透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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………超次元サッカーになってしまった。書いてたら楽しくて仕方なかったんです……それでは本編へ、どうぞ


マッシュ・バーンデッドとサッカーバトル

 

 

 

 

 デカグラマトン4番目の予言者・ケセドを撃破すべく動いたマッシュ・バーンデッド。

 彼は現在――

 

 

 

 

「ぬるぬるドリブルぬるぬるドリブル――エイッ」ゴッ!ゴッ!

 

 

 

 

 とんでもないスピードでドリブルを行いながら、派手なフェイク動作もないシンプルな動きでデカグラマトンのロボット兵達を蹴散らして行く。

 

 

 

 

 

『ドリブルを行いながら、すれ違いざまに打撃を行い、包囲網を突破していく……くっ、なんて完璧な戦術』

 

『エイミ、これは多分戦術ではなくてただのスポーツでは』

 

『スポーツにも戦術ってあるじゃん』

 

『人をさりげなく殴っている時点でもうそれは戦術ではありませんよ!?』

 

「そもそも戦闘なので、大丈夫です」

 

『戦闘でサッカーを行う方がおかしいんです!!』

 

 

 

 

 

 スポーツのルール上、マッシュの行動は完全にレッドカードに相当する。しかし今彼が行っているのはスポーツではなく、完全なる戦闘……レッドカードを切る主審などいない。

 マッシュは心置きなく敵を蹴散らしていき、いつのまにか廃墟とは思えない基地の中枢部に達していた。

 

 

 

 

 

「てか……いつのまにかメカチックな場所に迷い込んでしまった…………ん?」

 

 

 

 

 マッシュが違和感に気づき、その中央に目を凝らす――奥へと続く長い長い一本道…その最奥に、まるで王のように鎮座している丸い球体のような機械があった。  

 

 

 

『…………』

 

 

 

 その前には、マッシュを阻むように大量に配置されたドローンやタレット、さしてゴリアテが存在しており、常人であれば突破できない包囲網が構築されている。

 

 

 

 

 

『最奥にある、丸い球体……アレが、ケセドの本体です!』

 

『大きい……でも、あの大きさの球体が、これだけの数の兵隊を操っているなんて』

 

『強さ云々に大きさは然程関係ありません。先生がその身長と体重でアレだけのパワーを出せているのがその証拠です。……先生、下手に刺激せず、慎重に行動を』

 

 

 

 

 

 デカグラマトンの預言者は一様に、マッシュに対して等しく恐怖と敵意を持ち合わせている。

 前者は同族を破壊されたことによるもの、後者は預言者としての誇りを汚された事によるものである。 下手に刺激をすれば、何をしてくるのかわからない……ヒマリはそう言っているのだが、

 

 

 

 

 

「白饅頭みたいですね、お腹空いて来ちゃった」

 

『……………』ブチッ!

 

 

 

 

天然極まりないマッシュにその意図は汲み取れず、軽率な発言をしてしまう。

 仮にもケセドはデカグラマトン預言者であり、白饅頭などと呼ばれれば誇りを傷つけられたとみなすのは当たり前。

 

 

 

 

 

『あ、守りを固めて本体を隠した』

 

『下手に刺激しないようにと、私言いましたよね!?』

 

「悪気はなかったんです、ただ見たままの本音を言っただけで……」

 

『あ、やばい。敵がすごい勢いで詰めて来た』

 

『先生お口をチャック!!!』

 

「んっ」(指で口を縫う動作をする)

 

 

 

 

 

 多種多様な武器を持ちながら、マッシュに向かって走ってくるロボット兵達。破壊されてもロボット兵達はケセドによって次々と作られ無限湧きする、いちいち倒していてはキリがない………ならばやるべきことは一つ。

 

 

 

「本体をぶっ叩く――それしかない」グッ

 

 

 

 マッシュは足元に用意した新たなロボット兵の頭を踵でまた蹴り上げ、回転の摩擦によって火をまとわせた右足で空へと回転しながら飛び、そのまま奥のケセドに向かってシュートを繰り出す。

 

 

 

 

『―‼︎』

 

 

 

 

 それを黙って喰らうケセドではない、何か信号のようなものを出すと、地面から2メートルを超える二足歩行型の大型ロボット兵が現れる。

 

 

 

 

 

「――‼︎」グッ!

