当な衝撃の発生が予想されます!対ショック・対閃光防御をお願いします!!!

 

 

 

 

 そのヒヨリの声を合図にサオリ達がビナーから離れ、マッシュはクラウチングスタートの構えを取り始める。そして魔力のオーラを放って暴れ狂うビナーが、轟くような咆哮を上げる。

 

 

 

 

『――群ガル事ニシカ能ガナイ…雑魚共ガ…‼︎』

 

 

 

 

 最後の抵抗とばかりに、エネルギーを口腔に溜め始めるビナー。そんなビナーの言葉に、サオリは声高に反駁する。

 

 

 

 

 

「確かに私達は弱い、しかし……だからこそ壁を乗り越え、手を取って、心で触れ合う――生きるために! 生きていいと、言ってくれた者達のために‼︎」

 

『戯言ヲォ…ホザクナァァァ!!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――煽れば、簡単に油断を晒すところも…同じだな」

 

『―──!!!』

 

『─―レールキャノン最大出力……過去にさようなら、こんにちは――新しい私達!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 ビナーがサオリの煽りに乗せられ、鎌首を天高く持ち上げたた瞬間。目を覆うほどの眩い光線が、ビナーの首元に直撃した――もし戦っていた相手がビナーだけだったなら、こんなことにはならなかっただろう……彼女、ベアトリーチェの色濃い怒りと恨みを取り込んでしまったために……ビナーは、預言者にはありえない失態を演じたのだ。

 

 

 

 

 

「――お待たせみんな……離れてて」

 

 

 

 

 

 マッシュの両足、そして身体中の筋肉に力が込められた。彼の目が白く、鋭く光ったと、周りが錯覚したのも束の間。

 

 

 

 

 

「アンリミテッドハムストリングス魔法───
ハイパーソニック・スタンドイン・ミサイル」

 

 

 

 

 

 マッシュがそう呟き、前に飛び出した――次の瞬間。

 

 

 

 

 

ゴシャァァァァァァァァッッ!!!

 

 

 

 

 

 

 ビナーの体に巨大な穴が空き、ビナーの頭部と体が完全に分離した。そしてその直後に

 

 

 

 

 

 

ドッ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

『――――…え!!?』

 

 

 

 

 

 激しい衝撃音、ソニックブームが生じ……その衝撃波で、残されたビナーの胴体が跡形もなく木っ端微塵に粉砕された。

 そう、マッシュがビナーに向かって突進を行った瞬間、その突進は音速を超え、熱の壁を超え、音を置き去りにする速度で動いていたのである。

 

 

 

 

「僕を恨んでいる事自体は、別に何とも思ってない─――─でも、その恨みの矛先が、無関係な人にまで向かうなら……話は別だ」

 

『貴様……ハ――何…者……だ』

 

「何回も同じこと言わせないでよ、僕は」

 

 

 

 

 

 地面に着地し、バラバラになったビナーへ振り向いたマッシュは、振り向きざまにシュークリームを取り出して呟いた。

 

 

 

 

「マッシュ・バーンデッド。シュークリームが好きな、ただの人間だよ」

 

 

 

 直後、断末魔の代わりのような巨大な爆発音が砂漠に響き渡り、アビドスの校舎からも視認できるほどの火柱がアビドス砂漠の砂上に奔騰した。バシリカで見た炎の竜巻を思わせるそれが、どす黒いキノコ雲へと変わり果てた頃───明星ヒマリは、オペレーション・アヴェンジャーの状況終了を告げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遂に、極超音速の領域に達したというのか……感謝するぞ黒服、貴下のおかげで実に面白いものを………黒服?」

 

「――感動のあまり、涙を流して気絶している……!?」

 

「どういうこった!!?!?!?」





そのうち光の速度も超えそうな気がして来ました。どうも作者です。

めちゃくちゃ話が変わりますが、皆さんは預言者達の中で誰が一番好きですか? 私はケテルとケブラの二名が大好きです……デザインがほんと好き。

デカグラマトン編なのですが……あの、思ってた数倍早く終わりそうです。マッシュ君が強すぎて預言者達がすーぐ終わってしまう。

百花繚乱後に見たい話

  • まだ交流がない生徒との話
  • アイデェア箱から選んだお話
  • ラビット2章
  • 愛が重い生徒との話
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。