 

『突然現れたあのロボの右腕から……高エネルギー反応を確認。何か仕掛けてくるよ』

 

『先生が繰り出したシュートがあのまま通れば直撃……それを防ぐとなると――まさか』

 

 

 

 

ケセドの前に立っているロボが右手に電力を貯め始め、その手がオレンジ色に染まる。電力がたまった右手を頭上に掲げ、前に出すと――エネルギーフィールドによって構築された力場がホログラムのように顕在し、巨大なバリアの手が出現した。

 

 

 

 

「マジか」

 

『高密度のエネルギーバリアをあんな一瞬で展開できるなんて…!』

 

 

 

 

そして巨大な手が徐々に小さくなり、ロボの手にはマッシュが蹴り飛ばしたロボット兵の頭が掴まれていた。ケセドがゴールなら、その前に立ちはだかるロボ達はゴールキーパーと言える。

 

 

 

 

 

「僕のシュートを止めるとは……やりおる」

 

『先生が放ったシュートにタイミングを合わせてあの技を繰り出した……ゴールキーパーロボ、少し厄介だね』

 

『さらにその前には大量の兵士達が………あら…?……この陣形は……まさか―――サッカー⁉︎』

 

 

 

 

 いつも間にか兵士達はサッカーフォーメーションを組んでおり、何がなんでもゴールはさせんというばかりのフォーメーションを組んでおり、まさに鉄壁の守り…………私はなんの解説をしているのだろうか。

 

 

 

 

『解説の方が困惑している!! それはそうでしょう、先生だけではなく相手側も何故かサッカーをやり始めたんですから‼︎』

 

『部長、違うよ。相手はまだサッカーのフォーメーションを組んだだけ、サッカー自体はしてない』

 

『サッカーのフォーメーションを作っている時点でもうそれはサッカーなんですよ‼︎』

 

「マジか、こうなったら一気に突っ走って……?」

 

 

 

 

 

 マッシュは奥の方で何かが動く様子が目に入り、そこに注目。ケセドの前に立っているキーパーロボが右手を前に出し、クイックィっと、自分の方へ数回誘うような動作をしていたのだ。これはキーパーロボによるものではなく、ケセド本体による挑発だ。

 

つまりケセドは『お前のシュートぐらい簡単に防げるぞ、弱い弱い』という感じで煽っているのである。

 

 

 

 

 

「煽られて黙ってるわけにはいきませんね、実力でねじ伏せます」

 

『先生、あの、ケセドはおそらく正攻法では貴方に勝てないから、わざとああやって煽ってサッカー勝負に持ち込んだのだと思うのですが――』

 

「むしろそれで僕が勝てば、相手は何も言えませんよ

ね」

 

『それはそうですが…!』

 

「安心してくださいヒマリさん…僕、こう見えても――サッカー、人生の中で五回しかやったことがないので

 

『何をどう安心しろというのですか⁉︎』

 

 

 

 

 

 マッシュはまた新たなロボット兵の頭を用意し、その頭を蹴りやすく飛びやすいように握力で変形させ、ほぼ球状に近い形へ整える。サッカーボール大の球体となった頭を地面に起き、奥にいるゴールキーパーに目を合わせ

 

 

 

 

「――キックオフ」

 

 

 

物騒すぎるサッカーを、開始した。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

試合(戦闘)が始まると、マッシュはロボット兵達が飛ばしてくる銃弾を避けながらドリブルを開始し、前へ前へ手進んでゆく。

 

 

 

 

『ドローン、来ます!』

 

 

 

妨害とばかりにドローン達が動き弾幕の雨をマッシュに浴びせる、彼はそれをダブルタッチドリブルでかわしながら、隙を見てドローンに向けてシュート。

 

 

 

 

ゴッ!

 

 

 

それを繰り返しドローン達を退けると、今度はSMGを持っている兵達が前に立ち塞がり、素早い動き移動しながら攻撃。マッシュは体勢を低くしながらドリブルを行いまっすぐ一直線にボールをシュート。

 

 

 

 

「‼︎」

 

「塞いでくれてありがとう」

 

 

 

その先にいたロボット兵が所持していた大楯にそのシュートが当たり、ボールはマッシュの元に勢いよく戻ってくる――それをマッシュは狙っていた。

 

 

 

「――フッ」ドゴッ!!

 

 

 

彼は跳ね返って来たとんでもない威力と速度のボールを蹴り返し、威力を倍化させたシュートを放つ。そのあまりの威力のせいで生じたソニックブームがロボット兵の陣形を引っ掻き回し、ロボットは宙を舞って粉砕され、ゴリアテは大破する。

 

 

 

 

『反動を利用したシュート、プロの選手でも足を痛めるほどの危険な技ですが……先生の足は頑丈すぎるから、実質ノーリスクで打てる……すごい』

 

『あんな威力のシュート打てる選手なんて即出禁レベルですよ』

 

 

 

 

 超反動シュートとでも名付けようか、それは障害物を突き抜けてまっすぐ一直線に進み、やがてキーパーロボの近くにまで飛んでいった。先ほど行ったエネルギーバリアを使わせないための早すぎるシュート――だがそんなシュートも、ケセドの予測の内だった。

 

 

 

 

「―‼︎」

 

『両手に電力を回し、振りかぶった――っまさか‼︎』

 

「――!!!」トゴォッ!!

 

 

 

 

 

キーパーロボは両腕の電力を最大限に回し、エネルギーを溜め、超反動シュートに向かってパンチを繰り出した。もちろん一撃だけでは止まらない……ならば

 

 

 

 

 

「―!!!」ドゴドゴドゴドゴッ!!

 

『先生みたいなパンチを連続で繰り出して、ボールの勢いを殺していっている…』

 

『しかも、あのフォームは……先生のパンチそのもの』

 

「――流石は僕を敵と認識したAI、僕の動きをまんまコピーしてるとは」 

 

 

 

 

 

 デカグラマトンの預言者達は、蓄積された戦闘データや観測記録を共有していた。そうでもしなければ、日に日に成長するマッシュには勝てない。

 

なのでケセドは、共有された数々の戦闘データを元にキーパーロボを生成し、自分を守る絶対的な守護者を作り上げたのだ。

 

 

 

 

「まあ僕の方が数倍すごくて筋肉ありますけどね、"君にはない"筋肉がありますけどね*1

 

「…」グッ

 

『先生、ボールが来るよ――かなり強力な‼︎』

 

「ばっちこい」

 

 

 

キーパーロボは砲弾に近い速度のボールをマッシュに投げつける、当たればキヴォトス人でもただではすまないであろう威力、だがそれを止めてこその、マッシュ。

 

 

 

 

「――気炎万丈……フッ…!」

 

「⁉︎」

 

 

 

 

マッシュは仁王立ちを決め、そのボールを胸トラップで受け止める。激しく回り続け彼の肉体に擦れることによって摩擦が発生し発火、燃える火の玉をマッシュは胸に喰らい続けていた。

 

 

 

 

『―マッシュ君!!流石にそれ以上は!』

 

「平気ですよヒマリさん、こんな熱、たいしたことありませんよ」

 

『っマッシュ君…!』

 

「すごい威力の球だ、それは認めます――でも」

 

 

 

 

やがて勢いが止まっていき、地面に熱によって変形したボールが落ちる。マッシュの胸には軽く焦げ目が付く程度で済んでおり、余裕の表情を浮かべながらキーパーロボに告げる。

 

 

 

 

「ミカさんの神秘で強化された銃弾の方が、何倍も強かったから……全然余裕かな」

 

『よかった……無事でよかったね部長』

 

『――ええ』

 

「……‼︎」

 

 

 

 

そんなマッシュの態度に怒ったキーパーロボ……否、ケセドは天井から丸い球体型のロボを出現させ、それをキーパーロボに渡す。

 

 

 

 

「―‼︎」ブンッ!

 

「そのパターンはもう見たよ」

 

 

 

 

 キーパーロボがマッシュに向かって球体型のロボを投げつけてくるので、マッシュはそれを跳ね返そうと足を出す――その瞬間、球体ロボが変形し、ブースターのようなものが出現、さっきよりも威力が増し彼の足に激突。

 

 

 

 

「――むしろ、好都合……大チャン――スッ…!」

 

「!」

 

 

 

彼は、ブースターによって遠心力が増し、威力も大幅上がったになったそれを上へと打ち上げた。流石のこれにもケセドは驚愕したのか、キーパーロボ自身が驚いたかのような動作をする。

 

 

 

 

「これで、決める」

 

 

 

マッシュは飛び上がり、打ち上げた高火力の球体ロボを上空からオーバーヘッドで叩き落とした。まっすぐ一直線、なんの細工もないただの落ちてくるシュート――故に強力。

 

 

 

 

「‼︎――!!!」

 

 

 

 

ケセドはキーパーロボに電力を最大限、限界突破するほどに回し、両腕に電力を貯め――空に向かって両手を突き出す。

 

 

 

 

『あのバリアが、二つも』

 

『――無駄です。先生のあの技は先生のシュート+重力……たとえ、工場の電力を回しバリアを生成したとしても』

 

 

 

 

ピキ――ピキキキッ!

 

 

 

 

『「⁉︎」』

 

「破壊されるのみです」

 

 

 

 

バリアが徐々にひび割れていき、やがて粉々になる。そして球体ロボはそのままの威力を保ったまま急降下し、キーパーロボを押し潰した。

 

 

 

 

『――――――』

 

 

 

自分が持つ最高火力の必殺攻撃が破壊され、思考を停止したケセド……いやまだだ、まだ自分には手がある。

 

 

 

 

『―‼︎』

 

 

 

自分自身にエネルギー電力を貯め、脈動しながら赤い衝撃波が放つ技、『王は慈悲を施すものなり』……それを発動さえすれば、自分の完全勝利

 

 

 

 

 

ズボッ!!!!

 

 

『……?』

 

 

バァァァァァァン!!

 

 

『!!?』

 

 

「ども、やっと会えたね」

 

 

 

 

 

マッシュの邪魔さえ入らなけばの話だが。ケセドを守っていたバリケードを破壊し、マッシュはゆっくりと近づき、ケセドの体に触れる。まるで焦っているかのように、意味不明な電子音が流れると同時に。

 

 

 

 

 

「サッカーやろうよ、君がボールね」

 

『――!!!!!!』

 

 

 

 

ケセドの死が確定した。マッシュは両手でケセドを持ち上げ、長い一本道へと投げたばす――その投げ飛ばした先にすかさず回り込み

 

 

 

「フンッ」

 

 

 

蹴りを叩き込む。そしてまた吹き飛ぶのでまた回り込んで蹴りを入れ、またまた吹き飛ぶので再度蹴りを入れていく。

 

 

 

 

 

『――一人で、パズ回しをしてる……しかもケセドで』

 

『可哀想になってきましたね、流石に……』

 

 

 

 

一人パス回しならぬ、一人ケセド回し。あまりの威力にケセドは球体から歪な形へとどんどん変化していき

 

 

 

 

「――ラスト……フンッ…‼︎」

 

 

 

地面が割れるほどの踏み込み行ったマッシュの蹴りを叩き込まれ、破裂しながら後方へと飛び――やがて、爆散。

 

 

 

 

 

「――ゲーム、セット」

 

 

 

 

マッシュは、戦闘でもサッカーでも、見事勝利を収めるのであった。

*1
大事なことなので二回いった






ハジケ過ぎましたねこれ……いやぁでもこれくらいの方が……うーん?



というか、今回出て来た技の元ネタってみなさんわかりますかね……


とりあえず、励みになりますのでコメントと評価、お気に入りやアンケートの程、どうかお願いいたします。

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